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第二百九話:暫しの別れ
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バーン帝国王城の謁見の間で、国王様、即ちムー王女の父親と向き合っていた。
早朝からムー王女に叩き起こされ、そのまま一緒に王城へと足を運んでいた。
今日は本当ならば国定王立勲章授与式に招待されるはずだった。
しかし、今はそんな事をしている暇はない。
7大魔王の件を説明する為に訪れていた。
「ではユウよ。件の魔王とやらが、この世界を征服せんと今まさに動き出そうとしていると言う事なんじゃな?」
「はい、そうです。事は急を要します。7大魔王の力は強大です。この世界に暮らしている全ての種族が協力し合わないと恐らくは倒せないと思っています」
謁見の間がざわつく。
ここには、国王やムー王女を除くと、5人の人物の姿があった。
皆が、国政を任されている、このバーン帝国の重鎮達だ。
勿論、厄介ごと担当のグワン氏もその中の一人だ。
彼には、以前奴隷法改正に尽力してくれた。
厄介ごと程やる気を増すらしいけど、その性格上、ハゲてしまわないか心配だったりする。
今も髪の毛を掻きむしっているし、以前と比べて明らかに生え際が後退している。
心の中でグワン氏がハゲませんようにと祈っておく。
俺の発言に対して皆が一様に黙り込んでしまった。
暫くした後、ムー王女が席から立ち上がった。
「不死の王を倒した其方がそこまで言うのじゃ。事はそれ程までに深刻なのじゃろう。父様」
ムー王女が静かに頷く。
「うむ。バアル警備隊長。すぐにでも国境を封鎖し、それらしい人物または、かのものに組みしている輩がいれば捉えるように警備隊に連絡をするんじゃ」
「はっ! 了解しました!」
国王に指示された警備隊長は、慌ただしく謁見の間を出て行った。
そういえば、国王は娘のムー王女の事ならなんでも聞く親バカだったんだっけな。
「ユウ殿。7大魔王とやらは、何か見分ける術はあるのですか?」
グワン氏が、厄介極まりないといった表情で問うてくる。
俺は準備していた紙を取り出す。
実は、手配書めいた物を事前に作成していたんだよね。
顔は、バッチリ頭の中にあるので、後はそれを書き出すだけ。
似顔絵には勿論自信はない。
だけど、以前購入していた魔導書「自動書記」を覚えていたので、今回はそれが役立った。
「こ、これは⋯」
手配書を手にしたグワン氏の元に皆が集まる。
「ユウ殿は中々に画力がおありのようですな」
画力と言うか、頭に思い描いた事を自動的に書き出してくれるだけなんだけどね。
「ここには6人の姿しかないようですが?」
「はい。既に7大魔王の内の一人は、魔族の方々と協力し、討伐に成功しています」
「おぉ⋯なれば、残りは6人ですな」
「討伐出来たのも正直運が良かったと思ってます。一対一ならば、勝ち目は無かったですね」
「まぁ、油断は禁物という事じゃな。衛兵!」
「はっ!」
部屋の外に待機していた衛兵が謁見の間へと入ってくる。
「この手配書なるものを大量生産するのじゃ。そして、王国、はたまた同盟国の隅々まで配布するのじゃ!」
「了解であります!」
国王の剣幕に衛兵達が慌てて手配書を手にして部屋を去っていく。
「では、儂は各国に対して手配書に同封する|文(ふみ)を書いてくる故、この場はグワンに委ねるぞ」
「畏まりました」
グワン氏が深々とお辞儀をする。
その後、この後の動向について、簡単に打ち合わせを行った。
「それでユウ殿、単刀直入にお聞きしたい」
怪訝な眼差しでグワン氏に睨まれている。
「ユウ殿は、最初に、この世界に住む全ての種族が協力せねば、敵を打ち倒す事が出来ないと言われていたが」
「はい、そう思っています。7大魔王は、既にこの世界の各地へと散らばっています。世界規模の戦闘に一国でどうにかなるとは思えません」
グワン氏は、頭を抱えてブツブツと何やら呟いていた。
