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最後の魔女21 変な騎士
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次の日の朝、意外な人物が私とサーシャの部屋を訪れていた。
「おはようでござる! 聖女様はいらっしゃるでござるか!」
こんな変な喋りをする人物は私は1人しか知らない。それは、学校の視察で教会の放った賊に襲われた時、助けてくれた騎士の人だった。
歩く度に纏っている鎧が擦れ、キシキシと音を出していたのが印象に残っている。
流石に自分から部屋を開ける事はしないみたい。
まぁ、当たり前と言えば当たり前のこと。
だって、この部屋は聖女様の寝室を兼ねてるし、私も含めればレディ2人の部屋なのだから。
こちらが開けるのを待っているものとばかり思い、私が開けようとドアに近付いた時だった。
「失礼するでござる!」
「えっ」
ガンッという音が鳴る。
と同時に額の辺りがジンジンする。
流石に後ろに倒れるまではしなかったけど、たかがドア、もう少し優しく開けてくれればいいものの、勢いよく開けるものだから、咄嗟に反応出来なかった。
ヒドイ。母親にもぶたれたことないのに。
私は若干涙目になり、額を押さえながら目の前の大柄な人物を睨みつける。
ドアを開けた方側も、何かにぶつかった鈍い感覚があったのか、目の前の額を押さえている私と自分がドアに添えている手を数回交互に視線を送っていた。
こやつめ⋯若造の分際で私をキズモノにするなんていい度胸しているな。
もしも教会側の手先ならば、私の手で自ら引導を渡しているところ。
「あ、あなた! 急にドアを開けたら危ないじゃない!」
サーシャが私の元に駆け寄る。
「リア、大丈夫? 怪我してない?」
「ん、ちょっとジンジンするだけ」
2人してジト目で、騎士に向かって視線を送った。
突如、ガンガンッという音が聞こえてくる。
自らの額を何度も何度も床にぶつけている騎士の姿があった。
そう、土下座と言われる行為。
「も⋯申し訳ない! 本当に申し訳ない!」
ぅ⋯流石にそこまでされると許さないとかこっちが鬼だろう。
「私は、大丈夫」
その後、自己紹介をする騎士。
彼の名前は、ギルハルト・ラインツバーグ。
この王都で近衛隊を率いているリーダーの1人だ。
大きなガタイの割に、その動きはとても素早い。賊と対峙していた時も動きには眼を見張るものがあったので、只者ではないとは思っていたのだけど、話を聞くと、この王都で最強と言われている武剣八英人の1人らしい。
いつだか対峙した魔族とでもいい勝負をするかもしれない。
逆に私としては、脅威でもある。
いつ、その矛先が私の方に向くか分からないのだから。
聞くに、襲撃もあったことで、王都滞在中は聖女様であるサーシャ専属の護衛をかって出てくれたみたい。
だから、その挨拶をしに訪れたと。
でも、聖女様である前に、サーシャも一応私も年頃のレディなんだから勝手に部屋に入ってくるのは頂けないと思う。
だけど寛大な私はそれを許してあげる。あの時、賊の手からサーシャを守ってくれた事には変わりないのだから。
言いたい事だけ告げると、仰々しくお辞儀をして、去って行った。
「な、何だかすごい人だったね⋯終始圧倒されちゃったよ」
その人に対して、私の為に怒ってくれたじゃない。
「うん、でもあの人いい人だと思う。少なくとも嘘はついてない」
