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「最後の夜」
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「最後の夜」
ひな祭りの日、晶が起きてきた際に朝に夢で見たように靖が生体肝移植を最後にもう一度願い出るが首を横に振られる結果になった。事前に予知夢で見た通りの会話が繰り返される中、「どうしてもだめ?」と否定的な答えが出ることを承知の上で尋ねると「うん、そこは譲れないわ。ただでさえも靖君を「バツイチ」の傷物にしちゃうんだもん。更に体にまで傷なんてつけられないわ。」と体よく断られたとこまでは想定内だった。
靖は夢になかった続きを話し始めた。人間ドックの話を先に済ませ「仮定」の話を晶に投げかけた。
「晶さん、万にひとつの話と思って聞いて欲しいんだけど、もし俺が「脳死」状態になった時は、ドナーとして受け入れてくれますよね?昔読んだ小説の中で心臓外科医が子供の時に心臓を患ってて不慮の事故で脳死した父の心臓移植を受け、共に生きていくっていう話があったんですわ。仮に俺が脳死して俺の肝臓が他の人に渡って晶さんが死んでしまうんじゃ絶対に成仏できへんからその時は素直に受け取ってもらわれませんか?」
「うん、その本、私も読んだことがある。映画化もされたよね。あの映画は家に強盗が入ってきて娘を庇った医師だったお父さんが強盗に頭を鈍器で殴られてしまうのよね。意識を失う前に「お前が無傷で良かった。お前の事を一生見守っているよ。」って言葉を残し脳内出血で脳死になってその事前遺言で脳死判定を受けたお父さんから心臓移植を受けて本人は心臓外科医になるって話だったよね。
あくまで小説や映画の中だけの話だけど、もし靖君が会話もできない状況になるようなことがあったらその時は移植を受け入れさせてもらうわ。まあ、そんな状況は映画じゃないからありえないけどね。くすくす。じゃあ、3月13日、14日の宿泊人間ドックで靖君の完全健康体を証明して私を安心させてね。私も全身検査はしてないから、突然他の病気で死なないように肝臓以外に悪いところがないかきっちり診てもらうわね。」
晶も納得し、靖の計画は一気に二歩も、三歩も進んだ。
迎えた3月13日、靖と晶は門真総合病院での1泊2日の人間ドックコースを受診した。伊庭が担当してくれたこともあり診察はスムーズに進んだ。初日の診察はすべて順調に終了し、個室に並んだベットでの夕食後、看護師の最後の回診で体温と血圧、脈拍測定を済ますと一般病室と違って夜間の見守りはないと聞いていたのでひとつのベッドで体を重ねた。
「病院でしちゃうって背徳感があって少しドキドキしちゃうね。」
と少女のような顔で笑う晶に対し、最後のセックスになる事を覚悟している靖は晶をやさしく抱きしめ緊張で震える声で囁いた。
「晶さん、本当に好きです。大好きです。これからもずっと愛してます。本当にこの1年弱の間、幸せでした。俺、この先も晶さんが亡くなるまで何十年でも見守ってます。明日のホワイトデイの晶さんへのお返しは俺にできる最大限で用意してますのでどうか受け取って下さいね…。本当に今まで…、」
と言葉を途切らせてしまったが、真剣な顔をして見つめ続ける靖に
「くすくす。何十年ってなによ。そんなに面倒はかけないよ。短い結婚生活で靖君には申し訳ないけど私も幸せだったよ。ありがとうね。私がいなくなった後は靖君は自由に幸せな人生を送ってね。明日のホワイトデイの「最大限」のお返しは期待して待ってるわ。くすくす。」
可愛い笑い声と笑顔を浮かべて見せると晶はいつも通り、「靖君好き。」と短いフレンチキスを繰り返し靖に身体を預けた。
晶は靖に対し「靖君は何して欲しい?」と献身的に靖の希望に応え、上になり下になりと体位を変えた。靖はホスピタリティーの高い晶の行為にいつも以上に興奮した。「晶さんはどうして欲しいですか?」と尋ね返すとしてもらったことを返すように愛情をこめて晶の希望に応えた。晶は何度も「靖君、好き。」、「靖君、愛してるよ。」と繰り返し、靖も「俺も大好きです。」、「晶さんの事をずっと愛してます。」と言葉の上でも交わり、互いに数度の絶頂を感じた。
