幼馴染

はんだやじるし

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準備最終日

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「昨日は、ちゃんと話できたん?」

と話しかけてきた。
今日は、準備最終日で今はステンドグラスを展示する隣の教室に紅哉と運んでいるところだ。

「まぁまぁかな。」

俺は、そう素っ気なく答える。

「ほほーん?」

詳しく知りたそうにニマニマとにやけながらこちらを見てくる。
腹が立つ顔だが、相談できる数少ない友達だしな。

「あ、あとで!!話そ!」

周りには、ステンドグラスのチームの人と創造展のチームの人たちであふれかえっている。

(もし、誰かに聞かれたら、、、もし、青涙に聞かれてたら、恥ずかしい)

すぐに紅哉に話したい気持ちもあるものの周りに聞かれるのが恥ずかしくて、俺はステンドグラスを
破らないように引っ張り早く運ぶように紅哉に促す。
少し耳が熱い。

「おいッ!!引っ張るな!!破れるだろーがよ!」

突然の俺の動きに驚いた紅哉は、眉を寄せて大きな声を出す。
誰のせいで、、と俺は思ったが、いったん心にしまった。

「おい!もっとゆっくり運べよ!湊さんと作った力作なんだぞ!!」

俺が何も言わないからとずっとわめいている紅哉に少しむかついた俺は、動きを止め
紅哉の耳に顔を寄せて、

「うるせー、早く話がしたいんだよ。」

と一言言って、再度歩き始める。

「お、、おう、、」

(別に顔近づけなくてもよかったかも)

つい先ほどの行動に少し恥ずかしくなった俺は、すっと紅哉から目をそらした。また耳を熱くなった。
さっきのうるささとは裏腹に静かな紅哉を不思議に思い、顔を紅哉のほうにむけると。
猫のような形は、通常の時よりも見開かれており顔はリンゴのように赤かった。

(う、受けの顔してらっしゃるぅぅぅ、、えっもしかして耳弱かった?え、中学から一緒にいて
こんな瞬間一度も見たことがないぞ、、!親友のメス顔の瞬間とか、、え?)

紅哉は、廊下の窓ガラスをみて自分の状況を理解したのかすぐこちらをみて慌てて話し出した。

「いや、あの、、これは、、何つーか、熱とかじゃねーんだけどな?
耳に息が吹きかかるとなんつーか、おかしいんだよw、いっつも顔熱くなっちまってさ、アハハ、、」

(耳弱いのはわかったが、”いつも”?ほーん誰か相手がいるようだ。中学から一緒なのに水臭い、、)

紅哉が俺に秘密があったことに少しショックだしむかむかもするが、
俺の反応がないことに不安そうな顔をする紅哉に、まっ言いづらいこともあるだろうか。と
納得することにした。
幸い自分が言ったことをわかっていないようなのでこのまま流して、おくことにした。

「気にするな、耳はそれならに気持ちいいよな。わかるよ。」

とフォローを入れたつもりだったのだが、

「いや、フォローになってねーよ!!「お前もか!気持ちいいよな!」って返せるのは
お前が持ってる漫画の何かもう失うものがない奴が言ってるやつだろ!!」

「俺の読んでる本覚えててくれたんだwwうれしいよ~紅哉~。」

強制的に読ませているわけでは一切ない、が、面白いところがあると話してしまう。
紅哉は、寛容だからいやいや言いながらそれなりに聞いてくれるし、何よりリアクションがすごくいい。
興味ないことでも、興味あるように聞いてくるし内容はそれなりに覚えててくれてるし、、いい友だよ。

「うるせーあれだけ、話されたら覚えるにきまってるやろ、、、衝撃的すぎるんだよいつもいつも。
お前一体何を読んでるんだ。」

何か、憐れんだ眼を向けられているが気にしない。

「そんなことより、早く運ぼうよ。話したいって言ったでしょ?聞きたいみたいだし、俺も聞きたいことあるし?」

「聞きたいこと?てか、お前が変なことしたからだろ!!」

?を浮かべる紅哉ににまっと微笑む。

「いいからいいから」

(相手誰なんか聞き出したる!!)

創造展の教室の窓ガラスにステンドグラスを貼り、ステンドグラスの教室に戻った。





教室に戻っても、ほかのチームはいろいろ作業をしているようで何人かはステンドグラスの周りに集まっていた。
もちろん青涙も彼女といた。

きゅっとした唇をかむ。
昨日青涙と一緒に帰ったけど、今日は、一度も話せていない。

(もう、お昼なのに、、)

でも、そっか、別に会話する約束じゃなかったよな。
家に行く話だった。
昨日のでまた元に戻れたような気がしたけど、たった一度また話せただけ、、だよね。

青涙と彼女の背中しか見えない。
今どんな気持ちでどんな顔で彼女と話しているんだろう。
こんなことを考えるのが嫌で嫌でもういっそ、気持ちを伝えてみようか、、

(あと一週間できっと分かれるだろう。)

あと一週間たてば、今月が終わる。
きっと青涙はかのじょとわかれるだろう、、とおもう。
確信はないけど、孝浩にきいて別れていたら告白しよう。

俺自身がすっきりするために、、


バシンッ!!

「イテッ!!」

センチメンタルに浸っていると、いきなり後ろの背中をたたかれた。
生理的に出た涙を人差し指で拭い犯人の顔を拝もうと後ろを振り返ると紅哉がいた。

「いやお前かい!!なにすんだよ!人がせっかく決心したのに!」

「ずっと一人の男みて泣きそうな顔してた男が何を決心したんだよ?」

みられていた。
どんどん顔が熱くなる。

「見てんじゃねーよ、そっとしておけよ。」

恥ずかしさのあまり、少し声が震えた。
が紅哉は、表情変えずに

「うるせー、お前がここで浸ってるのが悪い!で、何を決心したん?」

再度聞いてくる。
笑われそうでいやだが、話さないと開放してくれなさそうなので正直に話すことにした。

「あとちょっとで今月が終わって、は、青涙が彼女と別れるから、こ、告白してみようかと、、、」

下を向きながらそう話した。

自分で言っていて恥ずかしくなってきて、声が詰まる。

「いんじゃねーの?」

「え?」

いつになく真剣な声でそう返された俺は思わず戸惑った声がでた。

(やめたほうがいいとか止められると思ってたけど、俺の気持ちわかってくれてたのか?)

「だって、これでお前の青涙好き好き話が収まるだろ!」

少し、紅哉に尊敬の気持ちを向けていた俺が馬鹿だった…

(そうだったわ、こういうやつだったわ…)

「そういうことかよ、ちょっといいこといったと思ったのによ…」

口をとがらせて俺はそういう。

「俺がそんな気の利いたこと言えるか!、でも、スッキリしたいならいい手だと思うぞ~」

ヘラヘラしながら紅哉は俺にそう言った。

(いや、わかっとるやないかい!俺の気持ち!わかっとるやないかい!)

「お前ってやつは…」

と俺は紅哉の方に手をおいた。
紅哉は、こっちをみてニヒっと笑った。

それから、湊さん達と合流して教室を抜け出して空き教室へと行き、雑談をした。

(あと一週間で告白する、あと一週間で…)

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