追放神官とケモミミ探偵

心絵マシテ

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四章、贖罪の系譜

81話 音楽祭の真相

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「だからそれは――――そっか、そういうことなのね」

 ここまで来ると、察しの良い彼女は私たちの意図に気づいた。
 トニー楽器店で事件のことを話す理由など他にはない。
 決定打となる証拠を店主が所持しているからだ。

 例えば、どの楽器をどのような理由で修理に出したとか記録として残している。
 彼女に扮したサラが行方不明になった後。
 わざわざ、リスクを冒してまでフルートを回収しなければならなかったのは、よほどの理由があるはずだ。

「アニエスちゃんのフルートに彼女自身の指紋がなければおかしい。
サラさんの指紋が多くあるのも不自然だ。
最初は、その程度のことかとおもってました。
でも……違うんですよね? 店主さん」

 キィーナが声をかけると書類を片手に店主が二階へと上がってきた。

「すまないね、アニエスちゃん。
教会からの書面を見せられてはワシも断ることができないんだよ」

 頭を下げる店主に、彼女は何も答えなかった。

 渡された修理内容の報告書に目を通すと早速キィーナが言及した。

「ここにはフルート本体の凹み直すために類似パーツを用意した。
そう記載されています。
クシュルティナの音楽祭当日、貴女たちとバンドメンバーにどのようなアクシデントが起きたのか?
詳しくは話してくれませんか、アニエスちゃん」

「ずっと、この髪の癖が気になって仕方なかった。
それでもガマンしてサラとして振る舞っていたのに……こんなカタチで終わるのね」

 おもむろに眼鏡を外し、ウイッグを取るとメリーゴーランドの少女の面影が見えてきた。

「これで満足かしら? 小さな探偵さん。
貴女が推理したように私がアニエス・ロワよ。
それで……あなたたちも教会の関係者なんだよね?
教会の人なら、どうして私のことをさぐるのかしら?
お爺様がそうはさせないはずよ」

「依頼主はそのお爺様です。
私は探偵の試験の実地として今回、貴女の捜索を依頼されたのです。
正確にはサラさんのですけど……彼女が今、どこにいるのか、アニエスさんは知っていますよね?」

 事件の真相解明もいよいよ佳境に入った。
 あとはアニエスちゃんの口から音楽祭での真相が告げられるだけだ。
 しかしながら、ことの真相は私が想像してよりも、ずっと過酷な現実だった。

「サラなら治療院にいるわ。
音楽祭で野外演奏をやったあの日、私たちの楽団は警吏隊に襲われた。
取り締まりとは名ばかりで、実際は暴行をくわえて強制連行してゆく悪質極まりないものだった。
サラはね……私なんかを庇ったばかりに連中の一人に殴られ頭を強く打ってしまったのよ。
もう二週間以上絶つのに、未だに眠ったまま目覚めないわ」

 そろそろか……キィーナの推理を見届けた私は、ゆっくりと席を立った。
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