最後の魔女

砂鳥 ケイ

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最後の魔女98 断罪の時1

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ここは、バラム王国王城玉座の間。
 この場所には、国王であるバング。第2王妃エルスレイン。黒フードを被ったリリベル。第1王妃ターニャ。王女シルフィ。神殿騎士隊長ガーランド。宰相ロンドベル。私は姿を隠して観察中。

 これから執り行うは、ターニャさんの処刑宣告。

「ターニャよ。何故この場所に呼ばれたか分かっておるな」
「いえ、分かりません。理由をお聞かせ頂いても?」
「白々しいわね。貴女は大罪を犯しているのよ。まさかバレてないとでも思ったのかしら」

 ドヤ顔のエルスレインに対して、バングはいつも通りの正気を感じない無表情だった。

「一体何のことを言われているのでしょうか?」
「お前は、私の⋯私のエルスレインに対して、呪われた儀式を行い、あまつさえその命を奪おうと策略しておったと報告が挙がっているのだ」

 ターニャさんは驚愕な表情をし、その視線はエルスレインの方を向いていた。
 今、国王様一瞬言うのを躊躇わなかった? まぁ、嘘でも言いたくはないのは分かるけどさ。

「貴女、はかったわね! 呪怨を仕掛けて私を殺そうとしたのは貴女じゃない!」
「何を言っているのか分からないわ。呪怨? 何のことかしら」

 神殿騎士隊長のガーランドが前に出る。

「我等騎士隊がここ西棟の地下四階にそれらしい儀式を行おうとした痕跡を発見したんだ。そこからターニャ様。貴女のものと思われる品を幾つか押収している。言い逃れは出来ない」
「う、嘘です! バ⋯国王様信じて下さいませ! そもそも私めにそのような知識は御座いません」

 ターニャさんは迫真の演技でエルスレインを睨み付ける。それを余裕の笑みでニヤリと笑みを浮かべ返す。

「証拠は揃っているのだ。宰相よ。王族の暗殺未遂の刑を述べよ」

 宰相ロンドベルは如何にもな書類を懐から取り出すと、読み上げる。

「王国法第21刑法。王族を殺害未遂及びそれらに準ずる行為を行った場合、裁判の必要なく即刻処刑。よって、罪人第1王妃ターニャを斬首刑に処するものとする」
「そういう事だ。ちなみにシルフィもこの件に加担していると報告が挙がっておる。先刻国を抜け出したのもターニャの病を治す為ではなく、呪いの儀式に必要な物を調達していたのだろう。よって、罪人ターニャ並びにシルフィを早急に斬首刑を執行することとする」

 ターニャさんは、その場に崩れ落ち涙を溢す。

「せめて、娘だけでも⋯娘だけでも寛大な処置をお願いします国王様⋯」

 その願いに国王様はエルスレインへと視線を送る。
 エルスレインは一層その口元を歪めまるで汚い物でも見るような侮蔑な眼差しをターニャへと送る。

「アッハッハ、いい気味ね。助ける訳ないじゃない。あんたは悪いことをしたから処刑されるの。娘も同罪。精々死後の世界でその罪を悔い改めるのね」
「エルスレイン、どうしてこんな酷いことをするの⋯私が一体何をしたって言うの」
「王族のアンタ達には分からないでしょうね。今まで酷い扱いを受けて来た私の気持ちなんて。でもそうね、流石に惨めに思えて来たわ。いいわ、私に跪き土下座して懇願なさい。そうすれば娘のことは助けてあげてもいいわよ」

 ターニャさんは、迷うことなくすぐに言われた通りに跪き、頭を下げる。

「エルスレイン⋯様、どうか娘の命だけはお助け下さい。ご慈悲を、どうか──」

 そんなターニャの頭を踏みつける。

 その姿を見たバングは何とか表情は変えずとも拳に力を入れてグッと堪える。

「アハハハッ、傑作ね。まさか貴女が私に土下座する時が来るなんてね。幻惑・・って凄いのね、見直したわルルベル」

玉座の間の空気が変わる。

「⋯⋯貴女は終わりよ」

「は? 終わりなのはアンタの方でしょ。当然、娘を助けるなんて嘘よ。ねぇ、国王様」

 バングに同意を求める。

「そうだな。ガーランドよ、すぐに其奴を捕らえろ!」

 その言葉は、当然ターニャに向けられたものだと思っていた。エルスレインただ1人は。

「ちょっと、どういうことよ! 捕まえるのは私じゃなくて、この女でしょ!」

 意味が分からないと暴れ回るエルスレインにターニャは起き上がると、その頬に『パチンッ』と平手打ちをかました。

 ざわついていた広間が一瞬、静かになる。

「よくも今まで皆を騙してくれたわね。私は貴女のした事を絶対に許さない」

 ルルベルが黒フードを外し、両手を天へと上げる。

「ちょっと、リリベル、アンタ私を裏切るつもりなの! 分かってるの? 妹ちゃんがどうなっても」

 これまで静観を決めていたシルフィが口を開く。

「納屋の中で妹さんを見つけたの。もう既に息はなかったわ。貴女は最初から約束を守るつもりもなかったのよ」

 エルスレインは青い顔をし、暴れていた手足を止めた。
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