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最後の魔女05 魔族は嫌いです
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本物の死神に会えると思い、高鳴っていたこの胸の鼓動、一体どうしてくれようか。
死神もどきは私の顔を見て、あまりの恐怖に気絶する始末。私は襲われそうになっていた少女の元へ向かう。
「もう、大丈夫だから」
この少女は、別にこの時間ここを彷徨って訳ではないそうだ。昼間拉致されて、眠らされて、気が付いたらこの場に居たらしい。
なんて悪どい卑劣な。こんな年若い少女を眠らせて、一体何をしようとしていたのでしょうか。
聞き出そうにも当の本人は、気絶しちゃってる訳で。
幸いにも少女は、恐怖で震えてはいたが、自分の足で歩くことが出来たので、家の前まで送り届けた。
そして再び死神もどきが気絶している場所まで戻ってきた訳だけども。
どうするかな、コイツ。
コイツがもし、数年前から続いている人攫いの犯人だとすると、今までに連れ去られた人々が何処かに捕らえられているという可能性がある。もしかしたらまだ生きている可能性も限りなく低いけどゼロではないと思う。
吐かせるか。
「ご主人様今怖い顔してるにゃ」
あら、使役している使い魔に感情がバレるなんて、私もまだまだですね。
だって、どうやって拷問しようか考えていたら楽しくなっちゃったんだもん。
「あら、目が覚めたようね」
「こ、ここは⋯ひぃっ! し、死神!」
今青年の前には死神の姿に見えている私が立っている。そういう暗示の魔法を施した。
どうせなら少し演技をしてみよう。
「貴様が我を語りくさっていた偽物か」
でもあんまし脅すとまた気を失ってしまうから加減しないとね。
「我の言うことを聞けば命だけは助けてやる」
青年は、地面に頭を何度も打ち付け「命だけは⋯どうか命だけはぁぁ⋯」と私のことを信じきっている。
「貴様が今まで攫った女子供はどこにいる」
「わ、私の屋敷に皆捕らえております⋯」
「全員無事なのか?」
「は、はい⋯召使いとして使っております⋯」
この青年ちょろいな。
元々死神を語り、奪った贄なのだから、本物の死神である我に全て捧げよ! などと適当なことを言って屋敷に案内させる。
案内されたのは、この町でも一際大きな屋敷。
どうやらこの青年は裕福なボンボンだったようだ。貴族が犯人なんて世も末ね。
捕まえた者たちは、この屋敷内でメイドや世話係をさせられていた。
屋敷の主人である青年が外出中は施錠し、出て行かないように監視員まで備えている始末だ。
私と青年と一緒にズケズケと屋敷に上がり込み、監禁されている部屋へと直行した。
監視員?
何か言っていたけど、駄猫が黙らせていた。
この時間帯なので寝ているのかと思いきや、全員起きており、主人である青年の姿を見て「「お帰りなさいませご主人様」」と皆一様に口を揃えた。恐らくそう言うように教育されているのだろう。
私が隣にいることに対しては特に不思議がってはいなかった。
あれかな?
もしかして私は今回攫われてきた人物だと勘違いされているのかな?
私は、威圧を込め皮肉たっぷりに青年を睨みつける。
今まで以上に青年はガタガタと震え出した。
囚われの彼女たちが、いつもと雰囲気の違う青年に困惑しているようだった。
取り敢えず、今私が青年に五体満足で何の罰も与えていないのには理由がある。
普段ならば、即刻死よりも辛い「殺してください」と自らが懇願してくるほどの精神的苦痛を与えてやっているところなんだけど。
すぐにそうしなかったのは囚われていた彼女たちは、割と普通だったからだ。
七年前から一人づつと巷で聞いていたので、人数も合うし、何より目が死んでいない。
監禁はされていたのだろうけど、扱いは酷くなかったのだろうと彼女たちの雰囲気から私は読み取った。
囚われた者に対する最低限の行いはしているようなので、今も罰を与えていない。
私は青年の背中をポンっと押した。
「き、今日から君たちの主人は私じゃない、このお方だ。この方は、本物の死神であり私と違い逆らったら本当に殺される。だから言う通りにしてくれ」
うんうん、事前の打ち合わせと少し違うけどまあ、伝えなければならないことは言っていたから良しとするけど、逆らったら殺されるとか。私がそんなことする訳ないよね?
