問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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心のティアラ

72話 背徳の女王

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 昔、とある戦があった。
 その時、何を血迷ったのか、ヒーローたる人物は高所から飛び降りた際、こう叫んだ。

「WOW――――!!」と。

 その驚きようは、初めて芋を発見したアメリカ人のようであった。
 とりあえず、着地時に「YES!!」と言っておけばユニバーサルな感じで誤魔化せただろうに……英雄はウッカリ八兵衛だった。
 後に残ったのはどう処理していいのか、分からない後味の悪さだけだった。
 そう言えば、11回ぐらいヒロインの名前を連呼していたのも、度肝を抜かれた。
 こうして、その戦は人々によって語り継がれ、後の世で一世風靡いっせいふうびした。

 絶対は絶対にないというジレンマ。
 何を伝えたいのかと言えば、セグウェイに搭乗して、魔王と戦うパイロットなんて絶対にあってはならないワケだ。

 その反則例がここにある。
 閉ざされた集落の門をブチ抜いて現場に到着した。
 これも、スパイクタイヤのおかげである。やはり、オフロード使用は戦向きだ。
 こうして村に戻ってきたのだ。念のため、スペアタイヤもキープしておかなくては……。

「あらあ、あららら、何をぼやいているんですか? ボヤッキー」

 スタコラサッサしている俺の前にシャルターナが立ち塞がる。
 背後に見える燃え盛る藁ぶきの小屋はボリネシアンズの住居だったモノだ。
 一軒だけではなく、複数に火の手が上がる中で、煙に巻かれながら逃げ惑う女、子供,年寄り……皆がパニックに陥っていた。
 勝負と称し両部族の戦士たちが出払っている隙に火を放ち、この凄惨な状況を作りだしたということ……か。

「お前、シャルじゃないな! シャルに火魔法は使えない」

「残念ですが、ロビー君。私はシャルターナでもありますのよ。ほら、御覧なさいな」

 炎の塊となった家屋の傍で、結界に閉じこめられ身動き取れなくなった族長夫妻の姿があった。
 あの魔法は間違いなく、シャルが使用しているものと同じだ。
 確かに、それだけ見てしまえば彼女を疑ってしまっただろう。
 でも、今の俺にはスキャニングの能力がある本物かどうかなど、ランキング順位を見れば一目瞭然だ。

 シャルターナ 討伐可能ランキング2158位以上。
 備考 魔王が一人、エクスサイズが憑依している状態。

 ……モロバレですやん!!

 むしろ、隠す気ゼロすぎてどこからツッコミを入れれば良いか? 分からなくて困る。

「おーい! エクスサイズ~」とりあえず呼んでみた。

「あはははあっ? そんな飼い猫を呼ぶような言い方をしても誰も来やしませんよぉ」

「馬鹿め、誰が人物名を呼んだといったのだ!」

「なっ……騙したのですか? 騙したのですねぇ! もう、お前しか見えないって言ったじゃ、ありませんか!?」

「知るか、ボケ! どさくさ紛れて事実を捏造すんなや。シャルは返して貰うぞ! エクスサイズゥ――――!!」

 スキルブックを取り出す俺を見て、瞳を細める天然ボケの魔王。
 多分、奴もスキャニングのような真似ができるのだろう。
 格下の俺では、お話にならないと決めつけている。
 だからこそ、この一撃が轟く。
 奴を倒せと俺が命じる!

「ダァァアア――クネス・ブリンガァッァァ――――!!!」

 フォトグラファーから飛び出した漆黒の魔王は、その腕から邪悪なる闇を放った。
 ササブリが得意とする、この技は破壊する事のみに特化している。
 いくら、闇耐性がある他の魔王でも直撃したら無事では済まされない。

「し、信じられない!! 仲間を討とうとするだなんて……セイクリッドウォール!」

「信じられない? 違うな、信じているからこそ攻撃したんだ。普段の素行はともかく、防御に関してシャルはスペシャリストだ。必ず対の光属性で中和してくると思ったよ!」

 俺は鞘から天命の宝剣を引き抜いた。
 同属性が互いにぶつかり合うとどうなるのか? 答えは打ち消し合って無効化される。
 ダークネスブリンガーを光の壁で防ぐのに手一杯で、俺の方に対処できていない。

「天命天牙!」それっぽい、絶妙な名前を叫び、斬りかかると壁の一部が欠け、人一人通れるほどの穴が開いた。
 自己再生するよりも早く中に飛び込むと、シャルの身体を占拠しているエクスサイズが間近にいた。

「おのれ! 私の間合いに入ってくるな!! 侵入者め!」

「おやおや、そんな事を言ってもいいんですかねぇ~? 気を抜いたら、デスブリンガーの攻撃で消し飛ばされてしまうんじゃないかなぁ?」

「それは貴様とて同じであろうロビー!!」

「シャルの記憶を読んだのか……という事は! アイツ、マジで俺のことロビー君としか認識できてないんかい!? どうやら悪い娘には、お仕置きが必要だな」

 ついに、俺の必殺技ゴッズフィンガーが炸裂する時がきた。
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