午後11時、部屋に設置されたシャワーを浴びると、晶のベッドに戻り靖にとっては最後のピロートークに入った。いろいろと話していくと話は夏目漱石の「草枕」の話題となった。
「絶世の美女の那美って主人公の「余」と結ばれたんでしたっけ?どんなエンディングでしたっけ?」
と靖が尋ねると漱石ファンらしく解説も加えながら晶の意見も併せて話してくれた。
「いや、絵を描いてもらう約束をして仲良くなるけどそういう関係じゃなかったわね。那美は別れた夫、物語の中では満州に渡るためのお金を那美に借りに来た野武士って設定だったわね。最後に那美のいとこが出征する際の汽車に一緒に乗り合わせた野武士と那美は視線を合わせるだけで別れちゃうの…。言葉も本心も交わすことも無かった別れに「余」は「あわれ」を感じて那美の絵を仕上げるってオチだったはずよ。
明治時代半ばで野武士ってまだいたのかな?そもそもなんで那美はそんな野武士と結婚したのかなってところは諸説ありだけど、やっぱり私が那美だったら野武士の本心は聞きたかったかな。満州に渡り二度と会う事が無い設定で漱石は野武士の本音を聞けなかった那美の「あわれ」を書きたかったんだと思うわ。」
(なるほど、それが晶さんの本音だよな…。やっぱり、俺の本心は晶さんに伝えておくべきやろな…。でも、それは今じゃない。今、伝えたらそれこそ手術は受け入れてもらわれへん。晶さんが手術を受けた後、そっと伝えるべきやろな。)と靖が考えている間に晶は可愛い寝息を立て始めていた。靖はそっとベッドを抜け出すと晶の布団をかけなおし、晶の頬にキスをして自分の荷物を確認し始めた。バッグに入れた夢ノート、切手と赤い配達日指定のシールの貼られた角形0号の紙封筒と2枚の長3の封筒とUSBメモリースティックを確認すると便せんを取り出し靖のベッドのカーテンを引いた。読書灯の電源を入れると手紙を書き始めた。
一心不乱に手紙を書き続け、2通の手紙を書き上げ、3度の読み返しが終わった午前3時、靖はバイブにしていたスマホのアラームに気が付いた。夢ノートと2通の封書を角封筒に入れると封をして、病院一階の総合受付の横にある患者用の投函ポストに向かった。部屋に戻ると隣のベッドで晶はすやすやと靖らかな表情で眠っている。穏やかな晶の寝顔を見ていると涙が溢れてきた。晶のベッドサイドに置かれた椅子に座ると数分、心の中で語り掛けながら晶の顔を見つめ続けた。靖は右腕のそでで涙を拭き取り蚊の鳴くような声で囁いた。
「晶さん、この11か月ありがとうございました。灰色の俺の人生に明るい日差しを与えてくれてありがとうございました。「社畜」として働く以外何もなかった俺にときめきと安らぎを与えてくれてありがとうございました。おやじを亡くし、お母ちゃんが入院してから失っていた幸福感を感じさせてくれてありがとうございました。愛してます。本当に愛してます。
残り13日の俺の人生を晶さんの数十年に振り替えさせてください。小原靖、25年の人生、最後の11か月は幸せでした。最後にもう一度、言わせてください。晶さん、本当にありがとうございました。」
靖は眠っている晶にキスするとかすかに晶の唇が開いた。靖は舌を晶の唇の隙間に差し込んだ。舌先が晶の舌に触れ、小さく絡んだ。徐々に晶の唇は開き、初めての深い口づけは1分続いた。晶が自然に唇を閉じ靖と晶の初ディープキスは終わりを告げた。
「すみません。初めて約束破っちゃいましたね。晶さんと最後にディープキスできてよかったです。本当はずっと晶さんと熱いキスがしたかったんですよ。最後に夢が叶ってよかったです。では、お別れです。晶さんは幸せになってくださいね。では、さようなら…。」
と囁くと、靖は自分のベッドに戻りスマホで時間を確認した。午前3時17分を示していた。(看護師さんの朝の検診は午前7時。今から約3時間40分。あとは伊庭先生、お願いしますね…。晶さん、さようなら…。)と心の中で呟くとベッド横のミネラルウォーターのボトルのキャップを開け、枕の下に隠していたピルケースから36個の錠剤を取り出し一気に飲み込むと仰向けになった。約1年の晶との会話やデート、Rikka入店から結婚、そして今日までの全ての晶との記憶を思い出しながら二度と目を覚まさない深い眠りに落ちて行った。
