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7回
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まただ。なぜだ。
太陽の光が主役をライトアップするように俺を照らしてくる。
ついさっきまでは、俺は主役そのものだった。
しかし7回だ。魔の7回。いや俺にとっては、魔の前に悪がつくだろうか。
6回までは、安打2、四球2、奪三振9、失点0に抑える完璧な投球だった。
しかし7回だ。ツーアウトまでは、淡々と抑えた。しかしここから、安打2本に四球1で現在ツーアウト満塁の状況に窮している。
投げている球は悪くない。それまでにタイミングが合っていないバッターが、なぜか7回に打ちだすのだ。
今日に限ったことではない。毎試合6回までは完璧に抑えるが、7回にどうしても捕まってしまう。
次のバッターに投じた迷いのあるボールを完璧に捉えられ、ボールはこちら側から確認できない程の彼方に消え失せた。
「はぁ~、今日も7回だったな。どうして7回に捕まるのか」
俺にとっての"おやすみ"を虚空に呟き、寝床につく。
ワァーワァー。スタジアムが坩堝と化している。
その中心にいるのは俺。そして、俺を囲むように睨みをきかすランナー達。ツーアウト満塁スリーボールツーストライク。
キャッチャーがサインを送ってくる。サインは変化球。俺は首を振る。深呼吸をするように上体を後退させたキャッチャーが改めてサインを出す。俺は大きくうなずく。
振りかぶり、足を上げ、投げた。
"カキィィーン"
ハッと目を開ける。歓声は聞こえてこない。静かな暗闇が周囲を埋め尽くしている。
「...夢か。はぁ、喉が渇いた」
飲み物を目指し、重たい体を布団から出そうとするが、上手くいかない。訝しいと思い、頭を横に向ける時に気がついた。
「金縛りだ。なんだ?まだ夢の中なのか」
どうやら声帯は縛られていないらしいが、俺の言葉に呼応するように低い声が聞こえた。
「ようやく目覚めたか」
「だ...誰ですか!」
「我の名前はハリー将軍」
仰向けの状態で、目を周囲に配るが暗闇だ。
「無駄だ。我の姿はお前には見えない。我はお前の守護霊なのだ」
「守護霊?」
「そうだ。時間がないから単刀直入に聞く。お前はあと一歩のところで、失敗することがないか」
「...あります」
「やはりな。我は相手の城を落とす一歩手前で、城で飼われていたワニに喰われたのだ。人間は守護霊の性質を受け継いでしまうらしいからな」
「そうなのですか?詳しいですね」
「神様から守護霊に任命される時に説明があったのだ。だが安心しろ、明日からお前の守護霊は変わる」
"連れてきているから紹介しよう"の後に新たな声が聞こえる。
「はじめまして。明日からあなたの守護霊を務めるミミスです。死因は銃殺です」
太陽の光が主役をライトアップするように俺を照らしてくる。
ついさっきまでは、俺は主役そのものだった。
しかし7回だ。魔の7回。いや俺にとっては、魔の前に悪がつくだろうか。
6回までは、安打2、四球2、奪三振9、失点0に抑える完璧な投球だった。
しかし7回だ。ツーアウトまでは、淡々と抑えた。しかしここから、安打2本に四球1で現在ツーアウト満塁の状況に窮している。
投げている球は悪くない。それまでにタイミングが合っていないバッターが、なぜか7回に打ちだすのだ。
今日に限ったことではない。毎試合6回までは完璧に抑えるが、7回にどうしても捕まってしまう。
次のバッターに投じた迷いのあるボールを完璧に捉えられ、ボールはこちら側から確認できない程の彼方に消え失せた。
「はぁ~、今日も7回だったな。どうして7回に捕まるのか」
俺にとっての"おやすみ"を虚空に呟き、寝床につく。
ワァーワァー。スタジアムが坩堝と化している。
その中心にいるのは俺。そして、俺を囲むように睨みをきかすランナー達。ツーアウト満塁スリーボールツーストライク。
キャッチャーがサインを送ってくる。サインは変化球。俺は首を振る。深呼吸をするように上体を後退させたキャッチャーが改めてサインを出す。俺は大きくうなずく。
振りかぶり、足を上げ、投げた。
"カキィィーン"
ハッと目を開ける。歓声は聞こえてこない。静かな暗闇が周囲を埋め尽くしている。
「...夢か。はぁ、喉が渇いた」
飲み物を目指し、重たい体を布団から出そうとするが、上手くいかない。訝しいと思い、頭を横に向ける時に気がついた。
「金縛りだ。なんだ?まだ夢の中なのか」
どうやら声帯は縛られていないらしいが、俺の言葉に呼応するように低い声が聞こえた。
「ようやく目覚めたか」
「だ...誰ですか!」
「我の名前はハリー将軍」
仰向けの状態で、目を周囲に配るが暗闇だ。
「無駄だ。我の姿はお前には見えない。我はお前の守護霊なのだ」
「守護霊?」
「そうだ。時間がないから単刀直入に聞く。お前はあと一歩のところで、失敗することがないか」
「...あります」
「やはりな。我は相手の城を落とす一歩手前で、城で飼われていたワニに喰われたのだ。人間は守護霊の性質を受け継いでしまうらしいからな」
「そうなのですか?詳しいですね」
「神様から守護霊に任命される時に説明があったのだ。だが安心しろ、明日からお前の守護霊は変わる」
"連れてきているから紹介しよう"の後に新たな声が聞こえる。
「はじめまして。明日からあなたの守護霊を務めるミミスです。死因は銃殺です」
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