追放神官とケモミミ探偵

心絵マシテ

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一章 神官とケモ耳娘

12話 華麗なる縦走劇

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 ラグース氏の勧めで登山に必要な装備を整えた。
 登山初心者である私は完全に山を舐めくっていた。
 あのまま、山に向かっていたら遭難確定だったであろう。
 そのあたりを含め、ラグース氏に厳しく注意されてしまった。

 とにかくこれで、準備万端だ。
 護衛をつとめてくれるラグース氏を先頭に、キィーナ、私の順で隊列を組む。
 どんな荒地でも機敏に動けるキィーナよりも体力がない自分の方が不安だった。
 聞けば、高山病という病もあるというではないか……。
 ウィルスに感染しないようにマスクを準備しようとしたが「ヤメテおけ」の一言で却下されてしまった。

 登頂を開始すると案の定、私以外の二人がスイスイと傾斜を登ってゆく。
 負けじと私も後に続くが、日頃の運動不足がたたり早くも足がパンパンになってきた。

「ディ、平気?」

 早くも、キィーナに心配されてしまった。
 もし、二人が私のペースに合わせてくれなければ、確実に千切れる自信はある。

 ――――嫌だ、もう帰りたい。

 などと内心では叫んでいるが、そこはオトナだ。
 キィーナに格好悪いところなんか見せられないと、グッとこらえた。

 ほどなくして、平坦な場所に出た。

「休憩だ。10分したら、また移動するぞ」

 息を切られながら、その場にへたり込む私。

「あと、どれくらいで……頂上ですか?」

 何度も耳にしたそのフレーズに辟易へきえきしたのか?
「聞きたいか?」と呟くラグース氏の視線が冷たく感じる。

 こんな時に肉体を強化する魔法でも使えれば、楽になると思うかもしれない、
 しかし、その考えは甘い。
 苦なくして楽はないとはよく言ったものだ。
 魔法の効力がきれた途端、地獄のような筋肉痛が全身を襲ってくるという。
 そんな、凶悪な魔法を私が習得するわけがない。

「そろそろ行くぞ。日が高いうちに登らないと山小屋に辿り着けないぞ」

「やまごや………………?? つかぬ事をうかがいますが、今日中に終わらないんですか?」

「終わるわけないだろう。ここいらの山の標高が低いとはいえ、峰と峰が連なっているんだ縦走する覚悟が必要だ」

 縦走というパワーワードが私の五臓六腑ごぞうろっぷをイジメようとしていた。
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