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難攻不落のサクリファイス
迎撃! クリミナルブリッジ
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「バーナード、会長に謝罪した方が良いよ」
「そうですよ! 事故とはいえ、こちらに非があったのは変わりませんから」
「お前ら……あのな」
私たちに窘められたバーナードは不服といわんばかりに顔をしかめていた。
余計なお世話だと拒否されてしまえば、それで終わりだ。
それでも彼と同行している以上、ルールに反する行動をとれば最低限は注意喚起しなければならない。
すくなくとも仲間だと呼ぶのなら……彼を諭さないと。
「人が良いのもいい加減にしろよ、コイツは見るからに悪者だろっ?」
「バーナード……それとこれとは話が違うよ。昔、私の魔法の師が言っていたわ。大義なき正義は暴力と変わらないって」
「大義だあ!? んな、御大層なモン持ち合わせていないぜ。そもそも大義って何だよ?」
「確固たる信念、揺るぎない想い。あなたにもあるでしょ? そういったモノが」
私の言葉にバーナードは唇に指をあてがい思案する素振りを見せた。
それなりに思うところでもあるのだろう。
彼なりに理解を深めようとしてくれるのを期待するしかない。
「返す当てのない借金とかか!?」
「猫さん……」あまりの屑っぷりにトルテが心底、ガッカリしている。
コイツはもう手遅れだ、のっけから借金を踏み倒そうとしている。
よくよく考えてみれば、ちゃんとした志を持った人間がギャンブル中毒になるわけがない。
バーナードに信念なんて水と油だ。決して交わることはないモノだ。
「まぁ、後々で訴えられても面倒だし……しゃーねぇな、キュアライトツナ!」
依然として気絶したままの会長の顔に手をかざす、猫。
釈然としていなそうでも、その行いには謝罪の意が込められていた。
手元から光の雫がこぼれ落ちると瞬く間に、会長の顔の腫れが引いて元に戻っていく。
どうやら私の話は無駄にならずに済んだみたいだ。
回復魔法が使えるなんて少々、驚かされたが――――
ちゃんと話せば通じ合える、それなら彼の歪みを正すことができる。
魔導士としての直感がそう告げていた。
「悪いな、後でオッサンに俺が謝っていたって伝えてくれ……アンタは納得できねぇかもしれないけど」
「いえ、承りました。いずれ、この男は裁かれる運命にあります、それが貴方ではなかっただけの話」
「それよりもだ、モチ……さっさと測定済ませろ! 俺とチビッ子の決着がつかなかった今、お前さんが記録を出せば俺達の勝ちだ!!」
「どこらへんからチーム戦になったのよ。確かにゴタゴタはあったけど、私が無理に投げる必要なくない? 二人して二投目を投げればいいじゃない」
バーナードとトルテが揃って、私の背後を指さしていた。
振り向くと強面の怪力自慢のお兄さん方が、今か今かと自分の順番を待っている。
な、投げるしかない……ここで棄権すれば、さんざん待たされた彼らの舌打ちの合唱が始まりかねない。
魔法球――材質はガラスか? こうして手にすると見た目よりもずっと軽い。
今までは、魔力を注入していたモノを投げるという発想に至ったのは、やはり転移者たちが破壊しまくったのが関係しているのか?
理由はどうであれ、今は投球に全力を注ぐ!!
集中しろ! 呼吸を整えろ! 平常心が莫大な魔力を生み出す。
「はぁあ!? おいおおい、ちょっと待――――」
「凄い! お姉さんの魔力があふれて渦を……」
この一投が全てを突き抜ける!
「いっけぇええぇ――ええぃ」
ドドッドバァアアアア――――アン!!
