208 / 314
本編 燦聖教編
つけられてた!
しおりを挟む「うーん……何処も賑わってるなぁ」
俺達は異空間の扉を出す為に、人気の無い場所を探してウロウロと歩いていたのだが、さすが王都だけあってどこに行っても人がいる。
異空間の事は秘密なので、誰も居ない所じゃないと扉を出せない。
俺がどうしようかと困り果てていると
「そんな時こそ、探索を使って人のいない場所を探すんじゃよ!サーチは練習したじゃろ?」
パールが探索を使えとアドバイスしてくれる。
「そうか!なるほど……魔獣じゃなくて人に使うのか!」
そんな事思いつかなかった。俺はまだまだ、魔法に関して学ぶ事がいっぱいあるなと実感する。
《サーチ》
俺は探索魔法を発動した。
魔力の薄い膜をイメージしてじわじわと範囲を広げていく。
「あっ!分かったぞ北の方角に誰も居ない場所がある」
「おっ?よく出来たのじゃ」
パールが良くやったと目を細め褒めてくれた。
なんだか嬉しい。
「じゃあ俺の後ついてきてくれ!」
俺がそう言うと、銀太がそっと右手を握る。
獣人姿の銀太は俺より小さくって可愛い、いつもの姿は何倍も大きいので不思議な感じだ。
この姿だと、俺が守らなくちゃとさえ思ってしまう。
ボスンッ!
『じゃあ案内任せたぜ』
スバルが頭の上に乗ってきた。飛ぶのに飽きたんだな。
俺は頭にスバルを乗せ、胸にコンちゃんを抱きしめ、右手で銀太の手を握り目的地へと歩いた。
もふもふ密着だ。
うん最高に癒されるな。
北へと歩き進めると、王都らしからぬ景色が広がって行く。
「これって……」
「ああ……スラムがあったであろう場所じゃな」
パールが元スラム街だと言うその場所は、ボロ布で簡易な屋根が作られた、家らしき同じような建物が犇めき合い並んでいた。
人の気配は全くない。
この場所で何があったのだろう……。
よく見ると、至る所に血痕があった。
「この場所に住んでいた者達は、殺されたか?何かの目的用途の為に連れ去られたか?じゃな」
「何があったのか分からないけど、すごく嫌な空気だ」
俺はさっきまでの楽しかった気持ちが、少し下がり大きな溜め息を吐くと、異空間の扉を出そうと鍵を持ったその時。
不意に背後から声をかけられる。
「おいおい?こんな人気のない場所に集まって何をする気だ?」
「俺達からしたらありがてぇけどな?」
「ガハハハッ」といきなり現れた男達が下品に笑う。
こいつら俺達の後をついて来てたのか?
『虫がついて来ておるとは思ったけど、お主らか』
えっ……銀太?
『本当だぜ!いつ姿を表すのかと待ってたらこのタイミングとか、イラッとするぜ!』
スバルも?!
『そうじゃ!ワシはもう甘味パーティーの口なんじゃ!』
パールまで!みんなコイツらの事に気付いてたのかよっ。
俺だけ気付かずに偉そうに先導して……ううっちょっと恥ずかしい。
後をついて来ている男達は、ざっと数えて十人弱か……。
「俺達の目的は、お前らがデカい声で自慢してた掛け金さ!さっさとよこしたら怪我くらいに済ませてやるが、抵抗するようなら殺すまで!」
殺気立った男達が、賭け金を寄越せと言ってきた。
俺が大声で叫んだせいだよな?
はぁ……本当ゴメンな。
「黙ってねーでなんとか言えよ!」
男が苛立ち、持っていた大剣を引き抜いた。
『うるせーんだよ!黙りやがれ!』
早く甘味が食べたいスバルは、邪魔をされたのが気に食わず元の姿に戻ってしまった。
いきなり目の前に、五メートルはある体躯のグリフォンが現れたのに、男達は微動だにせずに固まったままスバルを見つめている
あれ?怖くないのか?
次の瞬間……!
「ヒィャァァァァァ!ばばばっ化け物っ!」
「ヤバイヤバイヤバイ!なんでこんな伝説の魔獣がっ」
「グッグリフォンだぁぁっ!」
半分の男達が、声を張り上げ震えながら後退りしようとするも、足が思う様に動かずもつれてそのまま尻餅をついた。
残りの半分は既に立ったまま気絶していた。
スバルは翼を広げ一度だけ大きく羽撃かせた。
すると大きな突風が起こり男達は空高く何処かへ飛んで行った。
『さっ……これで邪魔者はいなくなったな。異空間に帰ろうぜ』
スバルはいつもの可愛い姿に再び戻ると俺の頭に飛んで来て座る。
「……かっ帰るか」
どこかに飛んで行った男達はどうなったのか少し気になるが帰るとするか。
この時、遠方からサーチにギリギリ引っかからない場所で燦聖教の男達が見ていたのだが。
俺たちはその事に気付かずに異空間へと戻った。
★ ★ ★
「はえ?急にグリフォンの気が消えた!」
「なっ?あんなに大きな気が?」
「グリフォンがいた所に急いで走れ!」
バタバタバタバタバタバタッ
黒いローブを羽織った男達が、スラム街だった場所に慌て走り込んだ。
「いない……」
「どこに消えたのだ?この先は行き止まりなのに……?!もしや転移の魔道具を使ったのか?」
男達が必死に気配を探るも、ティーゴ達は異空間に帰ったので見つける事など不可能なのだが。
「急いでマーク司教に連絡だ!」
「はいっ!」
★ ★ ★
ーお知らせー
12月中旬に書籍発売が決まりました。
詳しい日程などは近況報告やアルファポリスの『今後の書籍刊行予定』にて随時更新されます。
絵姿などはいち早く近況報告にてお見せ出来ればと。(*´꒳`*)♡
242
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。