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第百一話:海賊に占拠された国【王国奪還編】
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俺達は、ミラ王女の提案で城内の安全地帯と思われる最下層へと向かっていた。
隠し通路みたいな場所を抜け、大扉の前まで到達する。
大扉は中から鍵が掛かっているようだ。
壊すのは容易いが、それだと隠れ家の意味がない。
ミラ王女が徐に大扉をノックする。
「ミラ・グラキール・シャルミーナ」
ミラ王女は自分の名前を扉に向かって喋った。シャルミーナというのは鑑定の結果にも表示されていない。合言葉だろうか?
大扉の施錠が中から解除され、ミシミシと音を立てゆっくりと開く。
「おお、やはり姫様ではないですか!ご無事で何よりです」
出迎えてくれたのは、全身に甲冑を見にまとった50代くらいの老騎士だった。
「彼は王国親衛隊隊長補佐のジークよ」
ミラ王女が自己紹介してくれる。
「姫様、こちらの方々は?」
「私達を助けに来てくれたガゼ・・・冒険者の方達よ」
なぜ、他国の人がこんな所にと不思議がっているようだ。
ま、そうだよね。
たまたま近くにいて、事件の事を聞きつけて馳せ参じたのだから。
「詳しい話は中でお聞きします。ささ、中へ」
ジークさんに促され、俺達も中へ入る。
ミラ王女の予想通り、城の最下層にあたるこのエリアは、海賊から逃げおおせた人が隠れ蓑にしていた。
一般人も含めると20人程だ。
戦力になりそうな親衛隊は、ジークさんを含めて5人だけだった。
親衛隊だけを別室に集め、自己紹介を含めたこれからの作戦を打ち合わせする事になった。
彼等は逸早く異常を察知して、この場所に逃げおおせたので、海賊達の魔の手から逃れる事が出来たそうだ。
「やはりそうですか・・」
打ち合わせの個室に重苦しい空気が流れる。
「国王は、ここ数日の間に人が変わってしまったように豹変されました。姫様は、他国で主催の晩餐会に出席されていたので、詳しくは存じていないとは思いますが・・・事の発端は3日程前の話になります」
国王に黒ローブを被った1人の男が謁見を申し出た。
本来ならば、事前に約束しておかないと国王との謁見など叶うはずもないが、国王は古い知人なので特別待遇と言っていたそうだ。
2人だけで執務室に入っていき、小一時間もせず2人が揃って部屋から出てきた。
「今思えば、その時の国王は何か思い悩んでいたように思えました」
その時以降、国王は心ここに在らずの状態で、国務に至っても全てキャンセルしていた。
そして今回のこの騒動だ。
「ユウ様、幻惑とか魅了の類でしょうか?」
「どうだろうな。実際会った時は気が付かなかったけど」
こんな事なら、あの時ステータスのチェックをしておくべきだった。
国王1人を捕まえても海賊達はシラを切るだろう。
気掛かりなのは、あの声の主だが・・
「ミラ王女、この城の宝物庫にはエレメンタルストーンはありますか?」
「私は初めて聞く名前ですね。それが今回の襲撃と関係があるのですか?」
「いえ、すみません気にしないで下さい」
敢えて亡国の騎士の名を出す必要もないだろう。
ここにいる皆、聞いた事がないようだ。
脳裏に、ある組織が浮かんだのだが、考え過ぎだったか。
こちらの戦力は、親衛隊の5人を入れても11人。
一方、海賊達の人数は100人弱なので、1人たったの10人程だ。
悪い数字ではない。
海賊の配備比率的には、城下町に2割、城内に8割の人数配置になっている。
強引に力押ししても大丈夫な気はするが・・。
「海賊達の中に凄腕の傭兵団、グリモワの姿を見たという者がおりました」
俺は聞いた事がないな。
「リン、知ってるか?」
「はい、グリモアは5人という少数精鋭部隊で、皆が一騎当千の化け物と聞いてます。かつてはあのノイズ様も所属していたとか」
「ノイズが5人か・・それは勝ち目がないな」
ノイズは、絶界の魔女の異名を持つ、規格外の強さだ。その強さはエスナ先生にも匹敵するかもしれない。
以前対戦した時は偶然にも俺が勝ったんだけど、本当に運が良かっただけなんだよね。
「目撃報告があったのは、1人だけのようです」
1人だけならば、まだ何とかなるかもしれない。
どちらにしても居場所は事前に押さえておく必要があるな。
作戦内容はこうだ。
城下町奪還及び、海賊達の逃げ道を塞ぐ役として、クロとジラと親衛隊の1人を配置する。
残りのメンバーは、城内の奪還だ。
城内と言っても広い為、2チームに編成した。
リンとユイのチームとアリスと俺のチームだ。
それぞれのチームに親衛隊が2人で各チーム4人のチーム構成だ。
基本的に出会えば行動不能にするゴリ押し戦法なのだが、問題があるとすれば、傭兵グリモアと謎の声だ。
ドンドンドンッ!
