問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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全てを知る者

100話 キライの反対

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「アカシックレコード、グランタブロー。かの者を運命に導き給え」

 何やら、怪し気な祈りを聖女様が唱えてくれた。
 それよりもボカァ、拘束を解いて欲しいんだが……これ以上、柱の補強になるのは勘弁だよ。

「ブツブツと仕方ないの主よのぅ。どれ、解放してやろうぞ」

 ササブリの瞳がカッと光輝いた。
 背後から爆撃されたような衝撃とともにダルマボディが破壊された。
 何てこった……縄などの拘束具ではなく、柱の方を木っ端みじんにしやがったぁあああ。
 ダルマでなければ、俺の背中にファスナーがつけられる所だった。

「フッ、まあまあの威力だな」

「さすが、私の魔王様~。眼力だけでありとあらゆるもの破壊できるなんてステキですぅ~」

「ぽかぁ~ん」つい、心境が声になって出てしまった。
 人を解放するのに、いつから破壊力が求められるようになったんだ? ドラコンかよ!
 それで自己陶酔できる奴もすげぇえええ――――が、褒めちぎる方もなかなかの脅威だ。
 つかー、シャルの奴……完全にキャラが崩壊してない? ササブリに毒されたようだな。

「一応、礼は言っておく……二人とも助かったよ」

「いえ、礼は言わなくて言いので、礼を下さい。返済はトイチで結構ですよ」

「えっ? 有料なん?」

「もちろんですよ、マイトさん。助けられたら、お礼をしなさいと神様だって言っているじゃないですか?」

「それは闇金の神かな?」

 でたよ、トイチ……ミ〇プルーンも真っ青だ。
 笑顔の裏に隠された、シャルのガメツさが、今日は一段とにじみ出ている。
 厄介なことに、この聖女は人から巻き上げた金を自分の財布にしまうことなく、神さんや貧しい子供たちに全額寄付してしまう。
 ゆえに守銭奴とは言い切れない、ホーリーパフォーマンス。
 素晴らしいのか? そうでないのか? よう、分からんが俺だったら金ではなく、物資を与える。
 土地でも与えて農業させれば、年貢を取り立てられる。
 当然、回収する算段なんかねぇんですけど……。

「ええぃ、お礼のことは後回しだ! 今はここから脱出するぞ。この村にサトランが来ているから奴を見つけださないと……」

「リー……いえ、サトランさんがこの里にいるのですか?」

 俺の言葉に、シャルの瞳は死んだ魚のように濁ってしまった。
 まるで、雨で遠足が中止なった小学生のようなモチベーションの下がり方だ。

「そういや、二人には俺がここにいる理由を話していないな」

「いえ、いいいえ、そうゆう話はしなくもいいですから!!」

 話をする前に拒絶されてしまった。
 そこまでしてサトランのことに触れたがらないのは相当なことだ。
 結構、前のことだが……俺はデュアル・ゴースティングという冒険者パーティーに所属していた。
 パーティーの中で俺は新米だったので、他のメンバーのことはあまり詳しくはない。
 ただ、リンやシャルは俺が加入する以前からゴースティングの一員として活動していた。
 過去にサトランとイザコザがあったとしても別段おかしくはない。
 

「シャルよ、どうしてソイツのこと毛嫌いするのだ?」

「そ……それは」

 珍しくササブリが送りバントの要領で質問していた。
 聞き耳を立てるのも気が引けるから後で、ササブリに聞いてみよう。

「マイトも気になるのだろう?」

 立ち去ろうとする俺を、魔王が引き留めた。
 いったい、ここ数日の間で、何を学んだというのか?
 今日のササブリには、知性というモノが際立っているように感じる。

「まぁな。そういや、里の子供たちにも目の仇にされていたっけ、アイツ」

 シャルは少し戸惑いながらも、意を決し重い口を開いた。

「私があの方を嫌うのは、彼自身の闇が深いからです。彼は人として大事なモノを捨ててしまった……ですから、他者の気持ちが理解できないんです。私は、そんな彼を救うことができませんでした。罪悪感からでしょう、今でも横暴な彼を見る度に胸が苦しくなります」

「済んだことを悔いても前には進まないぞシャル。もともとサトランは魔に染まりやすいチョロい奴だったんだ。現に魔王マーダの配下になってしまった。チビたちも奴の敵意を本能的に感じていたんだろう」

 柄にもなく、物語の主人公みたいな口振りで語ってしまった。
 こんな俺に二人とも、少しは好感度を上げるべきだと主張する。
 俺の半身はいつでも好感度だというのに……フェロモン香水がないために完全体になれずにいる。

「因みに。マイトさん貴方をみると私、哀しくなります……色々と救いがないようですので…………」

「いらねぇ、世話だよ」

 スキの反対は無関心、キライの反対は? その問いに今なら答えられる。
 答えは傍迷惑な関心だと。
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