近くで爆発音が響いた。
ハッとなり顔を上げると辺りは騒然とし、人々は皆、顔面蒼白となりある一点を見上げている。
視線を辿ると、対岸のサクリファイスから白煙が上がっている。
神眼で確認すると、正面門が木っ端みじんに吹き飛んでいる。
「嘘……また力加減を間違えたぁああ――!! どうしよーぉ」
「ははっ! やっぱクレイジーだな、お前さん!」
「そ、そんなことよりも門が壊れてしまったのは、かなり不味いです!!」
誰かが声を張り上げた「この場にいる全員、急いで避難しろ!! オルトロスが出てくるぞ!」
それを合図に、人々は蜘蛛の子を散らすように逃走する。
ついさっきまでの平穏が嘘のように消え去っていく。
我が身可愛さに、押し合い圧し合い退路を奪い合う様は、人間の醜悪さが如実に表れている。
怒号、罵倒、喚き声、所々から聞こえてくる。
それでも、その場にいた冒険者であろう複数人は手際よく、避難する人々を先導し、落ち着いて行動するように促している。
彼らがいてくれなければ、事態はさらに悪化していたかもしれない。
「行かなきゃ……」
「お、おい! まさか、クリミナルブリッジに向かうつもりか!?」
私はわき目も振らず、人混みの中を逆走した。
無論、そのままでは避難する者の妨げになってしまう。
ロッドに飛び乗り、フロートとエアーブラストを使用し彼らの頭上を飛び越えて急加速していく。
すべて私の責任だ……。
気の置けない仲間ができるかもしれない、そんな事を夢見て自身がはらむ危険性を甘く見ていた。
私の普通は異常だ。そんな奴が誰かと行動すれば、相手を傷つけてしまうだけだ。
大河にかかる一本の細長い線。
近づいていくにつれ、頑強な石造りの外装がはっきりと見えてくる。
不味い、群衆が往来するには充分すぎるほど幅広い。
この橋を遮断するのはできなくもないが、魔物次第では取り逃がしてしまうかもしれない。
いいや……うだうだしている暇はすでに無くなっている。
正門の方からドスン! ドスン! と地鳴りがテンポ良く響いてきている。
オルトロスはすぐそこまで迫っている。
橋の中間点に着地すると私はロッドをかかげた。
こうなれば、門から出てくる前に協力な風魔法で押し戻してやる!
万が一、失敗しても皆が避難する時間を稼げればいい……。
ゴクリと息を飲み、魔物の襲来に備える。
大丈夫……知性を持つディザスターウルフとも渡り合えたんだ。オルトロスだって何とか―――
「何してんだ!! 避けろ!」
背後から衝撃が走り、私はその場から弾き飛ばされた。
瞬間、赤熱の塊が橋のど真ん中を通過していく。
橋向で爆発音と共に大地が削り取られた。
塊が過ぎ去り、残った軌跡にはまだ火煙が立ち込めている。
この破壊力だ。
いくら、マジックバリアを発動させていても一発で打ち消されてしまうのはまぬがれない。
「おい、聞こえてんのか!?」
誰かが私の腕を掴んだ。
「いやよ、魔物を止めないと……離して」
私はその手を振りほどこうと躍起になって腕をバタつかせる。
「自分を責めるのは後にしろ、モチ! そうだろ?」
両肩をがっしりと掴まれた、見ると目の前に猫の顔があった。
「ば、バーナード……どうして、ここに?」
「お前が無策で突っ込んでいくからだ。危なくて、おちおち見ちゃいられねぇー。それにオルトロスの牙は高値がつくんだよなぁ~?」
「はい! 状態次第では高額で取引されます」
「トルテ……?」
駆けつけてきた二人を見て私はキョトンとした。
身勝手に暴走し単身オルトロスに挑もうとした。そんな私の後を、この二人は追いかけてきた。
本当にとんでもない話だ。
本人たちは利益の為と豪語するけど嘘が下手すぎる、リスクを考えれば割に合わないはず。
他の人々はすでに逃げ去ったのにも関わらず、二人して私を助けようなんて何の得があるんだ。
本当に理解できないし、信じられない……。
けれど、何故だろう……こんなにも目頭が熱いのは。
