『貧困女子を食い物にする裏風俗ビジネスの闇を暴け!~元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌VOL.5』

M‐赤井翼

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「再度の襲撃」

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「再度の襲撃」

 会議室に入って来た坂井と載田は稀世の顔を見てほっとした表情を見せた。載田が見せてくれた2発のロケット弾による砲撃を受けた稀世の部屋の写真は、ニュースで見るウクライナやガザ地区等の紛争地のマンションそのもので瓦礫の中に、爆風で飛び散った家財や衣服は埃をかぶり灰色の世界だった。
「あっ、私のデビューリングコスチュームが…。」載田の見せてくれた現場写真の端に、ニコニコプロレスでデビューした時の赤色基調のワンピーススタイルの思い出のリンコスがただのぼろ布になっているのを目にすると涙が溢れた。
 坂井は稀世の方にやさしく手を添えて、「思い出の品が無くなることは悲しい事ですが、命あっての物種ですよ。もし、在室してたらまず助かっていません。運が良かったと思ってください。」と慰めてくれた。

 続いて、坂井から太田と稀世に提案がなされた。提案内容は、今しばらくの間、身を隠すことだった。過去の香港マフィアの攻撃の手法から考えると次に標的になり得るのは「メディアクリエイトここ」との事だった。太田は坂井の言葉に納得を示し、全スタッフに「今日以降、しばらくの間は出社は禁止とし、関連会社のオフィスに出勤するように。役付きスタッフは今日午前7時に集合の事。」とグループラインにメッセージを送った。
「まあ、それが賢明やな。府警の方でも、今回の市中での軍事武器使用を重く見て警視庁と連携を取る方針や。もちろん場合によっては他国の国際警察や「ICPOインターポールとも共同作戦があるかもしれへん。
 まあ、国際連携はお役所仕事の本庁より、もしかしたら太田のチャンネルの方が早いかもしれへんけどな。じゃあ、俺らは署に帰るわな。安さんはマンションには戻らんようにしてくださいね。奴らが安さんが生きてることを知ったら再び襲撃されることもありますから。」
と言い残し、坂井と載田は午前4時にメディアクリエイトを後にした。

 太田は稀世と共に、社内サーバーのデータを複数のクラウドに送りバックアップを取る作業を済ませると、当座の取材道具を取材車のバンに積み込んだ。直は「わしはいったん帰るわな。居場所が決まったら教えてくれな。稀世ちゃんはなんやったらわしの所に来てくれたらええから、そこは遠慮せんといてくれな。とりあえず玖美ちゃんは今日はわしの所に連れて帰るわ。」と言ってくれたので、稀世は「ありがとうございます。ご迷惑おかけしてすみません。」と頭を下げ、タクシーを手配した。
 
 太田の手早い行動はすぐに成果が出た。朝7時に集まった幹部スタッフが機材を積み込んだバンで関連会社に退避し、可能な限りの資材、物資を持ち出した。太田と稀世もスタッフと一緒に東大阪にある関連会社の倉庫に移動し、朝のワイドショー番組が報じるのどかな門真の住宅街での凄惨な砲撃事件報道を見ながら徹夜明けの朝食を取っていた。
 民放放送局の一部が大阪府警からの報道に関する依頼を守らず、ドローンを飛ばし稀世のマンション内の状況を放送し「この部屋の住人の元女子プロレスラーの安稀世さんは不在だったようです。」と報道を繰り返した。
 犯人は「無差別テロリスト」と扱う報道か「元人気レスラー」に対する猟奇的なストーカーの行為とするものが多く、香港マフィアを思わせる報道は皆無だった。
「あぁ、私もこれで追われる身か…。暫く、サブちゃんのお寿司も食べられへんねんな…。」
と三朗が差し入れに持たせてくれたいなりずしを口にしながら呟いた。