「苦労を掛けるが、皆の者に最大限の努力と協力を期待する。これは、この世界を救う為の戦いなのじゃ」
最後にムー王女が締めて、打ち合わせが終了した。
謁見の間を出ると、すぐにムー王女に引き止められる。
「それでユウはこれからどうするんじゃ?」
「転移で片っ端から各国に事態の説明と協力を仰ぎに行くつもりだよ」
「ふむ、では暫しの別れじゃな」
そう語るムー王女は、何処か儚げで、遠くを薄ぼんやりと眺めているような表情をしていた。
王城を後にした俺は、そのまま皆の待つ宿屋へと戻って来た。
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
「おう、ただいま」
仲間達が出迎えてくれる。
既に、仲間達には7大魔王やこの世界が危機に陥りそうな事はあらかた説明済みだった。
自慢じゃないけど、みんなの強さは、同じ冒険者の中でもトップクラスの実力を兼ね備えている。
奴等との全面対決となった場合には、頼もしい戦力になる事間違いなしだ。
「みんな、早速だけど、今後の俺たちの動向について会議をするから集まってくれるか。勿論、食事を取りながらな」
「うん!」
本当は会議だけのつもりだったけど、絶賛お昼時だったのもあり、ユイのお腹から可愛らしい音が鳴っていたのを聞き耳スキルがちゃんと仕事をしていた。
即席の肉ガッツリシチューを大きな寸胴鍋のままテーブルへと運んだ。
うちの子たちは食欲旺盛だからね、軽く20人前はありそうな量でもペロリと耐えらげてしまう。
ほんと、お金が無かったら食費で破産していたかもしれない。
「お兄ちゃん、どしたの? 食べないの?」
「ああ、食べるよって、もう半分しかないじゃないか!」
「だって、お兄ちゃんの作ったシチュー美味しいんだもん!」
「アニもミラも早く食べないと、みんなユイとルーに食べられちゃうぞ!」
「あ、ちょっとぉ、人を大食いみたいに言わないで欲しいなぁ! 大食いはユイちゃんだけだよ」
「ついでだよ。ついで」
ルーがプンスカの表情をしていた。
その様を見てエレナがクスクスと笑っている。
さて、そろそろいいかな。
「みんな、聞いてくれ。実はね、これからみんなとは別行動を取ろうと思ってるんだ」
「え、お兄ちゃんそれどういう事?」
「あ、分かったぁ! 私達に内緒で可愛い子と楽しくするんでしょ! ぷぎゃぁぁ!」
久しぶりの脳天チョップをルーにプレゼントする。
「強い敵と戦うから私達が足手まとい?」
「いや、むしろ逆だよ。みんなは、俺が自慢したい程に強いよ。そこいらの冒険者なんかよりもずっとね」
「だったら、お兄ちゃんと一緒に戦いたいよ!」
「私たちに危険が及ばないようにと言う事ですか?」
「ユイもアニも勘違いしてるぞ?確かに仲間たちを危険な目に遭わせたくはないけど、それでもこの世界の為に一緒に戦って欲しいと思ってる。だけど、まだ戦う時期じゃないんだ。まずは、敵の存在をみんなに知らせる所から。一緒に団結して戦ってくれるようにお願いしにいく段階なんだ。だから、俺が各地を転々と飛び回っている間、みんなにはミラを故郷へと送り届ける旅を続けて欲しいんだ」
「旦那様、手掛かりはあるのですか?」
「ああ。信頼の置ける人からの情報でね。実は、大まかな場所までは分かってるんだ。その場所へは行った事がないから転移が使えないんだよね」
皆が黙り込んでしまう。
俺と行きたい気持ちはあっても、ミラがこの場にいる手前あからさまにミラを送り届ける事を否定は出来ないからだろう。
まぁ、それが狙いだったりする。
自分でも卑怯だとは思うけど、ごめんな。
「それでエレナには、里やエルフの仲間達にこの危機を知らせて欲しいんだ」
「嫌です!」
あまりにも即答で否定されたので、一瞬たじろぐ。
「私はユウ様を一人で行かせるのは反対です。だって、きっと、無理ばかりすると思うから⋯」
「うんうん、ユウさんはいつも無理ばかりしてるね!」
「お兄ちゃん優しいから、その人の為にいっつも無理ばかりしてる気がする」
「おい、ルーにユイ。こんな時に煽らないでくれ」
何だか仲間達の視線が痛い。
え、何これ?
