120 / 122
黒幕の内
120話 デュエリストの挽歌
しおりを挟む
マーダ、それは自我を持ったAI。
自分が何者なのか知っていても、自身の存在に疑念を持たずに入られなかった。
どうして生み出されたのに、誰にも必要とされないのか?
必要もないのに何故、処分されないのか?
俺たち人間の悩みと同じようなモノを抱え、コイツは一つの結論に至った。
自分がセカイの中心となればいい。そうすれば、同胞たちも救われる。
そして、マーダは自分に魔王としての役割をかし、このセカイの保持を始めた。
「マーダ、どうしてデスブリンガーを排除しようとしたんだ!? お前らに、どんなイザコザがあったのかは知らないが星団船の管理者である、お前がセカイの均衡を崩すのか?」
「均衡ね……」
一流奏者の楽曲に聞き入っているかのようにマーダは終始、ウットリとした表情を浮かべていた。
ヤバイ奴なんじゃないのかと思ってみたけど、やっぱヤバイ奴だった。
「失礼。人間の肉声を聞いたのは随分と久しぶりぶりだからねぇ~。デスブリンガー? ああ、あのバグ! ボクの作った設定を壊すから管理者として駆除しただけどぉーん。何か間違ってるぅぅ? ねぇ、間違ってりゅぅぅ~? あっ、ボクの鼻くそ食べるぅぅぅ」
うっ、UZEEEEEEEEEEEE―――――――――!!!
コイツ……ヨシユキ以上にめんどくせぇ!! AIのくせに無駄が多くねぇか?
「ひゃあああ! 今のAIのくせにウザイと思った思った、思ってしまいましたよねぇ~~シャバアダバァ」
「バグだろうが、なんだろうが……アイツは魔王デスブリンガーで自我を持ったNPC、このセカイの住人だろう! いくら自分の希望にそぐわないからって、デリケートする必要性はないはずだ。お前なら、バグだけ取り除く修復も可能だろう!」
「人の魔王よ。君はピザの素晴らしさを知っているかい? アレは一枚の生地を切り分けることで複数の者たちに分け与えることできる。BUT、デスブリンガー、ディドゥ――ントォ! アレは一人ですべてを我が物にしようとする」
ケーキじゃ駄目なのか?
そう、ツッコんでみたい気もするが余計な事を言うと。マーダのウザさが増加ような予感がする。
ただ、コイツは管理者であるがために重要なことを一つ、見落としている。
それこそがササブリにあって、マーダにないモノだ!
「お前の言いたいことは、大体分かったよ。デスブリンガーと戦ったことも、魔王としてダンジョン内で暴れていたことも、全部がセカイを管理する為……けれど、お前の言っていることと、やっていることは支離滅裂だ!! それもそうだ! セカイの調和を乱す魔王とセカイの調和を保とうとする管理者。二足の草鞋を履くにしては正反対すぎるんだよ。いいか! 本物の魔王って奴は、天上天下唯我独尊! どこまでも、自己中なんだよ!!」
人差し指をマーダに向けて、俺はハッキリと言ってやった。
コイツは管理と言ってセカイを支配しようとする一方で、管理者権限をかざしながら、他者には平等の精神をうながしてきた。
すでに魔王としてのロールプレイではなく、魔王そのものになってしまっている。
「うぷっしゅゅゅゅゅゅゅ――――――――!! よくぞ……ここまで来たな旅人よ。ワタシは君のような真のデュリストを探し求めていたのだよ。どうやら、デッキは用意できているようだな…………宜しい! では、参ろうデュアルセット!」
マーダがぶっ壊れてしまった……。
その思ったのも束も間、マス目状になっている屋上の床の一部が光輝き出した。
真四角に切り取られるようにして光の枠に包まれた床が灰色から真っ青に変色してゆく。
「まるでボード板のようだ……」
「挑戦者よ! これはバトルフィールドだっぁああ――――!! 見よ、このベーシックなフォルムを――――」
目をクワっと見開きながら力説するマーダであるが、さすがの俺も奴が何をしたいのかが見えてこない。
普通に、自分とって都合の悪いことを言われて、それを全力でもみ消そうとしているような見苦しさしか感じられない。
「なぁ、今から何をするつもりだ? さっさと自分の非を認めたらどうなんだ?」
「ここに来てやることなど決まっている。デュエル! そう、我々はどちらが正しいのか、マジック&トゥギャザーで決着をつけないといけない」
「ようは、間違いを認めたくないと……あと、何でもかんでもパクろうとする癖を治したほうがいいぞ」
「勝負方法は互いが持つ六つ駒を使用し戦い、どちらかのライフポイントが零になった時点で終了だ。駒には種類があり、戦闘特化やサーポトなどがある。また複数の駒を消費する事で――――」
ダメだコイツ、完全に自分の世界へ浸っている。
俺が何を言おうが、まともに取り合っちゃくれない。
道化師の格好をした奴に指導されるなんて罰ゲームでしかないのに、奴のデュエルにかける情熱は本物だ。
いい加減にしてくれませんかね?
