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幻影抱く灰色の都
ピュアシルバー
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少女はタタンだった時とは異なり、ひどく冷めていた。
決して冷静という意味ではない。
揺れ動かない仕草、波風の立たない心。
普段の様子からは信じられない様変わりに、これがあの彼女なのかと疑いを持ってしまう。
パラパラと崩れながら細切れとなる光の鞭。
一体、いつ切り落とされたのかと動じるアンデッド。
無理もない、恐ろしいほどに動作が小さく無駄がない。
洗練された素早く的確な鎌捌き。
私は本当に、トルテのことを分かっていなかった。
グリッドアーツを使用する時、トルテには戦いは向いていないとタタンが勝手に判断し主導権を握ってくるんだとばかり思っていた。
でも、違った……一度、グリッドアーツを手に取れば、誰も彼女を止められない。
どういう経緯があるのかは想像もつかない。
彼女の武器の扱い方は素人や我流のものとは毛色が違う。
純粋に磨きあげた技術、不純を取り除いた立ち振る舞い、不動であるがゆえの冷淡さ。
なにより、彼女自身が敵対する者を殲滅する為に生み出せれた生粋のグリッドアーツ。
そんな印象を否応なしに受けてしまう。
「知ってますかぁー! 銀って延性と展性に優れている金属なんですよぉ! だから――――――」
アンデッドに近づきながら、トルテは何かを喋っていた。
聞こえていたのは最初に声を張り上げていた部分だけ、以降は一音たりとも耳に届かない。
彼女がどんな会話をしたのか? 不明だが、アンデッドが怯えながら身を縮こませているように見えるのは、私の気のせいなのだろうか?
「ひひひっひィ―――!! オタスケを!! どうか、御慈悲ヲ――――」
「死人が生に追いすがるなんて……なんか、褪めちゃうなぁ~」
唇を歪ませたトルテの大鎌が横一線に空を斬った。
微かにアンデッドが命乞いをする声がしたんだけれど、空耳か。
鈍く光輝く刃がアンデッドの手前を通り越すと、途端に異変が生じた。
「ぁあぁああああああ……」
思わず、耳を塞ぎ目を閉じたくなる光景がそこに拡がっていた。
絶叫する不死者。死体特有の真っ白な地肌がみるみる内に銀のそれに染まってゆく。
魔物だけではない、遺跡にある建物の壁や柱、地面までも。辺りにあるもの全て銀一色に包まれてゆく。
白銀の世界、私達は雪景色をそのように喩えるが、これは正真正銘の銀の世界。
美しくも、冷たい光沢を放つ、その場だけが時を止めたかのように静まり返っている。
騎馬もろともアンデッドは、完全に銀の像となり景色の一部として溶け込んでいた。
ただ、真っすぐ前に手を伸ばしたまま固まってしまった姿は、トルテに対する懇願であり、絶望を訴えっていると思うと鬼気迫る物がある。
無言のまま、トルテが上半身を捻っていた。
そのまま鎌を構える彼女の全身が一瞬にして眩く発光する。
全身を使い大鎌をグルグルと回転させてゆく、助走なんてモノは必要とはしない。
振り出した時点で、地を踏みぬくような軸足を立てて一気に高速回転まで持ってきた。
ついに、人体の限界を飛び越えた彼女の様は、まさにスクリュープロペラ。
一体、彼女の三半規管はどうなっているのか?
一向に収まる気配がないどころか、どこまでも加速している。
こんなモノに触れようなら、鎌で容易にスライスされてしまう。
「舞い散れ、銀砂子がごとく!」
旋回した一撃が銀化したアンデッドを刈り取る。
斬撃にも関わらず、魔物の身体は音もたてずに銀粉となり崩れ落ちていく。
すぐに、魔力感知で索敵してみる。
私達以外の反応はない、どうやら窮地を乗り切り魔物の討伐を果たせたみたいだ。
結局のところトルテの御使いとして能力は不明のまま、それどころか謎は深まるばかりだった。
まぁ、難しく眉間に皺を寄せていてもしょうもない。
今は、素直に勝利をよろ――――
私は反射的にバックステップを踏んでいた。
物音一つ立てず、いつの間にかトルテが傍に来ていたからだ。
以前として表情が固く髪色も元の亜麻色に戻っていない。
つまり、未だグリッドアーツの能力を解放したままという事になる。
まさかとは思うけど、自力で解除できないとか……正気を失ってしまっているとか異常事態に陥っている?