作戦会議室のドアを激しく叩く音だった。
「ジークさん!大変です!!先程、城内放送を傍受したのですが、王妃様の処刑予告がありました!」
「なんだと!」
処刑場所は、城の中庭で処刑時間まであと30分もない。
ミラ王女が床に崩れる。
「そんな、お母様が・・・いや・・いやあああああっ」
俺はリンに目配せを送る。
俺の意図を組んで、ミラ王女を優しく抱き抱えるリン。
「恐らく、我々を誘き出す為の罠ですね」
「ええ、罠だと分かっていても行かなければなりません」
「ジークさん、中庭までの最短ルートを教えて下さい」
「その必要はありません。私も同行します」
考える時間も足りず、かなり予定が狂ってしまったが、当初の予定通りチーム別での移動を開始する。
城下町奪還チームは、空路から目的地へと向かう。
城内2チームは、ジークさん先導で全速力で中庭へ向かい、王妃様の奪還にあたる。
ミラ王女も最後まで、一緒に着いてくるの一点張りだったが、正直足手まといにしかならない為、少し厳しい事を言い、待機してもらった。
(ユウさんは、いつも損な役回りですね)
(慣れてるからな、なんでもないさ)
(私は、そんなユウさんをちゃんと理解してますからね・・)
中庭までの道中は、誰とも出会わなかった。
少しくらいは相手の戦力を削いでおきたかったんだけどね。
範囲探索を見ていて、何かの不自然さを感じた。
「リン、ちょっと来てくれ」
これは賭けだな・・
そして、俺達は中庭へとやってきた。
そこに待っていたのは、予想通りの海賊達の包囲網だった。
「やはりノコノコとやって来たか」
偉そうにニヤニヤしているアイツが海賊達の親玉だろう。
「王妃様を返して頂く!」
ジークさんが前に出る。
「王妃は此処にはおらんよ。ここは、お前達の処刑場だからな」
バタンッ
後ろの扉が閉められた音だ。
今、俺達が通ってきた通路の扉が閉ざされてしまった。
「だが、お前達の望み通り、今頃王妃の処刑を執行している所だろう」
「な、なんだと・・・。貴様ぁぁぁぁ!!」
ジークさんが親玉に突っ込んでいきそうになっていたところを制止した。
「落ち着いて下さい。ここで怒りに身を任せれば、相手の思うつぼです」
相手の数は推定約80人。城下町部隊以外は、ほとんどがこの場にいる計算だ。
城壁からは、今もボウガンのような武器をこちらに向けて構えている。
恐らく発射の合図待ちなのだろう。
誰がどう見ても圧倒的にこちらが不利な状況だ。
それでいい、圧倒的な不利な状況だからこそ、こちらが追い詰められているからこそ、相手に隙が生まれる。
「思い残すことがあれば聞いてやる」
「っ地獄に堕ちろ!海賊供!」
「ふんっ、処刑の時間だ!放てっ!!」
ボウガン部隊への指示が飛ぶ。
無情にも雨霰の如く大量の矢が俺達に向かい降り注ぐ・・・事は無かった。
「ぐっ・・」
城壁に展開していたボウガン部隊が次々に中庭に落下していく。
さながらその光景はドミノ倒しのようだ。
全員の目がバタバタと落ちてくる海賊達に向いている時だった。
その一瞬の隙を突き、相手が密集している場所の中央へと移動した。
そして、催眠を使用する。
催眠のメリットは、その即効性だ。事前に魔力をチャージする必要はあるが、チャージ魔力量により、その効果の範囲、効力に差が現れる。
しかし、デメリットもある。
自身の杖から扇状に広がる為、相手に近付く必要がある。
相手を選べないので、効果範囲内に仲間がいても巻き込んでしまう恐れがある。
催眠に当てられた海賊達がバタバタと地面に伏せっていく。
「な、何が起きてるんだ・・」
一人後方に退いている親玉が唖然とした表情で、立ち尽くしている。
城壁のボウガン部隊も全員が沈んだ。
この場に立っている海賊達は親玉の一人だけだ。
