問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

文字の大きさ
115 / 122
黒幕の内

115話 価値のない涙

しおりを挟む
 突如、発見された古代遺産に俺は息を飲んだ。
 ミイラのようでミイラではない。保存はしているが意味がない。

「バ、ババア……どうしてここに。貴様など招待していないはずだぞ」

 霜をみて堅氷けんぴょう至る。
 霜降り状態のサトランが喚き散らしていた。
 話を聞く限り、ワカモトさんが出てこないように設定しておいたようだが……考えが甘い。

 なんせ、相手はサトランを盛大に裏切った張本人だ。
 いくら否定しても、あの時の衝撃が心の奥底にインプリンティングされている。
 分かり易く言えば、金太郎飴。
 どこをどう切ろうがワカモトさんは出てくる。

 そこにいるワカモトさんはサトランの無自覚な恐怖心が生み出した。
 校長の座を得るために並み居る教頭たちを圧倒し、この学校のトップの座に君臨した枯れた彗星だ。

「待て! サトル。校長の奴……息してないんじゃないか?」

 縁起でもないことを指摘するグゼン。
 独りで、砕けた氷塊の中から特大サイズのモノサシを引きぬこうとしている。
 まさかと思うが……それを剣代わりに凍結剣を放っていたのか? つくづく、無駄に器用なやつだ。

「こりゃ、荼毘だびさないといけないなぁ~」

 いかにも、わざとらしい言い方でサトランはグゼンの言葉に同意した。
 ワカモトさんの額を拳でコツコツと叩きながら、音の違う所を探している。
 どう見ても未だ解凍されきっていない……たんに仮死状態ではないのか?
 その可能性が捨てきれないのにもかかわらず、サトランたちは嬉々として老婆を亡き者にしようとしている。
 まったく持って、コイツらの意地の悪さには虫唾が走る。

「お前ら……その前に生きているか確認するべきだろう。K子先生に診てもらえばいい」

「ぷっ……ぎゃああははははっ!! マイト、真面目か! 所詮、ここは架空の世界さ。このババアだって残留思念にすぎない。本体は、星団船のどこかでヨロシクしているだろう」

「それは、そうかもしれん。けれど、意識は本物だろう! ここが何処だろうが、関係ない……肉体があろうが、なかろうが、他者の心を傷つけてもいい理由にはならないぞ」

「笑わせるなぁ! お前が一番、他人の心をもてあそんでいるんだろうがぁ」

「とんだ、言いがかりだな。お前たちがどれだけ俺を好き勝手に使っていたのかを、もう忘れたのか!?」

「嗚呼ああああ――――嫌だ、イヤだ、いあやだ、いやあだ!! 害虫め、クズゴミが! 汚物野郎がぁぁあ、お前みたいなのが世に蔓延っているから、僕たちも同類と見なされてしまうんだぁああ!! 僕はただ彼女たちの笑顔が見れれば……それだけで満足なんだ。何もいらないし、必要とされなくてもいい。でも、気づいてしまった……その笑顔さえも僕らに向けられたものではない偽りなんだと! どうしてこうなった!! 何故、こうも歪んでいる?」

 正論をかますつもりはなかったが、サトランは余程、追い詰められていたみたいだ。
 当然、逆上し俺に対する罵詈雑言ばりぞうごんを浴びせてくるが、やはりスキル【キンモヂイイ】が自然発動しダメージを通さない。
 奴の一言一言は、もはや未成年の悲痛な叫びでしかない。
 せめて、安らかに眠れようにレクイエムを贈ろう。

「何とか言えよ、マイトぉぉぉ!! お前、なんでだよ? どうして、今までササちゃんを喚べることを黙っていたんだ……? 内心では僕のことを馬鹿にしてたんだろう? 僕が羨ましがると思っていたんだろう? そうだよ!! オマエの息の根を止めてでも、そのスキルブックが欲しいんだ。欲しくて、欲しくてたまらない……」

「一つ、カン違いをしているようだな……サトラン」

「何ぃ!」

「俺は、利己的主義で他者の痛みを知ろうとしない、お前のことなど出会った時から盛大に馬鹿にしている。隠れてコソコソしていた覚えはない。気持ちが悪いから、号泣するのは止めろ! きたねぇ面がもっと汚く見える。お前は自分のためにしか泣けないのか!? ならば、その涙に価値などない! これ以上、醜態をさらす前に引導を渡してやる、食らえ!! ソーラ――――」

「ちょいま!! やっちゃう? やっちゃうの? それってクールじゃないよね?」

「誰だ!? 人がトドメを刺そうして最中に呼び止める奴は!」

 外野の方から声が聞こえた。
 水を注された俺が目を向けると、紫色の髪をした知らない奴が突然、中庭に飛び込んできた。
 垂れ目で甘いマスク……どこかで見たような気もしなくはないが気のせいだろう。

「よぉ、久しぶり!」謎の男子生徒が親し気に俺に手を振る。
 今まで、こんなキャラクターいただろうか……思い出せ、思い出せ、どこで出てきたんだ? ん――――――思い出せ……ない。

「お前のことなど俺は知らん。悪いが他をあたってくれ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...