「そだね、嘘をつけるような人には見えなかったのは確か。根っからの武人というか、物事に対して一直線なんだね。だから何か嘘をつくとすぐに顔にでるタイプだよ絶対」
サーシャが通常口調で2人で騎士について談議していると、キャシーさんが入って来る。
「失礼します」
「入って下さい」
キャシーさんは少し疲れた様子でドアを閉めると、ハーッと深い溜息を吐いていた。
「どうしたの? キャシー」
「いえ、新しくサーシャ様の警護に来られた熊みたいな方に、この部屋に入るだけで尋問めいたものをされましたので、少し疲れました」
クスクスとサーシャは笑う。
「確かに熊のように大柄な方でしたね。先程挨拶に来られました」
「私も不審に思い、彼の事を少し調べましたが、怪しい人物ではなさそうですね。身元もハッキリしていますし、何より英雄と呼ばれている1人のようです」
「でも、そんなすごい方がなぜ私なんかの護衛をして下さるのでしょうか?」
「一つ気になる点はございます」
「気になる点?」
「はい、どうも護衛を依頼したのは教会側ではないのです。てっきり負い目を感じて教会側からの指示があったのだと思ったのですが、寧ろ教会側は必要ないと最後まで反対していたようです」
「反対、ですか⋯」
しかし、これでハッキリした事がある。
(彼は、教会側の手先じゃないみたいだね)
(うん。良かった)
サーシャもそれは理解していたみたい。
でもこれで教会側としてはサーシャの暗殺はより一層難しくなったはず。
次は一体どんな手でくるのか。
こっちもただ単に仕掛けられるのを待ってるだけじゃない。逆に、サーシャを襲ったのが教会側の指示の元だっていう確たる証拠を探し出すだけ。などと思っていると、どうやら事態に進展があったみたい。
「サーシャ様を襲った賊の正体が分かりました」
「本当ですか?」
「はい、マリア様の助力により、教会の方達は勿論ですが、警備隊の方々も寝ずにその正体を突き止めてくれたようです」
ハッキリ言って期待はしていなかった。
だけど、本当ならば私なんかが介入しなくても、この問題が自分たちの力で解決出来れば一番それが良いと。
「教会側に対立していた勢力の犯行のようです。サーシャ様を拉致して、身代金を要求するのと同時にまんまと大事な客人を奪い取られる教会の不甲斐なさを国民に見せしめ、教会という大きな組織の信用を潰してやろうと言う恐ろしい目的があったようです」
「それは、本当の事なの?」
「はい、主犯格と見られる者が遺書めいた物を残して亡くなっているのが今朝方発見されたようです」
教会に敵対していた勢力か⋯。
教会は敵。見方を変えれば、敵の敵は味方の可能性もありそう。
(その敵対勢力、少し調べて見る必要がありそう)
(そうね。でももしかしたら、これを期に教会に敵対している人達を一掃しようと、罠にはめられた可能性があるかもしれないわ)
サーシャの言う通り、ダシに使われただけだとしたら。
「キャシー、その教会に敵対している勢力の人は何処にいるの?」
「確か、一部逃亡中のようですが、何人かは拘束されたようです。今は警備隊預かりで、牢獄に収監中と聞いてます」
私はサーシャの顔を見る。
「その牢獄の場所は?」
「確か、王都の北口の近くだったと思います」
(駄猫、命令よ。今すぐその収監中の敵対勢力の場所を突き止めてきて)
(全く、猫使いが荒いご主人様にゃ)
(何か言った?)
(にゃにも言ってないにゃ!)
