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天上へ続く箱庭
慈母アリシア
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琥珀色をした二匹の蝶々。
手のひらに載せてみると息を吹き返したように飴細工のような羽を上下させ、ヒラヒラと舞いながら私をここから連れ出そうとする。
結局、彼らは何者なのか? 慌ただしさに気を取られ過ぎて問うのも失念していた。
不服ではない言えばウソになるが、コチラとしては終わってしまったことを気するほど余裕は元より持ち合わせていない。
そう、ここに迷い込んでからどれほどの時間が経過したのか? 時計もない、スマホも起動できない、現状では知ることも叶わない。
腹時計で大体を探るって方法もあるが、普段から長時間何も口にしなくとも平気で活動できるように訓練された私の時計では、正確無比など飛んでもない話だ。
ツガイなのか? 二匹は互いに螺旋を描きつつも交わっては離れるを繰り返している。
軌跡として飛び散る鱗粉、空間という無色透明なキャンバスに描かれた図形がどのような意味を持つのか私は知っている。
けど、それが何だと言うのだ!
今は蝶に導かれ、外に脱出するだけだ……ほら、あのカーテン状に広がる靄の向こうに緑が見える。
「あがっ! うわわわわわっ――」
脱出した直後、足がもつれた私は、勢いあまって地面を転げ回ってしまった。
一体、私が何をしたというのだ? そんな台詞が頭をよぎる以前に周囲の様子に絶句していた。
無事、戻ってきたようだがジップ村じゃない……無様に横倒れたままの姿勢から伝わる地面の感触、察するにこの場所はどこかの草原だ。
冷たくて柔らかな若草のベッドに身を任せていると、ついつい癒されてうたた寝しそうになる。
こんな時はテンション上げ上げなニチアサ、アニメの主題歌を歌って……分かっとるとも、とっと起きるのが正解なんだろう。
けどね……今は無理無理無理! 不可能でぇ――す!!
全身筋肉で超イテェえええっっ――――!! シャバに出た途端にコレですよ、奥さん。
どうなってのよ、私の身体は!? これじゃ腕一本も動かせないわ。
何とか、回復しないと……って、嘘……魔力切れで指輪の力が発動できないじゃん!!
「はあー。まったく……丸二日、消息を絶っていたと思いきや、こんな所で野垂れ死にかけているとわね。本当にアンタは手のかかる娘だよ」
草場を踏みつける音、それと同時に聞き覚えのある女性の声がした。
倒れたままの私を上から覗き込むように顔を出したのは、他の誰でもない私の下宿先である道具屋を営む女主人ことアリシアさんだ。
「ど、どうして私の居場所が? ……それよりも、ここは何処なんですか?」
「何処って、村の畑の近くだよ。萌知、あのゾイと派手にやらかしたそうじゃないか。あの、怖いモノ知らずのじゃじゃ馬が村の外まで放り出すとはね……余程、嫌われてんだねアンタ」
「別に……仲良くなった覚えはないし、私はタンゾウさんを助けようと……そうだ! タンゾウさんとリシリちゃんは!?」
「やれやれだね。人の心配よりも自分の身を案じたらどうだい。二人なら、無事だ……今のところはね。それよりもアンタの方が重症だ。見たところ魔力枯渇でボロボロじゃないかい? 食いもんと回復薬を持ってきてあるから、ちゃっちゃっと口に放り込みな」
「ははっ、耳が痛いな……けどアリガトね。えっ? 魔物! お婆ちゃぁぁん!!」
突然、魔物の気配を間近で感知した。
その瞬間、アリシアお婆ちゃんの背後から巨大な獣のシルエットが浮かびあがった。
油断した、どうやら此処には聖域の力が届いていない。
まだ、魔力が戻っていないというのに戦闘を強いられても打つ手はない。
このままでは、お婆ちゃんが……何とか彼女だけは――――
「やかましいね、ピーチクわめくんじゃないよ。んなものは、こうすればいいと昔から決まっとる! フンっ!!」
頭上に突き上げたお婆ちゃんの右拳が、わけの分からないまま白く輝きだした。
断じて魔法ではない、どちらかといえば聖法に近い。
魔力を帯びているわけでもないのに、あの輝き方は尋常ではない。
まるで、全身を駆け巡る生命の息吹を拳一点に集中させているみたいだ。
これが私の知らない、この世界特有の異能力。
拳の輝きが肥大化してゆくのに比例し、蓄積したエネルギーが一気に巨大な拳を象っていく。
