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私を助けて
第八話 少女と勘違い
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太一をエアに紹介するため先にリビングに向かった深夜。太一にはクッキーを渡したので、靴ひもを解くのに手間取っている。
深夜は、リビングの手前で中から敵意のような、妙な気配を感じたが気にせずにそのまま入る。リビングに入った途端、エアにベレッタを突きつけられた。
「こ、この裏切り者っ! 私を助けるフリをして味方を呼ぶなんて卑怯じゃない! いいヒトだと思ったのに!」
エアが興奮した様子で、今にもベレッタをぶっ放しそうな勢いで言われ、流石の深夜も少々仰け反った。
「何を勘違いしてるが知らんがコイツは……」
俺の味方だぞと言おうとしたところでグロックを構えた太一が踊りこんできた。
「オイ、深夜ァ!! こいつを助けたんじゃないのか!?」
躍り込んできた一瞬の間に、片膝を立てて腕をしっかりと固定し、エアから視線を外さない。正確にエアの眉間を狙いつつ太一が叫んだ。
「太一ぃ!? ややこしいことしてくれるな、お前! 二人とも銃を下ろせ、誤解だよっ!」
胡散臭そうな目つきをした友人と、憤怒に駆られた美少女に睨まれたが必死に説得を試みた。
エアのほうは視線が動く度に銃口がブレブレになるが、さすがと言うか、深夜が鍛えた太一は全くブレずにエアを狙ったままだ。こういう状況でも動じないのは、兵士として才能があるなと、深夜は弟子の成長に場違いにも感心する。
「なんだ、その目は……。じゃなくて! 味方同士だぞっ、俺たちは! エア、コイツは太一って言って俺の親友兼弟子だ。強いから助っ人として俺が呼んだんだ。学校でも会っただろ、短い間だったが」
エアの瞳をしっかりと見据えながら、辛抱強く待つ。人を信じさせるにはこちらが誠意を見せるしかない。すると、30秒ほどしてから、ようやくエアが銃を下ろした。
「……ごめんなさい。私ったら早とちりしちゃって」
「いや、言わなかった俺も悪いしな。お互い様だ」
そう言って、エアの手から優しくベレッタを受け取る。 そして、手を包んだまま囁いた。
「俺は一度決めたことはどんなことでも必ずやりぬく。お前を助けた時点でこれからの方針は決まっている。とりあえずエアを守り抜こう」
顔を朱に染めたエアを見て、深夜は一つの真理に辿り着く。可愛い子は何をしても可愛いモンだと素直に思った。
「オイ、すっかり俺の存在を忘れてるようだが、そういうことは二人きりでやったらどうだ? それに、いつの間にそんな仲良くなったんだよ。まだ知り合ってから半日だろ?」
いつの間にか構えを解いた太一が、ニヤニヤと笑いながら言う。銃もセーフティをかけて、わざと見えるようにベルトに差すあたり、敵意はないとエアに見せているのだろう。ただ、残念かな。銃を使っていたが、エアにはそこまでの知識はないので、その行為が何を示すかわからないだろう。
「あ、そうか。俺が退散すればいいんだな、そういえば。頑張れよ、深夜」
エアが顔を赤くして戸惑っているのを、味方だと思ってくれたと勘違いしたのか、さらに追撃をくれた太一。
「な、何を言ってるんだ、お前はっ! 違うからなっ!」
俺はそう言って、エアの手を離した。
「あぁっ……」
なにやら、エアの残念そうな声が聞こえたがキッパリと無視する。これ以上は流石にヤバイ。何がとは言わないが。
「ま、それはそうとして作戦会議でも始めますか。俺にも銃をくれよ、深夜。さすがに武器がないと渡り合えそうにないからなぁ。あ、その前に情報の共有だな」
高校生が言うようなセリフじゃなく、物騒な言葉が飛び交っているが、それを指摘するヒトは少なくともここにはいない。常識なんて言葉を知らないのである。
深夜は、リビングの手前で中から敵意のような、妙な気配を感じたが気にせずにそのまま入る。リビングに入った途端、エアにベレッタを突きつけられた。
「こ、この裏切り者っ! 私を助けるフリをして味方を呼ぶなんて卑怯じゃない! いいヒトだと思ったのに!」
エアが興奮した様子で、今にもベレッタをぶっ放しそうな勢いで言われ、流石の深夜も少々仰け反った。
「何を勘違いしてるが知らんがコイツは……」
俺の味方だぞと言おうとしたところでグロックを構えた太一が踊りこんできた。
「オイ、深夜ァ!! こいつを助けたんじゃないのか!?」
躍り込んできた一瞬の間に、片膝を立てて腕をしっかりと固定し、エアから視線を外さない。正確にエアの眉間を狙いつつ太一が叫んだ。
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エアのほうは視線が動く度に銃口がブレブレになるが、さすがと言うか、深夜が鍛えた太一は全くブレずにエアを狙ったままだ。こういう状況でも動じないのは、兵士として才能があるなと、深夜は弟子の成長に場違いにも感心する。
「なんだ、その目は……。じゃなくて! 味方同士だぞっ、俺たちは! エア、コイツは太一って言って俺の親友兼弟子だ。強いから助っ人として俺が呼んだんだ。学校でも会っただろ、短い間だったが」
エアの瞳をしっかりと見据えながら、辛抱強く待つ。人を信じさせるにはこちらが誠意を見せるしかない。すると、30秒ほどしてから、ようやくエアが銃を下ろした。
「……ごめんなさい。私ったら早とちりしちゃって」
「いや、言わなかった俺も悪いしな。お互い様だ」
そう言って、エアの手から優しくベレッタを受け取る。 そして、手を包んだまま囁いた。
「俺は一度決めたことはどんなことでも必ずやりぬく。お前を助けた時点でこれからの方針は決まっている。とりあえずエアを守り抜こう」
顔を朱に染めたエアを見て、深夜は一つの真理に辿り着く。可愛い子は何をしても可愛いモンだと素直に思った。
「オイ、すっかり俺の存在を忘れてるようだが、そういうことは二人きりでやったらどうだ? それに、いつの間にそんな仲良くなったんだよ。まだ知り合ってから半日だろ?」
いつの間にか構えを解いた太一が、ニヤニヤと笑いながら言う。銃もセーフティをかけて、わざと見えるようにベルトに差すあたり、敵意はないとエアに見せているのだろう。ただ、残念かな。銃を使っていたが、エアにはそこまでの知識はないので、その行為が何を示すかわからないだろう。
「あ、そうか。俺が退散すればいいんだな、そういえば。頑張れよ、深夜」
エアが顔を赤くして戸惑っているのを、味方だと思ってくれたと勘違いしたのか、さらに追撃をくれた太一。
「な、何を言ってるんだ、お前はっ! 違うからなっ!」
俺はそう言って、エアの手を離した。
「あぁっ……」
なにやら、エアの残念そうな声が聞こえたがキッパリと無視する。これ以上は流石にヤバイ。何がとは言わないが。
「ま、それはそうとして作戦会議でも始めますか。俺にも銃をくれよ、深夜。さすがに武器がないと渡り合えそうにないからなぁ。あ、その前に情報の共有だな」
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