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本編 浮島編
新たなる旅立ちへ
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「はぁ……」
なんとか三号が人じゃないと信じて貰えた。
最後には黒犬の姿になってもらって、やっとって感じだったが。
「うふふ……可愛いわぁ三号ちゃん。お話が出来るワンちゃんなんて最高ね」
当の三号は母さんの膝の上で、気持ち良さそうに寝ている。母さんが可愛いと、ずっと撫でるので気持ち良くて寝てしまったみたいだな。
ただ……母さん達は三号の事を、可愛い犬の魔獣と思っている様で、ケルベロスって事には気付いて無い。本当ならちゃんと話した方が良いんだろうが、これ以上説明するのも疲れたので、もういいか。
「で……今度は何処に行くんだ?」
父さんが次の旅について、少し心配気に眉尻をさげる。
「ずっと行って見たかった国。倭の国に行こうと思って」
「おおっ倭の国か。父さんも一度だけ行ったことがあるんだが、この国とは全く違って驚いたのを覚えてるなぁ」
「ふふっ倭の国は食べ物がとにかく美味しくってね」
母さんが嬉しそうに会話に割って入る。どうやら二人仲良く倭の国に行ってたみたいだな。
「そうそう。一ヶ月ほど滞在していたんだがその間に父さんは十キロも太っちまって。はははっ」
「そうなのよっ! その後父さんの食事制限が大変だったんだから」
「そっか食べ物かぁ……楽しみだなぁ」
倭の国には独自の食文化があるみたいだから、それも楽しみの一つなんだよな。
パールが言うには建物なんかも違うらしいから。
あー倭の国の事を考えたらワクワクして来た。
「ただいまぁ!」
バァンッと、音をたてドアが勢い良く開く。
銀太やスバル達と、外で一緒に遊んでいたリムが帰って来た。
『家族の戯れは楽しいのだ! 我はボール取りの名人、疾風の銀太だからの』
『ホントにな! 俺は天から舞い降りた翼の戦士だぜ』
銀太とスバルが楽しそうに話しているが、リムよ? 二匹に何を言った?
銀太のはまだいい。スバルの天から舞い降りた翼の戦士ってなんだ! 意味が全く分からない。
「リム……変なあだ名をつけないでくれよ?」
「ええー? あだ名とか付けてないよ? ただ銀太ちゃんは疾風の速さだねって言って、スバルちゃんはぁ翼があるからお空でボールとるの上手だねって言っただけだよ?」
「そうなのか?」
「うん。あっでも空を飛ぶ戦士見たいって言ったかも」
それだよ! それを勝手なネーミングに変えてんだ。まぁ楽しそうだからいいんだけど。
「あっそうそうお兄ちゃん。私ねこの前洗礼式をして【農業】のジョブを貰ったんだ。お兄ちゃんみたいな【魔物使い】とかも良かったんだけど、このジョブも気に入ってるの」
「ファーマーか! 良いじゃないか。色んな食物を上手く育てる事が出来るんだよな」
「そうなの。今裏の畑で色々と私が野菜を作ってるんだよ。あっそうだ! 自慢の畑を見てよ」
リムが俺の手を引っ張り外に連れ出そうとする。
「わっ慌てるなって! 行くからっ」
リムに引っ張られながら畑に来てみると色とりどりの野菜が何種類も植わっていた。
「凄いじゃないか! こんなに沢山」
「うふふ。凄いでしょ、ファーマーのスキルがあるとね。どんな育て方が一番最適かとかが分かるの。野菜の気持ちが分かるみたいにね」
「へぇー便利なんだな」
リムも少し会わない間に凄く成長したな。寂しいような嬉しいような、不思議な気持ちだな。
あっそうだ。せっかくだからリムにキュー特製の【レインボーマスカットの種】をあげるか。中々手に入らないからな。
「これは俺からのお祝いだ」
リムの両手のひらにレインボーマスカットの種が入った袋を置いた。
「えっ……これって?」
リムがガサガサと袋の中身を確認している。
「お兄ちゃん! これ市場に出回らないレインボーマスカットの種じゃん! うれしいよう」
「わっぷ」
リムが抱きついて来た。
「リム、頑張れよ」
「うん。大切に育てるからね」
