百万の契約

青いピアノ

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第2章 契約と誓約

第87話 忍び対忍び狩り

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綾香とガララの戦いが続く。ガララは一瞬で三メートル級と五メートル級の大蛇をそれぞれ三体ずつ召喚。六体の大きな蛇が地面を這い、綾香を襲う。だが、綾香は軽やかに動き、蛇の牙や尾の攻撃を全てかわす。彼女の動きは目にも止まらぬ速さだ。

隙を見つけ、綾香は「忍法・飛脚」で一気に接近。ガララに刀を振り下ろす。だが、ガララは、蛇の皮の硬い盾で守る。これまで壊せた盾が今度はびくともしない。綾香が少し首をかしげると、ガララがニヤリと笑った。

「この盾は壊されそうになると脱皮する。脱皮するたびに硬くなるんだよ!」

「だから刃が通らないのね」

「蛇の攻撃じゃお前には当たらないみたいだな。なら、これならどうだ!毒蛇の牙!」

ガララが叫び、小さな牙の形の魔法を放つ。それは彼の呪文の中でも一番速い攻撃。空気を切って綾香に迫る。

「忍法・硬化術!」  

ガキン! 

硬い音が響き、綾香は毒牙を弾く。  

「ちっ、攻撃力が足りねえか…! なら、これだ!蛇神の魔鏡!」  

ガララが鏡を召喚した瞬間、綾香は「火遁・炎豪」を放つ。だが、鏡は炎を映し込み、倍の勢いで綾香に襲いかかる。

ゴオオ!

轟音とともに炎が広がる。炎の中、ガララは「蛇の抜け殻」の呪文で燃えた体から新しい体を出し、平然と立つ。一方、綾香はこの程度の炎では傷つかず、前に進む。

巨大な蛇たちが道をふさぎ、ガララへの攻撃を邪魔するが、綾香は気にもせず突き進む。蛇の尾を飛び越え、ガララの懐に飛び込み、掌底を叩き込む。  

「群狼!」  

衝撃波がガララの体を貫く。二十五連撃の掌底が内臓を砕き、ガララは血を吐いて倒れた。

一方、裏門では忍び狩りの侍・月城と、陽霧一族の族長・陽霧日尾が対峙。

「火遁・火翔風」  

日尾が放つ炎の波が月城を襲う。風を取り入れた素早い火遁だが、忍び狩りは霧の狩り部隊の副リーダー、月城は動じず、炎を受けても平気で歩く。

「無駄だ! 火遁対策は完璧だ! 月影城砕斬!」  

月城の姿が影のように揺れ、一瞬で移動。次の瞬間、日尾の足元が斬られる。「ぐっ!」と日尾が膝をつく。  

「ハハハ! 陽霧一族は弱いって有名だが、族長でもこのレベルか! …さあ、死ね!」  

月城が二連続の斬撃を放つ。まっすぐ飛ぶ刃が日尾を切り裂こうとする。日尾は体をひねってかわし、反撃に「水遁・水流翔波」を放つ。 
 
曲線的な水流が月城を捉え、後ろに吹き飛ばす。  

「ぬぅ…火遁に水遁、風の要素も取り入れてるか。面白い。けど、決め手がねえ!」  

日尾は既に腹と脚を斬られており、もう限界。息を切らし、膝に手をつく。

「なぜだ?」

「うん?」

「なぜ我々の一族を狙う?我々はただ平穏に暮らしたいだけだというのに…」日尾は全てを諦めたかのように目の光を失いながら問う。

「金になるからだよ。お前ら忍びは、大抵ビンゴブックに載っている。そこに加えて雷雨のやつが報酬をくれる。賞金が倍近くになるんだ。こんないい話ないだろ?だから狙うんだよ」

「俺たちはお前らから見ればただの金塊というわけか…」哀しみ、涙する日尾。

その隙に月城がトドメを狙う。  

「もういいだろ。死ね、雑魚忍び! 月城流剣術・秘伝、城崩し!」  

横に一撃。巨大な斬撃が日尾を飲み込もうとする。  

ガキン!  

