お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 浮島編

閑話 村でのガストンその後 前編


「おいっ、ガストン! まだ薪割り終わってねーのか? さっさと終わらせろ」
「っ! やってるよ」
「全部終わらないと飯抜きだからな? お前はすぐサボるんだからな」
「分かってるよ」

 ……ったく。
 なんで俺ーーガストンが薪割りなんてやらないといけないんだ。
 これも全てアイツ……ティーゴのせいだ。
 ティーゴの連れているフェンリル達のせいで、俺は魔獣を見ると足が震えて固まる様になってしまった。
 こんなんじゃ、まともに魔獣と戦う事なんてできない。

 そのせいで俺は、剣士としての仕事ができなくなった。

 ——クソクソクソクソクソッ

 俺たち【新緑の牙】はBランクパーティーとなり、Aランクパーティーになるのもあと少しだった。
 なのに、クソティーゴのせいで栄光を目の前にして、全て終わった。
 パーティーは解散、俺は剣士として活躍することが出来なくなった。

 この全てはティーゴのせい。

「にぃちゃーん! 薪割り終わった? お昼ご飯できたって」
「ん? ああ、いま行く」

 薪割り全部終わってねーけど、ま、あとで全部やれば良いよな。
 部屋に入ると、テーブルにはいつもと同じ料理。
 ……もう少し豪華な肉とかないのかよ。

「またこれか。この芋料理食べ飽きた。もう少し豪華な肉とかないのかよ? 俺たち育ち盛りだぜ? なぁゼットン」
「うん!」

 弟のゼットンもそうだと頷く。

「なに言ってんだ! 金も稼いで来ないで、どうやって良い飯が食えるんだ」
「まぁまぁ、あなた落ち着いて。ガストンだって好きで薪割りをしてるしているわけじゃないのよ。今は足の怪我が治ってないから……治ったらいっぱい稼いできてくれるわ。なんたってガストンのパーティーはBランクなのよ」
「うん……まぁそうだな」

 お袋が親父を説得しているが、二人は知らない。
 Bランクパーティー【新緑の牙】解散しているし、俺は剣を持てない。
 二人には少しの期間、冒険者パーティーは活動休止していると伝えている。
 絶対にバレちゃならない。
 はぁ、エリックとミナが戻って来てくれたらどうにか活動出来るのに。

「だが、ティーゴはお前と同じように冒険者パーティーを休んでいるようだが、この前も両親に、たくさんの金貨をプレゼントしたんだぞ! そのおこぼれで俺たちは美味い飯をいっぱい食えただろ?」
「そうね、ティーゴからもらった金貨でお肉をたくさん村の人に分けてくれて……今度は私たちがお返ししたいわ」
「そうだな。ガストンの怪我が治ったら、村のみんなに肉を振る舞えるくらい稼いでくれよ?」

 昼飯を食いながら、ティーゴ、ティーゴと。アイツの話なんか聞きたくもない。

「うるせぇな! 俺ならその何倍も稼いできてやるよっ! ティーゴの話題ばっかで飯が不味くなるぜ」
「なっ!? なんて言い方だ。俺を……村を救ってくれたティーゴの事を……」
「はいはい。ティーゴはオヤジを助けてくれ、村の救世主様だもんな」

 なんでアイツが崇められるんだよ! 
 ただでさえ不味い飯が、もっと不味くなる。

「ごちそうさま。メシ食うきなくなったわ」
「おいっ……ガストン」

 バンッ!!

 わざと思いっきり扉をしめて外に出た。

「なんなんだっ」

 口を開けばティーゴティーゴと。
 アイツは昔っからそうだった。なぜかみんなから好かれていた。
 あんなやつのどこが良いんだ。

 ……だから、なにもテイム出来ないと出来損ないと知った時。
 仲間にするふりして、こき使ってやったんだ。
 必死に俺たちの役に立とうと頑張っている、ティーゴの姿を見るのは爽快だったなぁ。

 はぁ……この足の震えさえ。なくなればな。
 
「ようガストン。ここにいたのか」
「なんだよ。レイン」

 薪割りをサボリ、村の酒場で一杯やってると、元冒険者仲間のレインが目の前に座る。
 こいつも冒険者として活躍していたが、深傷をおい冒険者活動ができなくなったから、村に戻ってきて養鶏の仕事をしている。

「それがさ、珍しい奴らを見かけてさ」
「珍しい奴ら?」
「おう、エリックとミナだよ。もしかして、新緑の牙そろそろ復活するのか?」
「なんだと!? エリックとミナが!?」

 驚きのあまりレインの胸ぐらを掴み、体を揺する。

「ちょっ!? ゴホッ、おっ、落ち着けって、ゲホッ」
「で!? 二人はどこにいるんだよ」
「ゲホッ……はぁ。ティーゴの家に向かってたよ」
「ティーゴの家に!?」

 なんでアイツら俺に挨拶もせずに、ティーゴの家に行くんだよ!?
 まずは俺ん家にくるのが道理だろ?
 まぁいい。あの二人を説得して新緑の牙の復活だ!
 こうしちゃいられねぇ。

「あっ!? おいガストンどこに行くんだよ!?」
「どこってティーゴの家に決まってるだろ!?」

 俺は酒場を出て、ティーゴの家に向かって一目散に走って行った。

 よしっ! これで薪割りなんてしょうもない仕事から解放されるぜっ。

 満面の笑みでティーゴの家に向かうと……

「なっ!?」

 視界に入って来たのは、入り口でティーゴのオヤジさん達に向かって土下座しているエリックとミナの姿だった。

 ちょっと待て!? 

 アイツらまさか……ティーゴのことを、ダンジョンで捨て駒にした事……

 言ってねーよな!?


 ★★★

 あとがき

 ものすごくお久しぶりの更新となりました。

 待っていただいた読者様。本当にお待たせしました。
 これからは少しづつ更新できればと思います。

 本編の邪神編に入る前に、この人達の今、何してんの? シリーズをちょとちょこと書いてから本編をスタートしようと思います。
 今回はコミカライズの方でも何やってんだガストンが登場しているので。
 読者様が気になっていたその後のガストンを、書かせていただきました。
 次回はガストンのおマヌケざまぁ回です。お楽しみにです。

 そして三月九日に、筆者別作品『厄災の悪役令嬢レティシア・ドンバッセル』の2巻が発売されます。
 こちらの作品も『お人好し底辺テイマー』共々ぜひともよろしくお願いいたします。絶賛予約受付中です。
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