お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

コンちゃんの尻尾

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  高峻だった慰霊祭も終わり、王様達とお別れの挨拶を交し終えると、俺達は異空間に戻って来た。

「んっ? 」

  なんだか異空間が騒がしい。俺は騒ぎの中心部分に目を向ける。

  中心に居るのはコンちゃんか…………みんながコンちゃんに集まっているのか?  なぜ?

「何だ? どーしたんだ」

 俺はみんなの所に歩いていく。

『ティーゴ帰って来たん? ちょっとコンちゃん見てよ!』

 べヒィが興奮気味にコンちゃんを抱いて俺の所に連れて来た。

『妾の尻尾がさっきいきなり三本に増えたんじゃ』

 コンちゃんは尻尾をギュウッと抱きしめ、その顔は涙目だ。

 抱きしめている尻尾の数が……三尾!? 増えている!

「コンちゃん尻尾が増えてるじゃないか!」
『そっそうなのじゃ! 妾は嬉しくって……ううっ』

コンちゃんは泣きながら俺の足にしがみついて来た。

 そうか、燦聖教の問題を解決したからか! だからコンちゃんの尻尾の封印が1尾とけたんだ。
 コンちゃんを封印したアグライア様が言ってたもんな。善行を行えば封印は解けるって! コンちゃんも問題の解決に協力したからって事だよな。

 俺はコンちゃんを抱き上げ、頭を撫でる。

「そうか……良かったなコンちゃん」
『……うん。……うん』

 少し落ち着くと『皆に妾のかっこいい尻尾を見せてやるのじゃ』そう言ってコンちゃんは、三尾の尻尾を誇らしげに揺らし、異空間の仲間たちに見せて歩いた。

 その両脇には、ジャイコブウルフのハクとロウが踊りながら場を盛り上げていた。

 くくっ良かったな。コンちゃん。




★ ★ ★



「……ん~?」

目映い朝日が頬を指し、目が覚める。

 もう朝か……結局あの後ハクとロウがお祝いのダンスを披露したりしてまた祭りが始まったんだよな。みんな楽しそうに飲んで騒いでしてたから……俺もいつ家に帰って来たのか記憶があやふやだ。
  また銀太が運んでくれたのかもな。

 ありがとうな銀太。
 寝ている銀太の頭を撫でる。

『むぅ……? 主起きたのか』
「あっ銀太! 起こしちゃったか。ごめんな」
『良いのだ。我は起きるタイミングだったのだ。それに主のよしよしは気持ち良い……もっと撫でて欲しいのだ』

 銀太がもっと撫でろと頭を俺の腹に擦り寄せて来た。
 朝から銀太が可愛すぎる。

 撫でるついでに、ブラッシングをしながらふと思う。
 そー言えば燦聖教の事があって実家に久しく帰ってない。このままだとまた心配かけちゃうな。

 今ならみんなはまだ寝てるし……銀太に実家まで転移してもらったら直ぐに戻って来れるし……今から帰るか。
 この後また旅に出発したら、またいつ帰れるか分からないもんな。

 よし! 行くか。

「なぁ銀太、お願いがあるんだ」
『願い? 何じゃ?』
「俺の実家に転移魔法で連れて行ってくれないか?」
『主の実家? ふむ。家族との戯れは楽しかったからのう……うむ直ぐに行くのだ』

 そんな話をしていると

『ふぁ~何? どこにいくの?』

 いつも遅くまで寝ている三号が欠伸をしながら歩いて来た。

「三号! おはよう。今から俺の実家に行こうと思ってな? 転移して行くから直ぐに帰ってくるからな」

『ティーゴの実家!? 何それ私も行ってみたい! 父とか母がいるのよね。ふふっティーゴに似てるのかしら』

「えっ……三号もくるのか?」
「何よー? ダメなの?」
「いや……ダメって訳じゃないんだけど」

 三号が行く気まんまんだ。何だか嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか?

『さぁ……主! 転移するのだ』

『行くって?! どこ行くんだよ? 俺も行くぜ』

 スバルまで起きて来た。銀太とこっそり行くつもりが、何だか賑やかになりそうだ。

『主~行かないのか?』

「あっああっ頼んだ」



★ ★ ★


 次の瞬間 
 懐かしい見慣れた家があった。

 なんだろう、この前に帰ってからそれ程時間は経ってないのに、この家を見ると懐かしく感じる。

 感慨深く家を見ていたら、扉が開いた。

「あっ! お兄ちゃん!帰ってきたの?」
「ただいまリム」

 俺はリムをギュッと抱きしめた。少し背が伸びた様にも感じる。

 リムは「お父さん達も家にいるから!?」っと言いかけ俺の横をみてギョッとしている。
 なんだ?

  そしてリムはバタバタと慌ただしく家に入って行った。

「お父さん! お母さん! お兄ちゃんが凄く綺麗な人を連れて来たよー! 早く急いでっ」

 凄く綺麗な人って言ったか?
 ふと横を見ると三号は犬の姿ではなく、人型の姿で立っていた。

「何で人型になったんだ?」
『ええ~? だってティーゴの父と母に会うんだから人型の方が良いかなって思って……」

 なるほど……三号なりに気を使ってくれたんだな。ありがとう。

 すると父さんが滑り込む様に扉から飛び出して来た。父さん何をそんなに慌てて? そりゃ、三号は美人かもしれないけど……。

「テテテテッティーゴ! そっその綺麗な人はお嫁さんか! 母さん! 早く出てこい! ティーゴが嫁さん連れて帰って来たぞ!」

 はっ? 父さん? なんて? 嫁さん?

「ちょっと待ってー! 折角お嫁さんが来てくれたのに、こんな服装じゃっ」

 二人共? 何を要らぬ誤解をしてるんだ! コイツはケルベロスの魔獣だぞ?


 この後俺は、父さん達の誤解を解くの事に時間を費やすのだった。




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