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第二話
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あれから僕は時々ラブリーカフェに来て男性と女性の流れを見ているが、少しずつパターンがわかってきた。
毎回店に来て外出と再入店を繰り返す常連の女性。
夜の仕事に行く前の時間潰しで店に来ているであろう女性。
他の男性客に声をかけて、今いる女性の情報を集める男性。
それぞれの人が思い思いの行動をして過ごしていた。
この店の特色になるのが、地域初の出会い喫茶という事もあり、興味半分で来ているいわゆる素人の女性がかなり多い事だ。
これはお店が繁華街のど真ん中にあるという事も大きな理由だろう。これが飲み屋街や風俗街なら間違いなくこうはならない。
そしてもう一つの特色は、この店の徒歩圏内に高校があり、学校帰りの女子高生が入店してくるのだ。
最初に制服姿の女子高生を見た時は流石に驚いたが、学校の近くにありお小遣いを貰えて、飲み放題遊び放題のお店があったら、友達同士で来るのも当然なのかもしれない。
こうして僕はトークルームに行かず、“水族館"の中や他の男性客の流れを見ながら時間を潰していた。変な事をしている自覚はあるが、水族館に一日中いても飽きない。という人と似たようなモノだと自分自身に言い聞かせている。
…
……
………
「あれ? 何だこれは」
数週間後、お店に変化が起きていた。今までは数人しか来ていなかった女子高生が急激に増えているのだ。多い時はお店内に15人くらいいて、女性客の大半が女子高生というのも当たり前になってきた。
これは間違いなく口コミで情報が広がり、みんなで行くから大丈夫だろうといういわゆる"赤信号理論”も働いている。
まるで女子高にも見える光景を見て、流石にこれはまずいだろうなと思いもしたがそれはお店側の話。客からしたら嬉しい出来事だ。
もっとも女子高生は店内で遊ぶのが目的なので、わざわざ外出する娘はほぼいないように思われるし、トークルームに呼ぶ男性客も少ない。それでも仮に1人でも変な遊びを覚えてしまったら、大問題になるから規制を受けるのは時間の問題だろう。
…
……
………
そんな事を考えながら、いつものように店内でダラダラしていたある日、僕は店内に入ってきた1人の女子高生を見て、思わず声を出してしまった。
どこにでもいる女子高生。しかし僕にとっては特別過ぎる人。
「ゆ、由奈……!」
制服こそ違えどあの姿は由奈にしか見えない。しかし、あの娘は間違いなく由奈ではない事を僕は知っている。
その理由は、由奈はとっくの昔に交通事故で亡くなっているからだ。
…………
渡瀬由奈。
彼女は美術部の二つ下の後輩であり、由奈は僕の事を好きだった。
もっとも、僕が由奈の気持ちに気づいたのは卒業式の日であり、そのきっかけも由奈の友達からの一言だ。
「由奈は先輩の第二ボタンを欲しがっているよ」
それを聞いた時、僕はとても驚いた。由奈が僕に懐いてることは知っていたが、恋愛感情までは気づかなかったのだ。
……いや、気づいていたのだろう。
思い起こせば思い当たる節はいくらでも出てくる。僕は懐かれているという心地良さに甘えていたのだ。もしその時にどちらかが動いたら、きっと運命は変わっていただろう。
しかし、僕はそのまま卒業してしまう。
それから僕は大学生活に入り、新しい環境に移行した事により、由奈と会う機会はほぼ無くなっていく。
しかし、2年後に状況は大きく動いた。
友達からの情報で由奈は僕と同じ大学、同じ学科に合格した事を知ったのだ。僕は久しぶりに由奈に電話して「合格おめでとう」と伝えた時、由奈は言った。
「私、先輩と同じ学科に入れて嬉しいです! これから色んな事教えて下さいね!」
僕はとても嬉しかった。これからまた前と同じように、いや、前よりも一緒に遊べるだろうと楽しみにしていた。そして今度はこちらからもアプローチして”新しい関係”になれたらいいなと。
しかし、大学に入学する直前に由奈は交通事故で亡くなってしまう。
僕は激しく狼狽した。まさかこんな事になるとは思わなかった。そして、心から後悔した。何故、もっと自分から動かなかったのか。相手からのアプローチに甘えて、こちらからは何もしなかった事が今思い出しても許せない。
実際、告別式で由奈の友人から詰められた。
「何故もっと彼女と遊んでやらなかったのか」と。
15年前の事なのに昨日の事のように感じる。僕はあの日からずっと後悔していた。ずっと由奈にごめんと言いたかったんだ。
由奈の事を考えると、真っ先に水族館の事を思い出す。由奈は水族館が大好きで一度だけ美術部のみんなで見に行った事があり、その時の由奈の笑顔を強く覚えている。あんなに楽しそうにはしゃいでいる由奈を見た事が無かったからだ。
「またここに来ましょうね。ねっ。約束ですよ先輩!」
結局、その約束を守る事は出来なかった。それから水族館を見ると由奈を思い出すんだ。だからこそ、目の前の光景が
”水族館が好きだった由奈が
魚になって水槽の中にいる”
と感じて仕方が無いんだ。
毎回店に来て外出と再入店を繰り返す常連の女性。
夜の仕事に行く前の時間潰しで店に来ているであろう女性。
他の男性客に声をかけて、今いる女性の情報を集める男性。
それぞれの人が思い思いの行動をして過ごしていた。
この店の特色になるのが、地域初の出会い喫茶という事もあり、興味半分で来ているいわゆる素人の女性がかなり多い事だ。
これはお店が繁華街のど真ん中にあるという事も大きな理由だろう。これが飲み屋街や風俗街なら間違いなくこうはならない。
そしてもう一つの特色は、この店の徒歩圏内に高校があり、学校帰りの女子高生が入店してくるのだ。
最初に制服姿の女子高生を見た時は流石に驚いたが、学校の近くにありお小遣いを貰えて、飲み放題遊び放題のお店があったら、友達同士で来るのも当然なのかもしれない。
こうして僕はトークルームに行かず、“水族館"の中や他の男性客の流れを見ながら時間を潰していた。変な事をしている自覚はあるが、水族館に一日中いても飽きない。という人と似たようなモノだと自分自身に言い聞かせている。
…
……
………
「あれ? 何だこれは」
数週間後、お店に変化が起きていた。今までは数人しか来ていなかった女子高生が急激に増えているのだ。多い時はお店内に15人くらいいて、女性客の大半が女子高生というのも当たり前になってきた。
これは間違いなく口コミで情報が広がり、みんなで行くから大丈夫だろうといういわゆる"赤信号理論”も働いている。
まるで女子高にも見える光景を見て、流石にこれはまずいだろうなと思いもしたがそれはお店側の話。客からしたら嬉しい出来事だ。
もっとも女子高生は店内で遊ぶのが目的なので、わざわざ外出する娘はほぼいないように思われるし、トークルームに呼ぶ男性客も少ない。それでも仮に1人でも変な遊びを覚えてしまったら、大問題になるから規制を受けるのは時間の問題だろう。
…
……
………
そんな事を考えながら、いつものように店内でダラダラしていたある日、僕は店内に入ってきた1人の女子高生を見て、思わず声を出してしまった。
どこにでもいる女子高生。しかし僕にとっては特別過ぎる人。
「ゆ、由奈……!」
制服こそ違えどあの姿は由奈にしか見えない。しかし、あの娘は間違いなく由奈ではない事を僕は知っている。
その理由は、由奈はとっくの昔に交通事故で亡くなっているからだ。
…………
渡瀬由奈。
彼女は美術部の二つ下の後輩であり、由奈は僕の事を好きだった。
もっとも、僕が由奈の気持ちに気づいたのは卒業式の日であり、そのきっかけも由奈の友達からの一言だ。
「由奈は先輩の第二ボタンを欲しがっているよ」
それを聞いた時、僕はとても驚いた。由奈が僕に懐いてることは知っていたが、恋愛感情までは気づかなかったのだ。
……いや、気づいていたのだろう。
思い起こせば思い当たる節はいくらでも出てくる。僕は懐かれているという心地良さに甘えていたのだ。もしその時にどちらかが動いたら、きっと運命は変わっていただろう。
しかし、僕はそのまま卒業してしまう。
それから僕は大学生活に入り、新しい環境に移行した事により、由奈と会う機会はほぼ無くなっていく。
しかし、2年後に状況は大きく動いた。
友達からの情報で由奈は僕と同じ大学、同じ学科に合格した事を知ったのだ。僕は久しぶりに由奈に電話して「合格おめでとう」と伝えた時、由奈は言った。
「私、先輩と同じ学科に入れて嬉しいです! これから色んな事教えて下さいね!」
僕はとても嬉しかった。これからまた前と同じように、いや、前よりも一緒に遊べるだろうと楽しみにしていた。そして今度はこちらからもアプローチして”新しい関係”になれたらいいなと。
しかし、大学に入学する直前に由奈は交通事故で亡くなってしまう。
僕は激しく狼狽した。まさかこんな事になるとは思わなかった。そして、心から後悔した。何故、もっと自分から動かなかったのか。相手からのアプローチに甘えて、こちらからは何もしなかった事が今思い出しても許せない。
実際、告別式で由奈の友人から詰められた。
「何故もっと彼女と遊んでやらなかったのか」と。
15年前の事なのに昨日の事のように感じる。僕はあの日からずっと後悔していた。ずっと由奈にごめんと言いたかったんだ。
由奈の事を考えると、真っ先に水族館の事を思い出す。由奈は水族館が大好きで一度だけ美術部のみんなで見に行った事があり、その時の由奈の笑顔を強く覚えている。あんなに楽しそうにはしゃいでいる由奈を見た事が無かったからだ。
「またここに来ましょうね。ねっ。約束ですよ先輩!」
結局、その約束を守る事は出来なかった。それから水族館を見ると由奈を思い出すんだ。だからこそ、目の前の光景が
”水族館が好きだった由奈が
魚になって水槽の中にいる”
と感じて仕方が無いんだ。
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