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難攻不落のサクリファイス
冒険者ギルドの成り立ち
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どこかで聞いたようなフレーズ。懐かしささえ覚える羞恥心とデリカシーのなさ。
猫が求めてきた条件は、普段から私の使い魔が要求してきたモノと同じだ。
「断固拒否します!!」
とび跳ねるように距離を置いて我が身を両腕で抱きとめ身構える。
反射的にとった行動に猫に額に手を当てて首を横に振ってみせた。
「あのな。別にお前自身じゃなくてもいいんだよ、例えば持ち物でもお前の匂いがついていれば問題ない。こう見えても俺は鼻が利くんだよ。いや、見た目的にはまんまか……とにかく、同じ匂いを探れば使い魔とやらも見つけ出せるというわけだ」
「でも、空中で遠くに飛ばされたっぽいんだけど……それでも匂いを探れるの?」
「無いな! 飛んで行ったモノを捜索するなんて方法は……すまんが、今の話はなかった方向で!」
「そんなぁ、わざわざ猫の被り物しているのに、まったく役に立たないなんて……」
「あー、コラコラコラ。何で俺が辛口酷評を受けなければならねぇんだ。そうだな……方法あるとすれば占星術師に頼るとかだな」
占星術師――星の導きに従い進むべき道を指し示す魔術師とアーカイブスでは記載されている。
無論、私たちの世界、現世では魔術師ではなく占い師として広く知れ渡っている。
ここで言う、占星術師とは別物。なので、私自身も占星術はどのようなことが可能な魔術なのか? 詳しくは知らない。
必要とする答えを求めるという点において、能力的にはラズさんの神託が類似しているのではないかと考えられなくもないが……おそらく、能力自体の質や格がまったく違う。
まぁ、オラクルについては、ほとんど情報を得ていないのに等しい。
だから、議論しても推測の域を出ない。
「取り敢えず、今日は諦めろ。じきに日が暮れる、その前に野営の準備を済ませるぞ」
鳥を捌き終えた猫が、袋を取り出し肉やら皮やらを詰め込んでいた。
山ほどあったソレらはどんどん減っていく。
しかし、どれだけ袋に入れても一杯にはならず、ましてやパンパンに膨れ上がることない。
間違いなくコイツは定番かつ、レアな魔道具マジックバッグだ!
「そ、それってマジックバッグだよねぇ! ちょっと、見せて貰ってもいい!?」
「は? くれとか言ってもやらねぇーからな」
「そんな事は頼まないよ~どんな感じか知りたいだけだから、ね!」
「ね! じゃないよ。目を爛々と輝かせやがって……テントを張ってやるから、焚火用の燃し木でも集めてこい」
もう、そんな時間なのか……モリスン捜しに無我夢中になっていたので、時間の感覚が曖昧になっていた。
猫に言ったとおり、枝を拾い集める。近くが雑木林なので別段、苦ではない、手ごろな奴はそこいら中に落ちている。
それでも、あっという間に日没を迎え、作業を終える頃には辺りは暗くなっていた。
大き目の石を並べカマドを作り、火種を投入する。
前回はこの工程を魔法で行っていたが、それではやはり面白味にかける。
せっかく、大自然の中でキャンプをするんだ本格的にやってみたい。
そこで、この鉄鍋の出番だ……フフッ、この鍋はただの鍋ではない。中には何と! 魔法で凍りづけにしたアリシアお婆ちゃん特製のクリームシチューが入っている。
あとは、火にかけ温めるだけ~。
いやー、作り置きは楽チンでいい。
「おっ! 美味そうな匂いだな。シチューか! んなら、さっき取ったホロホロの肉を入れてみようぜ」
「えー……それ、大丈夫なの?」
「そんな不安そうな顔すんなよ。味はあっさりとしている鶏肉だからシチューには合うぞ。あとはコレだな」
猫がバッグからおもむろに取り出したモノを見て、なるほどと頷いた。
