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本編 燦聖教編
異世界人召喚って?
しおりを挟む「今日の闘技場スケジュールは全て埋まっているので、明日のお昼に決闘する事が決まった。分かったな? 逃げたりするなよ」
燦聖教のジークと言う男が俺にそう言い放った。
ジークは闘技場の幹部達が集う管理室にてスケジュールを組むために話し合いに向かい帰って来たと思ったらそう言って来た。
明日って……もう闘わなくてもいいんじゃないか? なんて思うのは俺だけか?
ジークと言う男に部屋を用意すると言われたが、パールが断ると逃げられるとでも思ったんだろうな、ジークは俺達が泊まる宿屋まで部下の者に後をつけさせていた。
宿屋を確認すると「明日迎えに来ますからね? 逃げたりしない様に」と捨て台詞を吐き、部下の男は帰って行った。
今更逃げたりするかよ!
「はぁーっ!面倒な事になったな」
俺は宿屋の部屋に入るなり、愚痴を吐きながらベッドにダイブしたた。
「何が面倒なんじゃ?あの鼻につく連中を明日コテンパンにしたら良いだけじゃろ」
『そうじゃ!妾をペットにしようなど!あんな人族に触られとうない!気持ち悪い目で妾を見て嫌じゃった。主殿、明日やっつけて欲しいのじゃ』
パールとコンちゃんはベッドの横に座るとまだ怒りが収まらないのか少し怒っている。
「コテンパンって!ははっ久しぶりに聞いたよ」
「むう……何が可笑しいんじゃ!」
人化したパールが拗ねた顔をし少し頬を膨らませる。猫の姿なら何も思わないんだが、どんな顔をしても綺麗なんでこれ以上揶揄う言葉も言えず返事に困る。
『そうじゃ!笑うとはなんじゃ! あんな奴らコテンパンなのじゃ!』
コンちゃんまでコテンパンに乗っかりイケイケモードだ。
「可笑しくないよっ!分かったから明日負けない様に頑張るよ」
「そのいきじゃ!」
そー言えば、異世界の勇者って言ってたな。
何だ異世界って?俺達が知ってる勇者とは違うのか?
パールはその話を聞いた時、何かを知っている様だった。
気になるし、聞いてみようか。
「パール……あのさ?異世界の勇者だけど何か知ってるのか?」
「……まぁの。カスパールであった時にじゃがの」
「教えてくれよ!」
パールはやれやれと言わんばかりの顔をして少し困った様に笑った。
『妾だって知っておるのじゃ!この世界とは別世界、『異世界』から召喚した勇者じゃろ?』
すると先にコンちゃんが自分も知っていると少し得意げに話し出した。
「この世界とは別世界!?」
『そうじゃ。次元と言うか、世界の理そのものが違う。世界を創った神も違う』
世界そのものが違うって……
「どうやってこの世界に現れたんだ?」
すると今度はパールが我先にと教えてくれる。
「それはじゃの?次元を捻じ曲げて無理矢理別世界と繋げて異世界人を召喚するんじゃよ」
「そんな事が可能なのか……」
「じゃが召喚はもうしないと王達が決め、三百年以上前に召喚方法を記した文献は封印したんじゃがの」
「それって……コンちゃんが封印された魔導書と同じじゃ」
「ああ。そういうことじゃ、そこに封印された禁忌の本の一つじゃ。ワシらがこの前、森の研究所で見つけた残りじゃの」
「燦聖教はそんな事までして、世界を自分のものにしたいのか!」
世界を自分のものにして何が楽しいんだ!理解に苦しむ。
「燦聖教がもつ禁忌の本は全て回収したいな。アイツらが持ってたままじゃ良からぬ事にしか使わないからな」
俺がそう言うとパールは大きく頷いた。
「そうじゃ!それにどうやって結界を解き本を手に入れたのかも聞かんとのう」
燦聖教の話をしていたら頭が痛くなって来た。
「はぁ……。今日は色々あったし、異空間に帰ってのんびり風呂に入るか」
「そうじゃのう」
『風呂?妾も風呂は好きなのじゃ!アグライア様と良く一緒に入ったのじゃ』
コンちゃんは風呂が嬉しいのか尻尾をブンブン振り回している。
異空間の扉を出し、中へと帰ると、俺達は一目散に外にある露天風呂へと向かった。
風呂に入るなり体を洗って欲しいのかパールはいつもの猫の姿になった。
無言のアピールが可愛すぎて……
「ははっパール綺麗に洗ってやるからな」
コンちゃんは、パールを洗っている姿をじっと見つめている。
「はうっ……そこじゃそこっ。ふうむ気持ちいいのじゃ」
パールはいつもの様にウットリと気持ち良さそうにしている。その姿をコンちゃんは食い入る様に見ていた。
パールを洗い終わると、次はコンちゃんを洗おうと呼ぶと。
『妾まで主殿に洗ってもらえるのか?妾……初めてじゃ』
コンちゃんは大きな尻尾をギュッと抱きしめ少し恥ずかしそうにモジモジしていた。
「クスッ……さぁ?こっちにおいで?」
コンちゃんの体や大きな尻尾は特に念入りに洗ってやった。
『ぬっ……はううっこれはっ気持ちいいのじゃ。妾は主殿の虜じゃ』
コンちゃん?変な感想はやめてくれ!
体も洗い終え湯船にのんびり浸かっていると……
『ティーゴの旦那!帰ってたのか!あっ主も一緒かよ!何で誘ってくれないんだよ』
『そうなのだ!我も帰って来るのを待ってたのだ』
スバルと銀太が乗り込んで来た。これは……このパターンは!?ゆっくり出来ない流れだぞ。
その後から一号、二号、三号、とキラにティアがなだれ込んできた。
「よーっし!今からシャンプータイムだ順番に並んで!」
俺は湯船から出て集まった聖獣達をいつもの如く念入りに洗うのだった。
風呂から出てブラッシングした時に、コンちゃんの大きな尻尾が二倍に膨らみ物凄いことになったのには驚いた。
コンちゃんがいつものように抱きしめようとすると膨らみすぎた尻尾を全て握れずワタワタと困っていた。
その姿がまた可愛いくって、後からこのもふもふ尻尾を堪能したのは言うまでもない。
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