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難攻不落のサクリファイス
パーティー戦 初級編
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パーティー戦、初めて聞く言葉に私の心は揺らいだ。
無理もない、今の今まで単独で戦闘を続けてきた私にとってパーティー単位というのは実に新鮮味ある戦い方だ。
でも、予行練習すらなしの本番出たとこ勝負となる今回、私自身はどう行動すればいいのか? 分からない。
そこでバーナードだ。不慣れな私の為に彼は一つの提案を持ち掛けてきた。
「時間がないから手短に話す。指示には簡易的方法を用いる。チビッ子には音、モチには手の動きで合図を送る。それでだ斯々然々――――」
「フォーメーションはどうしますか?」
「サイドウィングでいくぞ!!」
一通りの打ち合わせを終えて私たちは散開した。
各々が持ち場につき、武器を構えその時を待つ。
というか、トルテは前衛で本当に大丈夫なのか? その事を彼女に尋ねると「私にはこれがあります」と旗竿を手に軽く振るってみせてきた。
竿と呼ぶには、あまりのも重量感がある鈍器、銀色に輝くソレは確かに普通の旗竿などではなく、むしろ工具のような印象を受ける。
「来るぞ、相手は魔物だ! 不測の事態を想定しながら行動しろ」
前衛の二人が配置につくのと同時に、立ち込める白煙の向こう側からニュッと魔獣の頭部が現れる。
デカい……正門とほぼ変わらないサイズの非常に巨大な魔獣。
犬のようにゴワッとした毛並みの二つの頭部――これが、地獄の猟犬オルトロス。
私たちは、こんなバケモノを相手にしなければならないのか……。
名称 オルトロス
種族 魔獣
弱点 土属性
備考 数々の文献に出てくる火属性魔法を得意とする魔獣。一つの身体に二つの頭脳を持つ、本体の右側がオスで左側がメス。
オルトロスを出現を確認するとバーナードが橋の右端、トルテが左端を駆けていく。
サイドウィングなるフォーメーションの強みは左右両脇からの挟撃し相手を翻弄することだそうだ。
特に二つの頭部を持つオルトロスを、かく乱するのには申し分ない手段だ。
左右から迫り来る戦士たちを相手にどちらを相手にするのか? で魔獣は確実に迷う。その隙をついて、攻撃を仕掛け体力を削っていく。
長丁場になる可能性も大いにあるが、安全策を講じるのなら少しずつでも敵を弱らせる方がいい。
「ぬん!」
真っ先にバーナードが斬り込んでいく。鮮やかな手並みで小太刀の刃をオルトロスの身に刻んでいく。
「ちぃぃぃ、体毛が邪魔して刃先に絡んでくる! 短い獲物だと不利か!?」
交差した小太刀の鍔を迫り合わせキィン! と音を立てる。
交代の合図だ。今度は左からトルテが飛び掛かる!
タイミングは完璧だった。しかし、オルトロスも考え無しではない。
敵がどうやって仕掛けてくるのか、様子見をしていた。
彼女が射程に入ったのを見計らい、強烈な爆炎魔法エクスプロージョンを放出してくる。
一瞬にして大炎の中へに飲み込まれるトルテ。
エクスプロージョンは火属性の上位魔法だ。彼女のように魔法耐性の弱い戦士系の人間がコレを食らったら一溜りもない。
そう――何も対策をしていなければ。
驚くべきはバーナードの指示だった。トルテの動きに合わせ、彼は左腕を水平に伸ばしていた。
それは私への防御魔法の指示。
左腕ならトルテ、右腕なら彼に魔法で防御を張れというモノだ。
