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孤島の花嫁
71話 突撃、隣の戦場
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現在の手持ちポイントは30,582ポイント。
その内わけは、ホロモンの本体を討伐した時の35,000とドリアンの582ポイント。
5,000ポイントはササブリの衣装スキル獲得に使用したため、これが合計値となる。
ここまでポインが溜まれば使いたい放題だと並みの者なら思うだろう。
だが、志の高い人間なら真に欲しい物を見分け貯蓄に回るというモノだ。
75万ポイントで購入できるのスケベ椅子も捨てがたいが……なんといっても108万ポイントで、あの透ける眼鏡が買えてしまう。
人類が誕生してから数百万年、未だ我々男が踏破していない領域がある。
それこそが、透視眼鏡の開発だ。無論、転生する前の世界では、それに近いモノは存在した。
だが、哀しきかな。このセカイにはそれほどの科学力は発達していない。
エロ動画すらない健全なセカイに、不純物を混ぜ込もうとする勇者たちは度々出てくるがランキングを上げないと生活すらままならないので、結局ダンジョンで帰らぬ人となってしまう。
死んだ奴は生き返らない。
それは、ここでも同じだ。ただ、死んでも生まれ変わればやり直しはきく。
生まれ変わる魂の収容場を俺たちはセメタリーと呼んでいた。
ちゃんと神官職の者が魂を導けば、セメタリーへと飛んでゆく。
このセカイは過酷でありながらも、救済があるという最悪の計算式で成り立っている。
時折「ここは地獄だと」ぼやく者がいる。
けど、それは本当の地獄を知らないから言える恵まれてきた奴の言葉だ。
俺にとっては、このセカイのコミュニティこそ真の解放地だった。
時間に追われることもなく、仕事をするのも自由きままだ。
寝たい時に寝て、食いたい物を食う、それこそが最高の贅沢だ。
エンタメなんざ要らなかった。
毎日が冒険、毎回、新たなる発見。
星団船を含む、異世界ダンジョンには決してゲームでは味わえないほどの興奮や感動がある。
やり尽くせないほどのダンジョン攻略は期待で心が躍る。
生まれ待った才能も特化した能力も必要ない。
要るのはランキングだけだ。ランキングさえ高ければ誰だって、ヒーローになれる。
この一点だけは、このセカイの平等をしめすモノだと言える。
適応外だった俺は、そのシステムに感動しつつも反面、呪ってもいた。
いくら綺麗ごとを並べても、事実は変わらない。
自分にランキングブレイクする能力があると知らなかった俺は、どうしてランキングが反映されないのか、納得いかなかった。
弱者のまま生活するのは楽なことではない。
我ながらよく耐えてきたと思う。まぁ、もとが悲惨だったから、このセカイの理不尽は大したことではないと感じてしまっていた。
良くも悪くも、心が壊れていたというわけだ。
こうして今俺は、2,000ポイントの賄賂をボリネシアンランサーズへ贈呈するにまで成長した。
彼ら欲したのはドラムセット一式だった。
踊りと演奏をこよなく愛するボリネシアンズにとっては、コンガのような単純な楽器では物足りなくなっていたとのこと。
サックスを欲しがる者もいたが、300ポイントのリコーダーで代用させた。
別にケチっているわけではない……ポイント購入後が怖いだけだ。
『購入ポイントが7,500に到達しました。購入特典、金網リングを獲得しました』
「か、金網リング? って何?」
『任意使用可能なアイテムです。効果は、???とされていますので、実際に試してみて下さい』
そう言って手渡されたのが、網目のついた指輪だ。
宝石はついていない、シンプルな金属の指輪。
正直、コレをどうしろというのか……用途に困るが、いずれ役立つ時も来よう。
そう、信じて俺は懐にリングを仕舞った。
「ポメオさん、これから俺たちはどうすれば?」
「そうだな。早速で悪いけど、族長を丸め込んで欲しい」
「へへっ、それならとって置きがありますぜ!」
とって置きが何かは知らんが……見事、懐柔した腰ミノたちは俺をポメオとして扱うことを約束してくれた。
こうなるとポメオとは、人物名ではなく役職みたいになってきた。
よどんだ街角で出会いそうなモヒカンを中心に、再度集落へと向かうことになった。
「こ、ここ、これは! 煙だ……村の方から煙が上がっているぞ!!」
予期せぬ事態に俺たちは森林を駆けた。やがて、開けた道に出るとすぐさま、スキルブックからセグウェイを出して飛び乗った。
「先に行っているぞ! 皆は他に異常がないか確かめつつ来てくれ」
それだけ告げると、改造セグウェイをフルスロットルで飛ばし現場に急行した。
その内わけは、ホロモンの本体を討伐した時の35,000とドリアンの582ポイント。
5,000ポイントはササブリの衣装スキル獲得に使用したため、これが合計値となる。
ここまでポインが溜まれば使いたい放題だと並みの者なら思うだろう。
だが、志の高い人間なら真に欲しい物を見分け貯蓄に回るというモノだ。
75万ポイントで購入できるのスケベ椅子も捨てがたいが……なんといっても108万ポイントで、あの透ける眼鏡が買えてしまう。
人類が誕生してから数百万年、未だ我々男が踏破していない領域がある。
それこそが、透視眼鏡の開発だ。無論、転生する前の世界では、それに近いモノは存在した。
だが、哀しきかな。このセカイにはそれほどの科学力は発達していない。
エロ動画すらない健全なセカイに、不純物を混ぜ込もうとする勇者たちは度々出てくるがランキングを上げないと生活すらままならないので、結局ダンジョンで帰らぬ人となってしまう。
死んだ奴は生き返らない。
それは、ここでも同じだ。ただ、死んでも生まれ変わればやり直しはきく。
生まれ変わる魂の収容場を俺たちはセメタリーと呼んでいた。
ちゃんと神官職の者が魂を導けば、セメタリーへと飛んでゆく。
このセカイは過酷でありながらも、救済があるという最悪の計算式で成り立っている。
時折「ここは地獄だと」ぼやく者がいる。
けど、それは本当の地獄を知らないから言える恵まれてきた奴の言葉だ。
俺にとっては、このセカイのコミュニティこそ真の解放地だった。
時間に追われることもなく、仕事をするのも自由きままだ。
寝たい時に寝て、食いたい物を食う、それこそが最高の贅沢だ。
エンタメなんざ要らなかった。
毎日が冒険、毎回、新たなる発見。
星団船を含む、異世界ダンジョンには決してゲームでは味わえないほどの興奮や感動がある。
やり尽くせないほどのダンジョン攻略は期待で心が躍る。
生まれ待った才能も特化した能力も必要ない。
要るのはランキングだけだ。ランキングさえ高ければ誰だって、ヒーローになれる。
この一点だけは、このセカイの平等をしめすモノだと言える。
適応外だった俺は、そのシステムに感動しつつも反面、呪ってもいた。
いくら綺麗ごとを並べても、事実は変わらない。
自分にランキングブレイクする能力があると知らなかった俺は、どうしてランキングが反映されないのか、納得いかなかった。
弱者のまま生活するのは楽なことではない。
我ながらよく耐えてきたと思う。まぁ、もとが悲惨だったから、このセカイの理不尽は大したことではないと感じてしまっていた。
良くも悪くも、心が壊れていたというわけだ。
こうして今俺は、2,000ポイントの賄賂をボリネシアンランサーズへ贈呈するにまで成長した。
彼ら欲したのはドラムセット一式だった。
踊りと演奏をこよなく愛するボリネシアンズにとっては、コンガのような単純な楽器では物足りなくなっていたとのこと。
サックスを欲しがる者もいたが、300ポイントのリコーダーで代用させた。
別にケチっているわけではない……ポイント購入後が怖いだけだ。
『購入ポイントが7,500に到達しました。購入特典、金網リングを獲得しました』
「か、金網リング? って何?」
『任意使用可能なアイテムです。効果は、???とされていますので、実際に試してみて下さい』
そう言って手渡されたのが、網目のついた指輪だ。
宝石はついていない、シンプルな金属の指輪。
正直、コレをどうしろというのか……用途に困るが、いずれ役立つ時も来よう。
そう、信じて俺は懐にリングを仕舞った。
「ポメオさん、これから俺たちはどうすれば?」
「そうだな。早速で悪いけど、族長を丸め込んで欲しい」
「へへっ、それならとって置きがありますぜ!」
とって置きが何かは知らんが……見事、懐柔した腰ミノたちは俺をポメオとして扱うことを約束してくれた。
こうなるとポメオとは、人物名ではなく役職みたいになってきた。
よどんだ街角で出会いそうなモヒカンを中心に、再度集落へと向かうことになった。
「こ、ここ、これは! 煙だ……村の方から煙が上がっているぞ!!」
予期せぬ事態に俺たちは森林を駆けた。やがて、開けた道に出るとすぐさま、スキルブックからセグウェイを出して飛び乗った。
「先に行っているぞ! 皆は他に異常がないか確かめつつ来てくれ」
それだけ告げると、改造セグウェイをフルスロットルで飛ばし現場に急行した。
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