四面楚歌なんですけど。
エレナが、俺の前に立つ。
「ユウ様、約束して下さい。絶対に一人で危険な事はしないと」
「それだけじゃないよ、ちゃんと私達も頼ってね!」
う⋯。
適当にごまかせる感じじゃないな。
「分かったよ。一人で無茶はしない。約束するよ」
エレナが、ニコッと微笑み、俺の手握る。
「約束ですからね。ユウ様にもしもの事があったらと思うと、私⋯」
エレナをソッと手繰り寄せ、優しくハグをする。
ああ、うん、心配かけてごめんな⋯。
そういう事態が起きない事を切に願うよ。
その後、旅支度を念入りに整えた後、みんなで一緒にマルガナ国まで転移した。
ここは以前、不死の王と対峙した時の前線基地から一番近い国だ。
「ミラの故郷は、ここから真っ直ぐ馬車で1週間程進んだ先あたりにあるはずなんだ」
すぐに、ストレージから、馬車とグリムの入った小瓶を取り出す。
「いいかグリム。俺は用があって居ないけど、ちゃんとユイやみんなの言う事を聞くんだぞ?」
あたぼうよ。任せときな!
と、きっと心の中でグリムは思っているはずだ。
嫌な顔はしていないので、主人の俺がいなくても大丈夫だろう。
「道中の食糧とかは、全部この中に入れてるからな。それと、お金も渡しておく」
ユイに、ある程度の収容量のあるマジックバックを渡す。
「毎日連絡するね?」
「ああ、何か困った事があれば、すぐに連絡してくれ。あと、エレナ以外の全員にこれを渡しておくよ」
各国の魔導具屋を飛び回ってやっと人数分を集めたんだよね。
「旦那様、これは何ですか?」
「ブリックリングって言ってね、一度だけ致死的な攻撃を身代わりに受けてくれるんだ。エレナが付けてるのと同じ物だよ。肌身離さず持っててくれ」
「なーんだぁ、婚約指輪かと思いましたよ」
「なわけあるか!」
気のせいか、エレナの頬が朱色に染まっている気がするけど、気のせいだろう。
「じゃあ、くれぐれも気を付けてな」
「了解!」
「うん、分かった!」
「くれぐれも無理しないで下さい」
ユイ達と別れた後、エレナを連れて、エルフの里を訪れていた。
「見つけたぞ姫様!」
「早く捕らえろ!」
早朝からムー王女に叩き起こされ、そのまま一緒に王城へと足を運んでいた。
今日は本当ならば国定王立勲章授与式に招待されるはずだった。
しかし、今はそんな事をしている暇はない。
7大魔王の件を説明する為に訪れていた。
「ではユウよ。件の魔王とやらが、この世界を征服せんと今まさに動き出そうとしていると言う事なんじゃな?」
「はい、そうです。事は急を要します。7大魔王の力は強大です。この世界に暮らしている全ての種族が協力し合わないと恐らくは倒せないと思っています」
謁見の間がざわつく。
ここには、国王やムー王女を除くと、5人の人物の姿があった。
皆が、国政を任されている、このバーン帝国の重鎮達だ。
勿論、厄介ごと担当のグワン氏もその中の一人だ。
彼には、以前奴隷法改正に尽力してくれた。
厄介ごと程やる気を増すらしいけど、その性格上、ハゲてしまわないか心配だったりする。
今も髪の毛を掻きむしっているし、以前と比べて明らかに生え際が後退している。
心の中でグワン氏がハゲませんようにと祈っておく。
俺の発言に対して皆が一様に黙り込んでしまった。
暫くした後、ムー王女が席から立ち上がった。
「不死の王を倒した其方がそこまで言うのじゃ。事はそれ程までに深刻なのじゃろう。父様」
ムー王女が静かに頷く。
「うむ。バアル警備隊長。すぐにでも国境を封鎖し、それらしい人物または、かのものに組みしている輩がいれば捉えるように警備隊に連絡をするんじゃ」
「はっ! 了解しました!」
国王に指示された警備隊長は、慌ただしく謁見の間を出て行った。
そういえば、国王は娘のムー王女の事ならなんでも聞く親バカだったんだっけな。
「ユウ殿。7大魔王とやらは、何か見分ける術はあるのですか?」
グワン氏が、厄介極まりないといった表情で問うてくる。
俺は準備していた紙を取り出す。
実は、手配書めいた物を事前に作成していたんだよね。