オルトロスが攻撃魔法を仕込んでいるのはマナの動きが見える私にとって造作もない事、すぐに気づいた。
それをあの短時間で見抜いたというのか、彼は的確な判断を下している。
あとは、火属性魔法を発動させる直前で、相剋関係にある水属性に風属性を加えたユニゾン魔法アクアビュートでトルテの周囲に分厚い水流の防御幕を張るだけだった。
爆炎の中から人影が飛び出てきた。
どうやら、エクスプロージョンの完全無効化に成功したようだ。
無傷のままのトルテが自身の獲物を力一杯、オルトロスに振り下ろす。
「うぉぉ――らぁ!! グリッドアーツ、ガリアブレーヴァ!!」
途端、旗竿に擬態していた銀色のグリッドアーツが輝き出し、戦鎚の形に変化していく。
魔獣の頭部を直撃した重い一撃によりオルトロスの右半身が大きく傾いた。
「よっしゃー! 任せろ」
二度目の金属音が響く。態勢を崩したことにより、オルトロスの体毛少ない腹部が無防備になっている。
それを見逃すことなく、二対の小太刀が斬りつける。
「グルガガァアアアア」鮮血をまとう刃を睨みつけオルトロスが咆哮する。
突き抜けていく重低音の圧に私たちは姿勢を低くし耐える。
倒れ込んだままの状態で魔獣は大顎を開いていた。
「ヒートブレスの予備動作だ!! モチ! 頼む!!」
「えっえっ? 何?」
バーナードが両手を広げながら、軽やかに戦場を駆け抜けていく。
ブ――――ン……じゃない! 味方全体に防御壁を築けという合図だ。
「んな、事させっかよ―――!!」
その一方で、トルテが指示を無視してオルトロスの口元まで全力疾走している。
というか、あの子……あんなにも好戦的なの!?
「ああっ!? 届かない――って思ったか? 駄犬。ガイアブレ―ヴァをなめんなっ! グランダッシャァアアア!」
「待て待て待て!! チビッ子! 橋の上でそんな大技使うんじゃ――」
「っさい!! 白ダヌキは黙ってみてろ」
大振りの金鎚が橋の欄干を打ち砕く。
そこから生じた衝撃が石質の刃となり欄干を伝って進んでいった。
「ギャアアァアア――ン」悶絶するような鳴き声が轟く。
先程の石で形成された刃がオルトロスの背中に痛々しく突き刺さっている。
グランダッシャー……本来なら地面を叩きつけて発動させる技巧。
魔法のアースグレイブに可動攻撃判定を足した感じか。
技巧っていう概念がイマイチ分からないけど、アーカイブスの情報としてあるのだから技巧なのだろう。戦士系とかが使用する必殺技と捉えておけばいいのかな?
ともかく、ソレを即座に応用する彼女の戦闘センスはとても十代、女子のものとは思えない。
「ボサボサすんな!! ネェーちゃん」
しまった……考えに浸りすぎた!
トルテの叫び声で、バーナードが次の合図を送っているのだと理解した。
彼の頭部が電球のように光を帯びている。
一体、あの中身はどなっているのだというのか? 攻撃魔法を使用しろという意味だ。
……にしても敵に気づかれやすいし不気味だからヤメテ欲しい。
「できれば、弱点である土属性の魔法が使えればよかったんだけど」
ロッドの先端に魔力を集約していく。
ここは水辺のど真ん中、土気がないので土魔法は望めない。
だが、逆を言えば大量の水のマナが確保できている。ゆえに魔導士にとっては水魔法なら使いたい放題だ。
「上級魔法……ウォータースライサー!」
上空に向かってほとばしる水柱は城門をゆうに超え高くそびえていた。
