お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
255 / 314
本編 浮島編

新たなる旅立ちへ

しおりを挟む
「はぁ……」

 なんとか三号が人じゃないと信じて貰えた。
 最後には黒犬の姿になってもらって、やっとって感じだったが。

「うふふ……可愛いわぁ三号ちゃん。お話が出来るワンちゃんなんて最高ね」

 当の三号は母さんの膝の上で、気持ち良さそうに寝ている。母さんが可愛いと、ずっと撫でるので気持ち良くて寝てしまったみたいだな。

 ただ……母さん達は三号の事を、可愛い犬の魔獣と思っている様で、ケルベロスって事には気付いて無い。本当ならちゃんと話した方が良いんだろうが、これ以上説明するのも疲れたので、もういいか。

「で……今度は何処に行くんだ?」

 父さんが次の旅について、少し心配気に眉尻をさげる。

「ずっと行って見たかった国。倭の国に行こうと思って」
「おおっ倭の国か。父さんも一度だけ行ったことがあるんだが、この国とは全く違って驚いたのを覚えてるなぁ」

「ふふっ倭の国は食べ物がとにかく美味しくってね」

 母さんが嬉しそうに会話に割って入る。どうやら二人仲良く倭の国に行ってたみたいだな。

「そうそう。一ヶ月ほど滞在していたんだがその間に父さんは十キロも太っちまって。はははっ」
「そうなのよっ! その後父さんの食事制限が大変だったんだから」

「そっか食べ物かぁ……楽しみだなぁ」

 倭の国には独自の食文化があるみたいだから、それも楽しみの一つなんだよな。
 パールが言うには建物なんかも違うらしいから。

 あー倭の国の事を考えたらワクワクして来た。

「ただいまぁ!」

 バァンッと、音をたてドアが勢い良く開く。

 銀太やスバル達と、外で一緒に遊んでいたリムが帰って来た。

『家族の戯れは楽しいのだ! 我はボール取りの名人、疾風の銀太だからの』
『ホントにな! 俺は天から舞い降りた翼の戦士だぜ』

 銀太とスバルが楽しそうに話しているが、リムよ? 二匹に何を言った? 
 銀太のはまだいい。スバルの天から舞い降りた翼の戦士ってなんだ! 意味が全く分からない。

「リム……変なあだ名をつけないでくれよ?」

「ええー? あだ名とか付けてないよ? ただ銀太ちゃんは疾風の速さだねって言って、スバルちゃんはぁ翼があるからお空でボールとるの上手だねって言っただけだよ?」

「そうなのか?」
「うん。あっでも空を飛ぶ戦士見たいって言ったかも」

 それだよ! それを勝手なネーミングに変えてんだ。まぁ楽しそうだからいいんだけど。

「あっそうそうお兄ちゃん。私ねこの前洗礼式をして【農業ファーマー】のジョブを貰ったんだ。お兄ちゃんみたいな【魔物使い】とかも良かったんだけど、このジョブも気に入ってるの」

「ファーマーか! 良いじゃないか。色んな食物を上手く育てる事が出来るんだよな」

「そうなの。今裏の畑で色々と私が野菜を作ってるんだよ。あっそうだ! 自慢の畑を見てよ」

 リムが俺の手を引っ張り外に連れ出そうとする。

「わっ慌てるなって! 行くからっ」

 リムに引っ張られながら畑に来てみると色とりどりの野菜が何種類も植わっていた。

「凄いじゃないか! こんなに沢山」
「うふふ。凄いでしょ、ファーマーのスキルがあるとね。どんな育て方が一番最適かとかが分かるの。野菜の気持ちが分かるみたいにね」
「へぇー便利なんだな」

 リムも少し会わない間に凄く成長したな。寂しいような嬉しいような、不思議な気持ちだな。

 あっそうだ。せっかくだからリムにキュー特製の【レインボーマスカットの種】をあげるか。中々手に入らないからな。

「これは俺からのお祝いだ」

 リムの両手のひらにレインボーマスカットの種が入った袋を置いた。

「えっ……これって?」

 リムがガサガサと袋の中身を確認している。

「お兄ちゃん! これ市場に出回らないレインボーマスカットの種じゃん! うれしいよう」
「わっぷ」

 リムが抱きついて来た。

「リム、頑張れよ」
「うん。大切に育てるからね」

 リムの頭を落ち着くまで撫でた。


 さぁ異空間に戻ってパール達に次の行き先を相談しないとな。
しおりを挟む
感想 1,519

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。