ひな祭りの日、晶が起きてきた際に朝に夢で見たように靖が生体肝移植を最後にもう一度願い出るが首を横に振られる結果になった。事前に予知夢で見た通りの会話が繰り返される中、「どうしてもだめ?」と否定的な答えが出ることを承知の上で尋ねると「うん、そこは譲れないわ。ただでさえも靖君を「バツイチ」の傷物にしちゃうんだもん。更に体にまで傷なんてつけられないわ。」と体よく断られたとこまでは想定内だった。
靖は夢になかった続きを話し始めた。人間ドックの話を先に済ませ「仮定」の話を晶に投げかけた。
「晶さん、万にひとつの話と思って聞いて欲しいんだけど、もし俺が「脳死」状態になった時は、ドナーとして受け入れてくれますよね?昔読んだ小説の中で心臓外科医が子供の時に心臓を患ってて不慮の事故で脳死した父の心臓移植を受け、共に生きていくっていう話があったんですわ。仮に俺が脳死して俺の肝臓が他の人に渡って晶さんが死んでしまうんじゃ絶対に成仏できへんからその時は素直に受け取ってもらわれませんか?」
「うん、その本、私も読んだことがある。映画化もされたよね。あの映画は家に強盗が入ってきて娘を庇った医師だったお父さんが強盗に頭を鈍器で殴られてしまうのよね。意識を失う前に「お前が無傷で良かった。お前の事を一生見守っているよ。」って言葉を残し脳内出血で脳死になってその事前遺言で脳死判定を受けたお父さんから心臓移植を受けて本人は心臓外科医になるって話だったよね。
あくまで小説や映画の中だけの話だけど、もし靖君が会話もできない状況になるようなことがあったらその時は移植を受け入れさせてもらうわ。まあ、そんな状況は映画じゃないからありえないけどね。くすくす。じゃあ、3月13日、14日の宿泊人間ドックで靖君の完全健康体を証明して私を安心させてね。私も全身検査はしてないから、突然他の病気で死なないように肝臓以外に悪いところがないかきっちり診てもらうわね。」
晶も納得し、靖の計画は一気に二歩も、三歩も進んだ。
迎えた3月13日、靖と晶は門真総合病院での1泊2日の人間ドックコースを受診した。伊庭が担当してくれたこともあり診察はスムーズに進んだ。初日の診察はすべて順調に終了し、個室に並んだベットでの夕食後、看護師の最後の回診で体温と血圧、脈拍測定を済ますと一般病室と違って夜間の見守りはないと聞いていたのでひとつのベッドで体を重ねた。
「病院でしちゃうって背徳感があって少しドキドキしちゃうね。」
と少女のような顔で笑う晶に対し、最後のセックスになる事を覚悟している靖は晶をやさしく抱きしめ緊張で震える声で囁いた。
「晶さん、本当に好きです。大好きです。これからもずっと愛してます。本当にこの1年弱の間、幸せでした。俺、この先も晶さんが亡くなるまで何十年でも見守ってます。明日のホワイトデイの晶さんへのお返しは俺にできる最大限で用意してますのでどうか受け取って下さいね…。本当に今まで…、」
と言葉を途切らせてしまったが、真剣な顔をして見つめ続ける靖に
「くすくす。何十年ってなによ。そんなに面倒はかけないよ。短い結婚生活で靖君には申し訳ないけど私も幸せだったよ。ありがとうね。私がいなくなった後は靖君は自由に幸せな人生を送ってね。明日のホワイトデイの「最大限」のお返しは期待して待ってるわ。くすくす。」
可愛い笑い声と笑顔を浮かべて見せると晶はいつも通り、「靖君好き。」と短いフレンチキスを繰り返し靖に身体を預けた。
晶は靖に対し「靖君は何して欲しい?」と献身的に靖の希望に応え、上になり下になりと体位を変えた。靖はホスピタリティーの高い晶の行為にいつも以上に興奮した。「晶さんはどうして欲しいですか?」と尋ね返すとしてもらったことを返すように愛情をこめて晶の希望に応えた。晶は何度も「靖君、好き。」、「靖君、愛してるよ。」と繰り返し、靖も「俺も大好きです。」、「晶さんの事をずっと愛してます。」と言葉の上でも交わり、互いに数度の絶頂を感じた。
午後11時、部屋に設置されたシャワーを浴びると、晶のベッドに戻り靖にとっては最後のピロートークに入った。いろいろと話していくと話は夏目漱石の「草枕」の話題となった。