それは急降下してきた魔物の巨体を上回る大きさまでに成長すると、キャノン砲に匹敵する、もしくはそれをも越える破壊力で天を穿つ。
夜空に響く、爆音と閃光。
魔物は原型すらとどめることなく、みごと爆発飛散してしまった。
これだ花火だったら、どれほど綺麗なことか。
そう思う私は口を半開きしたまま、上空に昇る光の柱をしばし眺め続けていた。
ホント、何者なの? この婆様は……。
こんな強さで道具屋ですって言われても説得力に欠けるわ。
ひょっとしたら、この世界で最強クラスの戦士なんじゃ…………。
「あの…………この今のスゴイ奴は……一体?」
突然過ぎる出来事に思考の整理が追いつかず、私はしどろもどろになるだけだった。
そんなことはお構いなしだと言わんばかりに、お婆ちゃんは眉一つ動かさないまま無言で私の手を握った。
途端、私の全身が熱を帯び激しく脈打つ。
直後、追随するように体内から痛みや腫れがスーッと消え和らいでゆく。
「錬功、気功術と呼ばれるもんの一種さね。アンタに、今ほどこしたのは治癒功だ。どうだい? 楽になっただろ」
「うん、おかげさまで。私、魔法以外の特殊な力を見たことなくて、ちょっと驚いちゃった……私の知っている気功術とはチガウけど」
「ん? こんなん民間人でも使えるわい。おかしなこと言うね、この娘は。とはいえ驚くのは仕方ないさ、私の錬功は規格外の大きさと評されているからねぇ~」
「ホント、お婆ちゃんのレンコンには度肝を抜かれたよ。ねぇ、私でも使えるかな?」
「レンコンではなく錬功だ、戯け! 残念だけど、魔導士である萌知に気功術は扱えんよ。陽の術式系統である気功術の対極にある陰の術式系統、魔導士の魔法はそれにあたるからねぇ……」
「つまり、適性が無いってことだね……そう言えば、召喚術の真似事ならできたっけ」
「それはそうと、もう身体は動かせるだろ? せっかく作ったんだ、早く受け取りな!」
お婆ちゃんからサンドイッチが入った包と回復薬の瓶が入ったポーチを手渡された。
ぶっちゃけ、食べ合わせとしてどうなのか? 疑念に苛まれるも、それ以前に回復薬は必要ないんじゃないかな?
そのことを、お婆ちゃんに伝えると酷く呆れた表情をされた。
お婆ちゃんいわく、この薬は傷を治す為ではなく体力、つまりはスタミナを回復させるものだと。
そもそも、この隠世に傷を癒す回復薬は霊薬と呼ばれる希少なモノしかなく世間一般には、まったく流通していないそうだ。
調合方法も不明、それこそ伝説級の薬品。
まかり間違って、そんな品を一本でも入手しようなら、大富豪になれるとまで言われているらしい。
魔法なら聖法、魔術なら気功術で治療ができる。
この世界では、知らないといけない常識だと鼻息を荒げながらお婆ちゃんは怒っていた。
無知は罪か……いくら相手が私の事情を知らないとしても、それとこれは話が別だ。
命に関わるんだ、知りませんでしたじゃ済まされない。
隠世に迷い込んだ時点で調べなければいけなかったことだ。
それを教えてくれたお婆ちゃんには、むしろ感謝しなくてはいけない。
「そうさね。すぐには体力も戻らないだろうし、少し昔話をしようかね。アンタもこのジップ村について知っておいいた方がいい」
これから私が何をしようとしているのか、どうやら彼女にはお見通しのようだ。
ここからは一言一句、聞き逃すことはできないだろう。
おそらくそこに、ジップ村というディストピアを打破する鍵があると私の勘が訴えかけてくる。
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結局、彼らは何者なのか? 慌ただしさに気を取られ過ぎて問うのも失念していた。
不服ではない言えばウソになるが、コチラとしては終わってしまったことを気するほど余裕は元より持ち合わせていない。
そう、ここに迷い込んでからどれほどの時間が経過したのか? 時計もない、スマホも起動できない、現状では知ることも叶わない。
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ツガイなのか? 二匹は互いに螺旋を描きつつも交わっては離れるを繰り返している。
軌跡として飛び散る鱗粉、空間という無色透明なキャンバスに描かれた図形がどのような意味を持つのか私は知っている。
けど、それが何だと言うのだ!
