41 / 74
天上へ続く箱庭
超獣化
しおりを挟む
不味い!! ナックが何をしようしているのか、いち早く察知した私は狼狽した。
ナックは知らない、私にかかっている呪言を……。
ビーンズ家に関わる人間がディングリングに危害を加えれば、全員即死につながる。
それだけは何としても防がなければならない。
「タンゾウさん! ナックを抑えて!」駆け出しながら、私は叫んだ。
状況を瞬時に把握した彼もナックを止めようと駆け寄っている。
「ぐっ!」ロッドを強く握ろうとすると腕が痙攣を起こし激痛が走った。
こんな時に……先刻受けた方天画戟のダメージが残っているなんて洒落にならない。
魔法障壁を張っていたのに防ぎきれなかったのは大きな誤算だ。
けれど、ナックが暴れてしまったら痛い程度では済まされない。
私は奥歯を噛みしめながら空糸で手にロッドを縛りつけた。
「雄雄っ――――うおおっお――――!!」
氷漬けになったリシリちゃんから、魔力を吸い出すように手をかざしているナック。
彼の想いに応えるかのように、氷塊からの魔力が手元に集まっている。
槍先の角が生え、三日月の刃先が拳に覆い被さる。
方天画戟の能力が覚醒状態に入ってしまった。
それだけで終わりじゃない、今度はナックの瞳が紫焔ような色彩に変色し始めている。
「やめろ! ナック!!」
「てめぇ――、邪魔すんなぁああ――――!!」
槍を振り下ろすタンゾウさんよりも速く、閃光がほとばしり私の視界を遮った。
この光、覚えがある……練功だ! アリシアお婆ちゃんが使っていた気の力にそっくりだ。
「ぐああっ――」
直撃を浴びたタンゾウさんは、呆気ないほど簡単に部屋の隅の方まで弾かれてしまった。
正直、ナックにここまでの実力があるとは予想外だ。
それでも、時間を稼いでくれたおかげでどうにか間に合った。
私はディングリングを庇うように二人の間に割って入った。
「ナック、落ちついて。私の話を聞いて!!」
「無駄だよ、もう始まっている。ボクの呪いが発現したら、すぐに彼は理性を保つことができなくなる」
「呪いって……魔女の呪言?」
「違うよ。見ていれば分かる。にしても……この状況は好ましくないなぁ。彼が暴れ回ればダンジョンコアを傷つけるどころじゃなく、この塔も破壊しかねない……うむ、モチ君。ボクが結界を張るから、ちょいとナック君をぶちのめしてきてくれない?」
はあっ? 突拍子もない魔女の無茶ぶりに耳を疑いたくなってきた。
ちょっと、コンビニに行ってきてぐらいの感覚で頼まれても人ができる事には限度がある。
と思いたいのは山々だが、この非常事態を打破できるのは私しかいない。
ディングリングとの約束がある以上、否応なしにナックとの戦闘は避けられない。
「ディメンションループで塔の屋上に移動する。そこが決戦の舞台だ、いいね?」
「待って、ディングリング。戦う前に一つだけ、お願いがあるんだけど……」
「ん? ビーンズ達を見逃せって? 先に言っておくけどそれはできない相談だ、ボクは裏切り者には寛大じゃないよ。言ったはずだよ、そこの二人をどうにかしろって。モチ君、ナック君を見逃しただろ? でなければ、三階にいたはずのソイツが無傷で此処にいるわけがない」
「冷静に考えて。ビーンズの人間を一人でも始末すれば、あなたが見つけ出そうとしている黒幕は、警戒してダンジョンコアの一件から手を引いてしまうはず、そうなると敵の足取りは完全に掴めなくなるけど構わないの?」
「ふ……フッハハァ! 言うねぇーモチ君。あえて泳がせてアイツらの様子をうかがうか……及第点だな。まぁ良いよ、ナックをどうにか出来たら、ビーンズたちは生かしておいてあげる!」
どうにか、ディングリングを説得すると私はホッと胸を撫で下ろした。
確かに、ビーンズ姉弟は人して間違った事をしてきたのかもしれない。
けれど、罪をその命で支払っても、彼らの罪が完全に消えることはない。
それに、自分の家族を想う三人を見て、ただの悪党には思えなくなってしまった。
「待っててリシリちゃん、これが終わったらすぐに助けてあげるから」
祭壇上の氷塊。その中で未だ眠り続ける彼女にそう告げた、直後に耳元でパチンと弾ける音がした。
コオオオォォォ――と絶えず吹きつける、空風の音。
冷えた空気が肌を刺す。
星は分厚い雲に隠れ、光は閉ざされたまま。
黒く塗りつぶされた空間を背に私達三人だけがその場所にいた。
塔の屋上、荒れ果てた園
私には分かる……かつて、この場所は色彩豊かな草花で溢れかえっていた庭園だった。
ここがビーンズ家が所有していたモノなのかは定かではないにしろ、在りし日姿はとても美しく、シェルティの街だったころは人々にとって憩いの場になっていたに違いない。
勿論、私の想像だけで語っているのではない。微かだが記憶の残滓がこの場所に漂っている。
だからこそ余計に哀しい。
今はもう何一つ、残されていない。
あるのは、すでに枯れ果てた植物の残骸。
不思議な光景だ……風に吹き飛ばされず、何故か植物の原型をとどめたままだ。
これもダンジョンコアの影響しているというのだろうか?