私に言われた通り素直に駄猫が、部屋を出て行く。ご主人様の言う事を聞くのは当たり前の事だけど。
その際、さり気なく部屋のドアを開けておいた。
見極める必要がある。
敵対している理由が、ただ単純に反発しているだけの過激集団なだけならば、別にいい。
勝手に捕まって、死刑にでもなんでもなればいい。
でももし、アンのように教会の悪どいやり方に立ち上がった者達ならば、その時は私が助けてあげる。
コンコンッと扉がノックされる。
「マリアです。サーシャ様、少しだけお時間宜しいでしょうか?」
今度はサーシャが私の顔を見る。
頷きでそれを返す。
今回の襲撃の主犯格だと言うのに、全く警備どもは役に立たない。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
マリア様の話は、先程のキャシーさんの話の続きで襲撃に関わったメンバーは、現在逃亡中の者も含めて、捕まるのは時間の問題みたい。
だから、半軟禁状態だったサーシャの外出が許可された。本当の狙いはそこにあったのかもしれない。
これでまた教会の外でサーシャを狙えるのだから。
でも私も堂々と自由に動くことが出来る。隠れて動くことは造作もないのだけれど。
それに、直にレイランともお話して見たかったしね。
「おはようでござる! 聖女様はいらっしゃるでござるか!」
こんな変な喋りをする人物は私は1人しか知らない。それは、学校の視察で教会の放った賊に襲われた時、助けてくれた騎士の人だった。
歩く度に纏っている鎧が擦れ、キシキシと音を出していたのが印象に残っている。
流石に自分から部屋を開ける事はしないみたい。
まぁ、当たり前と言えば当たり前のこと。
だって、この部屋は聖女様の寝室を兼ねてるし、私も含めればレディ2人の部屋なのだから。
こちらが開けるのを待っているものとばかり思い、私が開けようとドアに近付いた時だった。
「失礼するでござる!」
「えっ」
ガンッという音が鳴る。
と同時に額の辺りがジンジンする。
流石に後ろに倒れるまではしなかったけど、たかがドア、もう少し優しく開けてくれればいいものの、勢いよく開けるものだから、咄嗟に反応出来なかった。
ヒドイ。母親にもぶたれたことないのに。
私は若干涙目になり、額を押さえながら目の前の大柄な人物を睨みつける。
ドアを開けた方側も、何かにぶつかった鈍い感覚があったのか、目の前の額を押さえている私と自分がドアに添えている手を数回交互に視線を送っていた。
こやつめ⋯若造の分際で私をキズモノにするなんていい度胸しているな。
もしも教会側の手先ならば、私の手で自ら引導を渡しているところ。
「あ、あなた! 急にドアを開けたら危ないじゃない!」
サーシャが私の元に駆け寄る。
「リア、大丈夫? 怪我してない?」
「ん、ちょっとジンジンするだけ」
2人してジト目で、騎士に向かって視線を送った。
突如、ガンガンッという音が聞こえてくる。
自らの額を何度も何度も床にぶつけている騎士の姿があった。
そう、土下座と言われる行為。
「も⋯申し訳ない! 本当に申し訳ない!」
ぅ⋯流石にそこまでされると許さないとかこっちが鬼だろう。
「私は、大丈夫」
その後、自己紹介をする騎士。
彼の名前は、ギルハルト・ラインツバーグ。
この王都で近衛隊を率いているリーダーの1人だ。
大きなガタイの割に、その動きはとても素早い。賊と対峙していた時も動きには眼を見張るものがあったので、只者ではないとは思っていたのだけど、話を聞くと、この王都で最強と言われている武剣八英人の1人らしい。
いつだか対峙した魔族とでもいい勝負をするかもしれない。
逆に私としては、脅威でもある。
いつ、その矛先が私の方に向くか分からないのだから。
聞くに、襲撃もあったことで、王都滞在中は聖女様であるサーシャ専属の護衛をかって出てくれたみたい。
だから、その挨拶をしに訪れたと。
でも、聖女様である前に、サーシャも一応私も年頃のレディなんだから勝手に部屋に入ってくるのは頂けないと思う。
だけど寛大な私はそれを許してあげる。あの時、賊の手からサーシャを守ってくれた事には変わりないのだから。
言いたい事だけ告げると、仰々しくお辞儀をして、去って行った。
「な、何だかすごい人だったね⋯終始圧倒されちゃったよ」
その人に対して、私の為に怒ってくれたじゃない。
「うん、でもあの人いい人だと思う。少なくとも嘘はついてない」
「そだね、嘘をつけるような人には見えなかったのは確か。根っからの武人というか、物事に対して一直線なんだね。だから何か嘘をつくとすぐに顔にでるタイプだよ絶対」
