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本編 燦聖教編
チビドラシル
しおりを挟む二時間ほどパールと他愛も無い話をしながら歩いていたら、空からユグドラシルが舞い降りて来た。
ーーティーゴ様。ありがとうございます。お水で子供が復活しました。
ユグドラシルの横には、人化したティアくらいの小さな子供が立っていた。
ーーありがとうございます。お水美味しかった。力が溢れてる
小さなユグドラシルがお礼を言う。
二人は揃ってお辞儀をした。
ーーそれで……図々しいお願いなのですが、私の子供も一緒にあの異空間と言う場所で過ごす事をお許し頂きたくて……
ユグドラシルは申し訳なさそうに上目遣いで俺を見てくる。
「なんだそんな事。好きに過ごしてくれ」
ーーあっありがとうございます。
ーーわぁー!やったっティーゴ様ありがとうございます。
小さなユグドラシルがぴょんぴょんと跳ねて喜んでいる。
「でも、この世界に居なくて大丈夫なのか?」
ーーはいっ力を取り戻したので私が何処にいてもこの世界の本体と繋がっており、エネルギーを送る事や本体に何かあれば直ぐに分かります。
「そんな事が出来るのか、凄いな」
思わずティアにするみたいに頭をクシャクシャと撫でてしまう。
ーーえへへ……
ユグドラシルは嬉しいのか、ティーゴが撫でた頭を自分の手で触りまた飛び跳ねた。
「ユグドラシル!」
ーーはいっ
ーーほぇ?
二人のユグドラシルがティーゴの呼び掛けに返事をする。
ん~これはややこしいぞっ。どっちもユグドラシルだもんな。
「小さなユグドラシル!お前はとりあえずチビドラシルと呼ぶからなっ」
ーーチビドラシル……はいっ!
チビドラシルは右手を上にあげニカッと笑い返事をした。
「ユグドラシル、それじゃ異空間に帰るか?」
ーーはいっお願いします。
ーーいくうかん。わくわくするね。
チビドラシルは少し落ち着きのない様子で、ティーゴが今から何をするのかソワソワと見ている。
ティーゴは異空間の鍵を何もない空間に差し込む。すると大きな扉をが現れ鍵をカチャリと右に回すと扉が開いていく。
ーーわぁ……何て綺麗な空気。この空気を浴びるだけでも幸せ。
異空間に入った途端チビドラシルはクルクルと回り出した。少し踊っているみたいだ。
『トレ~ント♪』
間抜けな声が聞こえて来たと思ったらトレントがチビドラシルと一緒にクルクルと回っていた。
何がしたいんだ?
『主~何処に行ってたのだ!我は探したのだ』
『ティーゴの旦那っここに居たのか!』
スバルが銀太の頭上に乗り二匹が走って来た。
「ゴメンゴメンッ、ちょっと異空間から外の世界に出てたんだ。何も言わなく出て行ってゴメンな」
スバルと銀太の頭を撫でる。
『我はお腹が減ったのだ!カラアゲが食べたいのだ』
『俺もだっ!あのタルタルがかかったカラアゲなっ』
『ほう……タルタルは美味いからのう。ワシも腹が減って来たのじゃ』
パールもカラアゲが良いのか。少し早いけど、そろそろ晩御飯の時間だしな。
「分かったよ。晩飯はカラアゲにしようなっ」
『やったのだー!』
銀太達と家に向かって歩いて行く。
ユグドラシルの親子は森に帰って行った。
後からトレントも踊りながらついて行ってたけど。
今日はいっぱい食べて早く寝て、明日に備えるとするか。
明日は朝からミナトゥーク街に向けて本格的に出発だな。
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