味方のジークさんや他の親衛隊の人も何が起こったのか理解が出来ていなかった。
俺はそのまま親玉を魔術で拘束する。
「ユイ、動けないように縛っておいてくれ」
縛り担当はユイなのだ。
誰もいない所からいきなりユイが現れた。
「了解!」
そして、ロープを取り出し、親玉を拘束する。
実は中庭に入る前にユイに透明化マントを渡していた。
遠距離で狙ってくる相手がいたら、タイミングを見計らって行動不能にしてくれとだけ伝えていた。
戻ってきたユイとハイタッチをする。
「いいタイミングだったぞ」
ユイの頭を撫でる。
「えへへ~」
透明化マントは、透明化中はMPをガンガン消費していく。ユイのMPだと15分程度が限界だ。
そして、身体能力、魔力が約半分になるという欠点もある。
それだけの負荷状態で、あの動きは大したものだ。
俺には同じ真似は出来ないだろう。
「ユイ、一応飲んどいて」
MP回復ポーションを手渡す。
「くそがっ!どんな手を使ったのか知らないが、どのみち王妃はもう助からん!ざまあみろ!」
全く、口の悪い奴だ。
(ご主人様、王妃様の寝室にて王妃様を保護しました)
遠距離通話のテレコムイヤリングでリンからの連絡だった。
どうやら、賭けは俺の勝ちのようだな。
(了解だ。こっちも丁度ケリがついた所だ。王妃様は、ミラ王女の元に)
(分かりました)
「寝室にいた王妃様は、仲間が保護したよ」
「な、バカな!!」
悪いけど、親切に説明している時間はない。
「ジークさん、ユイここを頼む」
俺はアリスと一緒に空に消える。
「ジラ、クロ今行くぞ」
隠し通路みたいな場所を抜け、大扉の前まで到達する。
大扉は中から鍵が掛かっているようだ。
壊すのは容易いが、それだと隠れ家の意味がない。
ミラ王女が徐に大扉をノックする。
「ミラ・グラキール・シャルミーナ」
ミラ王女は自分の名前を扉に向かって喋った。シャルミーナというのは鑑定の結果にも表示されていない。合言葉だろうか?
大扉の施錠が中から解除され、ミシミシと音を立てゆっくりと開く。
「おお、やはり姫様ではないですか!ご無事で何よりです」
出迎えてくれたのは、全身に甲冑を見にまとった50代くらいの老騎士だった。
「彼は王国親衛隊隊長補佐のジークよ」
ミラ王女が自己紹介してくれる。
「姫様、こちらの方々は?」
「私達を助けに来てくれたガゼ・・・冒険者の方達よ」
なぜ、他国の人がこんな所にと不思議がっているようだ。
ま、そうだよね。
たまたま近くにいて、事件の事を聞きつけて馳せ参じたのだから。
「詳しい話は中でお聞きします。ささ、中へ」
ジークさんに促され、俺達も中へ入る。
ミラ王女の予想通り、城の最下層にあたるこのエリアは、海賊から逃げおおせた人が隠れ蓑にしていた。
一般人も含めると20人程だ。
戦力になりそうな親衛隊は、ジークさんを含めて5人だけだった。
親衛隊だけを別室に集め、自己紹介を含めたこれからの作戦を打ち合わせする事になった。
彼等は逸早く異常を察知して、この場所に逃げおおせたので、海賊達の魔の手から逃れる事が出来たそうだ。
「やはりそうですか・・」
打ち合わせの個室に重苦しい空気が流れる。
「国王は、ここ数日の間に人が変わってしまったように豹変されました。姫様は、他国で主催の晩餐会に出席されていたので、詳しくは存じていないとは思いますが・・・事の発端は3日程前の話になります」
国王に黒ローブを被った1人の男が謁見を申し出た。
本来ならば、事前に約束しておかないと国王との謁見など叶うはずもないが、国王は古い知人なので特別待遇と言っていたそうだ。
2人だけで執務室に入っていき、小一時間もせず2人が揃って部屋から出てきた。
「今思えば、その時の国王は何か思い悩んでいたように思えました」