ま、青年の目には私のことが死神に見える暗示を掛けているのだから、無理もない。
実際私にも青年の目にどんなふうに写っているのか分からないし、知りたくもない。
彼女たちは訳の分からないと言った表情のまま私について来る。
屋敷から出て少し歩いたところで、本題に入る。
「あなたたちはもう自由。家に帰っていい」
扱いが良かったとはいえ、拉致されて嬉しい人など存在しない。
皆が歓喜を上げて、泣く者、お互いが抱き合う者、いの一番に走り去る者、それぞれだった。
さて、私の仕事はまだ残ってる。
あの青年をどうしてくれようか。
あれだけ脅しているから再犯することはないとは思うけど、何せ変人の考えていることは私には分からないから。
やっぱりめんどくさい、青年の処理は駄猫に任せよう。「それなりにやっといて」と補足だけつけておく。
私はその足で宿に帰ることにした。
今日も良いことしたし、いい夢が見れるかもしれない。
なんてね。
最近、夢を見ないのよね。見ても覚えていないだけかもしれないけれど。
次の日の朝、町中ではちょっとした騒ぎになっていた。
死神の生贄となった者たちが全員帰ってきたのだから。昨日までの人通りの少ない商店街が嘘のように人々でひしめき合っていた。
私は魔女なので基本魔法で何でも出来る。
飲食も必要としない。
服装だって愛用しているのが一着あればいい。
強いて言うなれば下着くらいだが、生憎と下着は自作だったりする。
材料さえあれば魔法で簡単に作ることが出来る。
という訳で私はまったく物を買う必要がないの。
商人たちからすれば、冷やかしもいいとこだ。
青年の屋敷の前を通り過ぎて見たのだが、警備隊が中から出て来るのが見えた。
恐らく捕らえられていた彼女たちの誰かが通報したんだと思う。
でもごめんなさい。
青年は当分話すことはおろか、口を開くことも出来ないことになっていそう。
駄猫の不始末は主人である私の責任。
心の中で謝っておく。
あ、でも頼んだのは私か?
そのまま街を歩いていると警備隊に呼び止められた。身に覚えがまったくなかったので、無視して通り過ぎようと考えたのだが、前方にも警備隊の姿が見える。
あれ、挟まれた?
無力化して逃げる?
いや、そもそも本当に警備隊に呼び止められる理由がない。だって、私何も悪い事してないし。
「ちょっとお尋ねします。旅の人ですね」
「 はい」
「そんな全身黒い格好をしていると、かつての異端者たち、魔女との何らかの繋がりがあると勘違いされる可能性がありますので忠告させて頂きました」
「私の民族の伝統衣装」
「そうでしたか、それはすみませんでした」
警備隊は、道を開けてくれた。
同じ様に絡まれたことは過去にも何度かある。
決まって今のセリフを使ってやり過ごしている。
この世界の人々は民族の伝統を重んじる心があるそうで、そのことに関してとやかく言う人は少ない。
ま、あながち嘘ではない。
魔女の服装は基本黒だし。
私なんかを捕まえている暇があったら町の治安でも守れ! だから死神もどきなんて輩が現れるんだ。仕事しろ仕事! と、私の愚痴は尽きない。
警備隊と別れ、そのまま散策を続けていると奇妙な団体と出くわしてしまった。
俗に言う魔族崇拝者と呼ばれる者たちだ。
八人の若者が輪になり、中央に本が飾ってある。
その本に向かって、こうべを垂れたり、立ち上がってお辞儀をしたりと何かの儀式をしているようだ。
魔族を崇拝したって何も出ないよ。
良くて利用されて命を奪われるだけ。
魔族と深く付き合いのある私が言うんだもの間違いない。
どうせ崇拝するなら魔女になさい。
何も出ないけど、少なくとも邪魔さえしなければ私は何もしないから。
魔族と違って優しいでしょ?