だとしたら、お手上げだ。
超級魔法を使用したばかりの私に、対抗できる手段は何も残されていない。
彼女に接近を許してしまった時点で、勝敗は喫する。
「あの……トルテ? 私のこと分かるよ、ね?」
彼女は無言のまま、さらに私との距離を縮めてきた。
本当に、自身を見失っているのか? こちらからでは判別できない。
それとも他に意図するモノがあってグリッドアーツを解除しないのか? 行動心理が分からない以上、生きた心地がしない。
微笑むトルテを見た瞬間、さすがにヤバイと感じた。
完全に目が座っているし、背後に回した手元から隠し切れていない鎌の刃がコンニチワしている。
こうなったら、アレをやるしかない!
アレとは何か? アレとはアレのことである。
よくわからないけど、取り敢えず生ビールを頼む大人がカッコイイみたいなノリだ。
もう、やぶれかぶれもいい所。それほど私は追い詰められていた。
がっしりとトルテの身体をホールドする。
決してハグとか、抱き締めるとか、親愛がこもる生易しいもんじゃない!
決死の拘束、道具を使わなくていい原始的な確保。
どうして抱きついたのか? なんてちゃんと説明できない。
なんとなくだ……何となくそうした方が正解なのかもと直感で感じ取っただけだ。
ダッキングすれば、大抵の戦闘は避けられるって!
「モ……モチさん。ちょっと、苦しいです……」
いつもの明るい調子のトルテが戻ってきた。
どうやら、抱きつきは相手の闘争心を抑制する効果があるようだ。
私は拘束していた両腕を解放して、彼女の両肩に手を沿えた。
そして、そのまま再度ダッキングした。
駄目か――未だ、髪色が銀髪のままだ。
「すとぅぷ、ストップ! もう、大丈夫ですから~!! アーツの効果を解除するまで時間がかかるのは、いつもの事ですって」
腕の中で、モゾモゾと小動物のように身体を揺さぶる姿は確かにトルテらしい。
恐る恐る両腕を解いて、彼女からゆっくりと距離を取る。
安全かどうか、不安ではあった。
けれど、いつまでも怯えてはいられない。
それにトルテ自身が大丈夫だと言ったんだ、信じよう。
「おかえり……ずっと、あのままだったらどうしようって心配したんだからね」
「すみませんでした。思っていた以上に、あの雨が厄介でしてタタンの力が存分に発揮できず、止む無くバトンタッチしました。それと――」
トルテが上着のポケットから二枚のプレートを取り出し、こちらに手渡した。
多少、カタチは異なるものの、蒼騎士やリーダーが持っていたのと同類のものだ。
ここまで来れば、大方の見通しがつく。
ジオ・マギアを正常化する為には幾つかに分けられたプレートを入手しなければならない。
それはボスクラスの魔物を討伐することで得られる。
むろん、確証はない……けれどもプレート自体は重要なアイテムだと状況が証明している。
「これからどうします?」
「ミノさんとオイスタの安否がきがかりだね。一度、停船場に戻ろう、ひょっとしたら二人とも戻っているのかもしれない」
私達は、急いで船が止まっていた場所に向かった。
ところが、そこには目を疑いたくなるような現実が待ち構えていた。
「無い! 何処に船の姿が見当たりません!!」
トルテの顔に焦燥感が滲み出ていた。
私だって動揺を抑えるのが精一杯だ。
二人の行方どころか、あるはずの戦艦が跡形もなく消えてしまっている。
そこで私は気づいてしまった……消失したのは彼らではなく私達の方ではないかと。
とにかくバーナードたちと合流しなければならない。
得も言われぬ恐怖を抱きながら、私とトルテは時計塔を目指す事に決めた。
決して冷静という意味ではない。
揺れ動かない仕草、波風の立たない心。
普段の様子からは信じられない様変わりに、これがあの彼女なのかと疑いを持ってしまう。
パラパラと崩れながら細切れとなる光の鞭。
一体、いつ切り落とされたのかと動じるアンデッド。
無理もない、恐ろしいほどに動作が小さく無駄がない。
洗練された素早く的確な鎌捌き。
私は本当に、トルテのことを分かっていなかった。
グリッドアーツを使用する時、トルテには戦いは向いていないとタタンが勝手に判断し主導権を握ってくるんだとばかり思っていた。
でも、違った……一度、グリッドアーツを手に取れば、誰も彼女を止められない。
どういう経緯があるのかは想像もつかない。
彼女の武器の扱い方は素人や我流のものとは毛色が違う。
純粋に磨きあげた技術、不純を取り除いた立ち振る舞い、不動であるがゆえの冷淡さ。
なにより、彼女自身が敵対する者を殲滅する為に生み出せれた生粋のグリッドアーツ。
そんな印象を否応なしに受けてしまう。
「知ってますかぁー! 銀って延性と展性に優れている金属なんですよぉ! だから――――――」
アンデッドに近づきながら、トルテは何かを喋っていた。
聞こえていたのは最初に声を張り上げていた部分だけ、以降は一音たりとも耳に届かない。
彼女がどんな会話をしたのか? 不明だが、アンデッドが怯えながら身を縮こませているように見えるのは、私の気のせいなのだろうか?
「ひひひっひィ―――!! オタスケを!! どうか、御慈悲ヲ――――」
「死人が生に追いすがるなんて……なんか、褪めちゃうなぁ~」
唇を歪ませたトルテの大鎌が横一線に空を斬った。
微かにアンデッドが命乞いをする声がしたんだけれど、空耳か。
鈍く光輝く刃がアンデッドの手前を通り越すと、途端に異変が生じた。
「ぁあぁああああああ……」
思わず、耳を塞ぎ目を閉じたくなる光景がそこに拡がっていた。
絶叫する不死者。死体特有の真っ白な地肌がみるみる内に銀のそれに染まってゆく。
魔物だけではない、遺跡にある建物の壁や柱、地面までも。辺りにあるもの全て銀一色に包まれてゆく。
白銀の世界、私達は雪景色をそのように喩えるが、これは正真正銘の銀の世界。
美しくも、冷たい光沢を放つ、その場だけが時を止めたかのように静まり返っている。
騎馬もろともアンデッドは、完全に銀の像となり景色の一部として溶け込んでいた。
ただ、真っすぐ前に手を伸ばしたまま固まってしまった姿は、トルテに対する懇願であり、絶望を訴えっていると思うと鬼気迫る物がある。
無言のまま、トルテが上半身を捻っていた。
そのまま鎌を構える彼女の全身が一瞬にして眩く発光する。
全身を使い大鎌をグルグルと回転させてゆく、助走なんてモノは必要とはしない。
振り出した時点で、地を踏みぬくような軸足を立てて一気に高速回転まで持ってきた。
ついに、人体の限界を飛び越えた彼女の様は、まさにスクリュープロペラ。
一体、彼女の三半規管はどうなっているのか?
一向に収まる気配がないどころか、どこまでも加速している。
こんなモノに触れようなら、鎌で容易にスライスされてしまう。
「舞い散れ、銀砂子がごとく!」
旋回した一撃が銀化したアンデッドを刈り取る。
斬撃にも関わらず、魔物の身体は音もたてずに銀粉となり崩れ落ちていく。
すぐに、魔力感知で索敵してみる。
私達以外の反応はない、どうやら窮地を乗り切り魔物の討伐を果たせたみたいだ。
結局のところトルテの御使いとして能力は不明のまま、それどころか謎は深まるばかりだった。
まぁ、難しく眉間に皺を寄せていてもしょうもない。
今は、素直に勝利をよろ――――
私は反射的にバックステップを踏んでいた。
物音一つ立てず、いつの間にかトルテが傍に来ていたからだ。
以前として表情が固く髪色も元の亜麻色に戻っていない。
つまり、未だグリッドアーツの能力を解放したままという事になる。
まさかとは思うけど、自力で解除できないとか……正気を失ってしまっているとか異常事態に陥っている?
だとしたら、お手上げだ。
超級魔法を使用したばかりの私に、対抗できる手段は何も残されていない。
彼女に接近を許してしまった時点で、勝敗は喫する。
「あの……トルテ? 私のこと分かるよ、ね?」
彼女は無言のまま、さらに私との距離を縮めてきた。
本当に、自身を見失っているのか? こちらからでは判別できない。
それとも他に意図するモノがあってグリッドアーツを解除しないのか? 行動心理が分からない以上、生きた心地がしない。
微笑むトルテを見た瞬間、さすがにヤバイと感じた。
完全に目が座っているし、背後に回した手元から隠し切れていない鎌の刃がコンニチワしている。
こうなったら、アレをやるしかない!
アレとは何か? アレとはアレのことである。
よくわからないけど、取り敢えず生ビールを頼む大人がカッコイイみたいなノリだ。
もう、やぶれかぶれもいい所。それほど私は追い詰められていた。
がっしりとトルテの身体をホールドする。
決してハグとか、抱き締めるとか、親愛がこもる生易しいもんじゃない!
決死の拘束、道具を使わなくていい原始的な確保。
どうして抱きついたのか? なんてちゃんと説明できない。
なんとなくだ……何となくそうした方が正解なのかもと直感で感じ取っただけだ。
ダッキングすれば、大抵の戦闘は避けられるって!
「モ……モチさん。ちょっと、苦しいです……」
いつもの明るい調子のトルテが戻ってきた。
どうやら、抱きつきは相手の闘争心を抑制する効果があるようだ。
私は拘束していた両腕を解放して、彼女の両肩に手を沿えた。
そして、そのまま再度ダッキングした。
駄目か――未だ、髪色が銀髪のままだ。
「すとぅぷ、ストップ! もう、大丈夫ですから~!! アーツの効果を解除するまで時間がかかるのは、いつもの事ですって」
腕の中で、モゾモゾと小動物のように身体を揺さぶる姿は確かにトルテらしい。
恐る恐る両腕を解いて、彼女からゆっくりと距離を取る。
安全かどうか、不安ではあった。
けれど、いつまでも怯えてはいられない。
それにトルテ自身が大丈夫だと言ったんだ、信じよう。
「おかえり……ずっと、あのままだったらどうしようって心配したんだからね」
「すみませんでした。思っていた以上に、あの雨が厄介でしてタタンの力が存分に発揮できず、止む無くバトンタッチしました。それと――」
トルテが上着のポケットから二枚のプレートを取り出し、こちらに手渡した。
多少、カタチは異なるものの、蒼騎士やリーダーが持っていたのと同類のものだ。
ここまで来れば、大方の見通しがつく。
ジオ・マギアを正常化する為には幾つかに分けられたプレートを入手しなければならない。
それはボスクラスの魔物を討伐することで得られる。
むろん、確証はない……けれどもプレート自体は重要なアイテムだと状況が証明している。
「これからどうします?」
「ミノさんとオイスタの安否がきがかりだね。一度、停船場に戻ろう、ひょっとしたら二人とも戻っているのかもしれない」
私達は、急いで船が止まっていた場所に向かった。
ところが、そこには目を疑いたくなるような現実が待ち構えていた。
「無い! 何処に船の姿が見当たりません!!」
トルテの顔に焦燥感が滲み出ていた。
私だって動揺を抑えるのが精一杯だ。
二人の行方どころか、あるはずの戦艦が跡形もなく消えてしまっている。
そこで私は気づいてしまった……消失したのは彼らではなく私達の方ではないかと。
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