『突撃!東大阪産業大学ヒーロー部!』

M‐赤井翼

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「エピローグ 残念な結果」

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「エピローグ 残念な結果」

 9月24日朝6時、テントのタープ越しに晩夏の朝日に照らされて比呂は目が覚めた。その直後、スマホの「緊急地震速報」が鳴り響き、竜宮浜に3日ぶりの巨大な揺れが起こった。
 すぐに震源は陸地下部で巨大津波の心配はないとの発表があったものの、前回のゴムボート上と違い地面の上での「震度6弱」の揺れは比呂に恐怖を感じさせるには十分だった。
 テント内で互いの無事を確認し合った月子と美津恵と一緒に表に出ると、男子3人と母須野も出て来ていた。

 「よし、朝、8時には舞鶴署でこの3日間の出来事の事情聴取。その後は、青田兄と赤井は「FMまいづる」に出演。他のメンバーは、俺と一緒に「京都新聞」と「KBS京都」の取材や。ちゃちゃっと朝飯食ったら撤収や!」
母須野の声かけで手際よく、女子チームは朝食の準備に入り、男子チームはキャンプ用品の撤収にかかった。

 炭火を使わず、ガスコンロで炊いた飯での「漁師茶漬け」を皆で味わうと、6人はワゴンに乗り込み、大樹はバイクにまたがり竜宮浜を後にした。
舞鶴署では、照紗輝の弁護を担当した母須野の知り合いの弁護士が待っていてくれていたので話はスムーズに進んだ。約1時間の事情聴取の後、担当課長から「感謝状」をもらい署を後にした。
すると「FMまいづる」から電話があり、今朝の余震の地域避難ニュースが入るのでゲスト出演番組の内容が変わったと連絡があり生出演の話はキャンセルとなった。比呂は前向きにみんなを励ました。
「まあ、しゃあないな。「FMまいづる」の放送は大阪には届けへんから、地上波のテレビと新聞に期待しよか!その方がインパクトあるやろ!これで私らが「門真のトップヒーロー」やで!」

 9時30分、青葉山ろく公園で「京都新聞舞鶴支局」の記者と、地上波「KBS京都」のテレビクルーと合流した。まずは麻薬取引が行われていた「第三火薬廠」の現場の取材に入った。
 「北のマフィア」が撃った銃痕などを説明し、6人は戦闘状況をカメラとインタビュアーに向かって証言した。
「銃を持つマフィアは怖くなかったですか?」
の質問に
「大丈夫です。私達は「ヒーロー」ですから!」
とどや顔で答える比呂が印象的だった。
 東大阪産業大学ヒーロー部のメジャーデビューの夢実現のために調子が良かったのはここまでだった。

 11時、取材車、ロケ車と共に、今回の事件解決の「立役者」の「回天十型」の取材に移ることになった。皆はワゴン車とバイクに乗り込み瀬崎浜に向かった。
 そこで第1の事件が起こった。浜に乗り上げたはずの「回天十型」の姿が見えないのだった。周辺を探したが「回天」の「か」の字も見つからない。一番が呟いた。
「ここに座礁させてからもしかして18時間…。満ち潮で回天が浮き、引き潮で沖に流されたんかもしれへんな。」
 大樹が「自称ヘリキャット」を飛ばし、周辺海域を空撮して回ったがどこにも「回天十型」の姿は見つからなかった。
「うーん、実物の「絵」が無いのは辛いですねぇ…。皆さんのスマホの動画だけでは、実証性が無いので…。」
と京都新聞の記者もKBS京都のディレクターも困り顔だった。

 「いや、物証と言う意味では、「回天十型」の隠し場所の映像でも十分でしょ?東大阪産業大学ヒーロー部が79年間隠されてた「大戦中の戦時遺跡」を発見したってね!」
と比呂がマスコミスタッフに激を入れ、車は小幡漁港へ移動した。
 そこで更なる悲劇が東大阪産業大学ヒーロー部の6人を襲った。

 小幡港で午前中の漁から帰った漁船を借り受け、マスコミスタッフと意気揚々と乗り込んだヒーロー部6人と母須野の前に現れた情景は、アンジャ島の断崖にあるはずの旧帝国海軍の秘密の洞穴でなく、今朝の地震で再度崩れ、埋まってしまった「洞穴跡」だった。
 ゴムボートに乗り換え、「新聞記者」と「ディレクター」と共に比呂と一番と母須野が洞穴跡に近づいた。崩れた岩を間近に見て記者とディレクターが呟いた。
「ありゃー、これは完全に崩れてしもてますねぇ。うちの社でこれを撤去することはできませんし、これは取材中止しかないですね…。」
 12時18分、取材は完全に中止となった。落胆の表情で漁船に戻った比呂達に追い打ちがかかるのは3時間後のことになる。

 帰りのワゴン車の中は、比呂が努めて明るく盛り上げようと頑張っていた。
「まあ、「回天十型」の件は、「モノ」があれへんようになってしもたし、秘密基地も埋もれてしもたからしゃあないわな。
 でも「北の麻薬マフィア」を壊滅させた実績は残ってる!それだけでも「門真の女神」や「やろうぜ会」に並ぶ大事件解決事案やろ!今日の夕方のニュースでは私達の名前が全国ニュースで流されるはずやで!」
 比呂の言葉に励まされつつ、ワゴン車が門真に到着し、東大阪産業大学学生会館前で荷物を部室に運んでいると、15時18分に母須野の電話が鳴った。