 「ふぁさっ」と稀世の頭に何かが載せられた。隣に立った太田が稀世の頭に「茶髪ロング」のウィッグを被せたのだった。
「おっ、いつもの黒髪ショート程じゃないけど、茶髪で長髪の稀世ちゃんも可愛いやないか?稀世ちゃんのそのでかい胸は隠されへんから、当面取材外出は禁止やけど、ホテルとここの行き来や、やむを得ず外出する際にはこれを被って変装するんやで。ケラケラケラ。」
と緊張が解けない稀世に冗談を交えながらやさしく声をかけてくれた。
 稀世は「もう、こんな時までセクハラ発言ですか?もう、堪忍してくださいよ…。」と返すのが精いっぱいだった。

 次の事件は昼のワイドショーの最中さなかに起こった。メディアクリエイトメンバーが仮の居場所とする資材倉庫の中で今後の活動について話し合いを行っている間、つけっぱなしになっていた民放の番組でメディアクリエイトの社屋が映し出されていた。メディアプロダクトの正門前で女子レポーターが稀世の事を述べていた。
「昨晩、部屋をロケット弾で襲われました安稀世さんですが「ニコニコプロレス」を引退後、現在はここ「メディアクリエイト」社でルポライターとして働いています。過去には地元半グレの「強盗致傷事件」の背景を解明し、「政治家裏金事件」の闇を暴き、自らが大会に参加した女子プロレス大会における海外マフィアによる「違法賭博」の闇を世間に公開するスクープを連発してきました。今回もなにかしらの取材が元で狙われているのではないかとの噂も出ています。」
 手に持ったレポートを読み上げていると、突然複数のモーター音と風切り音をマイクが拾った。

 カメラが女子レポーターから上空に向くと、4機の大型ドローンが高速で近づいてきている情景が映し出された。「民放の取材ドローンか!それにしては編隊の組み方がおかしいぞ!」、「あのドローンにぶら下げられてるタンクはなんや?」スタッフが叫び声をあげると、テレビモニターの中で最初の1機が社屋の2階の窓に突っ込み、ガラスをぶち破った。続けて大きなタンクを付けた2機のドローンがその割れた窓から中に侵入した。
 そして4機目のドローンが窓から侵入すると爆発音が響き、その3秒後、割れた窓から黒煙と一緒に紅蓮の炎が噴き出した。炎は換気口から噴き出すと再度大きな爆発音が響き多くの窓ガラスが割れ、炎が立ち上った。
「くそっ、2、3機目のドローンのタンクはガソリンや!最後の自爆ドローンで火をつけやがったんや!あいつらそこまでやるんか?これはもう単なる報復やない。戦争や!」
 太田はパイプ椅子から立ち上がり叫んだ。稀世は画面の向こうで炎を巻き上げる馴染みの建物の風景は現実とは思えなかった。

 その直後、「非通知」扱いで稀世のスマホが鳴った。稀世は画面を太田に見せスマホを渡した。太田は皆に声を出すなと言い、スピーカーホンに設定し直し受信ボタンをタップし何も話さないでいた。「…よお、安さんの電話っちゃね…。あんた、舐め腐って、踏んだらあかん尻尾を踏んだっちゃよ。とことん追い込んじゃるから覚悟しておくばい…。」とだけ言って電話は切れた。
 機材倉庫内が沈黙に包まれる中、中継中のテレビの女子レポーターが金切り声を上げた。
「きゃーっ、またドローンです!3機のドローンがさらに突っ込んできます。機体下部に何かがぶら下がってます。いったん退避します!」
 カメラが追いかけたドローン映像には茶色い筒が数本ガムテープで留められてるように見えた。「ダイナマイトや!」メディアクリエイトのスタッフの一人が叫んだ瞬間、炎が噴き出る窓から3機のドローンが連続して侵入していった。5秒後、「ドガーン!」という爆発音と共にメディアクリエイトの社屋は壁が外に飛び散り、映像を送っていたカメラは破片の直撃を受けたようで画面にひびが入り、横向きに地面に倒れ画面はスタジオに切り替わった。


「おまけ」
今日も「ボツイラスト供養」です。

「生チャット」イメージで作った稀世ちゃんと「ぬいぐるみ」なんですけど、ほとんど「ボツ」!
いったい何の「ぬいぐるみ」なのかわかんないんですけど、見てやってください(笑)!







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