リムの頭を落ち着くまで撫でた。
さぁ異空間に戻ってパール達に次の行き先を相談しないとな。
なんとか三号が人じゃないと信じて貰えた。
最後には黒犬の姿になってもらって、やっとって感じだったが。
「うふふ……可愛いわぁ三号ちゃん。お話が出来るワンちゃんなんて最高ね」
当の三号は母さんの膝の上で、気持ち良さそうに寝ている。母さんが可愛いと、ずっと撫でるので気持ち良くて寝てしまったみたいだな。
ただ……母さん達は三号の事を、可愛い犬の魔獣と思っている様で、ケルベロスって事には気付いて無い。本当ならちゃんと話した方が良いんだろうが、これ以上説明するのも疲れたので、もういいか。
「で……今度は何処に行くんだ?」
父さんが次の旅について、少し心配気に眉尻をさげる。
「ずっと行って見たかった国。倭の国に行こうと思って」
「おおっ倭の国か。父さんも一度だけ行ったことがあるんだが、この国とは全く違って驚いたのを覚えてるなぁ」
「ふふっ倭の国は食べ物がとにかく美味しくってね」
母さんが嬉しそうに会話に割って入る。どうやら二人仲良く倭の国に行ってたみたいだな。
「そうそう。一ヶ月ほど滞在していたんだがその間に父さんは十キロも太っちまって。はははっ」
「そうなのよっ! その後父さんの食事制限が大変だったんだから」
「そっか食べ物かぁ……楽しみだなぁ」
倭の国には独自の食文化があるみたいだから、それも楽しみの一つなんだよな。
パールが言うには建物なんかも違うらしいから。
あー倭の国の事を考えたらワクワクして来た。
「ただいまぁ!」
バァンッと、音をたてドアが勢い良く開く。
銀太やスバル達と、外で一緒に遊んでいたリムが帰って来た。
『家族の戯れは楽しいのだ! 我はボール取りの名人、疾風の銀太だからの』
『ホントにな! 俺は天から舞い降りた翼の戦士だぜ』
銀太とスバルが楽しそうに話しているが、リムよ? 二匹に何を言った?
銀太のはまだいい。スバルの天から舞い降りた翼の戦士ってなんだ! 意味が全く分からない。
「リム……変なあだ名をつけないでくれよ?」
「ええー? あだ名とか付けてないよ? ただ銀太ちゃんは疾風の速さだねって言って、スバルちゃんはぁ翼があるからお空でボールとるの上手だねって言っただけだよ?」
「そうなのか?」
「うん。あっでも空を飛ぶ戦士見たいって言ったかも」
それだよ! それを勝手なネーミングに変えてんだ。まぁ楽しそうだからいいんだけど。
「あっそうそうお兄ちゃん。私ねこの前洗礼式をして【農業】のジョブを貰ったんだ。お兄ちゃんみたいな【魔物使い】とかも良かったんだけど、このジョブも気に入ってるの」
「ファーマーか! 良いじゃないか。色んな食物を上手く育てる事が出来るんだよな」
「そうなの。今裏の畑で色々と私が野菜を作ってるんだよ。あっそうだ! 自慢の畑を見てよ」
リムが俺の手を引っ張り外に連れ出そうとする。
「わっ慌てるなって! 行くからっ」
リムに引っ張られながら畑に来てみると色とりどりの野菜が何種類も植わっていた。
「凄いじゃないか! こんなに沢山」
「うふふ。凄いでしょ、ファーマーのスキルがあるとね。どんな育て方が一番最適かとかが分かるの。野菜の気持ちが分かるみたいにね」
「へぇー便利なんだな」
リムも少し会わない間に凄く成長したな。寂しいような嬉しいような、不思議な気持ちだな。
あっそうだ。せっかくだからリムにキュー特製の【レインボーマスカットの種】をあげるか。中々手に入らないからな。
「これは俺からのお祝いだ」
リムの両手のひらにレインボーマスカットの種が入った袋を置いた。
「えっ……これって?」
リムがガサガサと袋の中身を確認している。
「お兄ちゃん! これ市場に出回らないレインボーマスカットの種じゃん! うれしいよう」
「わっぷ」
リムが抱きついて来た。
「リム、頑張れよ」
「うん。大切に育てるからね」
リムの頭を落ち着くまで撫でた。
さぁ異空間に戻ってパール達に次の行き先を相談しないとな。
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