 少し離れたところで母須野が「なんでまた!」、「そんなことが…。」と強い口調で話しているのがかすかに聞こえる。
6人が不安げな顔で電話を終えた母須野を迎えた。
「先生、なんの電話だったんですか?誰からやったんですか?」
 一番が問いかけると、母須野は残念そうな顔で呟いた。
「今の電話は弁護士からや…。今回の「北のマフィア」の事件自体の存在が消された…。」

 「えっ、それってどういうことなんですか?」
大樹が質問を投げかけた。母須野は眉間に縦にしわをよせ言った。
「極めて、高度な政治的判断や…。皆には関係ない「大人の事情」ってやつやろな。「京都新聞」や「KBS京都」が悪いわけやない。
 舞鶴警察もこの事件の記者会見を取りやめるみたいやし、警察も海上保安庁も緘口令が敷かれたみたいや…。
 その背景に何があるんかはわからん。「北」を刺激したくない「誰か」なのか、「北」に忖度するなにがしらからの「脅迫」や「圧力」があったんかもしれん…。ただ、「警察」が発表せえへん以上、マスコミは報道すべき公式見解が無いってことや…。
 みんな、命がけで凄く頑張ったのに…、ただただ残念や…。」

 下を向く5人のメンバーの中で比呂だけが元気に声を上げた。
「事件そのものがないことになったんやったら、月ちゃんのお友達にはよかったんとちゃうの?事件が無くなりゃ無罪放免やろ!
私達は「メジャーヒーロー」にはなり損ねたけど、今回の件で舞鶴に「ひとりのやり直し・・・・ヒーロー」を生み出せたんやったらそれだけでもよかったやん!
 私達にはこの先にもまだまだチャンスはあるやろうし、くよくよしてても仕方ないから、部室の冷蔵庫に残ってるお肉で「残念会」もとい「次回こそメジャーヒーローになろう会」でもしようや!さあ、屋上にバーベキューコンロ持って上がるで!
 相棒と大樹はお酒の買い出しや!美津恵ちゃんと太君はお野菜買ってきて!月ちゃんと私は火の準備やで!さあ、れっつらごー!」

 屈託のない笑顔で皆に指示を出す、比呂に一番が優しく言った。
「さすが俺らのリーダーや!みんな、せっかく4日前に「相棒」が忘れていってくれた・・・・・・・・・「肉」がたくさんあるんやから、ちょっと早い時間やけど「相棒」の言うように「パーッ」とやろうや!
 門真の街のみんなは誰も知らんでも、「お天道様」と照紗輝は俺らがほんまもんの「ヒーロー」やってわかってくれてるはずや!」
 一番の一言で皆の顔が笑顔になった。母須野も微笑んでその様子を見守った。

 16時5分、学生会館屋上にバーベキューの煙が上がった。
「では、不肖、東大阪産業大学ヒーロー部部長の「門真のデカレッド」こと「赤井比呂」がデカレンジャー風乾杯をさせていただきますので皆さんもご唱和お願いします。
 事件は無事に解決!門真シティーは日本晴れ!かんぱーい!」
 6人のメンバーと母須野は、門真の天高く缶を突き上げた。

おしまい

 

「おまけ」
はーい、最後までお読みいただきありがとうございました。
いやー、今回の作品は常に並行して別作品を制作してたので余裕がなく、あまり「おまけ」に時間がかけられませんでした。
コアな読者さんから「「おまけ」が無いのは寂しい」とのご意見をいただいたので、頑張ってイラストはできるだけ入れてきたのですが、ご満足いただけてたのでしょうか?

まあ、優しい読者さんが多いので逆に「気を遣ってもらった」方が多かったかもしれません。
本当にありがとうございました。
(。-人-。) 大感謝!

では、明日の「あとがきのようなもの」でおしまいです。
ちなみに「あとがきのようなもの」と言うのは、私が好きなコミックの「うぽって!!」(作「天王寺キツネ」氏)の「あとがきのようなもの」と同じですね。
チーム「みりおた」の「あーくん」さんに指摘されて、気づきました(笑)。

ストーリー的に今回は指摘されなかった「パクリ疑惑」が最後に…。
お気に入り作品なので無意識のうちに「パクっちゃった」んでしょうね!

ちなみに「うぽって!!」っていうのは「軍用銃」の擬人化マンガで、長い事休載してたのが昨年、3年ぶりに復帰し、今年の夏にも新刊の「15巻」が出ました!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
銃マニアにはたまらないニッチなネタと可愛い女の子の両方が楽しめる「素晴らしい作品」です!

皆さんにもお勧めしますね!

さて、脱線はほどほどに、最後の「女子トリオ」のイラストです!
















本当に最後まで応援いただきありがとうございました!
(。-人-。) 合掌

では、あすの「パクリタイトル(笑)」の「あとがきのようなもの」までお付き合いください!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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