「絶世の美女の那美って主人公の「余」と結ばれたんでしたっけ?どんなエンディングでしたっけ?」
と靖が尋ねると漱石ファンらしく解説も加えながら晶の意見も併せて話してくれた。
「いや、絵を描いてもらう約束をして仲良くなるけどそういう関係じゃなかったわね。那美は別れた夫、物語の中では満州に渡るためのお金を那美に借りに来た野武士って設定だったわね。最後に那美のいとこが出征する際の汽車に一緒に乗り合わせた野武士と那美は視線を合わせるだけで別れちゃうの…。言葉も本心も交わすことも無かった別れに「余」は「あわれ」を感じて那美の絵を仕上げるってオチだったはずよ。
明治時代半ばで野武士ってまだいたのかな?そもそもなんで那美はそんな野武士と結婚したのかなってところは諸説ありだけど、やっぱり私が那美だったら野武士の本心は聞きたかったかな。満州に渡り二度と会う事が無い設定で漱石は野武士の本音を聞けなかった那美の「あわれ」を書きたかったんだと思うわ。」
(なるほど、それが晶さんの本音だよな…。やっぱり、俺の本心は晶さんに伝えておくべきやろな…。でも、それは今じゃない。今、伝えたらそれこそ手術は受け入れてもらわれへん。晶さんが手術を受けた後、そっと伝えるべきやろな。)と靖が考えている間に晶は可愛い寝息を立て始めていた。靖はそっとベッドを抜け出すと晶の布団をかけなおし、晶の頬にキスをして自分の荷物を確認し始めた。バッグに入れた夢ノート、切手と赤い配達日指定のシールの貼られた角形0号の紙封筒と2枚の長3の封筒とUSBメモリースティックを確認すると便せんを取り出し靖のベッドのカーテンを引いた。読書灯の電源を入れると手紙を書き始めた。
一心不乱に手紙を書き続け、2通の手紙を書き上げ、3度の読み返しが終わった午前3時、靖はバイブにしていたスマホのアラームに気が付いた。夢ノートと2通の封書を角封筒に入れると封をして、病院一階の総合受付の横にある患者用の投函ポストに向かった。部屋に戻ると隣のベッドで晶はすやすやと靖らかな表情で眠っている。穏やかな晶の寝顔を見ていると涙が溢れてきた。晶のベッドサイドに置かれた椅子に座ると数分、心の中で語り掛けながら晶の顔を見つめ続けた。靖は右腕のそでで涙を拭き取り蚊の鳴くような声で囁いた。
「晶さん、この11か月ありがとうございました。灰色の俺の人生に明るい日差しを与えてくれてありがとうございました。「社畜」として働く以外何もなかった俺にときめきと安らぎを与えてくれてありがとうございました。おやじを亡くし、お母ちゃんが入院してから失っていた幸福感を感じさせてくれてありがとうございました。愛してます。本当に愛してます。
残り13日の俺の人生を晶さんの数十年に振り替えさせてください。小原靖、25年の人生、最後の11か月は幸せでした。最後にもう一度、言わせてください。晶さん、本当にありがとうございました。」
靖は眠っている晶にキスするとかすかに晶の唇が開いた。靖は舌を晶の唇の隙間に差し込んだ。舌先が晶の舌に触れ、小さく絡んだ。徐々に晶の唇は開き、初めての深い口づけは1分続いた。晶が自然に唇を閉じ靖と晶の初ディープキスは終わりを告げた。
「すみません。初めて約束破っちゃいましたね。晶さんと最後にディープキスできてよかったです。本当はずっと晶さんと熱いキスがしたかったんですよ。最後に夢が叶ってよかったです。では、お別れです。晶さんは幸せになってくださいね。では、さようなら…。」
と囁くと、靖は自分のベッドに戻りスマホで時間を確認した。午前3時17分を示していた。(看護師さんの朝の検診は午前7時。今から約3時間40分。あとは伊庭先生、お願いしますね…。晶さん、さようなら…。)と心の中で呟くとベッド横のミネラルウォーターのボトルのキャップを開け、枕の下に隠していたピルケースから36個の錠剤を取り出し一気に飲み込むと仰向けになった。約1年の晶との会話やデート、Rikka入店から結婚、そして今日までの全ての晶との記憶を思い出しながら二度と目を覚まさない深い眠りに落ちて行った。
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