「ご主人様、異様にな大きな力を感じるにゃ」
言われなくても気付いている。噂をすれば何とやらかな。
そう、近くに魔族の力を感じる。
魔族は、私たち魔女のように魔法を行使する者がいる。その強さは様々だけど、魔王と呼ばれる存在はかなり強かったらしい。
私が生まれる前の話で両親から聞いた限りだけど、何万人もの犠牲の元、人間たちは魔族に辛くも勝利した。魔女も人間たちと一緒に戦い、何百人もの犠牲者を出した。
私には、年の離れた兄がいたそうなのだが、その兄もまた人魔戦争で亡くなった。
と言うこともあり、私は魔族が嫌いなの。見つけたら容赦はしない。
でも私も鬼ではないので問答無用で攻撃したりはしない。あくまでも話を聞いてから。
と言うわけで魔族の気配のする方へと足を進めた。
私は別に自分は死なないだとか、俺つえええ! だとかの妄想癖はない。
事前に防御壁だとか身体能力向上だとか詠唱破棄など万全の対策を取っている。
町外れにある一軒の見窄らしい家からその気配を強く感じた。あそこに間違いない。
一応、こちらの気配は消しているつもりだけど、相手の実力の程がしれないので油断は禁物。
駄猫もいつになく真面目な表情をしている。
少し離れた場所から魔法を使い、ドアを開ける。
そのまま相手の出方を見る。
暫くすると中から一人の男が出て来た。
筋骨隆々な身体に頭に二本のツノ。身体には黒い刺青を施し、背中には漆黒の翼が生えていた。うん、間違いない魔族だね。にしても不用心過ぎない? 魔女同様に魔族だって見つけ次第即刻拘束対象。場合によってはすぐさま処刑のはず。
「何か用か人間」
あらあら、魔族であることを隠す気がないよこの人。あれかね、目撃者は全員殺す的なあれですか?
しかし、魔力の量から察するに目の前のこの男が相当の強者であることが伺える。
私には相手の最大魔力量が目に見える。
「道に迷ったので、少し道を尋ねてもいいですか?」
途端に私の首が鈍い音を立てて空を舞う。
そんな、まさかイキナリ攻撃されるとは⋯口下手な私が魔法の力によって話しかけた内容に落ち度はなかったはず。
死神もどきは私の顔を見て、あまりの恐怖に気絶する始末。私は襲われそうになっていた少女の元へ向かう。
「もう、大丈夫だから」
この少女は、別にこの時間ここを彷徨って訳ではないそうだ。昼間拉致されて、眠らされて、気が付いたらこの場に居たらしい。
なんて悪どい卑劣な。こんな年若い少女を眠らせて、一体何をしようとしていたのでしょうか。
聞き出そうにも当の本人は、気絶しちゃってる訳で。
幸いにも少女は、恐怖で震えてはいたが、自分の足で歩くことが出来たので、家の前まで送り届けた。
そして再び死神もどきが気絶している場所まで戻ってきた訳だけども。
どうするかな、コイツ。
コイツがもし、数年前から続いている人攫いの犯人だとすると、今までに連れ去られた人々が何処かに捕らえられているという可能性がある。もしかしたらまだ生きている可能性も限りなく低いけどゼロではないと思う。
吐かせるか。
「ご主人様今怖い顔してるにゃ」
あら、使役している使い魔に感情がバレるなんて、私もまだまだですね。
だって、どうやって拷問しようか考えていたら楽しくなっちゃったんだもん。
「あら、目が覚めたようね」
「こ、ここは⋯ひぃっ! し、死神!」
今青年の前には死神の姿に見えている私が立っている。そういう暗示の魔法を施した。
どうせなら少し演技をしてみよう。
「貴様が我を語りくさっていた偽物か」
でもあんまし脅すとまた気を失ってしまうから加減しないとね。
「我の言うことを聞けば命だけは助けてやる」
青年は、地面に頭を何度も打ち付け「命だけは⋯どうか命だけはぁぁ⋯」と私のことを信じきっている。
「貴様が今まで攫った女子供はどこにいる」
「わ、私の屋敷に皆捕らえております⋯」
「全員無事なのか?」
「は、はい⋯召使いとして使っております⋯」
この青年ちょろいな。
元々死神を語り、奪った贄なのだから、本物の死神である我に全て捧げよ! などと適当なことを言って屋敷に案内させる。
案内されたのは、この町でも一際大きな屋敷。
どうやらこの青年は裕福なボンボンだったようだ。貴族が犯人なんて世も末ね。
捕まえた者たちは、この屋敷内でメイドや世話係をさせられていた。
屋敷の主人である青年が外出中は施錠し、出て行かないように監視員まで備えている始末だ。
私と青年と一緒にズケズケと屋敷に上がり込み、監禁されている部屋へと直行した。
監視員?
何か言っていたけど、駄猫が黙らせていた。
この時間帯なので寝ているのかと思いきや、全員起きており、主人である青年の姿を見て「「お帰りなさいませご主人様」」と皆一様に口を揃えた。恐らくそう言うように教育されているのだろう。
私が隣にいることに対しては特に不思議がってはいなかった。
あれかな?
もしかして私は今回攫われてきた人物だと勘違いされているのかな?
私は、威圧を込め皮肉たっぷりに青年を睨みつける。
今まで以上に青年はガタガタと震え出した。
囚われの彼女たちが、いつもと雰囲気の違う青年に困惑しているようだった。
取り敢えず、今私が青年に五体満足で何の罰も与えていないのには理由がある。
普段ならば、即刻死よりも辛い「殺してください」と自らが懇願してくるほどの精神的苦痛を与えてやっているところなんだけど。
すぐにそうしなかったのは囚われていた彼女たちは、割と普通だったからだ。
七年前から一人づつと巷で聞いていたので、人数も合うし、何より目が死んでいない。
監禁はされていたのだろうけど、扱いは酷くなかったのだろうと彼女たちの雰囲気から私は読み取った。
囚われた者に対する最低限の行いはしているようなので、今も罰を与えていない。
私は青年の背中をポンっと押した。
「き、今日から君たちの主人は私じゃない、このお方だ。この方は、本物の死神であり私と違い逆らったら本当に殺される。だから言う通りにしてくれ」
うんうん、事前の打ち合わせと少し違うけどまあ、伝えなければならないことは言っていたから良しとするけど、逆らったら殺されるとか。私がそんなことする訳ないよね?
ま、青年の目には私のことが死神に見える暗示を掛けているのだから、無理もない。
実際私にも青年の目にどんなふうに写っているのか分からないし、知りたくもない。
彼女たちは訳の分からないと言った表情のまま私について来る。
屋敷から出て少し歩いたところで、本題に入る。
「あなたたちはもう自由。家に帰っていい」
扱いが良かったとはいえ、拉致されて嬉しい人など存在しない。
皆が歓喜を上げて、泣く者、お互いが抱き合う者、いの一番に走り去る者、それぞれだった。
さて、私の仕事はまだ残ってる。
あの青年をどうしてくれようか。
あれだけ脅しているから再犯することはないとは思うけど、何せ変人の考えていることは私には分からないから。
やっぱりめんどくさい、青年の処理は駄猫に任せよう。「それなりにやっといて」と補足だけつけておく。
私はその足で宿に帰ることにした。
今日も良いことしたし、いい夢が見れるかもしれない。
なんてね。
最近、夢を見ないのよね。見ても覚えていないだけかもしれないけれど。
次の日の朝、町中ではちょっとした騒ぎになっていた。
死神の生贄となった者たちが全員帰ってきたのだから。昨日までの人通りの少ない商店街が嘘のように人々でひしめき合っていた。
私は魔女なので基本魔法で何でも出来る。
飲食も必要としない。
服装だって愛用しているのが一着あればいい。
強いて言うなれば下着くらいだが、生憎と下着は自作だったりする。
材料さえあれば魔法で簡単に作ることが出来る。
という訳で私はまったく物を買う必要がないの。
商人たちからすれば、冷やかしもいいとこだ。
青年の屋敷の前を通り過ぎて見たのだが、警備隊が中から出て来るのが見えた。
恐らく捕らえられていた彼女たちの誰かが通報したんだと思う。
でもごめんなさい。
青年は当分話すことはおろか、口を開くことも出来ないことになっていそう。
駄猫の不始末は主人である私の責任。
心の中で謝っておく。
あ、でも頼んだのは私か?
