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第5話 迷宮解放
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「め、迷宮解放をするの⁉」
『ああ、そうだ』
驚きで目を見開く紅にディーは淡々と告げる。
迷宮解放を使った際のリスクは小学生の紅でも分かる。
もし迷宮を解放して、出来立てのこのダンジョンに冒険者や強力なモンスターが入ってきたらどうするのか。
そのリスクはディーもよくわかっていた。
しかし彼は迷宮解放を使わなかった際に起きるであろうことも理解していた。
『紅、お前はさっきの掲示板を見てみたか?』
「見てないけど?」
『なら、今すぐ見ろ』
強い口調で言うディーに紅も渋々掲示板を起動する。
そこには沢山の建てられたであろうスレッド、そして……ダンジョンランキングなるものが載っていた。
そしていくつかのランキングの最下位をとっている一つのダンジョン、そのダンジョンの情報は紅たちのダンジョンの情報と全く同じだったのだ。
『オレたちのダンジョンが最下位、この意味は分かるだろう?』
「えっと、その……大変ってこと?」
『違う、もし迷宮戦争が解放された場合、真っ先に狙われるのはオレたちのダンジョンだってことだ』
頭が状況を理解したのか、紅の顔が青くなっていく。
このまま、迷宮解放が行われるまで迷宮戦争が解放されないとも限らない、迷宮解放と同時に迷宮戦争が解放されたとしてもオレたちを待つのはただの死だ。
なら、この状況を覆すにはどうすればよいか……リスクを承知で迷宮解放を使用するしかない。
『このまま死ぬか、わずかな希望を頼るかの違いだ』
冷たく、子供にむける言葉にしてはあまりにも酷だ。
しかしディーは躊躇わない、このような簡単な事を理解できず怖気図くようならば、どちらにしろ未来は無いのだから。
冷めた目つきで顔を伏せる紅を見上げる。
そして……
「わかった、やるよ」
『本当にお前は優秀だぜ、紅』
決意と覚悟の光が宿る彼女の目を見て不敵に笑う。
召喚されたことを理解したときは、【ダンジョンマスター】が小学生の女の子など肩を落としたが、今の彼には彼女は頼もしく見えた。
『全は急げだ。手早くこれからの事を指示するぞ』
「うん!」
まずは残っているDPを使ってモンスターを召喚する、ディーが外に出る以上ダンジョンの防衛がおろそかになるからだ。
紅に指示を出しながら【DP召喚】を実行する。
呼び出すのは【レッサースケルトン】、DP100で呼び出せるお手軽最弱モンスターだ。
ついでに召喚できるモンスターはこいつしかいなかった。
狭かった部屋内のあちこちに召喚陣が浮き上がり、次々と【レッサースケルトン】が姿を見せる。
その数は20、これだけいれば多少はましになるだろう。
続いて【迷宮作成】で新たな部屋を作成、そこに【レッサースケルトン】達を移動させる。
あと死にたくないので【DP返還】で最も安い槍を変換させてもらった。
『よし、後は紅。お前の仕事だ』
「うん、なんでもやるよ!」
やる気満々の彼女に出来る仕事、そんなもの一つしかない。
『お前の仕事は掲示板をつかった情報収集だ。
できるだけオレ達の事を漏らさないように情報を集めまくれ』
「うーん、もし何か交換で情報を求められたら?」
『その時はお前のタレントの話でもしておけ、それ以外は取引自体をするな』
「わかった!」
——こいつ本当にわかってるんだろうな?
不安なのはしょうがないが、一々紅の行動を確認するわけにもいかない。
オレは自分の身長の三倍もある槍を片手に、紅に最後の指示を出す。
『よし、迷宮解放だ』
「りょーかい‼」
同時にダンジョンを揺るがす轟音と新鮮な風が流れ込む。
≪迷宮解放者が現れました。 解放期間前による解放による報酬が送られます≫
『ああ、そうだ』
驚きで目を見開く紅にディーは淡々と告げる。
迷宮解放を使った際のリスクは小学生の紅でも分かる。
もし迷宮を解放して、出来立てのこのダンジョンに冒険者や強力なモンスターが入ってきたらどうするのか。
そのリスクはディーもよくわかっていた。
しかし彼は迷宮解放を使わなかった際に起きるであろうことも理解していた。
『紅、お前はさっきの掲示板を見てみたか?』
「見てないけど?」
『なら、今すぐ見ろ』
強い口調で言うディーに紅も渋々掲示板を起動する。
そこには沢山の建てられたであろうスレッド、そして……ダンジョンランキングなるものが載っていた。
そしていくつかのランキングの最下位をとっている一つのダンジョン、そのダンジョンの情報は紅たちのダンジョンの情報と全く同じだったのだ。
『オレたちのダンジョンが最下位、この意味は分かるだろう?』
「えっと、その……大変ってこと?」
『違う、もし迷宮戦争が解放された場合、真っ先に狙われるのはオレたちのダンジョンだってことだ』
頭が状況を理解したのか、紅の顔が青くなっていく。
このまま、迷宮解放が行われるまで迷宮戦争が解放されないとも限らない、迷宮解放と同時に迷宮戦争が解放されたとしてもオレたちを待つのはただの死だ。
なら、この状況を覆すにはどうすればよいか……リスクを承知で迷宮解放を使用するしかない。
『このまま死ぬか、わずかな希望を頼るかの違いだ』
冷たく、子供にむける言葉にしてはあまりにも酷だ。
しかしディーは躊躇わない、このような簡単な事を理解できず怖気図くようならば、どちらにしろ未来は無いのだから。
冷めた目つきで顔を伏せる紅を見上げる。
そして……
「わかった、やるよ」
『本当にお前は優秀だぜ、紅』
決意と覚悟の光が宿る彼女の目を見て不敵に笑う。
召喚されたことを理解したときは、【ダンジョンマスター】が小学生の女の子など肩を落としたが、今の彼には彼女は頼もしく見えた。
『全は急げだ。手早くこれからの事を指示するぞ』
「うん!」
まずは残っているDPを使ってモンスターを召喚する、ディーが外に出る以上ダンジョンの防衛がおろそかになるからだ。
紅に指示を出しながら【DP召喚】を実行する。
呼び出すのは【レッサースケルトン】、DP100で呼び出せるお手軽最弱モンスターだ。
ついでに召喚できるモンスターはこいつしかいなかった。
狭かった部屋内のあちこちに召喚陣が浮き上がり、次々と【レッサースケルトン】が姿を見せる。
その数は20、これだけいれば多少はましになるだろう。
続いて【迷宮作成】で新たな部屋を作成、そこに【レッサースケルトン】達を移動させる。
あと死にたくないので【DP返還】で最も安い槍を変換させてもらった。
『よし、後は紅。お前の仕事だ』
「うん、なんでもやるよ!」
やる気満々の彼女に出来る仕事、そんなもの一つしかない。
『お前の仕事は掲示板をつかった情報収集だ。
できるだけオレ達の事を漏らさないように情報を集めまくれ』
「うーん、もし何か交換で情報を求められたら?」
『その時はお前のタレントの話でもしておけ、それ以外は取引自体をするな』
「わかった!」
——こいつ本当にわかってるんだろうな?
不安なのはしょうがないが、一々紅の行動を確認するわけにもいかない。
オレは自分の身長の三倍もある槍を片手に、紅に最後の指示を出す。
『よし、迷宮解放だ』
「りょーかい‼」
同時にダンジョンを揺るがす轟音と新鮮な風が流れ込む。
≪迷宮解放者が現れました。 解放期間前による解放による報酬が送られます≫
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