前進加速していくにつれて絞られ密度の高い薄板状に成形されてゆく。
超高速で物体を切り裂くギロチン、ウォータースライサー。
それを前に如何なる硬度も意味を成さない。一度通過すれば、対象を真っ二つに切り裂いてしまう。
オルトロスの四肢が丁度、半分に割れた。
もう、まともに動けないはず……なのにその身が裂かれても私たちを捕食しようと牙を剥き出しにしている。
何としても生存しよう足掻く様は鬼気迫るものがある、これが獰猛な魔物という奴なんだ……。
「オラァ――、さっさと逝けや!!」
「死体蹴りすんな、馬鹿! 素材が痛むだろ、ちゃっちゃと解体して肉や牙、毛皮をいただくぞ」
そして、これが凶悪な仲間たち……だ。
冗談抜きでこの二人は強い。
私一人では間違いなく、オルトロスに苦戦を強いられていた。
パーティーを組んで役割分担できたのも大きい、連携さえ上手くとれれば、ここまで効率よく戦闘をこなす事ができるものなんだ。
未だ、この世界は広く未知なる知識で溢れているとつくづく実感させられる。
無理もない、今の今まで単独で戦闘を続けてきた私にとってパーティー単位というのは実に新鮮味ある戦い方だ。
でも、予行練習すらなしの本番出たとこ勝負となる今回、私自身はどう行動すればいいのか? 分からない。
そこでバーナードだ。不慣れな私の為に彼は一つの提案を持ち掛けてきた。
「時間がないから手短に話す。指示には簡易的方法を用いる。チビッ子には音、モチには手の動きで合図を送る。それでだ斯々然々――――」
「フォーメーションはどうしますか?」
「サイドウィングでいくぞ!!」
一通りの打ち合わせを終えて私たちは散開した。
各々が持ち場につき、武器を構えその時を待つ。
というか、トルテは前衛で本当に大丈夫なのか? その事を彼女に尋ねると「私にはこれがあります」と旗竿を手に軽く振るってみせてきた。
竿と呼ぶには、あまりのも重量感がある鈍器、銀色に輝くソレは確かに普通の旗竿などではなく、むしろ工具のような印象を受ける。
「来るぞ、相手は魔物だ! 不測の事態を想定しながら行動しろ」
前衛の二人が配置につくのと同時に、立ち込める白煙の向こう側からニュッと魔獣の頭部が現れる。
デカい……正門とほぼ変わらないサイズの非常に巨大な魔獣。
犬のようにゴワッとした毛並みの二つの頭部――これが、地獄の猟犬オルトロス。
私たちは、こんなバケモノを相手にしなければならないのか……。
名称 オルトロス
種族 魔獣
弱点 土属性
備考 数々の文献に出てくる火属性魔法を得意とする魔獣。一つの身体に二つの頭脳を持つ、本体の右側がオスで左側がメス。
オルトロスを出現を確認するとバーナードが橋の右端、トルテが左端を駆けていく。
サイドウィングなるフォーメーションの強みは左右両脇からの挟撃し相手を翻弄することだそうだ。
特に二つの頭部を持つオルトロスを、かく乱するのには申し分ない手段だ。
左右から迫り来る戦士たちを相手にどちらを相手にするのか? で魔獣は確実に迷う。その隙をついて、攻撃を仕掛け体力を削っていく。
長丁場になる可能性も大いにあるが、安全策を講じるのなら少しずつでも敵を弱らせる方がいい。
「ぬん!」
真っ先にバーナードが斬り込んでいく。鮮やかな手並みで小太刀の刃をオルトロスの身に刻んでいく。
「ちぃぃぃ、体毛が邪魔して刃先に絡んでくる! 短い獲物だと不利か!?」
交差した小太刀の鍔を迫り合わせキィン! と音を立てる。
交代の合図だ。今度は左からトルテが飛び掛かる!
