お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
194 / 314
本編 燦聖教編

王都

しおりを挟む


「王都に行くって事は……今はここだろう?」

俺は地図を開きミナトゥークを指した。
その指先をパールは地図をじっと見つめている。

「そうじゃ……まぁ地図を見る限り、ミナトゥークから王都まで広い街道が続いておるようじゃから、この道を通れば半日程で着くじゃろう」

「今が昼前だろ?じゃあ……昼飯を食べたら出発か?」

「そうじゃのう。ふむ昼飯か……ワシはカラアゲが食べたいのう」

「ブッッ!パールはスバルと一緒でカラアゲが好きだな!」

またパールのカラアゲ食べたいが始まった。
初めて出会った時もカラアゲを盗み食いしてたんだよなパールのやつ。

『主と俺が一緒?おいおい何だよっ。そんな褒めるなよっ!』

何を勘違いしたのか、パールと一緒だと言うと、スバルは嬉しそうにパタパタとティーゴの周りをくるくると飛ぶ。

『ぬっ?カラアゲなら我も大好物なのだ!フンスッ』

すると銀太が、スバルに対抗するかの様に調理台の上に顔をドンっと置くと、自分の方がカラアゲが好きだとアピールする。
分かったから!銀太も好きだよな。

『主殿、カラアゲとはなんじゃ?』

スバル達が余りにもカラアゲで盛り上がってるので、コンちゃん少しも気になったのか話に割ってはいる。

「そうか……コンちゃんは食べた事なかったな」

ティーゴがカラアゲについて説明しようとすると、先に銀太が美味しさを伝える。

『コンちゃんよ?カラアゲは美味いのだ!我は主の作るカラアゲが大好きなのだ』

『そんなに美味いのか……ゴクリッ』

銀太の話を聞き喉を鳴らせるコンちゃん。

『そうだぜ?まずはな?肉汁が口中で暴れて攻撃してくるんだ!その次は、肉のぷりぷり攻撃が襲ってくるんだよ』

『なっ!?攻撃してくる食べ物じゃと!?そんな危険な食べ物が美味いのか!?あわわっ……妾が封印されてる間に食も変わってしもうたんじゃ。妾は上手に食せるじゃろうか……』

コンちゃんはスバルの所為でカラアゲの事を危険な食べ物だと勘違いしてしまった。
尻尾をぎゅっと抱きしめ、カラアゲを食べるのを少し戸惑っている。

コンちゃん?誤解だからな?そんな危険な食べ物は流行ってないから安心して食べてくれ。

ティーゴはアイテムボックスから作り置きしていた大量のカラアゲを出し、ソワソワとカラアゲを待つ聖獣達が座っている机に並べて行く。

『美味いのだっ!やっぱりこれなのだ!』

『ティアは!カラアゲが大好きなの』

『やっぱりカラアゲが最高だな!サクサク止まらなねーッ』

皆が美味しそうに食べる中、コンちゃんはカラアゲをじっと見つめ固まっていた。

その姿を見たティーゴは横に座り、カラアゲを食べて見せた。

「旨っ!肉汁がしみだして外はサクサク!モグッ…タレを付けてもうまいなぁ。ゴクンッ」

その姿を見たコンちゃんはそろりとカラアゲに手を伸ばした。

「コンちゃん?カラアゲは攻撃したりしないからな?美味いから食べてみてくれ」

『……本当か?』
「ああっ美味いだけだ」

ティーゴに攻撃しないと言われ安心したのか、コンちゃんは口いっぱいにカラアゲを頬張った。

『あわっ……何て美味!美味いのじゃ!妾はっ妾はカラアゲが気に入ったのじゃーっ!』

コンちゃんはこの後、パールとスバルそれに銀太とカラアゲを最後まで取り合っていた。

『妾はっ!こんなに美味い食べ物初めて食べたのじゃー!』



★     ★       ★


お腹もいっぱいになり、聖獣達は皆お昼寝をしだした。

ティーゴとパールの二人がミナトゥークから王都に続く街道を、のんびりと歩いていた。

「俺に合わせて良かったのか?」

「ワシは別に先を急いでないからのう」

「そうか……なら良かった。俺達二人で景色を見ながら歩いて行こうぜ」

一時間も歩くと……街道の景色はほとんど同じなのでパールが飽きて来た。

「むう……この街道は整備されその周りの景色も岩山や何もない平地でつまらん」

「ははっまぁまぁ?もう飽きたのか」

「ワシはっ!やっぱり飛んで行くのじゃーっ!」

そう言うとティーゴをふわりと魔法で浮かし、パールは浮かぶティーゴを引っ張るように魔法で飛んで行った。
その姿はまるで、足先にロープを巻かれ馬で引っ張られている様だった。

「ワァァー!っちょっ!パール急がないって」

「急いでないが、つまらんのは別じゃ」

「分かったからっちょっと待っ……飛ぶのは分かったから!この体制はどーにかしてくれっ」

ティーゴの悲痛な訴えは虚しく、半ば強制的に引っ張られるのだった。

……三十分も飛ぶと、王都の周りをぐるりと囲む大きな川が見えて来た。
王都の中へ入る事が出来る、唯一の跳ね橋には馬車が集まり検問をしている様だ。
パールは近くまで行くと目立つので、少し離れた場所に静かに下りた。

「着いたのじゃ……これはまた」

横幅五十メートルは有にある川に囲まれた王都。まるで水の中に浮かんでいる様にも見える?
その圧巻の景色にパールは息を呑んだ。

「はぁ……心臓に悪いよっ」

ったく!あんなの引き摺り回しの刑じゃないかっ。
パールのやつおぼえてろよ。

ティーゴはやっと落ち着き前を見た。そして同じ様に呆然と見つめるのだった。

「……これが王都」

しおりを挟む
感想 1,519

あなたにおすすめの小説

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。