世界の終焉

ぴんくじん

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昨夜の女体

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昨日のことだ。やけに夕焼けに焼けるような視線を向けられる部屋だったな。

僕は女体を弄った。女体にファーストコンタクトを試みたんだ。

「触り方がホントに陰湿」

こう言ったのは昨夜の女体の持ち主カナディアン。リコーダーでピアノの音を出せるという妙技を持った女だ。

僕とカナディアンの関係性はイルカとアリクイのようなものだ。まったく関わり合いがない。

そんな僕が何故にカナディアンを冒険できたのか、それは一本のジュースだった。

昨日のこと、女体を知る数十分前のことだ。僕は大学の帰り道、小躍りをしながらの不自然な歩の進め方をしていた。

大学に置いてある自動販売機に搭載されている、デジタル板のクジが当たったのだ。
ピピピピという人を急かす音を響かせながら、数字を3つ表示する。その数字が777スリーセブンを表示すると当たりである。もう一本ジュースが出てくる。そういうシステムだった。

77まではよく出るのだが、最後の数字は大体外してくる。クジなんてそんなものだ。散々に射幸心を煽りながら、最後は裏切ってくる。人を何人も殺すシリアルキラーよりもクジを作った人間の方がサイコパスだと僕は思う。

だから、今回も77まで揃った時点で舌打ちをしていたのだ。ところが神様のいたずらか、最後の数字も7が並んだ。
ピピピピィピピピピィピィー
時限爆弾だったら爆発していただろう。大袈裟な音がキャンパスに響いた。

恥ずかしさと引き換えに得た120円のジュースに物凄い幸せを感じた。僕は小さな幸せも大きな幸せとして感じることができる、物語の主人公並みの感受性の豊かさがあるんだ。

そんな僕が小躍りをするのは必然だった。当たったジュースは家に帰ってゆっくり味わい尽くそうと思っていたので、右手に持ったまま小躍りしていた。そこで話しかけられたんだ。

「あなたが右手に持ってるのはジュースか」

「え...えぇそうですが...」

恥ずかしかった。幸せが僕を盲目にしていたから、近くに人間がいたことに気づかなかった。

「そのジュースは新品か」

「え?えぇそうですよ」

話しかけてきた女がカナディアンってことにすぐに気がついた。

噂で聞いた限りだが、なにか公園で四つ葉のクローバーを引っこ抜かれるのを阻止することを生業にしているらしい。四六時中難しい顔で公園に仁王立ちしているので、地元のちょっとした有名人だった。だからすぐにわかった、カナディアンだって。

「そのジュースをくれたら、オッパイを見せてやる」

「...はい?」

「だから、そのジュースをくれたらオッパイを見せてやる。レディにオッパイって何回も言わすな」

「でも、このジュースはスペシャルなんですよ。ただただ買ったわけじゃないんです」

カナディアンのヘチマみたいに長い顔がキュッと反った。

「それはどういうことだ」

「いやね、今の自動販売機ってクジついてるじゃないですか。数字3つ揃えるやつ。あれで当てたんですよ」

ピピピピィピピピピィピィーを口で表現してやろうかと思ったが、寸前でやめた。

「なるほどスペシャルなジュースか。ならば私もスペシャルな対価を払わないといけないな、うん、抱け」

それからはね......抱いたよ。貪ったね。女体は初めてだったから。カナディアンは抱かれてる最中に何故かリコーダーを吹くんだけど、これがピアノみたいな綺麗な旋律を奏でるのね。だけど行動は謎だったから聞いたんだ。

「何故にリコーダーを吹くんですか」

そうしたらカナディアンがさ

「私の性癖」

抱かれてる最中に、ピアノのような綺麗な旋律をリコーダーで奏でる女。エロいよな。だけどさ、カナディアンは顔がヘチマみたいに長くて稀に見るブサイクなんだよね。

でも僕は女体があればいいからさ、顔とか性格とかウサギのうんこ並みにどうでもいいんだ。

だから僕は満足した。満足したけど、その満足がまたすぐに欲しい満足だったから、カナディアンに提案したんだ。

「またあなたの女体を抱くにはどうすればいいんですか」

「そうだな。また自動販売機のクジで当てたジュースを持ってこい、そしたらこの女体はいくらでもくれてやる」

だから今日は自動販売機でジュースを狂ったように買ったよ。いやさぁ、普通に買ったやつを偽って持っていこうとも思ったんだけどさ、カナディアンって勘が物凄く鋭そうじゃん。ちゃんと当てたよ、二万円近く使った。まぁ女を買う値段って世界中どこに行っても二万円くらいって言われてるから御の字でしょ。

そして僕は今、カナディアンの家の前に立っている。

やけに夕焼けに焼けるような視線を向けられる部屋で僕は今日も女体を弄る。
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