タイミングは完璧だった。しかし、オルトロスも考え無しではない。
敵がどうやって仕掛けてくるのか、様子見をしていた。
彼女が射程に入ったのを見計らい、強烈な爆炎魔法エクスプロージョンを放出してくる。
一瞬にして大炎の中へに飲み込まれるトルテ。
エクスプロージョンは火属性の上位魔法だ。彼女のように魔法耐性の弱い戦士系の人間がコレを食らったら一溜りもない。
そう――何も対策をしていなければ。
驚くべきはバーナードの指示だった。トルテの動きに合わせ、彼は左腕を水平に伸ばしていた。
それは私への防御魔法の指示。
左腕ならトルテ、右腕なら彼に魔法で防御を張れというモノだ。
オルトロスが攻撃魔法を仕込んでいるのはマナの動きが見える私にとって造作もない事、すぐに気づいた。
それをあの短時間で見抜いたというのか、彼は的確な判断を下している。
あとは、火属性魔法を発動させる直前で、相剋関係にある水属性に風属性を加えたユニゾン魔法アクアビュートでトルテの周囲に分厚い水流の防御幕を張るだけだった。
爆炎の中から人影が飛び出てきた。
どうやら、エクスプロージョンの完全無効化に成功したようだ。
無傷のままのトルテが自身の獲物を力一杯、オルトロスに振り下ろす。
「うぉぉ――らぁ!! グリッドアーツ、ガリアブレーヴァ!!」
途端、旗竿に擬態していた銀色のグリッドアーツが輝き出し、戦鎚の形に変化していく。
魔獣の頭部を直撃した重い一撃によりオルトロスの右半身が大きく傾いた。
「よっしゃー! 任せろ」
二度目の金属音が響く。態勢を崩したことにより、オルトロスの体毛少ない腹部が無防備になっている。
それを見逃すことなく、二対の小太刀が斬りつける。
「グルガガァアアアア」鮮血をまとう刃を睨みつけオルトロスが咆哮する。
突き抜けていく重低音の圧に私たちは姿勢を低くし耐える。
倒れ込んだままの状態で魔獣は大顎を開いていた。
「ヒートブレスの予備動作だ!! モチ! 頼む!!」
「えっえっ? 何?」
バーナードが両手を広げながら、軽やかに戦場を駆け抜けていく。
ブ――――ン……じゃない! 味方全体に防御壁を築けという合図だ。
「んな、事させっかよ―――!!」
その一方で、トルテが指示を無視してオルトロスの口元まで全力疾走している。
というか、あの子……あんなにも好戦的なの!?
「ああっ!? 届かない――って思ったか? 駄犬。ガイアブレ―ヴァをなめんなっ! グランダッシャァアアア!」
「待て待て待て!! チビッ子! 橋の上でそんな大技使うんじゃ――」
「っさい!! 白ダヌキは黙ってみてろ」
大振りの金鎚が橋の欄干を打ち砕く。
そこから生じた衝撃が石質の刃となり欄干を伝って進んでいった。
「ギャアアァアア――ン」悶絶するような鳴き声が轟く。
先程の石で形成された刃がオルトロスの背中に痛々しく突き刺さっている。
グランダッシャー……本来なら地面を叩きつけて発動させる技巧。
魔法のアースグレイブに可動攻撃判定を足した感じか。
技巧っていう概念がイマイチ分からないけど、アーカイブスの情報としてあるのだから技巧なのだろう。戦士系とかが使用する必殺技と捉えておけばいいのかな?
ともかく、ソレを即座に応用する彼女の戦闘センスはとても十代、女子のものとは思えない。
「ボサボサすんな!! ネェーちゃん」
しまった……考えに浸りすぎた!
トルテの叫び声で、バーナードが次の合図を送っているのだと理解した。
彼の頭部が電球のように光を帯びている。
一体、あの中身はどなっているのだというのか? 攻撃魔法を使用しろという意味だ。
……にしても敵に気づかれやすいし不気味だからヤメテ欲しい。
「できれば、弱点である土属性の魔法が使えればよかったんだけど」
ロッドの先端に魔力を集約していく。
ここは水辺のど真ん中、土気がないので土魔法は望めない。
だが、逆を言えば大量の水のマナが確保できている。ゆえに魔導士にとっては水魔法なら使いたい放題だ。
「上級魔法……ウォータースライサー!」
上空に向かってほとばしる水柱は城門をゆうに超え高くそびえていた。
前進加速していくにつれて絞られ密度の高い薄板状に成形されてゆく。
超高速で物体を切り裂くギロチン、ウォータースライサー。
それを前に如何なる硬度も意味を成さない。一度通過すれば、対象を真っ二つに切り裂いてしまう。
オルトロスの四肢が丁度、半分に割れた。
もう、まともに動けないはず……なのにその身が裂かれても私たちを捕食しようと牙を剥き出しにしている。
何としても生存しよう足掻く様は鬼気迫るものがある、これが獰猛な魔物という奴なんだ……。
「オラァ――、さっさと逝けや!!」
「死体蹴りすんな、馬鹿! 素材が痛むだろ、ちゃっちゃと解体して肉や牙、毛皮をいただくぞ」
そして、これが凶悪な仲間たち……だ。
冗談抜きでこの二人は強い。
私一人では間違いなく、オルトロスに苦戦を強いられていた。
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