追放神官とケモミミ探偵

心絵マシテ

文字の大きさ
78 / 100
四章、贖罪の系譜

77話 二律背反の素顔

しおりを挟む
 一呼吸、置くと私はシスターと向き合った。

 彼女が、この学院に赴任ふにんしていることは事実だ。
 昨晩、グランデル司祭から確認をとったし、この街の住人からも証言を得ている。

 、マルグレーテの役割が教職員として与えられたモノなのか?
 疑問を抱くと、はやり彼女から粗が見えてきた。

 仮定の話だが、このシスターはアニエスちゃんの監視役として教会が派遣していた人材ではなかろうか?
 私はすでに、そう睨んでいた。

「もう少し、アニエスちゃんが所属していたという楽団について聞かせてくれません?」

「えっ…………と、そのですね。私も噂程度でしか聞いていないので、詳しいことは……ね」

「これでも話せませんか?」

 目が泳ぎ始めているマルグレーテに、私は公認書を突きつけたみせた。

「はぁっ―――」

 重い溜息をつきながら首を垂れる。マルグレーテは完全に落胆していた。
 彼女が本物のシスターならば、この契約にもとづき嫌でも私たちに協力しなければならない。

「そういう事だから、質問に答えてくれないかな」

「なん――――ってことですかぁああ? 権威ある教会がこともあろうか……私を無視して、聖女様のお手をわずらわせるなんて! 許せません、断固抗議します」

「シスター……勢いで誤魔化そうとしても無駄です」

「申し訳ございません! これも私の不徳の致すところ、信仰心が足りないばかりに父が私に試練を課したのでしょう」

 一人で取り乱す彼女にコチラの言葉は通じなかった。
 思いのほか、信仰が厚い……いや、熱い。
 マシンガントークで謝罪を続けるマルグレーテ、終いには泣き叫ぶ始末だった。

 本気だろうが嘘だろうが、これ以上は付き合いきれない。

「答えられないようなら、いいです。聞きますから」

「ふぇぇえ――――ん? ダメですよ。あんな男に頼る必要などありませんからぁぁあ!!」

 真後ろにいる生徒たちがシスターの豹変ぶりにドン引きしていた。
 彼のことを臭わせた途端、急に真顔になった。

「じゃあ、教えてくれるよね?」

 そう言いながら、私が肩をたたくと彼女の細い眉がつり上がった。
 内心は不本意なのだろう。
 ようやく観念すると、楽団について渋々話しを切りだした。

「パレーブランケットという楽団です。
なんでも【ろっく】とかいうハチャメチャで先鋭的な音楽活動をしている団体だそうです。
アニエス様は、その楽団に異様なまでの関心を寄せていらっしゃいました」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

処理中です...