顔は、バッチリ頭の中にあるので、後はそれを書き出すだけ。
似顔絵には勿論自信はない。
だけど、以前購入していた魔導書「自動書記」を覚えていたので、今回はそれが役立った。
「こ、これは⋯」
手配書を手にしたグワン氏の元に皆が集まる。
「ユウ殿は中々に画力がおありのようですな」
画力と言うか、頭に思い描いた事を自動的に書き出してくれるだけなんだけどね。
「ここには6人の姿しかないようですが?」
「はい。既に7大魔王の内の一人は、魔族の方々と協力し、討伐に成功しています」
「おぉ⋯なれば、残りは6人ですな」
「討伐出来たのも正直運が良かったと思ってます。一対一ならば、勝ち目は無かったですね」
「まぁ、油断は禁物という事じゃな。衛兵!」
「はっ!」
部屋の外に待機していた衛兵が謁見の間へと入ってくる。
「この手配書なるものを大量生産するのじゃ。そして、王国、はたまた同盟国の隅々まで配布するのじゃ!」
「了解であります!」
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「では、儂は各国に対して手配書に同封する|文(ふみ)を書いてくる故、この場はグワンに委ねるぞ」
「畏まりました」
グワン氏が深々とお辞儀をする。
その後、この後の動向について、簡単に打ち合わせを行った。
「それでユウ殿、単刀直入にお聞きしたい」
怪訝な眼差しでグワン氏に睨まれている。
「ユウ殿は、最初に、この世界に住む全ての種族が協力せねば、敵を打ち倒す事が出来ないと言われていたが」
「はい、そう思っています。7大魔王は、既にこの世界の各地へと散らばっています。世界規模の戦闘に一国でどうにかなるとは思えません」
グワン氏は、頭を抱えてブツブツと何やら呟いていた。
「苦労を掛けるが、皆の者に最大限の努力と協力を期待する。これは、この世界を救う為の戦いなのじゃ」
最後にムー王女が締めて、打ち合わせが終了した。
謁見の間を出ると、すぐにムー王女に引き止められる。
「それでユウはこれからどうするんじゃ?」
「転移で片っ端から各国に事態の説明と協力を仰ぎに行くつもりだよ」
「ふむ、では暫しの別れじゃな」
そう語るムー王女は、何処か儚げで、遠くを薄ぼんやりと眺めているような表情をしていた。
王城を後にした俺は、そのまま皆の待つ宿屋へと戻って来た。
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
「おう、ただいま」
仲間達が出迎えてくれる。
既に、仲間達には7大魔王やこの世界が危機に陥りそうな事はあらかた説明済みだった。
自慢じゃないけど、みんなの強さは、同じ冒険者の中でもトップクラスの実力を兼ね備えている。
奴等との全面対決となった場合には、頼もしい戦力になる事間違いなしだ。
「みんな、早速だけど、今後の俺たちの動向について会議をするから集まってくれるか。勿論、食事を取りながらな」
「うん!」
本当は会議だけのつもりだったけど、絶賛お昼時だったのもあり、ユイのお腹から可愛らしい音が鳴っていたのを聞き耳スキルがちゃんと仕事をしていた。
即席の肉ガッツリシチューを大きな寸胴鍋のままテーブルへと運んだ。
うちの子たちは食欲旺盛だからね、軽く20人前はありそうな量でもペロリと耐えらげてしまう。
ほんと、お金が無かったら食費で破産していたかもしれない。
「お兄ちゃん、どしたの? 食べないの?」
「ああ、食べるよって、もう半分しかないじゃないか!」
「だって、お兄ちゃんの作ったシチュー美味しいんだもん!」
「アニもミラも早く食べないと、みんなユイとルーに食べられちゃうぞ!」
「あ、ちょっとぉ、人を大食いみたいに言わないで欲しいなぁ! 大食いはユイちゃんだけだよ」
「ついでだよ。ついで」
ルーがプンスカの表情をしていた。
その様を見てエレナがクスクスと笑っている。
さて、そろそろいいかな。
「みんな、聞いてくれ。実はね、これからみんなとは別行動を取ろうと思ってるんだ」