そのまま街を歩いていると警備隊に呼び止められた。身に覚えがまったくなかったので、無視して通り過ぎようと考えたのだが、前方にも警備隊の姿が見える。
あれ、挟まれた?
無力化して逃げる?
いや、そもそも本当に警備隊に呼び止められる理由がない。だって、私何も悪い事してないし。
「ちょっとお尋ねします。旅の人ですね」
「 はい」
「そんな全身黒い格好をしていると、かつての異端者たち、魔女との何らかの繋がりがあると勘違いされる可能性がありますので忠告させて頂きました」
「私の民族の伝統衣装」
「そうでしたか、それはすみませんでした」
警備隊は、道を開けてくれた。
同じ様に絡まれたことは過去にも何度かある。
決まって今のセリフを使ってやり過ごしている。
この世界の人々は民族の伝統を重んじる心があるそうで、そのことに関してとやかく言う人は少ない。
ま、あながち嘘ではない。
魔女の服装は基本黒だし。
私なんかを捕まえている暇があったら町の治安でも守れ! だから死神もどきなんて輩が現れるんだ。仕事しろ仕事! と、私の愚痴は尽きない。
警備隊と別れ、そのまま散策を続けていると奇妙な団体と出くわしてしまった。
俗に言う魔族崇拝者と呼ばれる者たちだ。
八人の若者が輪になり、中央に本が飾ってある。
その本に向かって、こうべを垂れたり、立ち上がってお辞儀をしたりと何かの儀式をしているようだ。
魔族を崇拝したって何も出ないよ。
良くて利用されて命を奪われるだけ。
魔族と深く付き合いのある私が言うんだもの間違いない。
どうせ崇拝するなら魔女になさい。
何も出ないけど、少なくとも邪魔さえしなければ私は何もしないから。
魔族と違って優しいでしょ?
「ご主人様、異様にな大きな力を感じるにゃ」
言われなくても気付いている。噂をすれば何とやらかな。
そう、近くに魔族の力を感じる。
魔族は、私たち魔女のように魔法を行使する者がいる。その強さは様々だけど、魔王と呼ばれる存在はかなり強かったらしい。
私が生まれる前の話で両親から聞いた限りだけど、何万人もの犠牲の元、人間たちは魔族に辛くも勝利した。魔女も人間たちと一緒に戦い、何百人もの犠牲者を出した。
私には、年の離れた兄がいたそうなのだが、その兄もまた人魔戦争で亡くなった。
と言うこともあり、私は魔族が嫌いなの。見つけたら容赦はしない。
でも私も鬼ではないので問答無用で攻撃したりはしない。あくまでも話を聞いてから。
と言うわけで魔族の気配のする方へと足を進めた。
私は別に自分は死なないだとか、俺つえええ! だとかの妄想癖はない。
事前に防御壁だとか身体能力向上だとか詠唱破棄など万全の対策を取っている。
町外れにある一軒の見窄らしい家からその気配を強く感じた。あそこに間違いない。
一応、こちらの気配は消しているつもりだけど、相手の実力の程がしれないので油断は禁物。
駄猫もいつになく真面目な表情をしている。
少し離れた場所から魔法を使い、ドアを開ける。
そのまま相手の出方を見る。
暫くすると中から一人の男が出て来た。
筋骨隆々な身体に頭に二本のツノ。身体には黒い刺青を施し、背中には漆黒の翼が生えていた。うん、間違いない魔族だね。にしても不用心過ぎない? 魔女同様に魔族だって見つけ次第即刻拘束対象。場合によってはすぐさま処刑のはず。
「何か用か人間」
あらあら、魔族であることを隠す気がないよこの人。あれかね、目撃者は全員殺す的なあれですか?
しかし、魔力の量から察するに目の前のこの男が相当の強者であることが伺える。
私には相手の最大魔力量が目に見える。
「道に迷ったので、少し道を尋ねてもいいですか?」
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