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最後の魔女93 エルスレインの魔の手2
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「国王様がお呼びだ。シルフィ様を連れて来て頂けないか」
男の兵士がアリシアへと詰め寄る。
ここ離れの後宮は、男子禁制と定められている場所という事もあり、いくら国王の命だからとズケズケと男である兵士が入る訳には行かないのだ。
「すみませんが、シルフィ様は大層お疲れのご様子で、既にご就寝されています。申し訳ありませんが明日にして頂けませんか」
女王付きのアリシアが対応を図るも兵士たちは困惑気味だった。
「いやしかし⋯どうするよ?」
「いや、国王様の命令は絶対遵守だ。迷うまでもない。アリシア殿、悪いが起こしてきては頂けないか?」
どうあってもシルフィを連れて行くようだ。
「あら、こんな夜更けに私の可愛い娘を連れ出そうと言うの?」
奥の部屋で待機していたターニャさんが痺れを切らして出てきてしまった。
「国王様の命令ですので」
「私が明日にしなさいと言っているのです。バングにそう伝えなさい」
「わ、分かりました!」
ターニャさんの剣幕に男たちは後退り、退散して行く。
「これでいいのかしらお姉様」
え、私いつからターニャさんのお姉さんになったんでしょうか。
『うふふ』って、冗談言われても私の無表情は崩せないよ。
「国王様が豹変しちゃった理由、私たちがつきとめるから。引き続き協力をお願い」
「私に出来ることならばなんなりと、お姉様」
もう何もツッコまないから。
あまり深く追求せずに協力してくれるのは有り難いけど。ううん。何故だろう、何か負に落ちない気がする。
そのまま無事に次の日の朝を迎えた。
「さて、シルフィ様、国王様の元に向かいますよ」
目の下に隈を作った兵士二名が朝一から、シルフィを迎えに来ていた。
もしかして、一睡もしていないのかな?
『私も行きましょう』とターニャさんも付き添い、私も隠れて二人について行く。
質素な離れの後宮とは一転、豪華絢爛な通路を通過し、見事なまでの調度品たちの横を通り抜け、やがて煌びやかな扉の前へと辿り着く。
扉の前には槍を構えた衛兵がおり、食い入る様にこちらの様子を伺っていた。
ターニャさんが扉の前に立っていた衛兵に軽く会釈すると、衛兵は頭を下げて扉の前から退く。
『コンコン』とノックする。
「貴方、入るわよ」
先にターニャさんが入り、続いてシルフィと、その後に隠れたままの私が入室する。
中に居たのは、玉座に座る国王が1人。その傍には、派手なドレスを着飾った女性が1人。更に怪しげに口元までフードを深く被った人物が1人。
国王の目は何だか虚で酷く疲れ切った顔をしている。
「あら、元気そうじゃない。病に伏せてるって聞いてましたが、その分ですと完治されたみたいで、安心しましたわ」
「ええ、ありがとう。これも全て私の可愛いシルが法を冒してまで更には自分の命を危険に晒してまで薬を取ってきてくれたおかげよ」
流石ターニャさん。先制ジャブを打っておけば、命令違反でも簡単には罰せることは出来ない。
「それで、お前⋯ではなくシルフィを呼んだのは、無事な姿が見たかっただけだ。1人で王国から抜け出したと聞かされた時は、酷く心配したのだぞ」
「申し訳ありませんお父様。ですが、母様の病は重篤なものでした。少しでも早く対処しなければ命の危険もありました。言いつけを破り、供もつけずに国外へ出てしまったこと謝罪致します」
シルフィは膝をつけ、頭を下げる。
やり取りを聞いてて白々しく聞こえるのは私だけだろうか?
