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第3話 自由なきお嬢様
お嬢様の秘密
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「ドレスのファスナーを・・・・・・おろして頂けませんか?このドレスは一人だと外せないもので」
そう言うと滑らかな後ろ髪を手でかき上げ、直哉がドレスのファスナーをおろせる様にする。
突如現れたうなじに、直哉は唾を飲み込み覚悟を決めゆっくりとファスナーを下ろしていく。ドレスの下に隠されていた白く美しい肌が、直哉の前に現れると緊張で手が震えてきたのだ。
「ありがとうございます。直哉様には二度も助けられてしまいましたね」
ドレスが少しはだけ胸の辺りまで下がっているが、沙織は全く気にする事なく直哉を直視していた。
沙織の潤んだ瞳と漂う甘い香水の香りが、直哉の心を確実に奪いかけていた。妖艶は雰囲気を纏った沙織は、そんな直哉を隣に座るように促したのだった。
「今日は本当にありがとうございました。わたくし、こんな楽しい時間は生まれて初めてでしたのよ」
「そ、それは何よりです」
「わたくしは・・・・・・自由な恋がしたいのです。誰かに決まられた物ではなく、自分で選んだ相手と・・・・・・。でも・・・・・・きっとそれは叶わない夢なのですわ」
「どうしてですか?自分でしたい様に出来ない理由でもあるんですか?」
「ええ・・・・・・。わたくしの父は・・・・・・北村グループの社長・・・・・・ですから、恋人も結婚相手も・・・・・・父が決めてしまうのです。でも・・・・・・たった一度でいいから・・・・・・わたくしは、本当の恋をしてみたいのです。それがわたくしの夢・・・・・・」
沙織の悲しい目は天井を見上げ、涙が零れない様に堪えていたのだ。何不自由なく見える沙織にも、自分の恋愛に選択肢がなかったのだ。
「直哉様・・・・・・お願いです・・・・・・。今宵だけで良いですから・・・・・・わたくしの夢を叶えさせていただけませんか?」
はだけたドレスのまま直哉に迫り、甘えるように直哉の顔に自分の顔を近づけてくる。その顔は今まで見せていた沙織の顔ではなく、悲しそうにそして切ない表情をしていた。
直哉はそんな沙織に流されようとしていたが、ギリギリの所で踏みとどまり沙織の肩を掴むと優しく突き放したのだ。
「沙織さん・・・・・・。待って下さい。貴方の気持ちは分かります。でも、こんな事はおかしいですよ。もっと他に方法があると思います。だって・・・・・・沙織さんは・・・・・・自由な恋愛を掴む為にまだやれる事があると思います」
直哉の言葉が沙織の一途な心に突き刺さる。そうなのだ、沙織はまだ何もしていないのだ。そう、自由を掴む為にまだ出来る事が残っているのだ。
「そんな事を言われましても・・・・・・、わたくしの立場では・・・・・・父には逆らえません」
「それなら、父親の元から離れればいいじゃないか。自分で道を・・・・・・自由な恋愛を掴む為に、最初は苦労はするだろうけど、きっと今より幸せだと思うよ」
「・・・・・・直哉様、わたくしはどうしたら・・・・・・」
直哉は沙織のスマホを借りると、沙織の父親に電話したのだ。自由が許されないのは、生きていないのと一緒だと直哉は思っていた。
そう言うと滑らかな後ろ髪を手でかき上げ、直哉がドレスのファスナーをおろせる様にする。
突如現れたうなじに、直哉は唾を飲み込み覚悟を決めゆっくりとファスナーを下ろしていく。ドレスの下に隠されていた白く美しい肌が、直哉の前に現れると緊張で手が震えてきたのだ。
「ありがとうございます。直哉様には二度も助けられてしまいましたね」
ドレスが少しはだけ胸の辺りまで下がっているが、沙織は全く気にする事なく直哉を直視していた。
沙織の潤んだ瞳と漂う甘い香水の香りが、直哉の心を確実に奪いかけていた。妖艶は雰囲気を纏った沙織は、そんな直哉を隣に座るように促したのだった。
「今日は本当にありがとうございました。わたくし、こんな楽しい時間は生まれて初めてでしたのよ」
「そ、それは何よりです」
「わたくしは・・・・・・自由な恋がしたいのです。誰かに決まられた物ではなく、自分で選んだ相手と・・・・・・。でも・・・・・・きっとそれは叶わない夢なのですわ」
「どうしてですか?自分でしたい様に出来ない理由でもあるんですか?」
「ええ・・・・・・。わたくしの父は・・・・・・北村グループの社長・・・・・・ですから、恋人も結婚相手も・・・・・・父が決めてしまうのです。でも・・・・・・たった一度でいいから・・・・・・わたくしは、本当の恋をしてみたいのです。それがわたくしの夢・・・・・・」
沙織の悲しい目は天井を見上げ、涙が零れない様に堪えていたのだ。何不自由なく見える沙織にも、自分の恋愛に選択肢がなかったのだ。
「直哉様・・・・・・お願いです・・・・・・。今宵だけで良いですから・・・・・・わたくしの夢を叶えさせていただけませんか?」
はだけたドレスのまま直哉に迫り、甘えるように直哉の顔に自分の顔を近づけてくる。その顔は今まで見せていた沙織の顔ではなく、悲しそうにそして切ない表情をしていた。
直哉はそんな沙織に流されようとしていたが、ギリギリの所で踏みとどまり沙織の肩を掴むと優しく突き放したのだ。
「沙織さん・・・・・・。待って下さい。貴方の気持ちは分かります。でも、こんな事はおかしいですよ。もっと他に方法があると思います。だって・・・・・・沙織さんは・・・・・・自由な恋愛を掴む為にまだやれる事があると思います」
直哉の言葉が沙織の一途な心に突き刺さる。そうなのだ、沙織はまだ何もしていないのだ。そう、自由を掴む為にまだ出来る事が残っているのだ。
「そんな事を言われましても・・・・・・、わたくしの立場では・・・・・・父には逆らえません」
「それなら、父親の元から離れればいいじゃないか。自分で道を・・・・・・自由な恋愛を掴む為に、最初は苦労はするだろうけど、きっと今より幸せだと思うよ」
「・・・・・・直哉様、わたくしはどうしたら・・・・・・」
直哉は沙織のスマホを借りると、沙織の父親に電話したのだ。自由が許されないのは、生きていないのと一緒だと直哉は思っていた。
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