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心のティアラ
73話 挫折談会
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漢なら一度は通ってきた道。
どうして、女の人に触るとセクハラになるのか?
永遠とも思われるテーマに行き着く。
答えを見出せたメシアは俺が知る限りでは、まだ一人も出現していない。
皆、世間の風評を基準にして触れることを悪をみなす。
転生前の世界では、その禁を破ろうとする輩を数多く排出し、日夜、チャンピオンシップが開催されていた。
男が女に触れる、その理由は色々とある。
一度、オカンにオヤジにセクハラされたのか聞いたら、全力で引っぱたかれた。
そのショックで、俺は悟りに至った。
ひょっとして正当な理由さえあれば、どんだけお触りしてもオッケィじゃないのかと……。
我ながら、恐ろしいことに気づいてしまった。
その最たる例が、マッサージ師だ。
マッサージという理由があるからこそ、彼らは咎められない。
無論、あからさまはNGだ。なぜなら、それはマッサージではないからだ。
身体のコリを揉みほぐす、目的があれば許される。
ならば、その目的を定めればいいのだ。
こうして、編み出されたのがセクシャルアーツだ。
エロと格闘の融合! その先にあるのは、健全なる下心。
戦時下において、何が起ころうともセクハラだの、訴えてやるなどと悠長なことは言っていられない。
騒いだ瞬間、眉間に風穴が開くことになる。
そんな非常時を想定して生み出されたセクハラアーツ、もとい! セクシャルアーツ。
このように、無防備となった相手の腋下を指先でくすぐる。
「ちょっ! ちょっと待ってぇ~!!キャッハハハァ――卑怯よ」
敵に降服勧告する時に使える技だ。
魔王とはいえ、エクスサイズも馬鹿ではないだろう。
自身の置かれた現状を考えれば、軍門に下ったほうがマシだと理解できているはずだ。
「どうだ、さっさと降参すれば? でないと、もっとくすぐりが強くなるぞぉぉおお――」
「ヤメロと言っている!!」
「うぉおおおお!!」
シャルの背中から、もう一本腕が出てきた。
当然ながら彼女の腕ではなく、雪のように真っ白な細長い腕である。
空かさず、俺の喉元狙い手刀を放ってきた。
何となく、警戒していたおかげで、寸前のところで宝剣による斬り払いが間に合った。
まさか、シャルを操りながら自分も動く。
ワンオペみたいなことをしてくるとは、思ってみなかった。
こうなると挟撃も難しくなる。シャルターナを背負うカタチでエクスサイズ手足が順々に出てくる。
最後に胴体とともに頭部も露わになってゆく。
複雑な模様が刻まれたティアラをかぶった魔王。
エルフのような長耳を持つ女の容姿は、生物として上位種であることを示すかのように気品に満ちていた。
「だが、やることはえげつねぇ!」
真っ白な長髪を激しく振り、その手に炎から生み出された扇子を手にする。
これで、村の家屋を焼き払ったのか、などと納得している場合ではない。
次は俺が標的にされている。
少しでも炎に触れればセクハラよりもキツイお焚き上げが待っている。
俺の伝説はまだ序章なのだ、ここで供養されるわけには意地でもいかないんだ。
「ストォオオ――ム・ブレイドォォオ!」
結界を穿孔する風の牙がエクスサイズの頭部を狙って飛んできた。
反射的に身体をそらし、攻撃を回避する傀儡使いの魔王。
しかし、安堵するにはまだ早い。ウチの魔王様は加減というモノを知らない。
次の瞬間には結界を蹴り破り、エクスサイズに腹パンを決めていた。
「ガハッ! ガアァアアアア―――」
先程までの気品など、一撃で霞んでしまった。
獣のように唸りながら地べたに這いつくばるエクスサイズは、涙目になりながらササブリを睨んでいた。
「弱い! 弱すぎじゃぞ、貴様。それでも魔王の端くれか……」
瞳を見開き敗者を見下ろすササブリの毅然とした態度は、本来あるべき魔王の風格を漂わせていた。
仮にも相手は2158位以上でないと太刀打ちできない存在だ。
それを軽々とのしてしまう辺り、デスブリンガーの強さは桁外れだと伺える。
「のうきんがぁぁ―――。けど、愚か者で助かったぞ。暴力を振るうことしかできない貴様にその力は勿体ないぞ」
「ザコが何をほざいておる? さっさと、その小娘を解放しろ」
「ああ、いいとも……。私も自由になる」
嫌な一言を聞いた。
「ササブリ! ソイツから離れろ!!」余計なことなど考えず、直感で叫んでいた。
「フフフッ、もう遅いよ。スキルブック、ギニョールダイバー」
深緑色の歪な形状をした本だった。
波形を描く縁取りのそれが淡い光を照らし、ササブリを飲み込んでゆく。
あまりの眩しさに、俺は目を瞑ってしまった。
どうして、女の人に触るとセクハラになるのか?