サーシャが通常口調で2人で騎士について談議していると、キャシーさんが入って来る。
「失礼します」
「入って下さい」
キャシーさんは少し疲れた様子でドアを閉めると、ハーッと深い溜息を吐いていた。
「どうしたの? キャシー」
「いえ、新しくサーシャ様の警護に来られた熊みたいな方に、この部屋に入るだけで尋問めいたものをされましたので、少し疲れました」
クスクスとサーシャは笑う。
「確かに熊のように大柄な方でしたね。先程挨拶に来られました」
「私も不審に思い、彼の事を少し調べましたが、怪しい人物ではなさそうですね。身元もハッキリしていますし、何より英雄と呼ばれている1人のようです」
「でも、そんなすごい方がなぜ私なんかの護衛をして下さるのでしょうか?」
「一つ気になる点はございます」
「気になる点?」
「はい、どうも護衛を依頼したのは教会側ではないのです。てっきり負い目を感じて教会側からの指示があったのだと思ったのですが、寧ろ教会側は必要ないと最後まで反対していたようです」
「反対、ですか⋯」
しかし、これでハッキリした事がある。
(彼は、教会側の手先じゃないみたいだね)
(うん。良かった)
サーシャもそれは理解していたみたい。
でもこれで教会側としてはサーシャの暗殺はより一層難しくなったはず。
次は一体どんな手でくるのか。
こっちもただ単に仕掛けられるのを待ってるだけじゃない。逆に、サーシャを襲ったのが教会側の指示の元だっていう確たる証拠を探し出すだけ。などと思っていると、どうやら事態に進展があったみたい。
「サーシャ様を襲った賊の正体が分かりました」
「本当ですか?」
「はい、マリア様の助力により、教会の方達は勿論ですが、警備隊の方々も寝ずにその正体を突き止めてくれたようです」
ハッキリ言って期待はしていなかった。
だけど、本当ならば私なんかが介入しなくても、この問題が自分たちの力で解決出来れば一番それが良いと。
「教会側に対立していた勢力の犯行のようです。サーシャ様を拉致して、身代金を要求するのと同時にまんまと大事な客人を奪い取られる教会の不甲斐なさを国民に見せしめ、教会という大きな組織の信用を潰してやろうと言う恐ろしい目的があったようです」
「それは、本当の事なの?」
「はい、主犯格と見られる者が遺書めいた物を残して亡くなっているのが今朝方発見されたようです」
教会に敵対していた勢力か⋯。
教会は敵。見方を変えれば、敵の敵は味方の可能性もありそう。
(その敵対勢力、少し調べて見る必要がありそう)
(そうね。でももしかしたら、これを期に教会に敵対している人達を一掃しようと、罠にはめられた可能性があるかもしれないわ)
サーシャの言う通り、ダシに使われただけだとしたら。
「キャシー、その教会に敵対している勢力の人は何処にいるの?」
「確か、一部逃亡中のようですが、何人かは拘束されたようです。今は警備隊預かりで、牢獄に収監中と聞いてます」
私はサーシャの顔を見る。
「その牢獄の場所は?」
「確か、王都の北口の近くだったと思います」
(駄猫、命令よ。今すぐその収監中の敵対勢力の場所を突き止めてきて)
(全く、猫使いが荒いご主人様にゃ)
(何か言った?)
(にゃにも言ってないにゃ!)
私に言われた通り素直に駄猫が、部屋を出て行く。ご主人様の言う事を聞くのは当たり前の事だけど。
その際、さり気なく部屋のドアを開けておいた。
見極める必要がある。
敵対している理由が、ただ単純に反発しているだけの過激集団なだけならば、別にいい。
勝手に捕まって、死刑にでもなんでもなればいい。
でももし、アンのように教会の悪どいやり方に立ち上がった者達ならば、その時は私が助けてあげる。
コンコンッと扉がノックされる。
「マリアです。サーシャ様、少しだけお時間宜しいでしょうか?」
今度はサーシャが私の顔を見る。
頷きでそれを返す。
今回の襲撃の主犯格だと言うのに、全く警備どもは役に立たない。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
マリア様の話は、先程のキャシーさんの話の続きで襲撃に関わったメンバーは、現在逃亡中の者も含めて、捕まるのは時間の問題みたい。
だから、半軟禁状態だったサーシャの外出が許可された。本当の狙いはそこにあったのかもしれない。
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