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プロローグ「邪馬台国の2代目女王の「台与《とよ》降臨編」

①「向日葵寿司の午後」

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プロローグ「邪馬台国の2代目女王、巫女の「台与とよ」降臨編」

①「向日葵寿司の午後」
 令和5年9月23日午前11時、大阪の門真市にある門真市駅東通り商店街(通称「ニコニコ商店街」)で「リサイクルショップニコニコ」の経営をを共同で始めて、来月で丸4年を迎える二人そろって24歳の「坂川夏子さかがわ・なつこ」と「仲田陽菜なかた・ひな」は、商店街の端にある向日葵寿司にいつものランチセットを食べに来ていた。
「三朗兄さん、いつものランチでお願いしまーす!」
と夏子と陽菜が注文すると、寿司下駄の端にいつもは無いものが載っていた。
「三朗兄さん、なんで今日はおはぎがついてるの?」
と陽菜が尋ねると向日葵寿司三代目の「長井三朗ながい・さぶろう」が
「今日はお彼岸やからね。秋分の日はご先祖様を敬って「彼岸」っていって三途の川の向こう側の極楽浄土にいてるご先祖様におはぎをお供えするんやで。諸説あるけど、春分の日は同じものでも「ぼたもち」って言うらしいねんけどな。ちなみに三途の川のこっち側のこの世は「此岸しがん」っていうねん。」
と簡単に「おはぎ」がついている理由を説明してくれた。 

 「ガラガラガラ」引き戸が開かれ、ニコニコ商店街の女会長で74歳にして元気溌剌の「菅野直かんの・なお」が入ってきた。
「よぉ、あほの夏子と陽菜のくせして、彼岸に興味を持つとは感心なこっっちゃ。まあ、諸説ありありやけど1948年までやってた「秋季皇霊祭」っていう、歴代の天皇や皇族の霊を祭る宮中祭祀が祭日になって、庶民もご先祖を祀るようになったちゅう話やけどな。お前らも、きちんとご先祖をお参りしとけよ。」
と言いながら、夏子と陽菜の隣のカウンター席に座った。
「あー、直さんいらっしゃい。まだ暑いよねー。いつも通りまずはビールでええのかな?」
 カウンターの奥から三朗の妻で「不死身の嫁」と呼ばれる大阪ニコニコプロレスのエース女子レスラーで夏子と陽菜の先輩にあたる「長井稀世ながい・きよ」が瓶ビールとグラスを持って顔を出した。

 「なっちゃん、陽菜ちゃんもいらっしゃい。今日のおはぎは私が作ってんで。小豆には「邪気を祓う効果」があるんやて。まあ、今日の朝のテレビで言ってたのを聞いた付け焼刃の知識やけどな。カラカラカラ。」
稀世が笑いながら行くと
「稀世姉さんと直さんには「邪気」も寄ってけえへんから必要ありませんやん。なんせ「無敵」の強さやもんな。鬼も裸足で逃げていくってなもんやん。」
夏子が稀世と直をからかいおはぎをつまむと陽菜は隣の席で「彼岸」をググった。

「あー、直さんが言ってたことが書いてあるわ。へー、紀元節っていう天皇陛下の歴史では2683年!126代124人の歴代天皇がいるって書いてあるから、ご先祖供養も大変やな。まあ、上皇様はまだお元気やから、122人分お参りせなあかんねんな。そりゃ、陛下も大変や!」
陽菜が素っ頓狂な声を上げると、三朗が付け加えた。
「せやね。世界で一番長いこと繋がってる「家系」やからそれくらいの人数にはなるんやろな。なんせ紀元前660年からやからね。世界の王室では第2位がデンマークで西暦900年からの54代、第3位はこの間、代替わりしたイギリスで西暦1066年からの41代やから日本の天皇家の歴史は凄いわな。」

「まあ、「日本書記」、「古事記」を信じてる人から「お叱り」を受けることを承知で言うと、日本の天皇陛下の家系も諸説ありやねんけど、初代神武天皇以降を実在する説から、第26代の継体天皇以降を実在するという説までいろいろあるからな。
継体天皇を最初として考えても、6世紀初頭には天皇家…、当時は「天皇」という言葉は無くて、「大王おおきみ」って呼ばれてたんやけど、「万世一系」で世界最長って言うのには間違いは無いよな。」
直がビールを飲みながら、呟くと陽菜が再びググった。

「へー、継体天皇って地元やん。枚方市の樟葉で即位して、「樟葉宮くずはのみや(※「くすはのみや」と読む説もあり)」、その後も京田辺市の「筒城宮つつきのみや」、長岡京市の「弟国宮おとくにのみや」に居ったんやて。なんか親近感湧くよなぁ。「平城京」とか「平安京」っていうのは中学校の日本史で学んだ気がするけど、大阪にも「みやこ」があったことがあったんや。それも、「ひらパー」の枚方で、京阪電車の「くずは」やろ。めっちゃ馴染むよな。」
と陽菜がウィキペディアを読み上げ、ページを閉じると稀世が陽菜のスマホの待ち受け画面を覗き込んで尋ねた。

「陽菜ちゃん、何その待ち受け?「土偶」っていうんやったっけ?」
「いやー、稀世姉さん、それちゃいますよ。「土偶」は縄文時代で、これは古墳時代のもので「埴輪」です。この間、高槻市の「今城塚古墳」の資料館で撮った「巫女」の「埴輪」の写真なんですよ。可愛いでしょ?」
陽菜はみんなに待ち受け画像を見せて自慢した。


おまけ
今日は「巫女の陽菜ちゃん」!


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