世界の終焉

ぴんくじん

文字の大きさ
4 / 34

7回

しおりを挟む
まただ。なぜだ。

太陽の光が主役をライトアップするように俺を照らしてくる。

ついさっきまでは、俺は主役そのものだった。

しかし7回だ。魔の7回。いや俺にとっては、魔の前に悪がつくだろうか。

6回までは、安打2、四球2、奪三振9、失点0に抑える完璧な投球だった。

しかし7回だ。ツーアウトまでは、淡々と抑えた。しかしここから、安打2本に四球1で現在ツーアウト満塁の状況に窮している。

投げている球は悪くない。それまでにタイミングが合っていないバッターが、なぜか7回に打ちだすのだ。

今日に限ったことではない。毎試合6回までは完璧に抑えるが、7回にどうしても捕まってしまう。

次のバッターに投じた迷いのあるボールを完璧に捉えられ、ボールはこちら側から確認できない程の彼方に消え失せた。

「はぁ~、今日も7回だったな。どうして7回に捕まるのか」

俺にとっての"おやすみ"を虚空に呟き、寝床につく。

ワァーワァー。スタジアムが坩堝と化している。

その中心にいるのは俺。そして、俺を囲むように睨みをきかすランナー達。ツーアウト満塁スリーボールツーストライク。

キャッチャーがサインを送ってくる。サインは変化球。俺は首を振る。深呼吸をするように上体を後退させたキャッチャーが改めてサインを出す。俺は大きくうなずく。

振りかぶり、足を上げ、投げた。

"カキィィーン"

ハッと目を開ける。歓声は聞こえてこない。静かな暗闇が周囲を埋め尽くしている。

「...夢か。はぁ、喉が渇いた」

飲み物を目指し、重たい体を布団から出そうとするが、上手くいかない。訝しいと思い、頭を横に向ける時に気がついた。

「金縛りだ。なんだ?まだ夢の中なのか」

どうやら声帯は縛られていないらしいが、俺の言葉に呼応するように低い声が聞こえた。

「ようやく目覚めたか」

「だ...誰ですか!」

「我の名前はハリー将軍」

仰向けの状態で、目を周囲に配るが暗闇だ。

「無駄だ。我の姿はお前には見えない。我はお前の守護霊なのだ」

「守護霊?」

「そうだ。時間がないから単刀直入に聞く。お前はあと一歩のところで、失敗することがないか」

「...あります」

「やはりな。我は相手の城を落とす一歩手前で、城で飼われていたワニに喰われたのだ。人間は守護霊の性質を受け継いでしまうらしいからな」

「そうなのですか?詳しいですね」

「神様から守護霊に任命される時に説明があったのだ。だが安心しろ、明日からお前の守護霊は変わる」

"連れてきているから紹介しよう"の後に新たな声が聞こえる。

「はじめまして。明日からあなたの守護霊を務めるミミスです。死因は銃殺です」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

処理中です...