OCDの私が異世界でやっていけるのでしょうか

夢野はと

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(11) 異世界での起床

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その夜、私は夢を見た。なぜ夢だと分かったかというと、起きたあとで、現実ならそんなことはしないと分かっていたからだ。

夢の内容は単純なものだった。私は日本の自宅にいて、猫を四匹も飼っていた。私は猫好きだが、私の自宅はマンションの一室で、猫を四匹飼えるほどのスペースはなかったし、実際猫を飼ってはいなかった。

夢の中で、四匹の猫の一匹が捕まえたネズミをベッドの上に置いて、OCDの私は当然愕然とした思いになり、どうしようどうしようと衛星面での不安に駆られて冷や汗をかき呼吸が荒くなったところで、私は目が覚めた。

(あ、夢か・・・。)

ベッドの上のネズミは夢だったことにほっとした一方、目に入る天井は見慣れないもので、周囲を見ると、自宅の部屋ではなかった。

そう、ここはミク王国の王宮の一室で、セリヌが案内してくれた部屋だった。それはすなわち、私が異世界に召喚されたことが、現実であることを意味していた。

(やっぱり現実だよね・・・。)

日本にいる夢を見、目が覚めたら異世界というコントラストが、異世界召喚の現実を強く私に感じさせた。

窓のカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。小鳥のさえずりが聞こえる以外は、とても静かだった。

(今何時ぐらいだろう。)時計がないので時間が分からなかったが、よく眠れた気分ではあった。

とりあえずベッドから起きだし、カーテンを開けて窓の外を見た。

(太陽の上り具合から、朝の7時くらいかな?)

洗面所に行った後、カリーナが置いていった服の中で、外着っぽいものを選んで身に着けた。それは七分袖のワンピース上のもので、やや肌寒かったので上着にはカーディガンのようなものを着た。着心地はよく、生地の肌触り感はコットンのようだった。

(さて、どうしようかな・・・。少し部屋から出て周囲を見てまわりたいけど、勝手に行動しちゃまずいかな。)

と思ったところで、セリヌの部屋は二つ隣の部屋だったことを思い出し、声をかけようかと思った。

(そういえば、昨日夕食時にまた部屋を訪ねるって言っていたような気がするけど、忙しかったのかな。)

そして部屋を出ようとしたところで、ドアをノックする音がした。

「はい、今開けます」と言って施錠を外しドアを開けると、そのセリヌが立っていた。

「おはようございます、三奈さん。外からカーテンが開いているのが見えたので、お目覚めになっているかと思い、伺いました。」

笑顔でセリヌが言った。

「おはようございます、セリヌさん。ちょうど三十分くらい前に起きて、これからセリヌさんの部屋に行こうかと思っていたところです。」

「そうだったんですね。ごめんなさい、昨日は夕食時に訪ねるつもりだったのですが、急な仕事が入ってしまって。終わったころには遅い時間になってしまい、部屋からも物音がしなかったので、もうお休み中かと思い・・・。」

「いえいえ、私も夕食後、急に疲れと眠気に襲われて、すぐに寝てしまったので、大丈夫ですよ。」

実際、おそらく夜の7時ぐらいであろう時間にベッドに入った気がする。

「そうだったのですね。今朝の体の調子はどうですか?」セリヌがまた気にかけてくれる。

「よく眠れたようで、正直かなり調子は良いです。」実際、12時間ぐらい寝たのではないのだろうか。

「なら良かったです。それで、何かお困りごとですか?」

「あ、それなんですが、王宮のどこに何があるのか全然分からないので、とりあえず唯一知っているセリヌさんの部屋に行こうかなと思っていたところなんです。」

「ああっ、そうですよね。王宮内のことでしたらカリーナが詳しいですよ。そろそろカリーナも来ると思うのですが・・・。」

と話をしていたら、実際にカリーナがやってきた。

「おはようございます、三奈様。セリヌ様、お手数おかけして申し訳ありません。」

メイドである自分より先にセリヌが私の様子を見にきたことについて、カリーナは謝罪を口にした。

「もう、いちいち気にして謝らないでって、カリーナ。」

セリヌが笑顔で返答する。セリヌは本当に気さくで、メイドに対しても宮廷魔導士長という立場を誇示することをしない。

「心得ております。しかし私にもメイドとしての矜持がございます。」

とカリーナが若干笑いながら答えた。

「はいはい、分かりましたっ。」

セリヌが冗談っぽく答える。二人は思った以上に近しい仲のようだ。

「三奈さん、朝食の後、昨日の話の続き、今後のことについてお話できますか?」

セリヌが昨日の話の続きということは、私が今後どういう風にこの世界、そしてミク王国で生活していくかということであろう。

「はい、大丈夫です。」

そう答えると、セリヌは「それではまた後で。」と言って、その場を後にした。

「三奈様、それでは朝食のご用意をいたしますが、お部屋でお召し上がりになりますか?」カリーナが聞いてきた。

昨晩に比べて気力があり、王宮の中を見てまわりたい気持ちもあった私は、「いえ、食堂、宮廷で仕事する方々が使う食堂でもいいですか?」と聞いてみた。

「もちろんでございます。ご案内いたします。」カリーナがそう返事をすると、私は「よろしくお願いします。」と言い、部屋を出た。
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