その時以降、国王は心ここに在らずの状態で、国務に至っても全てキャンセルしていた。
そして今回のこの騒動だ。
「ユウ様、幻惑とか魅了の類でしょうか?」
「どうだろうな。実際会った時は気が付かなかったけど」
こんな事なら、あの時ステータスのチェックをしておくべきだった。
国王1人を捕まえても海賊達はシラを切るだろう。
気掛かりなのは、あの声の主だが・・
「ミラ王女、この城の宝物庫にはエレメンタルストーンはありますか?」
「私は初めて聞く名前ですね。それが今回の襲撃と関係があるのですか?」
「いえ、すみません気にしないで下さい」
敢えて亡国の騎士の名を出す必要もないだろう。
ここにいる皆、聞いた事がないようだ。
脳裏に、ある組織が浮かんだのだが、考え過ぎだったか。
こちらの戦力は、親衛隊の5人を入れても11人。
一方、海賊達の人数は100人弱なので、1人たったの10人程だ。
悪い数字ではない。
海賊の配備比率的には、城下町に2割、城内に8割の人数配置になっている。
強引に力押ししても大丈夫な気はするが・・。
「海賊達の中に凄腕の傭兵団、グリモワの姿を見たという者がおりました」
俺は聞いた事がないな。
「リン、知ってるか?」
「はい、グリモアは5人という少数精鋭部隊で、皆が一騎当千の化け物と聞いてます。かつてはあのノイズ様も所属していたとか」
「ノイズが5人か・・それは勝ち目がないな」
ノイズは、絶界の魔女の異名を持つ、規格外の強さだ。その強さはエスナ先生にも匹敵するかもしれない。
以前対戦した時は偶然にも俺が勝ったんだけど、本当に運が良かっただけなんだよね。
「目撃報告があったのは、1人だけのようです」
1人だけならば、まだ何とかなるかもしれない。
どちらにしても居場所は事前に押さえておく必要があるな。
作戦内容はこうだ。
城下町奪還及び、海賊達の逃げ道を塞ぐ役として、クロとジラと親衛隊の1人を配置する。
残りのメンバーは、城内の奪還だ。
城内と言っても広い為、2チームに編成した。
リンとユイのチームとアリスと俺のチームだ。
それぞれのチームに親衛隊が2人で各チーム4人のチーム構成だ。
基本的に出会えば行動不能にするゴリ押し戦法なのだが、問題があるとすれば、傭兵グリモアと謎の声だ。
ドンドンドンッ!
作戦会議室のドアを激しく叩く音だった。
「ジークさん!大変です!!先程、城内放送を傍受したのですが、王妃様の処刑予告がありました!」
「なんだと!」
処刑場所は、城の中庭で処刑時間まであと30分もない。
ミラ王女が床に崩れる。
「そんな、お母様が・・・いや・・いやあああああっ」
俺はリンに目配せを送る。
俺の意図を組んで、ミラ王女を優しく抱き抱えるリン。
「恐らく、我々を誘き出す為の罠ですね」
「ええ、罠だと分かっていても行かなければなりません」
「ジークさん、中庭までの最短ルートを教えて下さい」
「その必要はありません。私も同行します」
考える時間も足りず、かなり予定が狂ってしまったが、当初の予定通りチーム別での移動を開始する。
城下町奪還チームは、空路から目的地へと向かう。
城内2チームは、ジークさん先導で全速力で中庭へ向かい、王妃様の奪還にあたる。
ミラ王女も最後まで、一緒に着いてくるの一点張りだったが、正直足手まといにしかならない為、少し厳しい事を言い、待機してもらった。
(ユウさんは、いつも損な役回りですね)
(慣れてるからな、なんでもないさ)
(私は、そんなユウさんをちゃんと理解してますからね・・)
中庭までの道中は、誰とも出会わなかった。
少しくらいは相手の戦力を削いでおきたかったんだけどね。
範囲探索を見ていて、何かの不自然さを感じた。
「リン、ちょっと来てくれ」
これは賭けだな・・
そして、俺達は中庭へとやってきた。
そこに待っていたのは、予想通りの海賊達の包囲網だった。