「え、お兄ちゃんそれどういう事?」
「あ、分かったぁ! 私達に内緒で可愛い子と楽しくするんでしょ! ぷぎゃぁぁ!」
久しぶりの脳天チョップをルーにプレゼントする。
「強い敵と戦うから私達が足手まとい?」
「いや、むしろ逆だよ。みんなは、俺が自慢したい程に強いよ。そこいらの冒険者なんかよりもずっとね」
「だったら、お兄ちゃんと一緒に戦いたいよ!」
「私たちに危険が及ばないようにと言う事ですか?」
「ユイもアニも勘違いしてるぞ?確かに仲間たちを危険な目に遭わせたくはないけど、それでもこの世界の為に一緒に戦って欲しいと思ってる。だけど、まだ戦う時期じゃないんだ。まずは、敵の存在をみんなに知らせる所から。一緒に団結して戦ってくれるようにお願いしにいく段階なんだ。だから、俺が各地を転々と飛び回っている間、みんなにはミラを故郷へと送り届ける旅を続けて欲しいんだ」
「旦那様、手掛かりはあるのですか?」
「ああ。信頼の置ける人からの情報でね。実は、大まかな場所までは分かってるんだ。その場所へは行った事がないから転移が使えないんだよね」
皆が黙り込んでしまう。
俺と行きたい気持ちはあっても、ミラがこの場にいる手前あからさまにミラを送り届ける事を否定は出来ないからだろう。
まぁ、それが狙いだったりする。
自分でも卑怯だとは思うけど、ごめんな。
「それでエレナには、里やエルフの仲間達にこの危機を知らせて欲しいんだ」
「嫌です!」
あまりにも即答で否定されたので、一瞬たじろぐ。
「私はユウ様を一人で行かせるのは反対です。だって、きっと、無理ばかりすると思うから⋯」
「うんうん、ユウさんはいつも無理ばかりしてるね!」
「お兄ちゃん優しいから、その人の為にいっつも無理ばかりしてる気がする」
「おい、ルーにユイ。こんな時に煽らないでくれ」
何だか仲間達の視線が痛い。
え、何これ?
四面楚歌なんですけど。
エレナが、俺の前に立つ。
「ユウ様、約束して下さい。絶対に一人で危険な事はしないと」
「それだけじゃないよ、ちゃんと私達も頼ってね!」
う⋯。
適当にごまかせる感じじゃないな。
「分かったよ。一人で無茶はしない。約束するよ」
エレナが、ニコッと微笑み、俺の手握る。
「約束ですからね。ユウ様にもしもの事があったらと思うと、私⋯」
エレナをソッと手繰り寄せ、優しくハグをする。
ああ、うん、心配かけてごめんな⋯。
そういう事態が起きない事を切に願うよ。
その後、旅支度を念入りに整えた後、みんなで一緒にマルガナ国まで転移した。
ここは以前、不死の王と対峙した時の前線基地から一番近い国だ。
「ミラの故郷は、ここから真っ直ぐ馬車で1週間程進んだ先あたりにあるはずなんだ」
すぐに、ストレージから、馬車とグリムの入った小瓶を取り出す。
「いいかグリム。俺は用があって居ないけど、ちゃんとユイやみんなの言う事を聞くんだぞ?」
あたぼうよ。任せときな!
と、きっと心の中でグリムは思っているはずだ。
嫌な顔はしていないので、主人の俺がいなくても大丈夫だろう。
「道中の食糧とかは、全部この中に入れてるからな。それと、お金も渡しておく」
ユイに、ある程度の収容量のあるマジックバックを渡す。
「毎日連絡するね?」
「ああ、何か困った事があれば、すぐに連絡してくれ。あと、エレナ以外の全員にこれを渡しておくよ」
各国の魔導具屋を飛び回ってやっと人数分を集めたんだよね。
「旦那様、これは何ですか?」
「ブリックリングって言ってね、一度だけ致死的な攻撃を身代わりに受けてくれるんだ。エレナが付けてるのと同じ物だよ。肌身離さず持っててくれ」
「なーんだぁ、婚約指輪かと思いましたよ」
「なわけあるか!」
気のせいか、エレナの頬が朱色に染まっている気がするけど、気のせいだろう。
「じゃあ、くれぐれも気を付けてな」
「了解!」
「うん、分かった!」
「くれぐれも無理しないで下さい」
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