問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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黒幕の内

120話 デュエリストの挽歌

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 マーダ、それは自我を持ったAI。
 自分が何者なのか知っていても、自身の存在に疑念を持たずに入られなかった。
 どうして生み出されたのに、誰にも必要とされないのか?
 必要もないのに何故、処分されないのか?

 俺たち人間の悩みと同じようなモノを抱え、コイツは一つの結論に至った。
 自分がセカイの中心となればいい。そうすれば、同胞たちも救われる。
 そして、マーダは自分に魔王としての役割をかし、このセカイの保持を始めた。

「マーダ、どうしてデスブリンガーを排除しようとしたんだ!? お前らに、どんなイザコザがあったのかは知らないが星団船の管理者である、お前がセカイの均衡を崩すのか?」

「均衡ね……」

 一流奏者の楽曲に聞き入っているかのようにマーダは終始、ウットリとした表情を浮かべていた。
 ヤバイ奴なんじゃないのかと思ってみたけど、やっぱヤバイ奴だった。

「失礼。人間の肉声を聞いたのは随分と久しぶりぶりだからねぇ~。デスブリンガー? ああ、あのバグ! ボクの作った設定を壊すから管理者として駆除しただけどぉーん。何か間違ってるぅぅ? ねぇ、間違ってりゅぅぅ~? あっ、ボクの鼻くそ食べるぅぅぅ」

 うっ、UZEEEEEEEEEEEE―――――――――!!!

 コイツ……ヨシユキ以上にめんどくせぇ!! AIのくせに無駄が多くねぇか?

「ひゃあああ! 今のAIのくせにウザイと思った思った、思ってしまいましたよねぇ~~シャバアダバァ」

「バグだろうが、なんだろうが……アイツは魔王デスブリンガーで自我を持ったNPC、このセカイの住人だろう! いくら自分の希望にそぐわないからって、デリケートする必要性はないはずだ。お前なら、バグだけ取り除く修復も可能だろう!」

「人の魔王よ。君はピザの素晴らしさを知っているかい? アレは一枚の生地を切り分けることで複数の者たちに分け与えることできる。BUT、デスブリンガー、ディドゥ――ントォ! アレは一人ですべてを我が物にしようとする」

 ケーキじゃ駄目なのか?
 そう、ツッコんでみたい気もするが余計な事を言うと。マーダのウザさが増加ような予感がする。
 ただ、コイツは管理者であるがために重要なことを一つ、見落としている。
 それこそがササブリにあって、マーダにないモノだ!

「お前の言いたいことは、大体分かったよ。デスブリンガーと戦ったことも、魔王としてダンジョン内で暴れていたことも、全部がセカイを管理する為……けれど、お前の言っていることと、やっていることは支離滅裂だ!! それもそうだ! セカイの調和を乱す魔王とセカイの調和を保とうとする管理者。二足の草鞋を履くにしては正反対すぎるんだよ。いいか! 本物の魔王って奴は、天上天下唯我独尊! どこまでも、自己中なんだよ!!」

 人差し指をマーダに向けて、俺はハッキリと言ってやった。
 コイツは管理と言ってセカイを支配しようとする一方で、管理者権限をかざしながら、他者には平等の精神をうながしてきた。
 すでに魔王としてのロールプレイではなく、魔王そのものになってしまっている。

「うぷっしゅゅゅゅゅゅゅ――――――――!! よくぞ……ここまで来たな旅人よ。ワタシは君のような真のデュリストを探し求めていたのだよ。どうやら、デッキは用意できているようだな…………宜しい! では、参ろうデュアルセット!」

 マーダがぶっ壊れてしまった……。
 その思ったのも束も間、マス目状になっている屋上の床の一部が光輝き出した。
 真四角に切り取られるようにして光の枠に包まれた床が灰色から真っ青に変色してゆく。

「まるでボード板のようだ……」

「挑戦者よ! これはバトルフィールドだっぁああ――――!! 見よ、このベーシックなフォルムを――――」

 目をクワっと見開きながら力説するマーダであるが、さすがの俺も奴が何をしたいのかが見えてこない。
 普通に、自分とって都合の悪いことを言われて、それを全力でもみ消そうとしているような見苦しさしか感じられない。

「なぁ、今から何をするつもりだ? さっさと自分の非を認めたらどうなんだ?」

「ここに来てやることなど決まっている。デュエル! そう、我々はどちらが正しいのか、マジック&トゥギャザーで決着をつけないといけない」

「ようは、間違いを認めたくないと……あと、何でもかんでもパクろうとする癖を治したほうがいいぞ」

「勝負方法は互いが持つ六つ駒を使用し戦い、どちらかのライフポイントが零になった時点で終了だ。駒には種類があり、戦闘特化やサーポトなどがある。また複数の駒を消費する事で――――」

 ダメだコイツ、完全に自分の世界へ浸っている。
 俺が何を言おうが、まともに取り合っちゃくれない。
 道化師の格好をした奴に指導されるなんて罰ゲームでしかないのに、奴のデュエルにかける情熱は本物だ。
 いい加減にしてくれませんかね?

 心の中で愚痴を言う俺のことなど無視し、マーダが尚も叫ぶ。

「レディ―――――ガガアガ!!!」

「チガウだろっ!!」
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