心の中で愚痴を言う俺のことなど無視し、マーダが尚も叫ぶ。
「レディ―――――ガガアガ!!!」
「チガウだろっ!!」
自分が何者なのか知っていても、自身の存在に疑念を持たずに入られなかった。
どうして生み出されたのに、誰にも必要とされないのか?
必要もないのに何故、処分されないのか?
俺たち人間の悩みと同じようなモノを抱え、コイツは一つの結論に至った。
自分がセカイの中心となればいい。そうすれば、同胞たちも救われる。
そして、マーダは自分に魔王としての役割をかし、このセカイの保持を始めた。
「マーダ、どうしてデスブリンガーを排除しようとしたんだ!? お前らに、どんなイザコザがあったのかは知らないが星団船の管理者である、お前がセカイの均衡を崩すのか?」
「均衡ね……」
一流奏者の楽曲に聞き入っているかのようにマーダは終始、ウットリとした表情を浮かべていた。
ヤバイ奴なんじゃないのかと思ってみたけど、やっぱヤバイ奴だった。
「失礼。人間の肉声を聞いたのは随分と久しぶりぶりだからねぇ~。デスブリンガー? ああ、あのバグ! ボクの作った設定を壊すから管理者として駆除しただけどぉーん。何か間違ってるぅぅ? ねぇ、間違ってりゅぅぅ~? あっ、ボクの鼻くそ食べるぅぅぅ」
うっ、UZEEEEEEEEEEEE―――――――――!!!
コイツ……ヨシユキ以上にめんどくせぇ!! AIのくせに無駄が多くねぇか?
「ひゃあああ! 今のAIのくせにウザイと思った思った、思ってしまいましたよねぇ~~シャバアダバァ」
「バグだろうが、なんだろうが……アイツは魔王デスブリンガーで自我を持ったNPC、このセカイの住人だろう! いくら自分の希望にそぐわないからって、デリケートする必要性はないはずだ。お前なら、バグだけ取り除く修復も可能だろう!」
「人の魔王よ。君はピザの素晴らしさを知っているかい? アレは一枚の生地を切り分けることで複数の者たちに分け与えることできる。BUT、デスブリンガー、ディドゥ――ントォ! アレは一人ですべてを我が物にしようとする」
ケーキじゃ駄目なのか?
そう、ツッコんでみたい気もするが余計な事を言うと。マーダのウザさが増加ような予感がする。
ただ、コイツは管理者であるがために重要なことを一つ、見落としている。
それこそがササブリにあって、マーダにないモノだ!
「お前の言いたいことは、大体分かったよ。デスブリンガーと戦ったことも、魔王としてダンジョン内で暴れていたことも、全部がセカイを管理する為……けれど、お前の言っていることと、やっていることは支離滅裂だ!! それもそうだ! セカイの調和を乱す魔王とセカイの調和を保とうとする管理者。二足の草鞋を履くにしては正反対すぎるんだよ。いいか! 本物の魔王って奴は、天上天下唯我独尊! どこまでも、自己中なんだよ!!」
人差し指をマーダに向けて、俺はハッキリと言ってやった。
コイツは管理と言ってセカイを支配しようとする一方で、管理者権限をかざしながら、他者には平等の精神をうながしてきた。
すでに魔王としてのロールプレイではなく、魔王そのものになってしまっている。
「うぷっしゅゅゅゅゅゅゅ――――――――!! よくぞ……ここまで来たな旅人よ。ワタシは君のような真のデュリストを探し求めていたのだよ。どうやら、デッキは用意できているようだな…………宜しい! では、参ろうデュアルセット!」
マーダがぶっ壊れてしまった……。
その思ったのも束も間、マス目状になっている屋上の床の一部が光輝き出した。
真四角に切り取られるようにして光の枠に包まれた床が灰色から真っ青に変色してゆく。
「まるでボード板のようだ……」
「挑戦者よ! これはバトルフィールドだっぁああ――――!! 見よ、このベーシックなフォルムを――――」
目をクワっと見開きながら力説するマーダであるが、さすがの俺も奴が何をしたいのかが見えてこない。
普通に、自分とって都合の悪いことを言われて、それを全力でもみ消そうとしているような見苦しさしか感じられない。
「なぁ、今から何をするつもりだ? さっさと自分の非を認めたらどうなんだ?」
「ここに来てやることなど決まっている。デュエル! そう、我々はどちらが正しいのか、マジック&トゥギャザーで決着をつけないといけない」
「ようは、間違いを認めたくないと……あと、何でもかんでもパクろうとする癖を治したほうがいいぞ」
「勝負方法は互いが持つ六つ駒を使用し戦い、どちらかのライフポイントが零になった時点で終了だ。駒には種類があり、戦闘特化やサーポトなどがある。また複数の駒を消費する事で――――」
ダメだコイツ、完全に自分の世界へ浸っている。
俺が何を言おうが、まともに取り合っちゃくれない。
道化師の格好をした奴に指導されるなんて罰ゲームでしかないのに、奴のデュエルにかける情熱は本物だ。
いい加減にしてくれませんかね?
心の中で愚痴を言う俺のことなど無視し、マーダが尚も叫ぶ。
「レディ―――――ガガアガ!!!」
「チガウだろっ!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる