256 / 295
第4章 契約世界への挑戦
第250話 二年間の修行
しおりを挟む大きな広間にたどり着いた。そこには、赤い長髪の女性が立ってる。裸だけど、炎のような威厳が漂ってて、それが天炎の精霊の人間の姿だとすぐにわかった。心臓がドキッとしたけど、なんだか温かい気持ちが胸に広がった。
「ようこそ、大火観綾香。お待ちしてたわ」
彼女が柔らかく微笑む。声は優しくて、まるで炎がそっと包み込むみたいだった。
「人間のお姿なんですね」
私は少し驚いて、ぽつりと言った。
「ええ、私たち精霊に肉体はないけど、あなたに合わせて人間の女になってみたの。どう?」
彼女が笑いながら尋ねる。
「素敵です」私は素直に答えた。ほんとに、炎みたいな美しさで、目が離せなかった。
「裸になることに抵抗はなかった?」
「はい。なんだか、もう気にならなくなりました。この一年、じっくり自分を見つめ直す時間が持てて、良い時でした」
「ふふ、よかった」
「じゃあ、聞きたいことがあるよね? 希望の魔力……なんであなたが選ばれたのか」
「はい、なんで私なんですか?」
彼女が静かに話し始めた。
「あなたは、かつて支配欲に溺れた大火観一族の末裔。でも、私はあなたが欲に溺れないと信じてるから」
「欲に溺れた……?」
「はるか昔、あなたたちが忍びとして世界に台頭する前、大火観一族は私の友であり、家族だった。欲に溺れず私の元に奉仕する契約と誓約を交わしたあなたの祖先は、いつからか火の力を借りて人々を支配しようとした。私を裏切った彼らとは契約を解除して、力を一部失わせた。いい? 綾香、過剰な欲は人を破滅に追いやる。欲に溺れず、謙虚に人のために働きなさい。その心を世界に広めて欲しい。それが、私、天炎の精霊の願いなの」
その言葉が、胸の奥にずしんと響いた。椿への想い、認められたい欲、全部手放して、困ってる人のために炎を灯すって決めた私の覚悟が、試されてる気がした。
「私は、そのつもりです」
私は迷わず答えた。絶対にブレない。
「よかった。あなたならそう言うと思った」
彼女が温かく微笑む。
「これから私と契約と誓約で約束してくれる? 欲に溺れず、謙虚に人のために働く、火の精霊の意思を世に伝え守る大いなる火を観る者として」
「はい!」私は力強くうなずいた。でも、ちょっと気になって、「あの、こんなこと聞くの変ですけど、他の属性の術は使えなくなるんですか?」って聞いてみた。
「私には独占欲がないから、他属性も使えるわよ。ふふ、あなたは陽霧一族の水遁も使うのよね? 忍者の復興も目指してるでしょ?」
彼女がいたずらっぽく言う。
「え! 知ってたんですか!?」
「もちろん、なんでもお見通しよ。それでいい。人のために動くあなたなら、私の力を使う資格があるわ」
そう言って、彼女が手を差し出す。私たちは魔法陣の中心に進み、魔法の契約書に署名した。誓約の瞬間、辺りが一気に光って、温かな温もりに抱かれた気分になった。胸の奥で、聖なる炎が静かに、でも力強く燃え上がるのを感じた。まるで、私の心そのものが火になって、天炎様と一つになったみたいだった。
目を開けると、いつの間にか忍び装束を身につけてた。目の前に、大きな火の鳥が現れる。その背に乗り、聖なる祠を飛び立ったとき、風が私の髪をなで、まるで新しい始まりを祝福してるみたいだった。
火の鳥が天を舞う中、私は遠くの空を見つめた。眼下には、聖なる祠の光が広がり、洞窟のオレンジ色の輝きが小さく遠ざかっていく。
こうして、私の二年間の修行は終わった。
ふと、眼下にリゼたちの姿が見えた。遠くから、彼女たちが目を丸くして、口を開けてこっちを見上げてる。きっと、私が火の鳥に乗って飛び立つなんて想像もしてなかったんだろう。心の中でクスッと笑いながら、手を振った。彼女たちの声は届かなかったけど、きっと「綾香、すげえ!」って叫んでる気がした。
私は大火観一族の過ちを繰り返さない。かつての祖先が支配欲に溺れたように、欲に流されず、人のために炎を灯す。それが、私の誓いだ。忍びとして世界に天炎様の意志を広める。困ってる人を救い、希望の火を届けたい。
火の鳥がさらに高く舞い上がり、風が私の頬を撫でる。空は果てしなく広く、まるで私の新しい道を祝福してるみたいだった。胸の炎は、静かだけど力強く燃え続けてる。どんな試練が待ってても、この火は絶対に消えない。
0
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる