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第二章 高校三年生編
第122話 まだ夏は続いていく
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たこ焼きパーティー……とは言っても、たこ焼きだけではない。
「こっちに、イカとかチーズとかもありますよー」
あらかじめ花音と若葉が切っておいた具材が足りなくなったため、凪沙が冷蔵庫から出してくる。
人の家の冷蔵庫というのはあまり勝手に触れない。そのため、多すぎてテーブルに乗りきらなかった具材はラップをかけて冷蔵庫に入れてあり、家主である俺と凪沙が足りなくなったら都度出していく流れとなっていた。
イカやチーズ以外にもウインナーや餅などもある。
一口にたこ焼きと言っても、バラエティーに富んだ具材は用意していた。
「凪沙ちゃん、私イカ食べたい!」
双葉は遠慮なく食べ進めていて、俺は微笑ましく思いながらも消えていくたこ焼きに苦笑いしていた。
「ハムスターかっ」
「リスですよ!」
「双葉ちゃんって、ウサギっぽくない?」
六人もいればそれぞれ好きに話すため、会話はカオスになっていく。
……今話しているのは三人だけのためマシな方だが。
虎徹と若葉の平和な会話に混ざっている凪沙が羨ましい。
しかし、何にしても双葉がモグモグと食べ物を頬張っている姿は、完全に小動物のそれだ。
「双葉ちゃんってよく食べるけど、やっぱり部活してるから?」
「んー……、どうでしょう? 元々食欲旺盛ではありましたけど、確かに中学生になってから食べる量は増えましたね。ただ、成長期だったっていうのはあるかもですが」
「そうなんだ。太ったりとかしないかなーって不安になったりしないの?」
「元々太りにくいので! もちろん運動もせずに同じ量を食べてたら太るとは思いますが」
――完全に周りの女子を敵に回す発言だ。
凪沙に関しては似た体質のためポケーっとしているが、双葉の言葉に若葉も一瞬反応した。
そして花音もお腹周りを気にして触っていたため視線を向けてしまうと、ばっちりと目が合ってしまう。
「……颯太くんの変態」
「不可抗力だ」
「お腹周り見たでしょ?」
「いや、そんなに太ってるようには見えないなって思ってさ……」
「そりゃあ体型維持のために努力してますから」
花音はツンとした態度でそっぽを向くと、双葉は愉快そうに笑っている。
確かに見てしまった俺も悪いが、そんな話題を出してお腹周りを触っていたら気にもなるだろう。
しかし、性格を作ってクラスカースト上位に君臨しているだけあって花音は努力家だ。それが今もまだ生きていて、カースト上位というのは変わらない。
見た目だけでもモテるはずだが、さらに自分を磨くために運動までしてるとは。
「……あれ? あんまり運動とかしないんじゃなかったっけ?」
体型維持のために努力してると花音は言うが、運動不足だということも言っていた。
矛盾する話のため俺は疑問をぶつける。
「運動はたまに気晴らしですることはあるけど、基本的にはヨガとか室内でできる有酸素運動だよ。アニメとか見ながらでもできるし」
「……なるほど」
「ちなみに筋トレもするけど、あくまでも体絞るためだから筋肉つけすぎないようにはしてる」
想像以上にストイックに体型維持をしているらしい。
有酸素運動をすると体を引き締められるというのは聞いたことがある。
体力がなくともそこそこ運動ができるのは、そういった努力の副産物かもしれない。
「筋肉……。先輩、私つけすぎでしょうか?」
「えー……、見たことないから知らんし」
たまにショートパンツの服を着ているのは見たことあるが、意識して脚を見ようとはしない。
腹筋なんてもってのほかだ。
腕は確かについているかもしれない。元々線の細い双葉は、筋肉がない人と見比べたらついているように見えるかもしれないが、双葉単体で見れば華奢な女の子にしか見えない。
「そっかぁ、双葉ちゃんは部活してるから……。颯太くん! 前から興味あったし、私もバスケしたいから一緒にしよ!」
「お、おう……」
不純な動機も混じっているが、花音は以前にバスケをした際に『たまには体を動かすのも良い』と言っていた。
すべてが不純な理由でもないだろう。
「ちなみに双葉ちゃん」
「なんですか?」
「肌ももっちりしてるけど、どんな化粧水使ってるの?」
「え、別に使ってませんけど?」
双葉がそう言うと、花音は露骨にショックを受けている。
スキンケアをせずに、もちもちとした肌を手に入れている双葉が相当羨ましいのだろう。
「た、たまにお母さんの化粧水は使わせてもらってますよ!」
「……たまにってどれくらい?」
「ええと……月一?」
フォローしようとした双葉だったが、逆にその言葉が花音を傷付けた。
無自覚にナイフを振っているのだ、予測不可能な口撃に花音は受け身すら取れない。
「……スキンケアはしっかりした方がいいと思う……けど、人によるって言うし、双葉ちゃんも気をつけてね?」
「は、はい」
体型にしろ肌にしろ花音は努力の上で磨いているが、双葉は普通に生活するだけで勝手に磨かれているのだ。
ショックを受ける気持ちもわからなくはない。
「でも花音先輩も、努力しなくても全部高レベルな気がします。そこからさらに高みを目指すのって、難しいんですよね」
「双葉ちゃん……」
双葉は多分、バスケのことを考えながらそう言っているのだろうが、花音はその言葉に感銘を受けている。
しかし、双葉の言いたいこともわかる。
学校の校則で化粧は許可されているが、派手すぎるのは禁止されている。
つまり軽くしかできないということだが、それでも花音は可愛かった。元が良いからだ。
花音は双葉に褒められたことでご満悦な様子。
「あ、そうだ。今度の祭りって、双葉ちゃんと凪沙ちゃんも来る?」
テンションが上がっている花音はそのままの流れで二人を誘う。
「あー……どうしましょう」
双葉は難色を示し、凪沙に視線を向ける。
「バスケ部の人たちの何人かと行く約束したんですよね。だから今回は遠慮させてもらいますね」
凪沙はそう言って双葉の代弁をする。
言い淀んでいた双葉には花音も首を傾げたものの、そういう理由なら仕方ないと納得していた。
「せっかくですし、四人で楽しんできてください!」
双葉はそう締めくくり、さらにたこ焼きを食べ進める。
こうして、俺たちのたこ焼きパーティー……俺の誕生日は静かに終わっていった。
「こっちに、イカとかチーズとかもありますよー」
あらかじめ花音と若葉が切っておいた具材が足りなくなったため、凪沙が冷蔵庫から出してくる。
人の家の冷蔵庫というのはあまり勝手に触れない。そのため、多すぎてテーブルに乗りきらなかった具材はラップをかけて冷蔵庫に入れてあり、家主である俺と凪沙が足りなくなったら都度出していく流れとなっていた。
イカやチーズ以外にもウインナーや餅などもある。
一口にたこ焼きと言っても、バラエティーに富んだ具材は用意していた。
「凪沙ちゃん、私イカ食べたい!」
双葉は遠慮なく食べ進めていて、俺は微笑ましく思いながらも消えていくたこ焼きに苦笑いしていた。
「ハムスターかっ」
「リスですよ!」
「双葉ちゃんって、ウサギっぽくない?」
六人もいればそれぞれ好きに話すため、会話はカオスになっていく。
……今話しているのは三人だけのためマシな方だが。
虎徹と若葉の平和な会話に混ざっている凪沙が羨ましい。
しかし、何にしても双葉がモグモグと食べ物を頬張っている姿は、完全に小動物のそれだ。
「双葉ちゃんってよく食べるけど、やっぱり部活してるから?」
「んー……、どうでしょう? 元々食欲旺盛ではありましたけど、確かに中学生になってから食べる量は増えましたね。ただ、成長期だったっていうのはあるかもですが」
「そうなんだ。太ったりとかしないかなーって不安になったりしないの?」
「元々太りにくいので! もちろん運動もせずに同じ量を食べてたら太るとは思いますが」
――完全に周りの女子を敵に回す発言だ。
凪沙に関しては似た体質のためポケーっとしているが、双葉の言葉に若葉も一瞬反応した。
そして花音もお腹周りを気にして触っていたため視線を向けてしまうと、ばっちりと目が合ってしまう。
「……颯太くんの変態」
「不可抗力だ」
「お腹周り見たでしょ?」
「いや、そんなに太ってるようには見えないなって思ってさ……」
「そりゃあ体型維持のために努力してますから」