「二人とも、よく聞け! 今から俺たちでオルトロスを討伐する。チビッ子、パーティー戦の経験はあるか?」
「前衛なら任せてください。何度か、冒険者さんたちと組んだりしてましたから問題ありません」
「なら、上出来だ。指揮は俺がとる。モチは後方から俺たちの支援に回ってくれ、パーティー戦は未経験なんだろ? どういったモノか、俺たちの動きを見ながら覚えていってくれ」
そう、言いながらバーナードはマジックバッグから二刀一対の小太刀を取り出した。
「そうですよ! 事故とはいえ、こちらに非があったのは変わりませんから」
「お前ら……あのな」
私たちに窘められたバーナードは不服といわんばかりに顔をしかめていた。
余計なお世話だと拒否されてしまえば、それで終わりだ。
それでも彼と同行している以上、ルールに反する行動をとれば最低限は注意喚起しなければならない。
すくなくとも仲間だと呼ぶのなら……彼を諭さないと。
「人が良いのもいい加減にしろよ、コイツは見るからに悪者だろっ?」
「バーナード……それとこれとは話が違うよ。昔、私の魔法の師が言っていたわ。大義なき正義は暴力と変わらないって」
「大義だあ!? んな、御大層なモン持ち合わせていないぜ。そもそも大義って何だよ?」
「確固たる信念、揺るぎない想い。あなたにもあるでしょ? そういったモノが」
私の言葉にバーナードは唇に指をあてがい思案する素振りを見せた。
それなりに思うところでもあるのだろう。
彼なりに理解を深めようとしてくれるのを期待するしかない。
「返す当てのない借金とかか!?」
「猫さん……」あまりの屑っぷりにトルテが心底、ガッカリしている。
コイツはもう手遅れだ、のっけから借金を踏み倒そうとしている。
よくよく考えてみれば、ちゃんとした志を持った人間がギャンブル中毒になるわけがない。
バーナードに信念なんて水と油だ。決して交わることはないモノだ。
「まぁ、後々で訴えられても面倒だし……しゃーねぇな、キュアライトツナ!」
依然として気絶したままの会長の顔に手をかざす、猫。
釈然としていなそうでも、その行いには謝罪の意が込められていた。
手元から光の雫がこぼれ落ちると瞬く間に、会長の顔の腫れが引いて元に戻っていく。
どうやら私の話は無駄にならずに済んだみたいだ。
回復魔法が使えるなんて少々、驚かされたが――――
ちゃんと話せば通じ合える、それなら彼の歪みを正すことができる。
魔導士としての直感がそう告げていた。
「悪いな、後でオッサンに俺が謝っていたって伝えてくれ……アンタは納得できねぇかもしれないけど」
「いえ、承りました。いずれ、この男は裁かれる運命にあります、それが貴方ではなかっただけの話」
「それよりもだ、モチ……さっさと測定済ませろ! 俺とチビッ子の決着がつかなかった今、お前さんが記録を出せば俺達の勝ちだ!!」
「どこらへんからチーム戦になったのよ。確かにゴタゴタはあったけど、私が無理に投げる必要なくない? 二人して二投目を投げればいいじゃない」
バーナードとトルテが揃って、私の背後を指さしていた。
振り向くと強面の怪力自慢のお兄さん方が、今か今かと自分の順番を待っている。
な、投げるしかない……ここで棄権すれば、さんざん待たされた彼らの舌打ちの合唱が始まりかねない。
魔法球――材質はガラスか? こうして手にすると見た目よりもずっと軽い。
今までは、魔力を注入していたモノを投げるという発想に至ったのは、やはり転移者たちが破壊しまくったのが関係しているのか?
理由はどうであれ、今は投球に全力を注ぐ!!
集中しろ! 呼吸を整えろ! 平常心が莫大な魔力を生み出す。
「はぁあ!? おいおおい、ちょっと待――――」
「凄い! お姉さんの魔力があふれて渦を……」
この一投が全てを突き抜ける!
「いっけぇええぇ――ええぃ」
ドドッドバァアアアア――――アン!!
