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(10) 夕食そして就寝
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魔法について学ぶことを一つの目標としたところで、あとはソファに体を沈めて、ただ太陽が徐々に沈んでいくのを眺めていた。
時折、この異世界のことを、自分のOCDの視点から考えた。
(OCDを治す魔法みたいな都合の良いものはないかなあ。というかOCDという概念そのものがこの世界にはあるのかな。)
以前調べたところでは、少なくても地球上ではOCDは文化や国を超えて起こりうる病気ということは知っていたが、まったくの異世界であるここでもありうるのかは、分からなかった。
(もしこの世界で生きていかなきゃいけないのなら、OCDとどう向き合うかも含めて、どうやってこの世界の生活リズムに合うか考えなきゃな・・・。)
ルーチンに沿って生活することが、私にとっては安心につながり、一方そこから外れると、いろいろと不安を感じることが多い。なので、魔法の勉強が自分の好奇心を満たす目標であるなら、生活に慣れることが自分の安心感を得るための目標であるということだ。
(以前、スコットランドの田舎に大学の交換留学で行ったときみたいに、なんとかなるかな。)
5、6年ほど前の話だが、大学生の頃は、OCD持ちにもかかわらず、それを凌駕するだけのエネルギーがあったのか、留学を無事終えることができた。今回は、そのハードモードぐらいに考えるほうが、気楽かもしれないと、自分に言い聞かせた。
考えるのをやめて、またしばらくぼーっとしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「三奈様、カリーナでございます。夕食をお持ちいたしました。」
ドア越しからカリーナの声が聞こえた。
「あ、ありがとうございます!今ドア開けますね。」
というと、私は立ち上がって小走りで入口のほうに向かい、ドアを開けた。
「失礼いたします。」というと、カリーナは銀色のカートを押して入ってきた。カートの上には、料理が乗っているであろうお皿が四つあり、その上には銀色の蓋がしてあった。
「外が暗くなってきましたので、明かりをおつけいたしますね。」
カリーナは部屋の中にある、ガスライトのようなもののノブを回し、するとそれが光った。
「これも魔道具ですか?」と私は尋ねた。
「左様でございます。光を発生させる魔法が組み込まれております。」
魔道具は、地球にあった技術を代用するものばかりで、興味深かった。
「本日の夕食は、イノシシ肉の香草焼き、煮込み野菜のスープ、チーズ入りお米、そしてデザートのアップルタルトでございます。」
カリーナが各料理を説明してくれた。
(おおー、どれもおいしそうな響き、しかも具材がすべて知っているものなのは、偶然か、それとも通訳機能の魔法が私が知っているものの中でもっとも近いものに自動的に翻訳したのかな。)
と思ったところで、お米があることに気づき、思わず「えっ、お米っ!?」と言ってしまった。
少しきょとんとした表情で、カリーナは「はい、お米でございますが、お好きではございませんでしたでしょうか?」と尋ねた。
「いえいえ、お米は大好きなんですが、まさかお米があると思っていなかったので、つい。」
これまでずっと中世ヨーロッパっぽい世界だと思っていたので、お米が一つの料理として出てきたことは、うれしい誤算だったのだ。
「お口に合えば幸いでございます。」
笑顔でそう言うと、カリーナは部屋を後にした。
料理はどれもとてもおいしかった。お米は、日本米とは少し違った感じだったが、イノシシ肉によく合った。全部食べ切れるかと最初は思ったが、なんなく食べきってしまった。
(あーおいしかったっ!おいしいご飯は幸せの元だよね。)
と一人納得し、ふと窓に目をやると、外はすっかり暗くなっていた。
月か星は見えるかと思い、窓に近づくと、街の明かりが見えた。蛍光灯が多い日本のそれとは違って、オレンジ色の光がいくつも灯っていた。
(きれいだなー、街並みはそこまでよく見えないけど、やっぱり中世ヨーロッパっぽい。)
そう思いながら空を見上げると、満月には7割ぐらいの月に加え、たくさんの星が見え、幻想的だった。
(おいしいご飯に良い景色、豪勢な旅行ってこんな感じなのかな。)
しばらく外を眺めた後、疲れと眠気が強くなってきたので、シャワーを浴びて寝ることにした。
疲れていたが、バスタブとシャワーの周りの清潔度のチェックは欠かさなかった。