シチューといえば相方はパンと相場が決まっている。
黒い色をしたパン、御存じ硬い触感で有名な黒パンというモノだ。
確か、栄養価が高く日持ちするライ麦のパンだっけ……。
スープなどに浸して柔らかくしてから食すのがポピュラーな食べ方とされている。
まさに冒険者の為にあると言っても過言ではない、うってつけの食品だ。
「そういえば、猫さんの名前を聞いてなかったね! 私は萌知、月舘萌知っていうの」
焚き火を囲い、食を共にする。
人間とは食事を摂ると気を緩くしてしまう生き物らしい。
こうして、まったりとした時間を過ごしていると、無性に傍にいる相手と会話をしたくなるから不思議だ。
「俺の名前なんか聞いてどうするんだ? まぁ、借金取りと無関係っぽいから教えてやろう。バーナード、元冒険者だ」
「元? 今は違うの?」
「話せば長くなるから、歌で説明しよう! 俺が冒険者を止めるに至った経緯を――聴いてくれぇ! ファーストシングル曲、気分はジリ貧」
「えっ? うえっ? 何処からかメロディーが流れてきたんだけどぉ!?」
「借金取り迫って来る。逃げ場はまったく無い。
レートを100倍にしてパーティーを追い出された。
中毒になった奴が、いつか辿りつく地下帝国があるんだ。
ポン! チー! カン! 役が出来ねぇ……。
一発、ロンだ! それツモね!
裏ドラが怖い……やめろ跳満。
ノーテン テンパイ こうなりゃ河原拾いするしかねぇ――!!」
「……何で麻雀しとんねん!?」
ガチで言葉に行き詰った。
この男は私が出会った人物の中でも屈指のギャンブルジャンキーだ。
聞くまでもなく、賭博麻雀で素寒貧にされた彼は、冒険者仲間から排斥されたのだ。
どうにもこうにも同情の余地すらない。
文無しとなった上に、借金を踏み倒したのだろう。
こうして借金取りに怯えながら隠者ような生活を送っているのは、それが原因だ。
「く、クズだ……本物クズがおる。というか、よく装備を売り払わなかったね? 少しは返済の足しになるでしょ」
「コイツは駄目だ、なんせ特注だからな。言っておくがなぁー、冒険者で借金する奴は珍しくもないんだからな!」
「ふーん。でも、バーナードは麻雀で損したんだよね? 何でこの世界に麻雀があるのか? 謎だけど」
「……麻雀は転移者から教わったんだよ! さっきから人を汚物扱いしているようだがな――そもそも、冒険者という職業がどういうモノなのか分かってんのかよ!?」
「冒険者、そう聞けば耳障りは良いかもしれない」とバーナードは告げる。
それが何を示唆しているのか? アーカイブスを見てもピンと来ない。
それもそうだ。元々、アーカイブスの情報は我々、現世の人間の視点で載せられたものだ。
冷静に考えれば、冒険者の定義などは世界ごとに違うと見るべきなのだ。
我々の常識など、ここでは取るに足らないものになる。
そういった点を踏まえて、隠世の冒険者について彼から学んでおいても損はない。
「どういうわけか。お前ら、向こう側の奴らは冒険者を自由奔放な職業だと勘違いしているフシがある。まず、この国特有の階級制度は王族、貴族、騎士、農民、商人職人、冒険者、無職といった順で並んでいる。今、言ったとおり冒険者の地位は、かなり下方に当たる。なぜだか分かるか?」
「ん~、なる人が多いからかな? 需要に対して供給が多くなっている感じ」
「違うな。法律上、市民は王族貴族、騎士以外はなろうと思えばなれる制度になっている。だから、稼ぎの良い農民や商人、職人は希望者が多く人気だ。しかし、その一方メジャーな仕事ほど面白味がない上に、労働面の苦労が絶えない。したがって、楽して稼ぎたい奴が冒険者の道を選ぶ傾向にある」
「つまり、社会貢献度が低いから地位も低いって事なのね」
「そうだ! 本来、近隣の魔物退治は国の騎士団、調査や採取関連はその手の専門家に依頼するのがベターだ。では、次の問題だ。どうして、このような仕事を素人同然の冒険者に任せるようになったと思う?」
ああ! なんとなくバーナードが言わんとしている事が理解できた。
猫が求めてきた条件は、普段から私の使い魔が要求してきたモノと同じだ。
「断固拒否します!!」
とび跳ねるように距離を置いて我が身を両腕で抱きとめ身構える。
反射的にとった行動に猫に額に手を当てて首を横に振ってみせた。
「あのな。別にお前自身じゃなくてもいいんだよ、例えば持ち物でもお前の匂いがついていれば問題ない。こう見えても俺は鼻が利くんだよ。いや、見た目的にはまんまか……とにかく、同じ匂いを探れば使い魔とやらも見つけ出せるというわけだ」
「でも、空中で遠くに飛ばされたっぽいんだけど……それでも匂いを探れるの?」
「無いな! 飛んで行ったモノを捜索するなんて方法は……すまんが、今の話はなかった方向で!」
「そんなぁ、わざわざ猫の被り物しているのに、まったく役に立たないなんて……」
「あー、コラコラコラ。何で俺が辛口酷評を受けなければならねぇんだ。そうだな……方法あるとすれば占星術師に頼るとかだな」
占星術師――星の導きに従い進むべき道を指し示す魔術師とアーカイブスでは記載されている。
無論、私たちの世界、現世では魔術師ではなく占い師として広く知れ渡っている。
ここで言う、占星術師とは別物。なので、私自身も占星術はどのようなことが可能な魔術なのか? 詳しくは知らない。
必要とする答えを求めるという点において、能力的にはラズさんの神託が類似しているのではないかと考えられなくもないが……おそらく、能力自体の質や格がまったく違う。
まぁ、オラクルについては、ほとんど情報を得ていないのに等しい。
だから、議論しても推測の域を出ない。
「取り敢えず、今日は諦めろ。じきに日が暮れる、その前に野営の準備を済ませるぞ」
鳥を捌き終えた猫が、袋を取り出し肉やら皮やらを詰め込んでいた。
山ほどあったソレらはどんどん減っていく。
しかし、どれだけ袋に入れても一杯にはならず、ましてやパンパンに膨れ上がることない。
間違いなくコイツは定番かつ、レアな魔道具マジックバッグだ!
「そ、それってマジックバッグだよねぇ! ちょっと、見せて貰ってもいい!?」
「は? くれとか言ってもやらねぇーからな」
「そんな事は頼まないよ~どんな感じか知りたいだけだから、ね!」
「ね! じゃないよ。目を爛々と輝かせやがって……テントを張ってやるから、焚火用の燃し木でも集めてこい」
もう、そんな時間なのか……モリスン捜しに無我夢中になっていたので、時間の感覚が曖昧になっていた。
猫に言ったとおり、枝を拾い集める。近くが雑木林なので別段、苦ではない、手ごろな奴はそこいら中に落ちている。
それでも、あっという間に日没を迎え、作業を終える頃には辺りは暗くなっていた。
大き目の石を並べカマドを作り、火種を投入する。
前回はこの工程を魔法で行っていたが、それではやはり面白味にかける。
せっかく、大自然の中でキャンプをするんだ本格的にやってみたい。
そこで、この鉄鍋の出番だ……フフッ、この鍋はただの鍋ではない。中には何と! 魔法で凍りづけにしたアリシアお婆ちゃん特製のクリームシチューが入っている。
あとは、火にかけ温めるだけ~。
いやー、作り置きは楽チンでいい。
「おっ! 美味そうな匂いだな。シチューか! んなら、さっき取ったホロホロの肉を入れてみようぜ」
「えー……それ、大丈夫なの?」
「そんな不安そうな顔すんなよ。味はあっさりとしている鶏肉だからシチューには合うぞ。あとはコレだな」
猫がバッグからおもむろに取り出したモノを見て、なるほどと頷いた。
シチューといえば相方はパンと相場が決まっている。
黒い色をしたパン、御存じ硬い触感で有名な黒パンというモノだ。
確か、栄養価が高く日持ちするライ麦のパンだっけ……。
スープなどに浸して柔らかくしてから食すのがポピュラーな食べ方とされている。
まさに冒険者の為にあると言っても過言ではない、うってつけの食品だ。
「そういえば、猫さんの名前を聞いてなかったね! 私は萌知、月舘萌知っていうの」
焚き火を囲い、食を共にする。
人間とは食事を摂ると気を緩くしてしまう生き物らしい。
こうして、まったりとした時間を過ごしていると、無性に傍にいる相手と会話をしたくなるから不思議だ。
「俺の名前なんか聞いてどうするんだ? まぁ、借金取りと無関係っぽいから教えてやろう。バーナード、元冒険者だ」
「元? 今は違うの?」
「話せば長くなるから、歌で説明しよう! 俺が冒険者を止めるに至った経緯を――聴いてくれぇ! ファーストシングル曲、気分はジリ貧」
「えっ? うえっ? 何処からかメロディーが流れてきたんだけどぉ!?」
「借金取り迫って来る。逃げ場はまったく無い。
レートを100倍にしてパーティーを追い出された。
中毒になった奴が、いつか辿りつく地下帝国があるんだ。
ポン! チー! カン! 役が出来ねぇ……。
一発、ロンだ! それツモね!
裏ドラが怖い……やめろ跳満。
ノーテン テンパイ こうなりゃ河原拾いするしかねぇ――!!」
「……何で麻雀しとんねん!?」
ガチで言葉に行き詰った。
この男は私が出会った人物の中でも屈指のギャンブルジャンキーだ。
聞くまでもなく、賭博麻雀で素寒貧にされた彼は、冒険者仲間から排斥されたのだ。
どうにもこうにも同情の余地すらない。
文無しとなった上に、借金を踏み倒したのだろう。
こうして借金取りに怯えながら隠者ような生活を送っているのは、それが原因だ。
「く、クズだ……本物クズがおる。というか、よく装備を売り払わなかったね? 少しは返済の足しになるでしょ」
「コイツは駄目だ、なんせ特注だからな。言っておくがなぁー、冒険者で借金する奴は珍しくもないんだからな!」
「ふーん。でも、バーナードは麻雀で損したんだよね? 何でこの世界に麻雀があるのか? 謎だけど」
「……麻雀は転移者から教わったんだよ! さっきから人を汚物扱いしているようだがな――そもそも、冒険者という職業がどういうモノなのか分かってんのかよ!?」
「冒険者、そう聞けば耳障りは良いかもしれない」とバーナードは告げる。
それが何を示唆しているのか? アーカイブスを見てもピンと来ない。
それもそうだ。元々、アーカイブスの情報は我々、現世の人間の視点で載せられたものだ。
冷静に考えれば、冒険者の定義などは世界ごとに違うと見るべきなのだ。
我々の常識など、ここでは取るに足らないものになる。
そういった点を踏まえて、隠世の冒険者について彼から学んでおいても損はない。
「どういうわけか。お前ら、向こう側の奴らは冒険者を自由奔放な職業だと勘違いしているフシがある。まず、この国特有の階級制度は王族、貴族、騎士、農民、商人職人、冒険者、無職といった順で並んでいる。今、言ったとおり冒険者の地位は、かなり下方に当たる。なぜだか分かるか?」
「ん~、なる人が多いからかな? 需要に対して供給が多くなっている感じ」
「違うな。法律上、市民は王族貴族、騎士以外はなろうと思えばなれる制度になっている。だから、稼ぎの良い農民や商人、職人は希望者が多く人気だ。しかし、その一方メジャーな仕事ほど面白味がない上に、労働面の苦労が絶えない。したがって、楽して稼ぎたい奴が冒険者の道を選ぶ傾向にある」
「つまり、社会貢献度が低いから地位も低いって事なのね」
「そうだ! 本来、近隣の魔物退治は国の騎士団、調査や採取関連はその手の専門家に依頼するのがベターだ。では、次の問題だ。どうして、このような仕事を素人同然の冒険者に任せるようになったと思う?」
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