追放神官とケモミミ探偵

心絵マシテ

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四章、贖罪の系譜

80話 歌わないカナリア

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 サラとアニエスの秘密、それは二人の関係にある。
 シスター同様、サラもまた教会が手配した人材である。

 二人のはつい最近始まったことではない。
 アニエスがこの街にやってきた時から彼女はサラを名乗っていた。

 道理でグランデル司祭の反応が鈍いわけだ。
 私に相談を持ちかけるタイミングも遅いし、捜索をキィーナの試験課題として出すもの不自然極まりなかった。
 要するに行方が分からなくなったサラ・ビナーゼを自分の孫として捜させたわけだ。
 当然、依頼を出せる相手も限定される。

 司祭が見せたアニエスの写真は幼少の頃のモノであり、それだけで彼女の正体を見抜くことできなかった。

 私やキィーナが疑いを持ったのは、応接室でのサラ(アニエス)の発言キッカケだ。
 もし、彼女が初めから自身の素性を下手に隠そうとしなければ分からなかったかもしれない。バイオリニストであることを隠すため、自分もフルート奏者のような言い回しをしてきた。
 キィーナが彼女の指先についた弦の痕に気づかなければ、誤解してしまうところだった。

 そもそも、吹奏楽部に所属しているのはアニエス(サラ)だけである。
 さらにがバイオリンを得意としていたことは楽器店の店主が証言していた。

 私たちがをかけたことで彼はうっかり口を滑らせていた。
 このことから、少なくとも店主は二人の関係性を把握している。

「……冗談にしては笑えない話ですね。
私がアニエスさんである証拠があるでしょうか?」

 サラの目つきが鋭くなった。
 しかし、彼女の声は若干震えていた。

「証拠ならあります!」

 負けじとキィーナが声を張り上げた。
 そう……サラ(アニエス)は重大なミスを犯していた。
 本来なら廃棄するべきだったフルートを修理に出してしまった。
 そこから足がつくとも知らずに、証拠を残してしまっていた。

「どうして貴女がアニエスさんのフルートを修理に出したのですか?
サラさんはバイオリニストですよね?」

「それは……彼女に頼まれていたからよ」

「彼女が行方不明になった後に? どうやって受け取ったのですか?」

「その前から渡されていたのよ!」

 サラの語気が強くなってきた。
 だが、いくら誤魔化そうとしても正当化できない理由がある。

「貴女が修理で出した楽器はシュラーゼ音楽院が管理している物です。
調べたところ、アニエスさんが行方不明になった直後、そのフルートは学院で保管されていた記録が残っています。
つまり、彼女が貴女に楽器の修理を依頼したという話はウソになります!」
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