もらった石鹸の良い香りが、リラックス効果抜群で、ベッドに入るとあっという間に寝入ってしまった。
時折、この異世界のことを、自分のOCDの視点から考えた。
(OCDを治す魔法みたいな都合の良いものはないかなあ。というかOCDという概念そのものがこの世界にはあるのかな。)
以前調べたところでは、少なくても地球上ではOCDは文化や国を超えて起こりうる病気ということは知っていたが、まったくの異世界であるここでもありうるのかは、分からなかった。
(もしこの世界で生きていかなきゃいけないのなら、OCDとどう向き合うかも含めて、どうやってこの世界の生活リズムに合うか考えなきゃな・・・。)
ルーチンに沿って生活することが、私にとっては安心につながり、一方そこから外れると、いろいろと不安を感じることが多い。なので、魔法の勉強が自分の好奇心を満たす目標であるなら、生活に慣れることが自分の安心感を得るための目標であるということだ。
(以前、スコットランドの田舎に大学の交換留学で行ったときみたいに、なんとかなるかな。)
5、6年ほど前の話だが、大学生の頃は、OCD持ちにもかかわらず、それを凌駕するだけのエネルギーがあったのか、留学を無事終えることができた。今回は、そのハードモードぐらいに考えるほうが、気楽かもしれないと、自分に言い聞かせた。
考えるのをやめて、またしばらくぼーっとしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「三奈様、カリーナでございます。夕食をお持ちいたしました。」
ドア越しからカリーナの声が聞こえた。
「あ、ありがとうございます!今ドア開けますね。」
というと、私は立ち上がって小走りで入口のほうに向かい、ドアを開けた。
「失礼いたします。」というと、カリーナは銀色のカートを押して入ってきた。カートの上には、料理が乗っているであろうお皿が四つあり、その上には銀色の蓋がしてあった。
「外が暗くなってきましたので、明かりをおつけいたしますね。」
カリーナは部屋の中にある、ガスライトのようなもののノブを回し、するとそれが光った。
「これも魔道具ですか?」と私は尋ねた。
「左様でございます。光を発生させる魔法が組み込まれております。」
魔道具は、地球にあった技術を代用するものばかりで、興味深かった。
「本日の夕食は、イノシシ肉の香草焼き、煮込み野菜のスープ、チーズ入りお米、そしてデザートのアップルタルトでございます。」
カリーナが各料理を説明してくれた。
(おおー、どれもおいしそうな響き、しかも具材がすべて知っているものなのは、偶然か、それとも通訳機能の魔法が私が知っているものの中でもっとも近いものに自動的に翻訳したのかな。)
と思ったところで、お米があることに気づき、思わず「えっ、お米っ!?」と言ってしまった。
少しきょとんとした表情で、カリーナは「はい、お米でございますが、お好きではございませんでしたでしょうか?」と尋ねた。
「いえいえ、お米は大好きなんですが、まさかお米があると思っていなかったので、つい。」
これまでずっと中世ヨーロッパっぽい世界だと思っていたので、お米が一つの料理として出てきたことは、うれしい誤算だったのだ。
「お口に合えば幸いでございます。」
笑顔でそう言うと、カリーナは部屋を後にした。
料理はどれもとてもおいしかった。お米は、日本米とは少し違った感じだったが、イノシシ肉によく合った。全部食べ切れるかと最初は思ったが、なんなく食べきってしまった。
(あーおいしかったっ!おいしいご飯は幸せの元だよね。)
と一人納得し、ふと窓に目をやると、外はすっかり暗くなっていた。
月か星は見えるかと思い、窓に近づくと、街の明かりが見えた。蛍光灯が多い日本のそれとは違って、オレンジ色の光がいくつも灯っていた。
(きれいだなー、街並みはそこまでよく見えないけど、やっぱり中世ヨーロッパっぽい。)
そう思いながら空を見上げると、満月には7割ぐらいの月に加え、たくさんの星が見え、幻想的だった。
(おいしいご飯に良い景色、豪勢な旅行ってこんな感じなのかな。)
しばらく外を眺めた後、疲れと眠気が強くなってきたので、シャワーを浴びて寝ることにした。
疲れていたが、バスタブとシャワーの周りの清潔度のチェックは欠かさなかった。
もらった石鹸の良い香りが、リラックス効果抜群で、ベッドに入るとあっという間に寝入ってしまった。
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