「感傷に浸っているのは感心しないよ。向こうは完全にやる気だよ」
ディングリングの指が示す先に身構えるナックがいた。
胸元で左右の拳を合わせると、拳の三日月が一つになり満月となる。
「始まる、超獣化だ」
「ガゥッ、アオオオォォ――――ンンン!!」
それは、まさしく狼の遠吠えだった。
鳴き声がおさまると途端、ナックの目がつり上がり、口元が大きく割れていく。
長く伸び出す頭髪、尻尾ようなものが生えだし全身は純白の体毛に覆われてナックだったモノは狼に近い存在に変貌を遂げてしまった。
映画では狼男。ファンタジー小説ではウェアウルフ。
そう呼称される異形の人獣は胸元に玉虫色の月を宿し、私達の前に立ち塞がった。
「解放……クロムウェルアーカイブス」
名称 ディザスターワーウルフ
種族 人狼
弱点 ???
備考 ウェアウルフの希少上位種。強固な肉体を持つ為、並みの物理・魔法攻撃ではダメージを与えられない
と、とんでない相手だ。
獣化したことで身体能力が飛躍的に上昇しているのは勿論。弱点が不明なのは手痛すぎる。
本当に私一人だけで戦えるのだろうか? 高まる鼓動と共に不安が色濃くなっていく。
「後は任せたよ。フッハハアッハ! 解放、神無月!!」
ゴゴゴゴっと大気が鳴り響き振動した。
真っ暗な空しかなかったはずの頭上で、その闇を吸い取るかのように強大な球体が形を成していく。
月だ……色のない月が浮かびあがっている。
同時に月が放つセピア色の光が徐々に屋上全体に広がり振り注いでくる。
この感覚――これがディングリングの結界術なのか。
視線を戻すと魔女の姿はどこにもなかった。
こうなってしまった以上、迷いを断ち切るしかない。
膝の震えも治まらないまま私は、ディザスターワーウルフに挑む。
「バフ付与、ランページ。こ、これは……まさか!」
ナックとの距離を詰めていく最中、私は自身の異常に気づいてしまった。
自己強化魔法を使用した際に、著しい魔力の消耗を感じた。
あの魔女――やらかしてくれた! アーカイブスで調べると私には一定時間経過で魔力が自動消費されてしまう呪い、ナックには狂戦士の呪いがかかっている。
どうやら、この結界は内部いる者に、デバフや状態異常を与える能力が作用している。
ぐずぐずはしていられない。魔力が枯渇する前に決着を急がねば――――
「ナック、私の声が届いている!?」
「ああっ――ううう――、姉さん……ゴメン。俺は我慢、オレがああああ――――壊したい! 全部っうぅぅぅ、破壊したくて仕方ないんだ!!」
ナックに呼び掛けはしたものの、悪化した彼の症状に私は息を飲んだ。
支離滅裂な言葉に、バーサーカー状態も相まって早くも自我が消えかけている。
彼は本当に魔物になってしまうのか? 狂乱の声はあまりも苦しみに満ちていた。
ナックは知らない、私にかかっている呪言を……。
ビーンズ家に関わる人間がディングリングに危害を加えれば、全員即死につながる。
それだけは何としても防がなければならない。
「タンゾウさん! ナックを抑えて!」駆け出しながら、私は叫んだ。
状況を瞬時に把握した彼もナックを止めようと駆け寄っている。
「ぐっ!」ロッドを強く握ろうとすると腕が痙攣を起こし激痛が走った。
こんな時に……先刻受けた方天画戟のダメージが残っているなんて洒落にならない。
魔法障壁を張っていたのに防ぎきれなかったのは大きな誤算だ。
けれど、ナックが暴れてしまったら痛い程度では済まされない。
私は奥歯を噛みしめながら空糸で手にロッドを縛りつけた。
「雄雄っ――――うおおっお――――!!」
氷漬けになったリシリちゃんから、魔力を吸い出すように手をかざしているナック。
彼の想いに応えるかのように、氷塊からの魔力が手元に集まっている。
槍先の角が生え、三日月の刃先が拳に覆い被さる。
方天画戟の能力が覚醒状態に入ってしまった。
それだけで終わりじゃない、今度はナックの瞳が紫焔ような色彩に変色し始めている。
「やめろ! ナック!!」
「てめぇ――、邪魔すんなぁああ――――!!」
槍を振り下ろすタンゾウさんよりも速く、閃光がほとばしり私の視界を遮った。
この光、覚えがある……練功だ! アリシアお婆ちゃんが使っていた気の力にそっくりだ。
「ぐああっ――」
直撃を浴びたタンゾウさんは、呆気ないほど簡単に部屋の隅の方まで弾かれてしまった。
正直、ナックにここまでの実力があるとは予想外だ。
それでも、時間を稼いでくれたおかげでどうにか間に合った。
私はディングリングを庇うように二人の間に割って入った。
「ナック、落ちついて。私の話を聞いて!!」
「無駄だよ、もう始まっている。ボクの呪いが発現したら、すぐに彼は理性を保つことができなくなる」
「呪いって……魔女の呪言?」
「違うよ。見ていれば分かる。にしても……この状況は好ましくないなぁ。彼が暴れ回ればダンジョンコアを傷つけるどころじゃなく、この塔も破壊しかねない……うむ、モチ君。ボクが結界を張るから、ちょいとナック君をぶちのめしてきてくれない?」
はあっ? 突拍子もない魔女の無茶ぶりに耳を疑いたくなってきた。
ちょっと、コンビニに行ってきてぐらいの感覚で頼まれても人ができる事には限度がある。
と思いたいのは山々だが、この非常事態を打破できるのは私しかいない。
ディングリングとの約束がある以上、否応なしにナックとの戦闘は避けられない。
「ディメンションループで塔の屋上に移動する。そこが決戦の舞台だ、いいね?」
「待って、ディングリング。戦う前に一つだけ、お願いがあるんだけど……」
「ん? ビーンズ達を見逃せって? 先に言っておくけどそれはできない相談だ、ボクは裏切り者には寛大じゃないよ。言ったはずだよ、そこの二人をどうにかしろって。モチ君、ナック君を見逃しただろ? でなければ、三階にいたはずのソイツが無傷で此処にいるわけがない」
「冷静に考えて。ビーンズの人間を一人でも始末すれば、あなたが見つけ出そうとしている黒幕は、警戒してダンジョンコアの一件から手を引いてしまうはず、そうなると敵の足取りは完全に掴めなくなるけど構わないの?」
「ふ……フッハハァ! 言うねぇーモチ君。あえて泳がせてアイツらの様子をうかがうか……及第点だな。まぁ良いよ、ナックをどうにか出来たら、ビーンズたちは生かしておいてあげる!」
どうにか、ディングリングを説得すると私はホッと胸を撫で下ろした。
確かに、ビーンズ姉弟は人して間違った事をしてきたのかもしれない。
けれど、罪をその命で支払っても、彼らの罪が完全に消えることはない。
それに、自分の家族を想う三人を見て、ただの悪党には思えなくなってしまった。
「待っててリシリちゃん、これが終わったらすぐに助けてあげるから」
祭壇上の氷塊。その中で未だ眠り続ける彼女にそう告げた、直後に耳元でパチンと弾ける音がした。
コオオオォォォ――と絶えず吹きつける、空風の音。
冷えた空気が肌を刺す。
星は分厚い雲に隠れ、光は閉ざされたまま。
黒く塗りつぶされた空間を背に私達三人だけがその場所にいた。
塔の屋上、荒れ果てた園
私には分かる……かつて、この場所は色彩豊かな草花で溢れかえっていた庭園だった。
ここがビーンズ家が所有していたモノなのかは定かではないにしろ、在りし日姿はとても美しく、シェルティの街だったころは人々にとって憩いの場になっていたに違いない。
勿論、私の想像だけで語っているのではない。微かだが記憶の残滓がこの場所に漂っている。
だからこそ余計に哀しい。
今はもう何一つ、残されていない。
あるのは、すでに枯れ果てた植物の残骸。
不思議な光景だ……風に吹き飛ばされず、何故か植物の原型をとどめたままだ。
これもダンジョンコアの影響しているというのだろうか?
「感傷に浸っているのは感心しないよ。向こうは完全にやる気だよ」
ディングリングの指が示す先に身構えるナックがいた。
胸元で左右の拳を合わせると、拳の三日月が一つになり満月となる。
「始まる、超獣化だ」
「ガゥッ、アオオオォォ――――ンンン!!」
それは、まさしく狼の遠吠えだった。
鳴き声がおさまると途端、ナックの目がつり上がり、口元が大きく割れていく。
長く伸び出す頭髪、尻尾ようなものが生えだし全身は純白の体毛に覆われてナックだったモノは狼に近い存在に変貌を遂げてしまった。
映画では狼男。ファンタジー小説ではウェアウルフ。
そう呼称される異形の人獣は胸元に玉虫色の月を宿し、私達の前に立ち塞がった。
「解放……クロムウェルアーカイブス」
名称 ディザスターワーウルフ
種族 人狼
弱点 ???
備考 ウェアウルフの希少上位種。強固な肉体を持つ為、並みの物理・魔法攻撃ではダメージを与えられない
と、とんでない相手だ。
獣化したことで身体能力が飛躍的に上昇しているのは勿論。弱点が不明なのは手痛すぎる。
本当に私一人だけで戦えるのだろうか? 高まる鼓動と共に不安が色濃くなっていく。
「後は任せたよ。フッハハアッハ! 解放、神無月!!」
ゴゴゴゴっと大気が鳴り響き振動した。
真っ暗な空しかなかったはずの頭上で、その闇を吸い取るかのように強大な球体が形を成していく。
月だ……色のない月が浮かびあがっている。
同時に月が放つセピア色の光が徐々に屋上全体に広がり振り注いでくる。
この感覚――これがディングリングの結界術なのか。
視線を戻すと魔女の姿はどこにもなかった。
こうなってしまった以上、迷いを断ち切るしかない。
膝の震えも治まらないまま私は、ディザスターワーウルフに挑む。
「バフ付与、ランページ。こ、これは……まさか!」
ナックとの距離を詰めていく最中、私は自身の異常に気づいてしまった。
自己強化魔法を使用した際に、著しい魔力の消耗を感じた。
あの魔女――やらかしてくれた! アーカイブスで調べると私には一定時間経過で魔力が自動消費されてしまう呪い、ナックには狂戦士の呪いがかかっている。
どうやら、この結界は内部いる者に、デバフや状態異常を与える能力が作用している。
ぐずぐずはしていられない。魔力が枯渇する前に決着を急がねば――――
「ナック、私の声が届いている!?」
「ああっ――ううう――、姉さん……ゴメン。俺は我慢、オレがああああ――――壊したい! 全部っうぅぅぅ、破壊したくて仕方ないんだ!!」
ナックに呼び掛けはしたものの、悪化した彼の症状に私は息を飲んだ。
支離滅裂な言葉に、バーサーカー状態も相まって早くも自我が消えかけている。
彼は本当に魔物になってしまうのか? 狂乱の声はあまりも苦しみに満ちていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
いつか優しく終わらせてあげるために。
イチイ アキラ
恋愛
初夜の最中。王子は死んだ。
犯人は誰なのか。
妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。
12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
