暗殺ギルドのリザレクター

心絵マシテ

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新世界での冒険

栄枯盛衰という名の詭弁 4

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 AI女神mEq……その容姿は極めて神秘的だ。
 パラボードで調べない限り、彼女がデータ上の存在であることは誰にも見抜けないかもしれない。
 未成年、または成人でも通用する美貌を持つ彼女であるが所詮は創造の産物だ。
 本人にとっては見た目など意味を成さないし、それを主張することもない。

 どれだけ魅力的でも、精巧なアバター……それ以上の意味は持たず、却って清々しく思えてくる。
 よく美人は近寄りがたい雰囲気があると言われるが、それに似たものであるのだろうか?
 近くにいても気軽に声をかけられる気がしない。

 いずれにせよ、プレイヤーでない彼女とやり取りできるのは、ここ女神の間とパラボードを介した通信のみである。

「それでは、再度アルムハザードへと転送します。
準備は宜しいでしょうか?」

 mEqメックの問いに思わず待ったをかけた。
 このまま戻されても先程の二の舞である。
 せめて、戦闘開始前の状態に戻してもらえないかと尋ねてみた。

 mEqは戸惑うような素振りを見せながら「回答まで少々、お待ちください」と短く返してきた。
 特に時間がかかることもなく数秒後、意外なカタチで返答が返ってきた。

「確認したところチュートリアルで全滅したプレイヤーは、O-kid様を含め三名います。
ですが、他二人はリトライで無事チュートリアルを終了しているとのこと。
なので、なんら問題なくゲームを進行できるとワタクシ共、DYNASは判断いたします」

「待ってくれって、せめて武器だけでもちゃんとした物を用意して欲しい。
あんな手旗でモンスターと戦えなんて無理ゲーもいいところだよ」

「分かりました、武器の変更を許可します」

「良かったぁ、今度はを頼みます。
因みにどうして、クレリックの武器が手旗なの?」

 その質問に答えは無かった。
 はよ行けと言わんばかり、mEqによって僕はアルムハザードへと送られていた。
 当然ながら前回同様、絶体絶命のど真ん中……ファンシーなお友達に包囲されながら冒険は再開された。

「またか……けど、今度は勝手が違うぞ。この新武器で貴様らをケチらせてやる」

 すでにトラウマになりつつあるワンシーンに身構えながら僕は武器を装備した。
 パラボードに表示されたのは【NO EQUIPMENT】
 ようは装備がないとのこと。

 どうやらケチがついたのは、ビックリ箱ではなく僕の方みたいだ。
 こうなると、乾いた笑いしかでてこない。
 接近してくる狂暴な丸顔を眺めながら、三度目の正直は嘘で終わった。

 ――――って、あれ?

 パン!と何かがはぜる音がした。
 閉じてかけていた細目を開くと、何故か僕の周りにビックリ箱の残骸が転がっていた。
 確かに僕はモンスターの総攻撃を受ける寸前だった。
 しかし、どういうわけか今回は無傷だ。

 あらためて周囲を確認しようとしたところ、自分の周りにだけ日陰ができていた。
 バッと素早く、背後を振り向くと開いた口が塞がらなくなるほどの絶望がそこにあった。

 全長、十メートル以上はある岩石の巨人が僕の真後ろにいた。
 疑う余地もなくビックリ箱たちは、この魔物により破壊されたのだ。

 凄まじくショッキングな出来事に僕は尻餅をついたまま、後ずさりすることぐらいしかできなかった。

 次は、僕の番だ……。
 いつ動き出すのかも分からない岩石の巨人に心底怯えながらも覚悟を決めた。
 岩でおおわれた巨人の顔はまるでアニメのロボットのような造形をしている。

 その体躯により動きが鈍いのならまだしも、ビックリ箱が瞬殺されたことを考慮すると、遠距離からの攻撃ができると推測が立つ。
 したがって、いかにこの場から逃げ出しても確実に被弾する羽目になる。

 このアルムハザードの大地に安息の場所など一つもない。

「目からだろうが手からだろうが、ビーム砲でも撃ってこいや!」

『チュートリアルはクリア済みです。
このまま近隣の祠へと移動してください』


 mEqの声がパラバードから聞こえると、スクリーンに一瞬だけ祠のマップが表示された。
 同時に眩しい閃光が空を駆け抜けてゆく。
 悪夢の始まりだった。
 凶悪な熱量を放出する閃光が高地となっているアルムハザードの大地を消し飛ばしてしまった。
 一部とはいえ……山一つなくなるほどの破壊力だ。
 笑えない光景に、膝がガクガクと震えている。

 ビーム砲を撃った犯人はどう考えても岩石のゴーレムしかいない。
 というか、胸元から白煙が立ち込めている。

「うん?」チュートリアルをクリアしたアナウンスを受け、僕は首を傾げた。
 そうなると、今ここにいるゴーレムはモンスターではないことになる。

「まさかと思うけど……片膝をついてみせろ」

 一応命令を出してみたが、僕の声が虚しく響き渡るだけで動く気配はまったくなかった。
 無理やり厨二病みたいな独り言を言わされた感が強く、生きているのが辛くなってきた。
 せめて動いてくれたら救いはまだあったのかもしれない……。
 微動だにしないとなると、どうしてさっきはビーム砲を発射したのか?
 理屈が分からず謎は深まる一方だった。
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