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黒幕の内
121話 微かな勝機
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互いのライフは10ガロン……なんでガソリンみたいな単位がついているのか?
分からないが、とにかく、攻撃を受ければ減り零になったら敗北だ。
先行はマーダ。どうやら、ターン制で1ターンにつき駒一つを置けるらしい。
「セット、戦闘屋のジョージ」
「なっ……んだと」
マーダが出した駒に、俺の心は激しく動揺していた。
その動きは完璧にバイブレーションを再現していたと思う。
盤上に置かれたのは、確かにジョージのフィギュアだ。
駒という響きに手の平から汗がにじんで出てくる。
この言葉が、このセカイのNPCのことを意味するのであれば、奴はどんな駒でも使用できるのではないのか?
悪い妄想が浮かんでくる。
「さぁ、次は君の番だよぉぉぉぉ―――ん」
マーダに急かされつつも、手持ちの駒をチェックする。
俺の持っているのは、ちょうど六つ。
伝説の木の下で願いを託されたメンバーたちを象る駒だ。
いつから入っていたのか分からないが、薬瓶を収容するバックの中身が全部フィギュアと入れ替わっていた。
早速、ササブリを出したいところだが……手元にある彼女は、魔王の方ではなくアイドルJKの方だ。
残念ながら、戦闘向きではない。
ここは一つ慎重に「グゼン召喚!」するしかない。
グゼンの駒をジョージの隣に置くと途端、人形が動きだし戦い始めた。
ツヴァイヘンダーを振りまわすグゼンが風呂桶を盾にするジョージを斬り捨てる。
勿論、ただの風呂桶が大剣に勝てるわけもなくジョージの駒は一瞬で消し飛んでしまった。
最後の最後でグゼンが戦士らしい活躍をみせてくれる。まぁ、本人ではないが……。
「次でぇぇぇえす! セット、クロスケ&ヨミコ。特殊能力、夫婦の絆発動! 駒をもう一体セット、死体漁りのジョニー」
「こ、これは……」
2ターンターン目にして嫌なコンボを発動されてしまった。
本来なら二駒扱いのなるフィギュアも一対であれば駒一つの消費しかしない。
さらに、このポメオの両親が持つ能力でジョニーまで召喚されてしまった。
戦力としては、丸っきり役に立たないが、あのマーダがわざわざフィールドに出してきたのだ。
何かがあると警戒しておくべきだろう。
今すぐにでも処理しておきたいが、6×6マスの盤上では、敵陣後衛、三列目には駒を置けない。
自陣、前衛一列目のグゼンを動かして敵陣に入ることもできるが、駒の移動だけで一ターン消費してしまう。
ここは手駒を増やす方が得策だ。
「シャルターナ、頼むぞ」
シャルの固有能力は、場に出ている他の駒に一度だけ敵の攻撃から身を守るバリアを付与できるというものだ。
ただし、使用できる回数は一回きりで使いどころが難しい。
取り敢えず、後方に置いておこう。
3ターン目、マーダは駒を増やさずクロスケたちの駒を前に動かした。
その隣には、グゼンの駒がある。
両者は勢いよくぶつかり合い粉々に砕け散った。
相打ちだ、グゼンしてはかなり健闘してくれた。
両陣営ともに戦闘タイプの駒がない……今の内に置いておきたいところだが、手持ちの攻撃タイプはリンしかいない。それでも出し惜しみなどしていられない。
「リンを前衛端に置く。それでターンエンドだ」
「クックク、ン~フフウフフガッ! ボクの条件は整ったよぉぉぉ!! セット、フシダラ。さらに死体漁りのジョニーの能力発動! ライフポイント4にジョニーを消費して、フシダラにジョニーとクロスケ&ヨミコを合わせるぅぅぅぅ――――いでよぉぉぉぉぉん!! 即身合体、ダイオウジョ――――」
見た目、年甲斐もないオヤジが、全力でその名を呼んだ。
目を血走らせ、息荒く猛る姿は、見ているコチラの方が疲れてきてしまう。
ダイオウジョ―、それは敵陣から出現した。
俺たちが力を合わせても完成しなかったロボットの名前だ。
「で、デカいぞ、四マスも使うのか? マズイぞぉぉ、コイツが一歩進めば後衛まで攻撃が届く」
「さぁ、どうふるるうん?」
「くっ、サトランでなんとかするしかない……そして、シャルの特殊能力発動! セイクリッドバリア」
ダイオウジョ―は、賢者の力でどうこうできる相手ではないが、サトランの水魔法なら一時的動きを止められるはず、しかし魔法を使用するには次のターンまで待たないといけない。
次のターン、想定通りダイオウジョ―がリンを無視して前へと進んできた。
コイツの攻撃範囲は厄介だ、前方一列にダメージが通ってしまう。
これにより、シャルとサトランのバリアが破壊されてしまった。
もう一度、同じ攻撃を受ければ二人とも使用できなくなる。
「ダメだ……どの駒を使用しても奴を倒すことはできない。せめて、ササブリに……デスブリンガーの力さえあれば」
分からないが、とにかく、攻撃を受ければ減り零になったら敗北だ。
先行はマーダ。どうやら、ターン制で1ターンにつき駒一つを置けるらしい。
「セット、戦闘屋のジョージ」
「なっ……んだと」
マーダが出した駒に、俺の心は激しく動揺していた。
その動きは完璧にバイブレーションを再現していたと思う。
盤上に置かれたのは、確かにジョージのフィギュアだ。
駒という響きに手の平から汗がにじんで出てくる。
この言葉が、このセカイのNPCのことを意味するのであれば、奴はどんな駒でも使用できるのではないのか?