永遠とも思われるテーマに行き着く。
答えを見出せたメシアは俺が知る限りでは、まだ一人も出現していない。
皆、世間の風評を基準にして触れることを悪をみなす。
転生前の世界では、その禁を破ろうとする輩を数多く排出し、日夜、チャンピオンシップが開催されていた。
男が女に触れる、その理由は色々とある。
一度、オカンにオヤジにセクハラされたのか聞いたら、全力で引っぱたかれた。
そのショックで、俺は悟りに至った。
ひょっとして正当な理由さえあれば、どんだけお触りしてもオッケィじゃないのかと……。
我ながら、恐ろしいことに気づいてしまった。
その最たる例が、マッサージ師だ。
マッサージという理由があるからこそ、彼らは咎められない。
無論、あからさまはNGだ。なぜなら、それはマッサージではないからだ。
身体のコリを揉みほぐす、目的があれば許される。
ならば、その目的を定めればいいのだ。
こうして、編み出されたのがセクシャルアーツだ。
エロと格闘の融合! その先にあるのは、健全なる下心。
戦時下において、何が起ころうともセクハラだの、訴えてやるなどと悠長なことは言っていられない。
騒いだ瞬間、眉間に風穴が開くことになる。
そんな非常時を想定して生み出されたセクハラアーツ、もとい! セクシャルアーツ。
このように、無防備となった相手の腋下を指先でくすぐる。
「ちょっ! ちょっと待ってぇ~!!キャッハハハァ――卑怯よ」
敵に降服勧告する時に使える技だ。
魔王とはいえ、エクスサイズも馬鹿ではないだろう。
自身の置かれた現状を考えれば、軍門に下ったほうがマシだと理解できているはずだ。
「どうだ、さっさと降参すれば? でないと、もっとくすぐりが強くなるぞぉぉおお――」
「ヤメロと言っている!!」
「うぉおおおお!!」
シャルの背中から、もう一本腕が出てきた。
当然ながら彼女の腕ではなく、雪のように真っ白な細長い腕である。
空かさず、俺の喉元狙い手刀を放ってきた。
何となく、警戒していたおかげで、寸前のところで宝剣による斬り払いが間に合った。
まさか、シャルを操りながら自分も動く。
ワンオペみたいなことをしてくるとは、思ってみなかった。
こうなると挟撃も難しくなる。シャルターナを背負うカタチでエクスサイズ手足が順々に出てくる。
最後に胴体とともに頭部も露わになってゆく。
複雑な模様が刻まれたティアラをかぶった魔王。
エルフのような長耳を持つ女の容姿は、生物として上位種であることを示すかのように気品に満ちていた。
「だが、やることはえげつねぇ!」
真っ白な長髪を激しく振り、その手に炎から生み出された扇子を手にする。
これで、村の家屋を焼き払ったのか、などと納得している場合ではない。
次は俺が標的にされている。
少しでも炎に触れればセクハラよりもキツイお焚き上げが待っている。
俺の伝説はまだ序章なのだ、ここで供養されるわけには意地でもいかないんだ。
「ストォオオ――ム・ブレイドォォオ!」
結界を穿孔する風の牙がエクスサイズの頭部を狙って飛んできた。
反射的に身体をそらし、攻撃を回避する傀儡使いの魔王。
しかし、安堵するにはまだ早い。ウチの魔王様は加減というモノを知らない。
次の瞬間には結界を蹴り破り、エクスサイズに腹パンを決めていた。
「ガハッ! ガアァアアアア―――」
先程までの気品など、一撃で霞んでしまった。
獣のように唸りながら地べたに這いつくばるエクスサイズは、涙目になりながらササブリを睨んでいた。
「弱い! 弱すぎじゃぞ、貴様。それでも魔王の端くれか……」
瞳を見開き敗者を見下ろすササブリの毅然とした態度は、本来あるべき魔王の風格を漂わせていた。
仮にも相手は2158位以上でないと太刀打ちできない存在だ。
それを軽々とのしてしまう辺り、デスブリンガーの強さは桁外れだと伺える。
「のうきんがぁぁ―――。けど、愚か者で助かったぞ。暴力を振るうことしかできない貴様にその力は勿体ないぞ」
「ザコが何をほざいておる? さっさと、その小娘を解放しろ」
「ああ、いいとも……。私も自由になる」
嫌な一言を聞いた。
「ササブリ! ソイツから離れろ!!」余計なことなど考えず、直感で叫んでいた。
「フフフッ、もう遅いよ。スキルブック、ギニョールダイバー」
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