「き、君は…!」日尾が目を大きく開く。そこにはガララを倒したばかりの綾香が立つ。  

「紫音さんは別の者の援護に行きました」

「そ、そうか…でも、君は…」

日尾はまだ綾香の正体を掴めずにいたが、彼女の気迫に気付く。彼女は大火観一族の生き残りだと。

綾香は「飛脚」で月城の目の前に飛び出す。

「双頭狼!」  

ズドン!

重い音とともに月城が血を吐く。月城はすぐに刀を振るが、綾香は軽くかわす。空中で回転し、月城の顔に蹴りを叩き込む。月城が倒れ込む隙に、「火遁・炎波」を放つ。だが、月城は笑って立ち上がる。  

「ハハハ! ガララをやったか! やるじゃねえか、小娘!」  

「君!そいつの服は耐火素材だ!火遁は効かない!」

「この人もか…」

綾香は火遁を諦め、次を考える。

その時、マリリーが呼び出した三十人の兵の一人が現れた。吊り目、黒と銀の二色の短い髪を持つ女の手には木箱。月城が目を細めて言う。

「おお、月見! 戻ったか! 討ち取ったか、陽霧一族副族長、葵の首を!?」  

月見と呼ばれた女が答える。

「ええ、この箱の中よ。この首一つで家を買えるわ」  

綾香と日尾が凍りつく。  

「葵!? お前ら、それは本当か!?」日尾が叫ぶ。  

「本当よ。見る? 族長さん?」月見が不気味に笑うが彼女の手にある葵の忍び刀が本物だと示していた。

「くそ…! 貴様ら!」

「怒ってどうする? 弱いお前らが悪い。すぐ葵の後を追わせてやる!」

その瞬間、綾香が動いた。

「飛脚」の速さで月城を蹴り飛ばす。

「ぐっ! …このクソ女!」

綾香は静かに怒りを燃やしている。次の瞬間、今度は月見の腹に掌底を叩き込んだ。 

「狐狼!」  

月見が血を吐いて倒れ、綾香は葵の刀と木箱を拾い、日尾のそばに置いた。

「族長さん、下がってて。二人とも私がやる」  

綾香の背中から静かな闘気が立ち上がり、日尾は恐怖すら感じる。

綾香は月見に走り寄り、掌底を連打。  

「群狼!」  

ドドド!

重い音が響き、月見は意識を失いかけるが、月見は這うように立ち上がり、拳を振った。

が、しかし。

綾香は全てかわし、鋭い蹴りを叩き込むと月見は全身が震え、今にも倒れそうなほど苦しむ。

「月見、援護する!」

月城が斬撃を放つが綾香は「硬化術」で防ぐ。  

その時、強い魔力が響き、苦しんでいた女がヤケクソのように叫んだ。

「スーパーウルトラデラックスマッハパンチ!」  

熱い魔力の拳が綾香の腹に直撃し、吹き飛ぶ。  

「相変わらずのネーミングだな。ガキかよ…」

月城が呆れるが、彼女は魔力で巨大な拳を五つ作り出す。 

「ハイパーマジックパンチ! 乱撃!」  

ドドドド! 爆音と共に拳が綾香を襲う。  

「ふ、月見の最強技だ!お前もそろそろ諦めたらどうだ?くノ一!?俺たちを金持ちにしてくれよ!」月城が得意げに笑う。

だが、綾香は何事もなかったかのように立ち上がる。 綾香の硬化術の方が技として遥かに優れていたのだ。

「何!?」  

全員が息を飲む中、綾香は日尾のそばの葵の刀をゆっくり拾い、腰に構える。綾香は刀の刃先を月城に向ける。月城に標的を変え、抜刀の構え。 月城は「受けてたとう」と呟き、構える。

「牛角斬!」  

牛の角を突くように斬り込むと、月城は刀を抜く前に血を吐いて倒れる。

「このやろう!」と月見が叫びながら突っ込んでくる。しかし、綾香は二本の刀で腹と両脚を斬り、見事に葵の仇をとった。
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