最後の魔女

砂鳥 ケイ

文字の大きさ
106 / 110

最後の魔女105 円卓会議

しおりを挟む
ここは、魔界と呼ばれる魔族の住む大地。
 その中央に一際大きな城が聳え立っていた。

「これより軍議を開始させて頂きます」

 魔城の一室にて、今まさに円卓軍議が開催されていた。
 この場に集いしは、魔王の息子、元老院と呼ばれるビャッコ、セイリュウ、ゲンブ、スザクと魔王軍最高司令官ザラメシア、魔王補佐のラザラスの六人だ。
 軍議を取り仕切っているのは、魔王補佐のラザラスだ。

「本日皆様方にお集まりいただいたのは、最近発生した特異点・・・に関してです。既に情報を掴んでおられる方もいらっしゃると思いますが、この場では現状知り得ている情報の共有と問題解決に向けて奇譚のない意見を述べて頂ければと思います」

 今回は緊急の招集ということもあり、事前に内容の説明を受けていない彼等だったが、特段驚いた様子をしている者は誰もいなかった。そもそもが、本来魔族である彼等はあまり人族のことを気に掛けたりしない。人族を劣等種扱いしている彼等魔族は、人族が何をしようと関係なく。邪魔ならば排除すればいい程度にしか考えていなかった。
 しかし、その範囲に収まらない事態を彼等は特異点と呼び特別な存在として警戒していた。

「そういえば部下たちが何やら騒いでいたな。高位悪魔が次々に始末されてる件だろう?」

 ビャッコの部下は悪魔退治を担当している事もあり、常に悪魔の動向を監視していた。人族と違い、魔族にとっては悪魔は脅威と捉えていた。

「そうです。皆様もご存知でしょうが、高位悪魔は我々と同じく相応の実力を有しています。それがここ数ヶ月に二体が殺され、一体が離反したと情報を掴んでいます」
「ほぉ、それは面白いな。高位悪魔と言えど上と下ではその実力は雲泥の差だが、久し振りに楽しめるかもしれんな。デススリンガー」

 ゲンブは、何でも力で解決してきた脳筋であり、四天王一喧嘩っ早いと言われている。ゲンブの愛刀デススリンガーは、知能ある武具インテリジェンスウェポンと呼ばれ持ち主と意思を交すことが出来ると言われていた。

「発言いいか?」

 手を挙げているのは魔王軍最高司令官のザラメシア。

「魔王軍第九師団に所属していたラース兄弟が企てた騒動があったと思う」
「あぁ、名誉欲しさに勝手に地界に渡り挙句の果てに転移門を破壊されるなどと言う失態を冒した若造か」
「えぇ、その者には結局逃げられてしまったが、その時の目撃情報から、その者の正体はあの絶滅した魔女である可能性が浮上したのだ。そして事前にラザラス殿と調査をした結果、特異点はその魔女で間違いないと結論を出した」

 大きな音がしたかと思えば、円卓の席を叩きつけたゲンブの仕業だった。強固に作られたテーブルだったが、辛うじて原型は留めているものの亀裂が走り今にも崩れそうになっていた。

「あの忌々しい魔女の生き残りがいたと?」

 約九十年前の前対戦の立役者として知られている魔女は、魔族の王である魔王を封印する事態に貶めたとして怨まれていた。

「一人一人の力は大したことはない。だが、それが複数合わされば我々とて油断は出来ん。前対戦の敗因は、人族ではなく魔女共を舐め切っていたことだ。まだ若い魔王様の暴走が原因もあるがな」

 これまで黙りを決め込んでいたスザクがその口を開く。

「相手が魔女一人なのだとすれば、我々の認識にある魔女とは別物だと思った方がいいだろう」

いくら魔女を警戒しているとは言え、たった一人の魔女如きが何かを成せるとは思っていなかったが、特異点と認定されたのは、ただの魔女ではないと判断されたからだ。

「特異点に仲間がいるのかどうかは現在調査中です」
「魔族の我等が舐められたままだと示しがつかん。すぐに排除に動くべきだ!」

 暫し円卓会議がヒートアップし、場が騒然とする。
 シリュウがそれをまとめ、今回の軍議で決定したことは⋯

 特異点の現在の居場所を把握し、常に監視下に置く。協力者がいれば全て洗い出し早急に全員を抹殺する。この任には魔王軍の幹部以上最低でも二人以上で事にあたると決定した。

「ビャッコ。悪魔どもの動向も把握しておけよ。父上復活・・のこのタイミングであまり対立したくはないからな」
「御意」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(リアさまー!)

 誰もが寝静まった頃、何処からともなく念話が届き、目を覚ました。

 私の右腕は、リグにガッチリとホールドされている。左に目を向けるとリリベルの顔が間近に迫っていた。

 うーん。解せぬ。
 広いベッドなのに、なんでいつも二人は私に寄ってくるのさ。

(大変大変だよー!)

 そいいえば、念話が来てたんだった。
 念話の相手は、魔界にスパイとして残ってもらったアリエラからだった。

(もしかして魔王でも復活したの?)
(違う違う、もっと大変なんだよ!)

 魔王復活よりも大変なことって何だろう。ついに魔王軍が地界に攻めて来るとか?

(リアさまの存在がバレたよ!)

 その後詳しくアリエラの話を聞くに、最近の私の行動が魔族たちの目に留まり、その存在が疎ましくなり、私を討つという動きになっているようだ。
 魔界に行って暴れたことに激怒しているみたい。あの時は、仮面をつけたりして身元を隠していたつもりだったけど、甘かったかなぁ。これから私の居場所を知るべく魔界から魔族が派遣されるようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

三年目の離婚から始まる二度目の人生

あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。 三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。 理由はただ一つ。 “飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。 女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。 店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。 だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。 (あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……) そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。 これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。 今度こそ、自分の人生を選び取るために。 ーーー 不定期更新になります。 全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇

処理中です...