悪い妄想が浮かんでくる。
「さぁ、次は君の番だよぉぉぉぉ―――ん」
マーダに急かされつつも、手持ちの駒をチェックする。
俺の持っているのは、ちょうど六つ。
伝説の木の下で願いを託されたメンバーたちを象る駒だ。
いつから入っていたのか分からないが、薬瓶を収容するバックの中身が全部フィギュアと入れ替わっていた。
早速、ササブリを出したいところだが……手元にある彼女は、魔王の方ではなくアイドルJKの方だ。
残念ながら、戦闘向きではない。
ここは一つ慎重に「グゼン召喚!」するしかない。
グゼンの駒をジョージの隣に置くと途端、人形が動きだし戦い始めた。
ツヴァイヘンダーを振りまわすグゼンが風呂桶を盾にするジョージを斬り捨てる。
勿論、ただの風呂桶が大剣に勝てるわけもなくジョージの駒は一瞬で消し飛んでしまった。
最後の最後でグゼンが戦士らしい活躍をみせてくれる。まぁ、本人ではないが……。
「次でぇぇぇえす! セット、クロスケ&ヨミコ。特殊能力、夫婦の絆発動! 駒をもう一体セット、死体漁りのジョニー」
「こ、これは……」
2ターンターン目にして嫌なコンボを発動されてしまった。
本来なら二駒扱いのなるフィギュアも一対であれば駒一つの消費しかしない。
さらに、このポメオの両親が持つ能力でジョニーまで召喚されてしまった。
戦力としては、丸っきり役に立たないが、あのマーダがわざわざフィールドに出してきたのだ。
何かがあると警戒しておくべきだろう。
今すぐにでも処理しておきたいが、6×6マスの盤上では、敵陣後衛、三列目には駒を置けない。
自陣、前衛一列目のグゼンを動かして敵陣に入ることもできるが、駒の移動だけで一ターン消費してしまう。
ここは手駒を増やす方が得策だ。
「シャルターナ、頼むぞ」
シャルの固有能力は、場に出ている他の駒に一度だけ敵の攻撃から身を守るバリアを付与できるというものだ。
ただし、使用できる回数は一回きりで使いどころが難しい。
取り敢えず、後方に置いておこう。
3ターン目、マーダは駒を増やさずクロスケたちの駒を前に動かした。
その隣には、グゼンの駒がある。
両者は勢いよくぶつかり合い粉々に砕け散った。
相打ちだ、グゼンしてはかなり健闘してくれた。
両陣営ともに戦闘タイプの駒がない……今の内に置いておきたいところだが、手持ちの攻撃タイプはリンしかいない。それでも出し惜しみなどしていられない。
「リンを前衛端に置く。それでターンエンドだ」
「クックク、ン~フフウフフガッ! ボクの条件は整ったよぉぉぉ!! セット、フシダラ。さらに死体漁りのジョニーの能力発動! ライフポイント4にジョニーを消費して、フシダラにジョニーとクロスケ&ヨミコを合わせるぅぅぅぅ――――いでよぉぉぉぉぉん!! 即身合体、ダイオウジョ――――」
見た目、年甲斐もないオヤジが、全力でその名を呼んだ。
目を血走らせ、息荒く猛る姿は、見ているコチラの方が疲れてきてしまう。
ダイオウジョ―、それは敵陣から出現した。
俺たちが力を合わせても完成しなかったロボットの名前だ。
「で、デカいぞ、四マスも使うのか? マズイぞぉぉ、コイツが一歩進めば後衛まで攻撃が届く」
「さぁ、どうふるるうん?」
「くっ、サトランでなんとかするしかない……そして、シャルの特殊能力発動! セイクリッドバリア」
ダイオウジョ―は、賢者の力でどうこうできる相手ではないが、サトランの水魔法なら一時的動きを止められるはず、しかし魔法を使用するには次のターンまで待たないといけない。
次のターン、想定通りダイオウジョ―がリンを無視して前へと進んできた。
コイツの攻撃範囲は厄介だ、前方一列にダメージが通ってしまう。
これにより、シャルとサトランのバリアが破壊されてしまった。
もう一度、同じ攻撃を受ければ二人とも使用できなくなる。
「ダメだ……どの駒を使用しても奴を倒すことはできない。せめて、ササブリに……デスブリンガーの力さえあれば」
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