近くで爆発音が響いた。
ハッとなり顔を上げると辺りは騒然とし、人々は皆、顔面蒼白となりある一点を見上げている。
視線を辿ると、対岸のサクリファイスから白煙が上がっている。
神眼で確認すると、正面門が木っ端みじんに吹き飛んでいる。
「嘘……また力加減を間違えたぁああ――!! どうしよーぉ」
「ははっ! やっぱクレイジーだな、お前さん!」
「そ、そんなことよりも門が壊れてしまったのは、かなり不味いです!!」
誰かが声を張り上げた「この場にいる全員、急いで避難しろ!! オルトロスが出てくるぞ!」
それを合図に、人々は蜘蛛の子を散らすように逃走する。
ついさっきまでの平穏が嘘のように消え去っていく。
我が身可愛さに、押し合い圧し合い退路を奪い合う様は、人間の醜悪さが如実に表れている。
怒号、罵倒、喚き声、所々から聞こえてくる。
それでも、その場にいた冒険者であろう複数人は手際よく、避難する人々を先導し、落ち着いて行動するように促している。
彼らがいてくれなければ、事態はさらに悪化していたかもしれない。
「行かなきゃ……」
「お、おい! まさか、クリミナルブリッジに向かうつもりか!?」
私はわき目も振らず、人混みの中を逆走した。
無論、そのままでは避難する者の妨げになってしまう。
ロッドに飛び乗り、フロートとエアーブラストを使用し彼らの頭上を飛び越えて急加速していく。
すべて私の責任だ……。
気の置けない仲間ができるかもしれない、そんな事を夢見て自身がはらむ危険性を甘く見ていた。
私の普通は異常だ。そんな奴が誰かと行動すれば、相手を傷つけてしまうだけだ。
大河にかかる一本の細長い線。
近づいていくにつれ、頑強な石造りの外装がはっきりと見えてくる。
不味い、群衆が往来するには充分すぎるほど幅広い。
この橋を遮断するのはできなくもないが、魔物次第では取り逃がしてしまうかもしれない。
いいや……うだうだしている暇はすでに無くなっている。
正門の方からドスン! ドスン! と地鳴りがテンポ良く響いてきている。
オルトロスはすぐそこまで迫っている。
橋の中間点に着地すると私はロッドをかかげた。
こうなれば、門から出てくる前に協力な風魔法で押し戻してやる!
万が一、失敗しても皆が避難する時間を稼げればいい……。
ゴクリと息を飲み、魔物の襲来に備える。
大丈夫……知性を持つディザスターウルフとも渡り合えたんだ。オルトロスだって何とか―――
「何してんだ!! 避けろ!」
背後から衝撃が走り、私はその場から弾き飛ばされた。
瞬間、赤熱の塊が橋のど真ん中を通過していく。
橋向で爆発音と共に大地が削り取られた。
塊が過ぎ去り、残った軌跡にはまだ火煙が立ち込めている。
この破壊力だ。
いくら、マジックバリアを発動させていても一発で打ち消されてしまうのはまぬがれない。
「おい、聞こえてんのか!?」
誰かが私の腕を掴んだ。
「いやよ、魔物を止めないと……離して」
私はその手を振りほどこうと躍起になって腕をバタつかせる。
「自分を責めるのは後にしろ、モチ! そうだろ?」
両肩をがっしりと掴まれた、見ると目の前に猫の顔があった。
「ば、バーナード……どうして、ここに?」
「お前が無策で突っ込んでいくからだ。危なくて、おちおち見ちゃいられねぇー。それにオルトロスの牙は高値がつくんだよなぁ~?」
「はい! 状態次第では高額で取引されます」
「トルテ……?」
駆けつけてきた二人を見て私はキョトンとした。
身勝手に暴走し単身オルトロスに挑もうとした。そんな私の後を、この二人は追いかけてきた。
本当にとんでもない話だ。
本人たちは利益の為と豪語するけど嘘が下手すぎる、リスクを考えれば割に合わないはず。
他の人々はすでに逃げ去ったのにも関わらず、二人して私を助けようなんて何の得があるんだ。
本当に理解できないし、信じられない……。
けれど、何故だろう……こんなにも目頭が熱いのは。
「二人とも、よく聞け! 今から俺たちでオルトロスを討伐する。チビッ子、パーティー戦の経験はあるか?」
「前衛なら任せてください。何度か、冒険者さんたちと組んだりしてましたから問題ありません」
「なら、上出来だ。指揮は俺がとる。モチは後方から俺たちの支援に回ってくれ、パーティー戦は未経験なんだろ? どういったモノか、俺たちの動きを見ながら覚えていってくれ」
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