107 / 110
最後の魔女106 古ぼけた古屋
しおりを挟む
次の日の朝、私はアリエラから聞いた話を2人に説明する。
「私といると危険。だからこれからは別行動を取りましょう」
本格的に魔族に狙われるということは、一緒にいる二人にも当然のことながら危険が及ぶ。仲間になったばかりのリリベルには本当に悪いと思う。安住の地を見つけてあげるまでは一緒に旅をしたかった。だけど、こうなってしまっては仕方がない。命には変えられないのだから。
「何を言っているのですか? お姉様を危険からお守りするのは妹である私の役目ですよ」
「今の私があるのはリアさんのおかげなんです。そのリアさんが危険だと言うのなら、私はこの命を賭しでもお役に立ちたいです。私に出来ることは少ないかもしれませんが⋯」
リグはリリベルの背中をバシバシ叩く。
「良く言ったわ。それでこそ私の妹分ね!」
「い、痛いです、リグさん⋯」
魔族という強大な相手に目を付けられてるのに、2人は巻き込まれるのを覚悟で私から離れない。
お人好しね⋯まったくもう⋯。
「大丈夫ですよ、魔族なんて私とお姉様がいれば相手にならないです」
「微力ながら私も頑張ります」
こんな時になんと言えばいいのか分からず、2人を両手でそっと抱き寄せて頭を撫でる。
「ありがと」
私を敵とみなした以上、今後魔族に対しては容赦しない。慈悲を見せればやられるのは、こちらなのだから。
鉱山都市トレランスを離れ3日が経過していた。
私たちはある場所を目指して進んでいる。マイ馬車を引くのは、眷属のバッカス。その荷台には、大人の姿のリグ、リリベルに眷属である魔導兵器のシェリちゃん。
国境の検問が煩わしいから敢えて遠回りで過酷な道を進んでいた。
目指すは精霊の森と呼ばれる神聖なる場所。
以前に一度だけ訪れたことがあるのだけど、その際、仲良くなった精霊王様より「困った時はなんでも相談すると良いぞ」と言われていたので、今がまさにその時なのだ。
「リア様。上空にモンスターの反応です。数は2匹。退治しますか?」
「お願い」
普段誰も通らないのはモンスターが出る為でもあるのだけど、流石にここらは多く生息しているようだ。
先程から、ひっきりなしにモンスターと遭遇する。私は見ているだけで主にリグが動いてくれているんだけどね。
ゴツゴツとした荒野地帯を抜け、舗装されてない草ボーボーの道を新規開拓しながら進んでいく。
私の記憶が正しければもうそろそろ目印である鳥居が見えて来るはず。
鳥居とは昔から神聖な物とされ、神の住まう場所との比喩にもされていた。そんな鳥居が精霊の森の入り口になっていた。
「お姉様、もしかしてあれがそうじゃないですか?」
リグの指差す先には、確かに鳥居の形らしき物が見える。
以前見た時は、神々しいまでに赤く光り輝いていた記憶があったんだけど⋯。どうみても朽ちてるよねあれ。
何があったんだろう。もしかして、入口の場所が変わっちゃったのかな?
馬車から降りて辺りを散策する。
鳥居からは神聖な気を感じることが出来ないので、やはりここはもう精霊の森の入口ではないのだろう。
私がここに立ち寄ったのは、かれこれ半世紀以上前だからね。
手っ取り早いのは、精霊さんに聞いてみることだけど、周りにはその姿は見えない。
こんなことなら、鉱山都市トレランスに居た精霊に話を聞いておけば良かったよ。
「どうやらここはもう入口じゃないみたい」
途方に暮れていると、辺りを散策していたリリベルが戻って来る。
「それらしいものは発見出来ませんでしたけど、古ぼけた古屋を見つけましたよ」
その場所へと皆で足を運ぶ。
確かに廃屋みたいな外見をした古屋だった。それを見た瞬間、何故だか懐かしいと言う感情が湧いてくる。自分でも何故そんな感情が芽生えたのか理解出来ない。
警戒することなくリグがズケズケと中へと入って行くので、その後を追う。
外とは違い中は意外と綺麗に整えられており、最近まで誰かが生活していたのか至る所にその痕跡が垣間見える。
「最近まで誰かが住んでいたんですかね」
整理整頓が行き届いている室内に、埃の溜まっていない家具や床。何かが腐ったような変な匂いもしないのだから、リリベルがそう捉えるのも無理はない。だけど、私は決定的な違和感を覚えていた。
それは、この小屋の中は魔法の力が働いていたのだ。部屋が綺麗なのは、汚れない魔法が掛けられているからだった。
一体、どれ程前に施された魔法なのかは分からないけど、決定的なのは、魔法は術者が死ねばその効果は消えてしまうということ。
つまりは、この小屋の住人かは分からないけど、魔法を施した人物はまだ生きている。
私以外にも魔女が生きてるってこと?