「まぁ、無事ならば良い。もう下がっていいぞ」
どうやら何事もなく帰してくれるようだ。
しかし、踵を返して玉座の間を出ようとした時だった。
「ああ、そうそう。ターニャ。一つだけ忠告をしておくわ」
終始妖艶な笑みをしていたリステルシアが一転して鋭い眼光を向ける。
「精々安静にしていることね。全快したからと言って調子に乗ってるとまた病気が再発しちゃうかもよ。なんてね」
「ご忠告痛み要りますわ。それではお言葉通り、今暫く安静にさせて頂きますね。あぁ、そうそう。貴女こそ足元をすくわれないように気をつけた方が宜しくてよ」
バチバチと音が聞こえて来そうな程に1人は威嚇しあっている。
離れの後宮へと戻った。
「あんなに気持ち良く言い返すことが出来たのも、全てお姉様のお陰です」
確かにさ、その後の事を円滑に運ぶために相手を逆撫でしようって事前に決めたよ。
だけど、あれは少しやり過ぎじゃない? あの人、最後は鬼の形相してたよ。絶対呪い殺してやるってボソッと呟いてたし。もうどう見ても呪怨の犯人はあのリステルシアで間違いないみたい。
男の兵士がアリシアへと詰め寄る。
ここ離れの後宮は、男子禁制と定められている場所という事もあり、いくら国王の命だからとズケズケと男である兵士が入る訳には行かないのだ。
「すみませんが、シルフィ様は大層お疲れのご様子で、既にご就寝されています。申し訳ありませんが明日にして頂けませんか」
女王付きのアリシアが対応を図るも兵士たちは困惑気味だった。
「いやしかし⋯どうするよ?」
「いや、国王様の命令は絶対遵守だ。迷うまでもない。アリシア殿、悪いが起こしてきては頂けないか?」
どうあってもシルフィを連れて行くようだ。
「あら、こんな夜更けに私の可愛い娘を連れ出そうと言うの?」
奥の部屋で待機していたターニャさんが痺れを切らして出てきてしまった。
「国王様の命令ですので」
「私が明日にしなさいと言っているのです。バングにそう伝えなさい」
「わ、分かりました!」
ターニャさんの剣幕に男たちは後退り、退散して行く。
「これでいいのかしらお姉様」
え、私いつからターニャさんのお姉さんになったんでしょうか。
『うふふ』って、冗談言われても私の無表情は崩せないよ。
「国王様が豹変しちゃった理由、私たちがつきとめるから。引き続き協力をお願い」
「私に出来ることならばなんなりと、お姉様」
もう何もツッコまないから。
あまり深く追求せずに協力してくれるのは有り難いけど。ううん。何故だろう、何か負に落ちない気がする。
そのまま無事に次の日の朝を迎えた。
「さて、シルフィ様、国王様の元に向かいますよ」
目の下に隈を作った兵士二名が朝一から、シルフィを迎えに来ていた。
もしかして、一睡もしていないのかな?
『私も行きましょう』とターニャさんも付き添い、私も隠れて二人について行く。
質素な離れの後宮とは一転、豪華絢爛な通路を通過し、見事なまでの調度品たちの横を通り抜け、やがて煌びやかな扉の前へと辿り着く。
扉の前には槍を構えた衛兵がおり、食い入る様にこちらの様子を伺っていた。
ターニャさんが扉の前に立っていた衛兵に軽く会釈すると、衛兵は頭を下げて扉の前から退く。
『コンコン』とノックする。
「貴方、入るわよ」
先にターニャさんが入り、続いてシルフィと、その後に隠れたままの私が入室する。
中に居たのは、玉座に座る国王が1人。その傍には、派手なドレスを着飾った女性が1人。更に怪しげに口元までフードを深く被った人物が1人。
国王の目は何だか虚で酷く疲れ切った顔をしている。
「あら、元気そうじゃない。病に伏せてるって聞いてましたが、その分ですと完治されたみたいで、安心しましたわ」
「ええ、ありがとう。これも全て私の可愛いシルが法を冒してまで更には自分の命を危険に晒してまで薬を取ってきてくれたおかげよ」
流石ターニャさん。先制ジャブを打っておけば、命令違反でも簡単には罰せることは出来ない。
「それで、お前⋯ではなくシルフィを呼んだのは、無事な姿が見たかっただけだ。1人で王国から抜け出したと聞かされた時は、酷く心配したのだぞ」
「申し訳ありませんお父様。ですが、母様の病は重篤なものでした。少しでも早く対処しなければ命の危険もありました。言いつけを破り、供もつけずに国外へ出てしまったこと謝罪致します」
シルフィは膝をつけ、頭を下げる。
やり取りを聞いてて白々しく聞こえるのは私だけだろうか?
「まぁ、無事ならば良い。もう下がっていいぞ」
どうやら何事もなく帰してくれるようだ。
しかし、踵を返して玉座の間を出ようとした時だった。
「ああ、そうそう。ターニャ。一つだけ忠告をしておくわ」
終始妖艶な笑みをしていたリステルシアが一転して鋭い眼光を向ける。
「精々安静にしていることね。全快したからと言って調子に乗ってるとまた病気が再発しちゃうかもよ。なんてね」
「ご忠告痛み要りますわ。それではお言葉通り、今暫く安静にさせて頂きますね。あぁ、そうそう。貴女こそ足元をすくわれないように気をつけた方が宜しくてよ」
バチバチと音が聞こえて来そうな程に1人は威嚇しあっている。
離れの後宮へと戻った。
「あんなに気持ち良く言い返すことが出来たのも、全てお姉様のお陰です」
確かにさ、その後の事を円滑に運ぶために相手を逆撫でしようって事前に決めたよ。
だけど、あれは少しやり過ぎじゃない? あの人、最後は鬼の形相してたよ。絶対呪い殺してやるってボソッと呟いてたし。もうどう見ても呪怨の犯人はあのリステルシアで間違いないみたい。
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