今は蝶に導かれ、外に脱出するだけだ……ほら、あのカーテン状に広がる靄の向こうに緑が見える。
「あがっ! うわわわわわっ――」
脱出した直後、足がもつれた私は、勢いあまって地面を転げ回ってしまった。
一体、私が何をしたというのだ? そんな台詞が頭をよぎる以前に周囲の様子に絶句していた。
無事、戻ってきたようだがジップ村じゃない……無様に横倒れたままの姿勢から伝わる地面の感触、察するにこの場所はどこかの草原だ。
冷たくて柔らかな若草のベッドに身を任せていると、ついつい癒されてうたた寝しそうになる。
こんな時はテンション上げ上げなニチアサ、アニメの主題歌を歌って……分かっとるとも、とっと起きるのが正解なんだろう。
けどね……今は無理無理無理! 不可能でぇ――す!!
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どうなってのよ、私の身体は!? これじゃ腕一本も動かせないわ。
何とか、回復しないと……って、嘘……魔力切れで指輪の力が発動できないじゃん!!
「はあー。まったく……丸二日、消息を絶っていたと思いきや、こんな所で野垂れ死にかけているとわね。本当にアンタは手のかかる娘だよ」
草場を踏みつける音、それと同時に聞き覚えのある女性の声がした。
倒れたままの私を上から覗き込むように顔を出したのは、他の誰でもない私の下宿先である道具屋を営む女主人ことアリシアさんだ。
「ど、どうして私の居場所が? ……それよりも、ここは何処なんですか?」
「何処って、村の畑の近くだよ。萌知、あのゾイと派手にやらかしたそうじゃないか。あの、怖いモノ知らずのじゃじゃ馬が村の外まで放り出すとはね……余程、嫌われてんだねアンタ」
「別に……仲良くなった覚えはないし、私はタンゾウさんを助けようと……そうだ! タンゾウさんとリシリちゃんは!?」
「やれやれだね。人の心配よりも自分の身を案じたらどうだい。二人なら、無事だ……今のところはね。それよりもアンタの方が重症だ。見たところ魔力枯渇でボロボロじゃないかい? 食いもんと回復薬を持ってきてあるから、ちゃっちゃっと口に放り込みな」
「ははっ、耳が痛いな……けどアリガトね。えっ? 魔物! お婆ちゃぁぁん!!」
突然、魔物の気配を間近で感知した。
その瞬間、アリシアお婆ちゃんの背後から巨大な獣のシルエットが浮かびあがった。
油断した、どうやら此処には聖域の力が届いていない。
まだ、魔力が戻っていないというのに戦闘を強いられても打つ手はない。
このままでは、お婆ちゃんが……何とか彼女だけは――――
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頭上に突き上げたお婆ちゃんの右拳が、わけの分からないまま白く輝きだした。
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魔力を帯びているわけでもないのに、あの輝き方は尋常ではない。
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「つまり、適性が無いってことだね……そう言えば、召喚術の真似事ならできたっけ」
「それはそうと、もう身体は動かせるだろ? せっかく作ったんだ、早く受け取りな!」
お婆ちゃんからサンドイッチが入った包と回復薬の瓶が入ったポーチを手渡された。
ぶっちゃけ、食べ合わせとしてどうなのか? 疑念に苛まれるも、それ以前に回復薬は必要ないんじゃないかな?
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お婆ちゃんいわく、この薬は傷を治す為ではなく体力、つまりはスタミナを回復させるものだと。
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まかり間違って、そんな品を一本でも入手しようなら、大富豪になれるとまで言われているらしい。
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命に関わるんだ、知りませんでしたじゃ済まされない。
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それを教えてくれたお婆ちゃんには、むしろ感謝しなくてはいけない。
「そうさね。すぐには体力も戻らないだろうし、少し昔話をしようかね。アンタもこのジップ村について知っておいいた方がいい」
これから私が何をしようとしているのか、どうやら彼女にはお見通しのようだ。
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