「やはりノコノコとやって来たか」
偉そうにニヤニヤしているアイツが海賊達の親玉だろう。
「王妃様を返して頂く!」
ジークさんが前に出る。
「王妃は此処にはおらんよ。ここは、お前達の処刑場だからな」
バタンッ
後ろの扉が閉められた音だ。
今、俺達が通ってきた通路の扉が閉ざされてしまった。
「だが、お前達の望み通り、今頃王妃の処刑を執行している所だろう」
「な、なんだと・・・。貴様ぁぁぁぁ!!」
ジークさんが親玉に突っ込んでいきそうになっていたところを制止した。
「落ち着いて下さい。ここで怒りに身を任せれば、相手の思うつぼです」
相手の数は推定約80人。城下町部隊以外は、ほとんどがこの場にいる計算だ。
城壁からは、今もボウガンのような武器をこちらに向けて構えている。
恐らく発射の合図待ちなのだろう。
誰がどう見ても圧倒的にこちらが不利な状況だ。
それでいい、圧倒的な不利な状況だからこそ、こちらが追い詰められているからこそ、相手に隙が生まれる。
「思い残すことがあれば聞いてやる」
「っ地獄に堕ちろ!海賊供!」
「ふんっ、処刑の時間だ!放てっ!!」
ボウガン部隊への指示が飛ぶ。
無情にも雨霰の如く大量の矢が俺達に向かい降り注ぐ・・・事は無かった。
「ぐっ・・」
城壁に展開していたボウガン部隊が次々に中庭に落下していく。
さながらその光景はドミノ倒しのようだ。
全員の目がバタバタと落ちてくる海賊達に向いている時だった。
その一瞬の隙を突き、相手が密集している場所の中央へと移動した。
そして、催眠を使用する。
催眠のメリットは、その即効性だ。事前に魔力をチャージする必要はあるが、チャージ魔力量により、その効果の範囲、効力に差が現れる。
しかし、デメリットもある。
自身の杖から扇状に広がる為、相手に近付く必要がある。
相手を選べないので、効果範囲内に仲間がいても巻き込んでしまう恐れがある。
催眠に当てられた海賊達がバタバタと地面に伏せっていく。
「な、何が起きてるんだ・・」
一人後方に退いている親玉が唖然とした表情で、立ち尽くしている。
城壁のボウガン部隊も全員が沈んだ。
この場に立っている海賊達は親玉の一人だけだ。
味方のジークさんや他の親衛隊の人も何が起こったのか理解が出来ていなかった。
俺はそのまま親玉を魔術で拘束する。
「ユイ、動けないように縛っておいてくれ」
縛り担当はユイなのだ。
誰もいない所からいきなりユイが現れた。
「了解!」
そして、ロープを取り出し、親玉を拘束する。
実は中庭に入る前にユイに透明化マントを渡していた。
遠距離で狙ってくる相手がいたら、タイミングを見計らって行動不能にしてくれとだけ伝えていた。
戻ってきたユイとハイタッチをする。
「いいタイミングだったぞ」
ユイの頭を撫でる。
「えへへ~」
透明化マントは、透明化中はMPをガンガン消費していく。ユイのMPだと15分程度が限界だ。
そして、身体能力、魔力が約半分になるという欠点もある。
それだけの負荷状態で、あの動きは大したものだ。
俺には同じ真似は出来ないだろう。
「ユイ、一応飲んどいて」
MP回復ポーションを手渡す。
「くそがっ!どんな手を使ったのか知らないが、どのみち王妃はもう助からん!ざまあみろ!」
全く、口の悪い奴だ。
(ご主人様、王妃様の寝室にて王妃様を保護しました)
遠距離通話のテレコムイヤリングでリンからの連絡だった。
どうやら、賭けは俺の勝ちのようだな。
(了解だ。こっちも丁度ケリがついた所だ。王妃様は、ミラ王女の元に)
(分かりました)
「寝室にいた王妃様は、仲間が保護したよ」
「な、バカな!!」
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