花音はツンとした態度でそっぽを向くと、双葉は愉快そうに笑っている。
確かに見てしまった俺も悪いが、そんな話題を出してお腹周りを触っていたら気にもなるだろう。
しかし、性格を作ってクラスカースト上位に君臨しているだけあって花音は努力家だ。それが今もまだ生きていて、カースト上位というのは変わらない。
見た目だけでもモテるはずだが、さらに自分を磨くために運動までしてるとは。
「……あれ? あんまり運動とかしないんじゃなかったっけ?」
体型維持のために努力してると花音は言うが、運動不足だということも言っていた。
矛盾する話のため俺は疑問をぶつける。
「運動はたまに気晴らしですることはあるけど、基本的にはヨガとか室内でできる有酸素運動だよ。アニメとか見ながらでもできるし」
「……なるほど」
「ちなみに筋トレもするけど、あくまでも体絞るためだから筋肉つけすぎないようにはしてる」
想像以上にストイックに体型維持をしているらしい。
有酸素運動をすると体を引き締められるというのは聞いたことがある。
体力がなくともそこそこ運動ができるのは、そういった努力の副産物かもしれない。
「筋肉……。先輩、私つけすぎでしょうか?」
「えー……、見たことないから知らんし」
たまにショートパンツの服を着ているのは見たことあるが、意識して脚を見ようとはしない。
腹筋なんてもってのほかだ。
腕は確かについているかもしれない。元々線の細い双葉は、筋肉がない人と見比べたらついているように見えるかもしれないが、双葉単体で見れば華奢な女の子にしか見えない。
「そっかぁ、双葉ちゃんは部活してるから……。颯太くん! 前から興味あったし、私もバスケしたいから一緒にしよ!」
「お、おう……」
不純な動機も混じっているが、花音は以前にバスケをした際に『たまには体を動かすのも良い』と言っていた。
すべてが不純な理由でもないだろう。
「ちなみに双葉ちゃん」
「なんですか?」
「肌ももっちりしてるけど、どんな化粧水使ってるの?」
「え、別に使ってませんけど?」
双葉がそう言うと、花音は露骨にショックを受けている。
スキンケアをせずに、もちもちとした肌を手に入れている双葉が相当羨ましいのだろう。
「た、たまにお母さんの化粧水は使わせてもらってますよ!」
「……たまにってどれくらい?」
「ええと……月一?」
フォローしようとした双葉だったが、逆にその言葉が花音を傷付けた。
無自覚にナイフを振っているのだ、予測不可能な口撃に花音は受け身すら取れない。
「……スキンケアはしっかりした方がいいと思う……けど、人によるって言うし、双葉ちゃんも気をつけてね?」
「は、はい」
体型にしろ肌にしろ花音は努力の上で磨いているが、双葉は普通に生活するだけで勝手に磨かれているのだ。
ショックを受ける気持ちもわからなくはない。
「でも花音先輩も、努力しなくても全部高レベルな気がします。そこからさらに高みを目指すのって、難しいんですよね」
「双葉ちゃん……」
双葉は多分、バスケのことを考えながらそう言っているのだろうが、花音はその言葉に感銘を受けている。
しかし、双葉の言いたいこともわかる。
学校の校則で化粧は許可されているが、派手すぎるのは禁止されている。
つまり軽くしかできないということだが、それでも花音は可愛かった。元が良いからだ。
花音は双葉に褒められたことでご満悦な様子。
「あ、そうだ。今度の祭りって、双葉ちゃんと凪沙ちゃんも来る?」
テンションが上がっている花音はそのままの流れで二人を誘う。
「あー……どうしましょう」
双葉は難色を示し、凪沙に視線を向ける。
「バスケ部の人たちの何人かと行く約束したんですよね。だから今回は遠慮させてもらいますね」
凪沙はそう言って双葉の代弁をする。
言い淀んでいた双葉には花音も首を傾げたものの、そういう理由なら仕方ないと納得していた。
「せっかくですし、四人で楽しんできてください!」
双葉はそう締めくくり、さらにたこ焼きを食べ進める。
こうして、俺たちのたこ焼きパーティー……俺の誕生日は静かに終わっていった。
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