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第4話 ステータス
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ダンジョンモンスターとして転生した彼には一つ願いがある。
それは”絶対に死にたくない”という願い。
誰もが抱き、持ちうる願い。しかし一度死んだからか、もしくは【レッサーデーモン】という種族ゆえか彼の生存本能は異常と言えるほど高かった。
それ故に彼は考える、どうすれば生き残れるかを。
ただでさえ、劣勢であるこのダンジョンに子供の【ダンジョンマスター】、しばらくは戦闘が出来ない彼なのだ。
一つでも優位にたてるものを見つけなければならない。
『そのためにも情報が必要だ』
「うん! それでどうすればいいの?」
元気に返事をする紅、しかしその返事は完全に彼任せである。
完全に主従関係が逆転しているがそんなこと彼は気にも留めない。
『そうだな……紅はダンジョンの情報を状態を確認することはできるか?』
「任せて!」
言うが早いか、紅は部屋の中央に置かれた漆黒の水晶玉のような物へと移動する。
それこそがダンジョンマスターの命と同等のものであり、ダンジョンの心臓だ。
彼女はダンジョンコアへと手を伸ばしながら「ステータス開示」と呟いた。
同時に何もないはずだった空中に半透明な画面が映し出される。
——これはゲームみたいだな……。
そう彼が思ってしまったのは仕方がない、何せそこに載っていた文字は転生前に見慣れたものばかりだったのだから。
ステータス画面に映し出されたダンジョンにおける情報を彼はひとつづつ丁寧に調べていくことにしたのだった。
――――――
《ダンジョン名称》
適正:不死系統モンスター
保有DP:10000p
保有タレント 【死魂の価値】
《ダンジョン権限》
・モンスター召喚
・DP変換
・迷宮作成
・迷宮解放 (残り365日)
・掲示板
・迷宮戦争 (使用不可能)
――――――
ーーこの際、ゲームすぎるだろうと言う感想は飲み込もう。
彼は一人黙々とダンジョンの確認に入る。
まず、適正。
これは紅曰く、モンスターを使役できる種類らしい。
つまり、このダンジョンでは不死系統モンスター……ゾンビやスケルトンなんかしかモンスターとして扱えないわけだ。
例外としては、召喚で呼び出したオレや外から連れてきたモンスターは当てはまらない。
次に、保有DP。
——正直、思った以上に残っていた。
紅に尋ねたところ、初めは5万DPあってその全てを【諸事詩召喚】を使ったはずなので何故残っているかは分からないそうだ。
しかし、残っている事は悪いことでは無い。
これで多少は選択肢が増えたというものだ。
次に、保有タレント。
能力名は【死魂の価値】、その能力は……分からない。
調べる事に適したタレントが必要なのか、それとも自力で調べろと言う事なのか。どちらにしてもタレントが分からないのは痛い。
残るは簡単だ。
モンスター召喚は、適正にあるモンスターをDPを消費して召喚する【DP召喚】。
1万DPを消費して召喚する【通常召喚】。
5万DPを消費して召喚する【諸事詩召喚】。
迷宮作成はその名の通り、ダンジョンの作成や罠の設置だ。
迷宮解放は今は準備期間であるダンジョンを地上へとつなげる事。
掲示板は……どうやら他の【ダンジョンマスター】と連絡をとれるようだ。
迷宮戦争はその名の通りだ。
『思ったよりも出来そうなことがあるな……特に掲示板。これがあれば何とかなるかもしれん』
あとは運しだいだ。
結局は運だよりだが、それさえうまくいけばかなり優勢に立てるだろう。
計画を練り、考える彼。
そんな彼に紅が話しかける。
「ねぇ、悪魔さん?」
『なんだ?』
「紅は悪魔さんを何て呼べばいいの? まだ自己紹介してもらってない」
——そうだった。
未だに紅には全くと言っていいほど自身の事を説明していない。
とは言っても、彼自身に記憶や知識はあるものの前世の趣味などは全く思い出せていない。
『そうだな、オレは記憶が無いからな……とりあえずディーとでも呼んでくれ』
「うん! わかったディー。これからよろしくね!」
差し出された巨大な手と握手しながら笑う。
「それでディー、今から何をすればいいの?」
『ああ、とりあえずやることは二つだ。
紅は掲示板で色々とあいさつしながら情報をかき集めてくれ。
オレは……ちょっとダンジョンの外に出かけてくる』
迷宮解放ということに頭が追いつき、フリーズする紅にディーは悪魔のような笑みを浮かべる。
彼が立てた計画はかなり運まかせだ。
それこそ普通の人間なら躊躇して実行しないほど。
しかし彼は、ディーは違う。
彼は人間を止めた【レッサーデーモン】なのだから。
それは”絶対に死にたくない”という願い。
誰もが抱き、持ちうる願い。しかし一度死んだからか、もしくは【レッサーデーモン】という種族ゆえか彼の生存本能は異常と言えるほど高かった。
それ故に彼は考える、どうすれば生き残れるかを。
ただでさえ、劣勢であるこのダンジョンに子供の【ダンジョンマスター】、しばらくは戦闘が出来ない彼なのだ。
一つでも優位にたてるものを見つけなければならない。
『そのためにも情報が必要だ』
「うん! それでどうすればいいの?」
元気に返事をする紅、しかしその返事は完全に彼任せである。
完全に主従関係が逆転しているがそんなこと彼は気にも留めない。
『そうだな……紅はダンジョンの情報を状態を確認することはできるか?』
「任せて!」
言うが早いか、紅は部屋の中央に置かれた漆黒の水晶玉のような物へと移動する。
それこそがダンジョンマスターの命と同等のものであり、ダンジョンの心臓だ。
彼女はダンジョンコアへと手を伸ばしながら「ステータス開示」と呟いた。
同時に何もないはずだった空中に半透明な画面が映し出される。
——これはゲームみたいだな……。
そう彼が思ってしまったのは仕方がない、何せそこに載っていた文字は転生前に見慣れたものばかりだったのだから。
ステータス画面に映し出されたダンジョンにおける情報を彼はひとつづつ丁寧に調べていくことにしたのだった。
――――――
《ダンジョン名称》
適正:不死系統モンスター
保有DP:10000p
保有タレント 【死魂の価値】
《ダンジョン権限》
・モンスター召喚
・DP変換
・迷宮作成
・迷宮解放 (残り365日)
・掲示板
・迷宮戦争 (使用不可能)
――――――
ーーこの際、ゲームすぎるだろうと言う感想は飲み込もう。
彼は一人黙々とダンジョンの確認に入る。
まず、適正。
これは紅曰く、モンスターを使役できる種類らしい。
つまり、このダンジョンでは不死系統モンスター……ゾンビやスケルトンなんかしかモンスターとして扱えないわけだ。
例外としては、召喚で呼び出したオレや外から連れてきたモンスターは当てはまらない。
次に、保有DP。
——正直、思った以上に残っていた。
紅に尋ねたところ、初めは5万DPあってその全てを【諸事詩召喚】を使ったはずなので何故残っているかは分からないそうだ。
しかし、残っている事は悪いことでは無い。
これで多少は選択肢が増えたというものだ。
次に、保有タレント。
能力名は【死魂の価値】、その能力は……分からない。
調べる事に適したタレントが必要なのか、それとも自力で調べろと言う事なのか。どちらにしてもタレントが分からないのは痛い。
残るは簡単だ。
モンスター召喚は、適正にあるモンスターをDPを消費して召喚する【DP召喚】。
1万DPを消費して召喚する【通常召喚】。
5万DPを消費して召喚する【諸事詩召喚】。
迷宮作成はその名の通り、ダンジョンの作成や罠の設置だ。
迷宮解放は今は準備期間であるダンジョンを地上へとつなげる事。
掲示板は……どうやら他の【ダンジョンマスター】と連絡をとれるようだ。
迷宮戦争はその名の通りだ。
『思ったよりも出来そうなことがあるな……特に掲示板。これがあれば何とかなるかもしれん』
あとは運しだいだ。
結局は運だよりだが、それさえうまくいけばかなり優勢に立てるだろう。
計画を練り、考える彼。
そんな彼に紅が話しかける。
「ねぇ、悪魔さん?」
『なんだ?』
「紅は悪魔さんを何て呼べばいいの? まだ自己紹介してもらってない」
——そうだった。
未だに紅には全くと言っていいほど自身の事を説明していない。
とは言っても、彼自身に記憶や知識はあるものの前世の趣味などは全く思い出せていない。
『そうだな、オレは記憶が無いからな……とりあえずディーとでも呼んでくれ』
「うん! わかったディー。これからよろしくね!」
差し出された巨大な手と握手しながら笑う。
「それでディー、今から何をすればいいの?」
『ああ、とりあえずやることは二つだ。
紅は掲示板で色々とあいさつしながら情報をかき集めてくれ。
オレは……ちょっとダンジョンの外に出かけてくる』
迷宮解放ということに頭が追いつき、フリーズする紅にディーは悪魔のような笑みを浮かべる。
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