はぁ、、でもぬか喜びはしたくない。もしかしたら、またあの魔技使いって呼ばれている人かもしれないのだから。
「お姉様、ボーッとされてますけど、大丈夫ですか?」
自分で言うのも何だけど、私は大抵いつもボーッとしてると自覚してるんだけど、リグは相変わらず鋭い。
「私といると危険。だからこれからは別行動を取りましょう」
本格的に魔族に狙われるということは、一緒にいる二人にも当然のことながら危険が及ぶ。仲間になったばかりのリリベルには本当に悪いと思う。安住の地を見つけてあげるまでは一緒に旅をしたかった。だけど、こうなってしまっては仕方がない。命には変えられないのだから。
「何を言っているのですか? お姉様を危険からお守りするのは妹である私の役目ですよ」
「今の私があるのはリアさんのおかげなんです。そのリアさんが危険だと言うのなら、私はこの命を賭しでもお役に立ちたいです。私に出来ることは少ないかもしれませんが⋯」
リグはリリベルの背中をバシバシ叩く。
「良く言ったわ。それでこそ私の妹分ね!」
「い、痛いです、リグさん⋯」
魔族という強大な相手に目を付けられてるのに、2人は巻き込まれるのを覚悟で私から離れない。
お人好しね⋯まったくもう⋯。
「大丈夫ですよ、魔族なんて私とお姉様がいれば相手にならないです」
「微力ながら私も頑張ります」
こんな時になんと言えばいいのか分からず、2人を両手でそっと抱き寄せて頭を撫でる。
「ありがと」
私を敵とみなした以上、今後魔族に対しては容赦しない。慈悲を見せればやられるのは、こちらなのだから。
鉱山都市トレランスを離れ3日が経過していた。
私たちはある場所を目指して進んでいる。マイ馬車を引くのは、眷属のバッカス。その荷台には、大人の姿のリグ、リリベルに眷属である魔導兵器のシェリちゃん。
国境の検問が煩わしいから敢えて遠回りで過酷な道を進んでいた。
目指すは精霊の森と呼ばれる神聖なる場所。
以前に一度だけ訪れたことがあるのだけど、その際、仲良くなった精霊王様より「困った時はなんでも相談すると良いぞ」と言われていたので、今がまさにその時なのだ。
「リア様。上空にモンスターの反応です。数は2匹。退治しますか?」
「お願い」
普段誰も通らないのはモンスターが出る為でもあるのだけど、流石にここらは多く生息しているようだ。
先程から、ひっきりなしにモンスターと遭遇する。私は見ているだけで主にリグが動いてくれているんだけどね。
ゴツゴツとした荒野地帯を抜け、舗装されてない草ボーボーの道を新規開拓しながら進んでいく。
私の記憶が正しければもうそろそろ目印である鳥居が見えて来るはず。
鳥居とは昔から神聖な物とされ、神の住まう場所との比喩にもされていた。そんな鳥居が精霊の森の入り口になっていた。
「お姉様、もしかしてあれがそうじゃないですか?」
リグの指差す先には、確かに鳥居の形らしき物が見える。
以前見た時は、神々しいまでに赤く光り輝いていた記憶があったんだけど⋯。どうみても朽ちてるよねあれ。
何があったんだろう。もしかして、入口の場所が変わっちゃったのかな?
馬車から降りて辺りを散策する。
鳥居からは神聖な気を感じることが出来ないので、やはりここはもう精霊の森の入口ではないのだろう。
私がここに立ち寄ったのは、かれこれ半世紀以上前だからね。
手っ取り早いのは、精霊さんに聞いてみることだけど、周りにはその姿は見えない。
こんなことなら、鉱山都市トレランスに居た精霊に話を聞いておけば良かったよ。
「どうやらここはもう入口じゃないみたい」
途方に暮れていると、辺りを散策していたリリベルが戻って来る。
「それらしいものは発見出来ませんでしたけど、古ぼけた古屋を見つけましたよ」
その場所へと皆で足を運ぶ。
確かに廃屋みたいな外見をした古屋だった。それを見た瞬間、何故だか懐かしいと言う感情が湧いてくる。自分でも何故そんな感情が芽生えたのか理解出来ない。
警戒することなくリグがズケズケと中へと入って行くので、その後を追う。
外とは違い中は意外と綺麗に整えられており、最近まで誰かが生活していたのか至る所にその痕跡が垣間見える。
「最近まで誰かが住んでいたんですかね」
整理整頓が行き届いている室内に、埃の溜まっていない家具や床。何かが腐ったような変な匂いもしないのだから、リリベルがそう捉えるのも無理はない。だけど、私は決定的な違和感を覚えていた。
それは、この小屋の中は魔法の力が働いていたのだ。部屋が綺麗なのは、汚れない魔法が掛けられているからだった。
一体、どれ程前に施された魔法なのかは分からないけど、決定的なのは、魔法は術者が死ねばその効果は消えてしまうということ。
つまりは、この小屋の住人かは分からないけど、魔法を施した人物はまだ生きている。
私以外にも魔女が生きてるってこと?
はぁ、、でもぬか喜びはしたくない。もしかしたら、またあの魔技使いって呼ばれている人かもしれないのだから。
「お姉様、ボーッとされてますけど、大丈夫ですか?」
自分で言うのも何だけど、私は大抵いつもボーッとしてると自覚してるんだけど、リグは相変わらず鋭い。
0
あなたにおすすめの小説
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる